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地方公務員法の規定に基づき、県議会及び県知事に対し、令和元年10月9日に職員の給与等に関する報告及び勧告を行った。その概要は、次のとおりである。
企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の県内185事業所を実地調査(完了率91.9%)
職員と民間の平成31年4月分給与を調査し、主な給与決定要素である役職段階、学歴及び年齢階層を同じくする者同士を比較
民間給与 (A) |
職員給与 (B) |
較差 (A)-(B) |
---|---|---|
375,259円 | 374,913円 | 346円(0.09%) |
(注)
平成30年8月から令和元年7月までの直近1年間の民間の支給割合と職員の年間の支給月数を比較
民間の年間支給割合 (A) |
職員の年間支給月数 (B) |
差 (A)-(B) |
---|---|---|
4.49月 | 4.45月 | 0.04月 |
民間給与との較差(0.09%)、人事院勧告等を踏まえ、給料表を引上げ改定
人事院勧告に準じて改定(平均改定率0.1%)
行政職給料表との均衡を基本としつつ、本県の実情を踏まえて改定
民間の支給割合に見合うよう引上げ(4.45月→4.50月)
民間の支給状況、人事院勧告等を踏まえ、引上げ分を勤勉手当に配分
6月期 | 12月期 | 年間 | |
---|---|---|---|
元年度 期末手当 | 1.30月(支給済み) | 1.30月(改定なし) | 2.60月 |
元年度 勤勉手当 | 0.925月(支給済み) | 0.975月(現行0.925月) | 1.90月 |
2年度以降 期末手当 | 1.30月 | 1.30月 | 2.60月 |
2年度以降 勤勉手当 | 0.95月 | 0.95月 | 1.90月 |
公務としての類似性や地方公務員法に定める給与決定原則を踏まえ、人事院勧告に準じて改定
ただし、改定に当たっては、職員への手当の支給状況を考慮し、所要の経過措置を講ずることが適当
なお、単身赴任手当受給者の留守家族が居住する借家・借間に係る手当額については、当分の間の措置として定めた額としていることから見直しを検討することが必要
1)の月例給の改定は平成31年4月1日、2)のボーナスの改定は令和元年12月1日、3)の住居手当の改定は令和2年4月1日
近年、動物の伝染性疾病の予防・まん延防止や食の安全・安心の確保など、公務における獣医師の役割がより重要となっている中、獣医師の採用については全国的に困難な状況
本県においても、職員採用選考考査における競争倍率の低下や合格者の採用辞退件数の増加が確認されていることを踏まえ、優秀な獣医師を継続的に確保するため、令和2年4月1日から初任給調整手当を支給(最高支給額30,000円。採用の日から15年以内の期間、採用の日から1年を経過するごとに額を減じて支給)
人事院は、国家公務員障害者選考試験により採用された者の初任給基準については、本人が有する知識経験、学歴免許等の資格等に照らして、「国家公務員採用一般職試験(高卒程度試験)」の結果により採用された者と同様に取り扱うこととした
本県においても、障害者を対象とした職員採用選考考査により採用された者の初任給基準の取扱いについては、国や他の都道府県の状況等を踏まえて見直すとともに、在職者についての調整を行うことが必要
県職員採用試験等の受験者数は減少傾向であり、意欲と能力のある人材の確保は重要な課題
本委員会においては、県ホームページやSNSを活用した広報活動、県内外での業務内容説明会等の開催、合格発表日の前倒し等を行い、受験者確保に向けた取組を実施
特に、女性職員のキャリア形成や働きやすい職場環境等について積極的に広報するなど、女性受験者の確保に向けた取組を実施
今後も、こうした取組を継続するとともに、任命権者と連携し、受験者確保に向けた取組を一層進めていくことが必要
障害者の雇用については、今年度から精神障害者及び知的障害者も対象とするなど、受験資格の変更を行った
任命権者においては、引き続き障害者の雇用促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するよう努めることが必要
適切な人事管理は、より一層職員の士気を高め、その能力を最大限に発揮させるとともに、人材育成に資するものであり、組織活力を向上させるためにも重要
能力及び実績に基づく人事管理を一層推進していくためには、公平性や納得性の高い人事評価制度の運用や管理職員のマネジメント能力の向上が求められる
任命権者は、評価者等に対し、引き続き人事評価制度の趣旨を踏まえた効果的な研修の実施に努めるとともに、より適切に制度が運用されるよう、取組が必要
人事院は、昨年、定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出を行い、国でもこれを踏まえて検討が行われている
定年の引上げは、雇用と年金の接続が確実に図られる一方で、能力及び実績に基づく人事管理の徹底や組織活力を維持するための方策等、検討すべき課題が多岐にわたることから、任命権者においては、国の動向を踏まえながら、具体的な検討を進めることが必要
現在運用されている再任用制度についても、高齢層職員の能力及び経験を一層有効に活用できるよう環境整備に努めることが必要
時間外勤務の縮減は、職員の心身の健康保持や公務能率の向上の観点から極めて重要な課題であるとともに、仕事と家庭の両立支援の推進や人材確保にも資するもの
任命権者においては、長年にわたり様々な取組を実施してきており、本年4月から時間外勤務命令を行うことができる上限が設定された
教育委員会では、教職員の多忙化解消に向けた協議会からの提言等を踏まえた取組が行われているが、必ずしも全ての学校に浸透・定着しているとは言えない状況
今後も、任命権者は、徹底した事務・事業の見直しや更なる仕事の進め方の見直しを図った上で、業務量に応じた人員の確保や適正な人員配置を行うなど、より実効性のある取組をスピード感をもって実施していくことが必要
年次有給休暇の計画的、連続的取得の促進についても、引き続き積極的な取組が必要
職員が心の健康を保持することは、職員本人やその家族にはもちろんのこと、公務能率を向上させ、質の高い県民サービスを行っていく上でも、重要な課題
これまでも任命権者において、メンタルヘルス不調の発生予防、早期発見・早期対応、円滑な職場復帰と再発防止を総合的・体系的に推進しているところであり、今後も、ストレスチェック制度の有効活用等により働きやすい職場づくりへの取組が必要
性別にかかわりなく育児や介護等に取り組みやすい職場環境づくりの推進は、優秀な人材の確保やキャリア形成の支援等の観点から極めて重要な課題
限られた職員数で複雑・高度化する行政需要に対応することが求められており、職員一人一人の多様なニーズを柔軟に受け止め、その能力を最大限に発揮できるようにする必要があることから、性別にかかわりなく、職員が両立支援制度を利用しやすくなるよう、任命権者においては、職場としての支援体制の整備を行っていくことが重要
フレックスタイム制については、本年4月に対象職員の拡大が図られているが、国においては、障害のある職員に対して柔軟化の措置が行われた
多様な事情に応じた柔軟な勤務等を可能とすることは、両立支援の推進に資するものと考えられることから、更なる制度拡充について検討が必要
職場におけるハラスメントは、職員の尊厳を傷つけ、その能力の発揮を妨げるとともに、職場の活力と機能の低下をもたらすもの
これまでも防止対策が講じられてきたところであるが、その実情に応じ、国の取扱い等も参考にしながら対策を充実・強化していくことが必要
来年4月からの会計年度任用職員制度の実施に当たっては、制度の周知期間や募集開始時期などを勘案した上で、遺漏なく速やかに所要の準備を進めることが必要
給料 | 地域手当 | その他手当 | 平均給与月額 | 平均年間給与 | |
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勧告前 | 341,436円 | 9,292円 | 24,185円 | 374,913円 | 625.3万円 |
勧告後 | 341,727円 | 9,299円 | 24,185円 | 375,211円 | 627.7万円 |
改定額 (率) |
291円 | 7円 | 0円 | 298円 (0.08%) |
2.4万円 (0.4%) |
(注)