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農業用水の安定供給によりホウレンソウの一大生産地へ

更新日:2015年2月9日 印刷ページ表示

“赤城西麓地区”では、畑地帯総合整備事業により農地や畑地かんがい施設が整備されたことを契機に、畑作を主体とした農業が盛んに営まれています。
その中から、新たな営農を行っている農業者と土地改良区の取り組みについて紹介します。

“ホウレンソウ栽培への転換で営農の安定化を実現”~見城氏の取り組み~【群馬県利根郡昭和村】

栽培農家の見城俊治氏の写真

栽培農家の見城俊治氏

事業前の営農環境~事業前はどのような営農環境でしたか~

分散していた畑

コンニャクを主体として、トマトやフキなどの施設野菜を栽培していましたが、小規模な畑が分散していたため、効率的な農作業ができませんでした。

用水不足

トマトの栽培には大量の水が必要なため、約3キロメートル離れた水汲み場から畑へ週に2日は、トラックで水を運搬せざるを得ませんでした。
水の運搬作業は一日がかりの大変な作業でした。

作物の品質低下

農道は幅も狭く、でこぼこした未舗装であったため、苦労して収穫した野菜の輸送中に、野菜が揺れて傷んでしまうことが多々ありました。

未整備の農道とコンニャク畑の写真

未整備の農道とコンニャク畑

事業による営農環境の変化~事業により、営農環境はどのように変わりましたか~

農地の集約

分散していた畑が集約され区画が大きくなったため、農作業の効率が向上しました。

農業用水の安定供給

畑地かんがい施設の整備により各畑に給水栓が設置されたことで、作物へのかん水作業等が容易となり、用水の運搬作業も不要となったため、農作業の省力化が図られました。
今では、農業用水の安定供給が確保されたことで、ホウレンソウやトマトなど、多品目の栽培が可能となりました。
また、以前は連作障害を防止するため、定期的に輪作を行いビニールハウスを他の畑へ移設して栽培を行っていましたが、
現在は農業用水を活用した土壌改良や適正なかん水、液肥混入等の工夫により連作が可能となり、ビニールハウスの移設が不要となりました。

畑に設置された給水栓の写真

畑に設置された給水栓

作物の品質保持

農道が舗装整備され道路の幅も広くなったことから、収穫した野菜の輸送が容易となり、輸送時の荷傷みによる品質低下がなくなりました。

事業による農業経営の変化~事業により農業経営はどのように変わりましたか~

トマトの栽培規模を拡大

事業前は、コンニャクを主体とした農業経営を行っていましたが、畑地かんがい施設の整備を契機として、事業直後(平成14年)にはトマトの栽培規模を拡大するとともに、フキ、山ウド等を組み合わせた農業経営への転換を図りました。

ホウレンソウ栽培への転換

現在(平成23年)は、ホウレンソウの栽培を主体とした農業経営へと転換しています。
ホウレンソウは、一年を通じて計画的に栽培することが可能な作物です。
多い時には同じ畑で年3回収穫することができるため、定期的な収入を見込むことができ、経営を安定させることが可能となりました。
また、本地域は、水はけが良い火山灰土質のため、ホウレンソウの栽培に適した土壌となっています。
この土壌条件を活かして栽培規模を拡大し、今ではホウレンソウの栽培が作付面積の半分以上を占めています。

作付面積の推移グラフ画像

作付面積の推移

栽培技術の向上

ホウレンソウ栽培におけるかん水方法について、以前の地上かん水方式では均等にかん水することが難しく、作物の生育に差が生じていました。
今後は、均等なかん水が行える頭上かん水(スプリンクラー型)方式を新しく導入し、生育状況の均衡を図ることにより、作物の品質向上・収量の安定を目指しています。

頭上かん水方式の導入の写真

頭上かん水方式の導入

営農推進への取り組み

栽培技術の向上を図るため、地域の担い手農家と研究を重ね、栽培技術の共有化を図っています。
また、国内の他、海外からの視察や研修生を受け入れ、栽培技術の普及に努めています。

アフガニスタンからの視察(見城氏のハウス畑にて)写真

アフガニスタンからの視察(見城氏のハウス畑にて)

畑地かんがい施設整備と営農推進による赤城西麓地区の変化~赤城西麓土地改良区の取り組み~

事業に取り組んだきっかけ~なぜ事業を行うこととなったのでしょうか。~

事業前の地区の状況

戦後の緊急開拓事業で開墾した耕地は傾斜が急で、農道も狭いので大型農業機械の使用が困難でした。
また、耕土は火山灰性土壌で保水力に乏しく、干ばつに強いコンニャクを主体とした農業が行われてきました。

国営赤城西麓農業水利事業

赤城山の西麓に広がる畑地2,400ヘクタールに、農業用水を安定して供給することで、農業生産性の向上及び農業経営の安定を図るため、国が先行して基幹水利施設を造成しました。

国営造成施設である根利川頭首工(沼田市利根町)の写真

国営造成施設である根利川頭首工(沼田市利根町)

事業を行うための取り組み~どのように事業に取り組んだのでしょうか~

県営事業の推進

事業採択に向けた推進、採択後の換地作業、担い手への農地集積の推進等は、各地区の受益農家を中心に、県、市町村と連携を図りながら取り組みました。
農地への畑地かんがい施設の設置や農地の整備は県が行っています。

赤城西麓用水を活用した営農推進

管内JA、県普及機関、市町村、土地改良区等で赤城西麓用水営農推進協議会を設立し、各地域において赤城西麓用水を活用した作物の栽培実証試験等を行い、産地形成推進に取り組んでいます。

レタスへのかん水状況(利根郡昭和村)の写真

レタスへのかん水状況(利根郡昭和村)

事業後の変化、取り組み~事業による営農状況の変化や、事業後の取り組みはどうですか~

事業による営農状況の変化

大型農業機械の導入や、安定した農業用水の確保により計画的な作付けが可能となったことから、露地野菜や収益性の高い施設野菜の規模拡大が進み、農業所得が増加しました。

事業後の取り組み

農業用水を安定して供給するため、地元農家の施設管理運営委員と連携し、畑地かんがい施設の点検を行っています。
また、土地改良区では漏水等の事故への緊急態勢を整え、営農へ支障がないよう高い意識を持って管理に努めています。
さらに、赤城西麓土地改良区(中央管理事務所)に太陽光発電パネルを設置し、維持管理費の軽減を図っています。

施設管理運営委員による施設点検の写真

施設管理運営委員による施設点検

赤城西麓土地改良区の太陽光発電の写真

赤城西麓土地改良区の太陽光発電

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