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第1条 この要領は、群馬県が発注する建設工事の実施中に発生した事故の報告、調査等の取り扱いに関し必要な事項を定めるものとする。
第2条 この要領における用語の定義は次の各号に掲げる各号に定めるところによる。
(1)工事とは「群馬県が発注する土木、建築工事、森林整備等(測量や調査の委託業務を含む)」をいう。
(2)事故とは「人の死傷又は物件の損壊等」をいう。
なお、事故の分類と定義、事故レベルの区分は下表のとおりとする。
事故の分類 | 事故の定義 |
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(1)労働災害 (工事作業に起因して、工事関係者が死傷した事故) |
工事区域(工事作業場)において、工事関係作業に起因して、工事関係者が死亡あるいは負傷した事故。 資機材・工事製品輸送作業(工事標準仕様書の総則「1-1-1-33 交通安全管理第2項」に規定された安全輸送上の計画に記載された作業、以下輸送作業という)に起因して工事関係者が死亡あるいは負傷した事故。 ※工事作業場:工事を施工するに当たって作業し、材料を集積し、又は機械類を置く等工事のために、固定あるいは移動等により周囲から明確に区分して使用する区域内をいうものとする。 |
(2)もらい事故 (第三者の行為に起因して、工事関係者が死傷した事故) |
工事区域において、工事関係者以外の第三者の行為に起因して、工事関係者が死亡あるいは負傷した事故。 |
(3)死傷公衆災害 (工事作業に起因して、当該工事関係者以外の第三者が死傷した事故) |
工事区域において工事関係作業及び輸送作業に起因して、工事関係者以外の第三者が死傷した事故。 (バリケード不備による床堀箇所への墜落等) |
(4)物損公衆災害 (工事作業に起因して、当該工事関係者以外の第三者の資産に損害が生じた事故) |
工事区域において工事関係作業及び輸送作業に起因して、工事関係者以外の第三者の資産に損害を与えた事故。 (除草中の飛石による車両損傷、埋設物・架空線等の損傷、河川への油流出等) |
(5)工事物損事故 (工事関係者の資産に損害が生じた事故) |
工事区域において工事関係作業及び輸送作業に起因して、工事関係者の資産が損害を受けた物損事故のうち、施工方法等安全管理に問題があるもの。(工事車両や重機の転倒、損壊等) |
(6)その他 (労働安全衛生規則第96条関係で報告が定められている事故等) |
事業場又はその附属建設物内において、火災又は爆発の事故、その他クレーン、ゴンドラ、ボイラー等に関する事故。 |
レベル | 区分 | 内容 |
---|---|---|
1 | 軽微な事故 | (1)休業4日未満の人身災害(ただし、死傷公衆災害は除く。) (2)物損公衆災害のうち、第三者の死傷につながる可能性が少ない、又は被害、影響が少ない場合等。 (3)工事物損事故 ※ 休業日数を算定する場合、休業事由が発生した災害の翌日を1日目とし、休業を要する期間内に休日が含まれる場合はこれを含める。 |
2 | 重度の事故 | (1)休業4日以上の人身災害(ただし、死傷公衆災害は死亡以外のすべて。) (2)物損公衆災害のうち、第三者の死傷につながる可能性が高い、又は被害、影響が大きい場合等。 ※ 3に該当する事故は除く。 |
3 | 死亡等重大な事故 | (1)第三者に被害が及ぶ事故 第三者の死亡事故、仮設材・機材の家屋や道路等への倒壊・転倒・部材の落下、資機材等運搬時における転倒・落下等 (2)工事従事者の死亡事故 足場からの墜落・転落、足場・支保工等の仮設材の倒壊・転倒・部材の落下、工事用車両・重機等へのはさまれ・巻き込まれ事故、一酸化炭素中毒、トンネル工事中の落盤事故等。 (3)ライフラインへ多大な影響を与える事故 埋設物又は架空線への接触・切断を発生させる事故等。 (4)同一業者が複数回発生させた事故(JV構成員も含む) 同一業者の1年以内における事故の複数回発生。 |
第3条 工事を所管する主務課長(以下「主務課長」という)及び地域機関の長(以下「所長等」という)は、工事区域において工事及び輸送作業に起因する事故が発生したときは、ただちに救護に必要な対応を行うとともに、速やかに事故の拡大、再発の防止措置を行う。
第4条 所長等は、事故が発生したときは、ただちに口頭又は事故速報(別記様式)により主務課長に通報するとともに、調査のうえ速やかに事故報告書(別記様式)を提出するものとする。ただし、物件の損壊事故のうち、第三者に原因が限定されると所長等が判断した場合を除く。
2 主務課長は前項の規定による報告があったときは速やかに主務課長が属する部長及び県土整備部 建設企画課長、契約検査課長に報告する。
第5条 所管部長は必要に応じ、当該事故について主務課長又は所長等に対し更に詳細な調査報告を命じることができるものとする。
2 所長等は事故調査をするときは、所長等の指名した者を責任者として調査させるものとする。
第6条 事故の調査は次の各号に掲げる事項に留意して行うものとする。
(1)事故の経過は、時間の順に従って始めから終わりまでを調査すること。
この場合において時刻が判明しないが、これを推定できるものは推定時刻として調査すること。
(2)事故の状況は可能な限り図で示し必要に応じ位置図、平面図、横断図、側面図等を作成し距離、高低値、傾斜度等を図示すること。
(3)事故現場、事故物件等事故の状況を確認できるものについては、可能な限り写真等によって記録すること。
(4)事故の当事者については、その住所、氏名、年齢、職業、生年月日等、可能な限り詳細に調査すること。
(5)事故の発生原因を十分把握するとともに再発防止対策についても併せて検討すること。
(6)その他事故の説明に必要な事項を調査すること。
2 事故の調査にあたり個人の権利を侵害することのないよう十分注意し、その任意に基づいて行わなければならない。
第7条 事故関係資料は慎重に取り扱うこととし、その保存年限は3年とする。ただし、訴訟等が予想される関係資料についてはこの限りでない。
第8条 主務課長及び所長等は、事故防止について必要な措置を講ずるものとする。
2 工事における『事故レベル3』の事故については、『群馬県建設工事安全対策委員会設置運営要領』により建設工事安全対策委員会を設置し、工事の安全確保、意識の向上及び類似事故の再発防止を図るものとする。
第9条 事故防止の観点から、事故原因及び再発防止について、『事故レベル3』の事故については、県土整備部長、『事故レベル1及び2』の事故の内、類似工事等への参考になる案件については契約検査課長が関係機関の長及び請負業者団体へ周知する。
附則