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私たちの水、地域の水

更新日:2015年4月1日 印刷ページ表示

“赤城大沼用水”では、水利施設整備事業(基幹水利施設保全型)により、造築後50年以上経過した農業用水路を、より永く機能を発揮するための保全対策工事を行いました。
ここでは、施設の管理を行っている土地改良区と地域住民の取り組みについて紹介いたします。

農業用水施設の機能保全・強化による将来展望~赤城大沼用水土地改良区の取り組み~【群馬県前橋市】

事業取り組みのきっかけについて ~事業実施前の施設の状況や維持管理はどのようなものでしたか

赤城大沼用水のなりたち

赤城大沼用水は、前橋市の旧富士見村地域における恒常的な水不足の解決策として、地元の有志である船津伝次平が明治初期に赤城大沼からの引水を考えました。
その後、木村與作が建設運動を起こし、樺沢政吉らが建設計画を立てて、ようやく昭和16年に工事着工となりました。
しかし、戦時中の資材不足とトンネルの難工事に見舞われ、完成までに16年もの歳月がかかり、昭和32年に完成しました。
地域の人たちは、こうした先人達の熱い思いと恩恵を綿々と受け継いでいます。

水源池の赤城大沼と黒檜山写真
水源池の赤城大沼と黒檜山

水はトンネルを抜け赤城白川へ写真
水はトンネルを抜け赤城白川へ

老朽化が進む用水

現在の水路は、上流部のトンネル区間約2.2キロメートルを昭和63年から平成10年にかけて大規模に改修しました。
しかし、開水路区間約9キロメートルは未着手であり、道路に面した多くの石積水路では、脇を走る車の影響や長年の使用による老朽化により、石積の崩落や落差工での漏水が見られ、このままでは農業用水が田や畑に安定的に供給できなくなってしまうと不安を感じていました。

応急処置で対応する石積み水路写真
応急処置で対応する石積み水路

維持管理における苦労

赤城大沼用水路は組合員が協力しながら維持管理を行い、出来る範囲で簡易な補修を実施していましたが、石積の再構築など、組合員で対応が難しい箇所はどうすればよいのか常日頃悩んでいました。
また、石積水路の脇や石積の間から生える雑草も多いため、草刈りなどは、組合員で数日にわたって行っていましたが、その草刈りにかかる労力は大変多く、水路をきれいに保つのも難しい状況でした。

以前の草木に覆われた水路写真
以前の草木に覆われた水路

事業実施による変化 ~保全対策工事により水路をとりまく環境はどう変わりましたか。

安定的な水供給が可能に

対策工事により一部水路を改修したことで、石積の崩落や落差工での漏水などが改善され、農業用水を安定的に下流へ供給することができ、いつも感じていた不安を解消することができました。

維持管理の軽減と景観の向上

水路が整備されたことで、水路が足場としての機能も果たし、効率的に草刈り作業などを進めることが出来るようになりました。
また、石積水路脇及び石積の間から出ていた雑草も少なくなったことから草刈りにかかる労力の減少にも繋がりました。
水路がきれいになったことから、水路周辺をきれいにしようという意識が関係者の中で芽生え、花の植栽活動など(後述)、より多くの組合員等が積極的に取り組んでくれるようになりました。

周辺住民からの反応

周辺住民の方々についても、事業実施による変化がありました。
事業実施前は、草が多く生えて水路を隠しており、道路沿いに水路があることさえ知らなかったため、事業実施後に、水路があることに驚いたという声もありました。
また、この水路の存在を知った方から、落差がある水路だから小水力発電でも出来るのではないかという声もいただくようなこともありました。

次世代に引き継ぐ将来的な展望

今回、水利施設整備事業(事業概要参照)により一部水路の長寿命化が図られ、将来的な経費負担を分散化させることができました。
しかしその他区間では、まだまだ未整備箇所が残っています。
この地域で農業を続けていく限り施設の保全は、今後も永続的に行っていかなければなりません。
施設の長寿命化対策は、次世代の組合員に施設の機能を維持するための管理を引き継いでいくうえで、有効な手段と感じています。

完成した水路と植栽されたレンゲツツジの幼木写真
完成した水路と植栽されたレンゲツツジの幼木

円筒分水工の周りは花でいっぱいです写真
円筒分水工の周りは花でいっぱいです

地域に愛される農業用水 ~水路改修後のボランティア団体との協働による景観の向上~

沿線を彩る花々 ~地元ボランティアと共に花いっぱい運動~

赤城大沼用水では、水路の長寿命対策のほか、水路沿線に各種の花を植栽し、雄大な自然が魅力の赤城山に彩りをそえています。
この植栽活動には、「赤十字奉仕団」、「ツツジの森会」、「地域づくり協議会」の3団体を中心にして、地元の方々がボランティアとして深く関わっています。

ボランティアのみなさん写真
ボランティアのみなさん

ツツジの森会とは ~土地改良区とのなれそめ~

県で実施している『花と緑のクリーン作戦(花いっぱい運動)』等の活動にも参加している赤十字奉仕団が、花の植栽場所を探していたところ、土地改良区(関口さん)が赤城大沼用水の敷地をきれいにしたいので、植栽場所としてはどうかと声をかけたことがきっかけです。
最初は、円筒分水工の周りにパンジーなどを植栽しました。
植栽活動を継続していくうちに徐々に仲間が増え、「ツツジの森会」という活動組織が新たに設立され、水路沿いに毎年ツツジを植栽しようという計画が持ち上がりました。
前述の水路改修の後、水路脇の雑草もなくなり、水路周辺もきれいになりました。
さらに景観の向上を図るため、ボランティアの方々と協力し、ツツジの植栽を行いました。

(左)ツツジの森会代表下田さん (右)赤城大沼土地改良区関口さん写真
(左)ツツジの森会代表下田さん(右)赤城大沼土地改良区関口さん

植栽活動の様子写真
植栽活動の様子

さらに大きな広がりへ ~ツツジの森会や県との関わり~

水路沿いにツツジの植栽を継続的に実施している中で、植栽活動をより加速させたのが、県の協力です。
群馬県中部農業事務所農村整備課の支援を受け、レンゲツツジを提供していただき、以前に比べてより多くのツツジの植栽が可能となりました。
また、ツツジの森会をはじめ、群馬県中部農業事務所農村整備課、前橋市、他の土地改良区の方々がボランティアとして植栽活動に参加していただくこともありました。
植栽活動をともに実施していただいた方々には、とても感謝しています。
植栽活動により、沿線のツツジは着実に増え、また、ツツジの植込みの間にヒガンバナも植栽し、彩りを添えています。数年後の成長が楽しみです。これからも一層の愛着を持って活動に励んでいきます。

秋にはヒガンバナが沿線を彩ります写真
秋にはヒガンバナが沿線を彩ります

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