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議第12号議案(令和7年)
地域における訪問介護サービスの維持・確保を求める意見書
地域住民が相互に人格と個性を尊重し合い、住み慣れた地域で自立した生活を最期まで続けるためには、居宅介護サービスの安定的な提供体制が必要不可欠である。特に、訪問介護サービスは、地域の高齢者福祉を支える重要な基盤であり、地域共生社会の実現に欠かすことのできないものである。
しかし、令和6年度介護報酬改定による基本報酬の引き下げや長引く物価高騰の影響などにより、事業運営は深刻な圧迫を受け、訪問介護事業所の経営は限界に近づいているところである。令和7年上半期には、全国で訪問介護事業者の倒産件数が45件(前年同期比 12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を記録しており、県内においても、サービス供給の空白地域が生じ、今後、住民生活に深刻な影響を及ぼすことが強く懸念される。
また、人材不足についても一層深刻化している。有効求人倍率は14倍を超える異常な高水準にあり、訪問介護事業所の約8割がホームヘルパー不足を訴えている。このままでは超高齢社会の介護需要に対応する体制が崩壊し、地域包括ケアシステムの基盤そのものが揺らぐ危険性がある。
よって、国においては、経済対策で緊急的な支援を行うとともに、以下の事項を着実に実施することを強く求める。
- 訪問介護サービスの報酬を、事業の持続可能性を確保できる水準に引き上げること。
- 介護職員の処遇改善と人材確保のため、実効性ある政策を打ち出すとともに、十分な財政措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和7年12月12日
群馬県議会議長 井下 泰伸
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣 あて
