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令和3年度公営企業会計決算審査意見書

更新日:2022年10月12日 印刷ページ表示

群監第131-1号
令和4年9月6日

群馬県知事 山本 一太 様

群馬県監査委員 林 章
群馬県監査委員 石原 栄一
群馬県監査委員 金井 康夫
群馬県監査委員 安孫子 哲

令和3年度群馬県公営企業会計決算審査意見について

 地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第30条第2項の規定に基づき審査に付された令和3年度群馬県公営企業会計の決算について審査した結果は、別紙のとおりです。
(以下、別紙)

第1 審査の概要

1 審査の対象

令和3年度群馬県流域下水道事業決算(知事部局所管)
令和3年度群馬県電気事業決算(企業局所管)
令和3年度群馬県工業用水道事業決算(企業局所管)
令和3年度群馬県水道事業決算(企業局所管)
令和3年度群馬県団地造成事業決算(企業局所管)
令和3年度群馬県施設管理事業決算(企業局所管)
令和3年度群馬県病院事業決算(病院局所管)

2 審査の手続

 令和3年度の公営企業会計決算について、決算書類が事業の経営成績及び財政状態を適正に表示しているかを検証するため、財務諸表と関係帳票、証拠書類などを照合するとともに、地方公営企業法その他の関係法規に準拠して作成されているかを審査した。
 また、事業が常に経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されているかどうか、経営の分析を行うとともに、関係職員から説明を求め、定期監査及び例月現金出納検査等の結果も考慮して慎重に実施した。

第2 審査の結果

 決算諸表は経営成績及び財政状態を適正に表示しており、その計数は正確である。
 事業の運営に当たっては、経営の基本原則に従って、経済性の発揮と、その本来の目的である公共の福祉の増進に意を用い、おおむね適正に運営されたものと認められた。

1 事業運営

(1) 流域下水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は10,015百万円で前年度に比べ124百万円、1.2%増加し、総費用は9,837百万円で前年度に比べ69百万円、0.7%増加した。これは主に、公費負担の見直しに伴う維持管理負担金の増による営業収益の増加や、設備の修繕に伴う修繕費の増による営業費用の増加によるものである。
 この結果、純利益は178百万円で前年度に比べ55百万円、44.6%増加し、増収増益の決算となった。
 また、経常損益では、経常利益は前年度に比べ46百万円、35.6%増加し、176百万円となった。
 当年度の企業債の発行額は1,257百万円、償還額は1,494百万円、年度末の残高は18,056百万円であり、前年度末に比べ1.3%減少したが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 令和3年度の本事業の予定流入水量と実績流入水量は、予定流入水量の74,942,989立方メートルに対して、実績流入水量は74,170,627立方メートルとなった。
 本事業の課題は、全国平均と比較して汚水処理人口普及率が低いこと、人口減少による有収水量の減少が見込まれること、施設の老朽化が進行していることや耐震化・耐水化への対応が遅れていることなどが挙げられる。
 これらの課題に対応するため、「群馬県流域下水道事業経営計画」(令和3年度~12年度)や「群馬県下水道施設長寿命化計画」(平成30年度改定)等に基づき、関係市町村と連携の上、下水道未普及地域解消や汚水処理人口普及率向上に向けた幹線管渠等の施設の整備を進めるとともに、下水道接続促進に向けた啓発や広報に積極的に取り組むことなどにより有収水量の増加を図り、収入の確保に努められたい。
 また、今後も引き続き、ストックマネジメントに基づく予防保全的な施設の維持管理や更新を行うとともに、計画的に耐震化や耐水化を進め、適切な施設・設備の機能維持に努められたい。

(2) 企業局事業

ア 総括意見

 企業局所管の5事業全般にわたる経営状況をみると、経常収益は20,786百万円で前年度に比べ4,727百万円、29.4%増加し、経常費用は16,238百万円で前年度に比べ2,980百万円、22.5%増加した。経常収益と経常費用との差引である経常利益は4,548百万円となり、前年度に比べ1,747百万円、62.4%増加した。
 当年度は、団地造成事業において分譲収益が3,529百万円増加したことなどにより経常収益が増加し、経常費用についても、団地造成事業における造成原価が2,568百万円増加したことなどにより増加した。
 この結果、経常収益の増加が経常費用の増加を上回ったため、全体としては増収増益となったものである。
 また、この経常利益に特別損益を加えた純損益は、前年度に比べ1,981百万円増加し、4,239百万円の純利益となった。これは、特別利益125百万円を上回る特別損失434百万円を計上したものの、その差を経常利益が上回ったことによるものである。
 本県の「新・群馬県総合計画(ビジョン・基本計画)」の企業局分野における最上位計画であるとともに、地方公営企業の「経営戦略」として位置付けている「第2次群馬県企業局経営基本計画」(令和3年度~12年度)では、経営の基本方針として「収益力の向上」「効率的な運営」「変化の時代における柔軟な対応」の3つを定めている。
 今後も引き続き、この基本方針に基づき、20年後に目指す企業局の将来像の実現に向け、経営の健全性を維持し、各事業を着実に推進することが望まれる。
 なお、事業別の審査意見は次のとおりである。

イ 事業別意見

(ア) 電気事業

 事業収支の状況をみると、総収益は8,701百万円で前年度に比べ1,161百万円、15.4%増加し、総費用は6,538百万円で前年度に比べ517百万円、8.6%増加した。これは主に、販売電力料の増による営業収益の増加や、八ッ場発電所の稼働に伴う減価償却費及び特別修繕引当金繰入額等の増による営業費用の増加によるものである。
 この結果、純利益は2,162百万円で前年度に比べ644百万円、42.4%増加し、増収増益の決算となった。増収増益となった主な理由は、降雨量は平年並みとなったものの、CO2フリー電力の地産地消の取組である「電源群馬水力プラン」の推進や、令和3年4月の八ッ場発電所運転開始に伴う供給電力量の増加などによるものである。
 また、経常損益では、経常利益は前年度に比べ753百万円、49.6%増加し、2,271百万円となった。
 本事業の課題は、2050年の脱炭素社会の実現に向け、環境価値の高い再生可能エネルギーを安定的かつ継続的に供給することが求められる中、運転開始から50年以上を経過している水力発電所が12箇所あるなど、施設の老朽化が進行していることである。
 今後の事業運営に当たっては、引き続き水力発電所のリニューアルや保守管理の徹底、計画的な修繕を行うほか、新規水力発電所建設の検討を進めることなどにより、電力の安定供給に取り組まれたい。
 また、県内事業者に対し「電源群馬水力プラン」による付加価値の高い再生可能エネルギーの供給を積極的に推進することにより、電力の地産地消の取組を推進されたい。
 さらに、一般競争入札による売電に伴い、需給状況や電力市場などの外部環境により売電価格が大きく変動する可能性があることや、契約内容によっては、渇水などによる発電量の減少が売電収入に著しい影響を及ぼす可能性があることから、リスクに対する十分な検討を行い、安定した収益の確保に努められたい。

(イ) 工業用水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は2,001百万円で前年度に比べ111百万円、5.9%増加し、総費用は1,630百万円で前年度に比べ25百万円、1.5%減少した。これは主に、受水企業からの契約水量減量に伴う負担金収入による特別利益が増加したこと及び修繕費や退職給付引当金繰入額などの営業費用が減少したことによるものである。
 この結果、純利益は371百万円で前年度に比べ136百万円、57.6%増加し、増収増益の決算となった。
 また、経常損益では、修繕費の減などにより営業費用が24百万円減少したため、経常利益は前年度に比べ36百万円、15.7%増加して266百万円となった。
 当年度の企業債及び他会計借入金の借入額は257百万円、償還額は655百万円、年度末の残高は6,653百万円で、前年度末に比べ5.6%減少したが、令和5年度から電気事業からの借入金の償還が始まるなど、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 令和3年度の工業用水道の契約水量及び給水実績は、施設処理能力合計が90,702,500立方メートルに対して、年間契約水量が72,614,581立方メートル、給水実績が45,580,221立方メートルであった。
 本事業の課題は、供用開始から40年以上経過しているため、設備の老朽化が進行していること、また、東毛工業用水道の施設処理能力に対する契約水量及び給水実績の割合が低いことなどが挙げられる。
 今後も引き続き、施設設備の保守管理を徹底するとともに、耐震化の推進やアセットマネジメントを活用した計画的な修繕や更新・改良を行い、強靱な工業用水道を構築することにより、良質な工業用水の安定供給を図られたい。
 また、東毛工業用水道については、工業用水道の供給区域内における産業団地への誘致企業に対する新規受水契約の獲得に向けた取組や、既に立地している企業に対する地下水利用からの転換による新規受水契約や契約水量の増量提案を積極的に行うことにより、施設能力に見合った契約水量及び給水量を確保し、収入確保に努められたい。

(ウ) 水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は4,807百万円で前年度に比べ62百万円、1.3%減少し、総費用は3,750百万円で前年度に比べ109百万円、3.0%増加した。これは主に、長期前受金戻入の減により営業外収益が減少したことのほか、企業債繰上償還に伴う補償金を計上したことによるものである。
 この結果、純利益は1,056百万円で前年度に比べ171百万円減少し、減収減益の決算となった。
 また、経常損益では、経常利益は前年度に比べ161百万円、13.3%減少し、1,055百万円となった。
 当年度の企業債の償還額は2,040百万円、年度末の残高は7,402百万円で、前年度末に比べ21.6%減少した。令和3年度は繰上償還を行ったことから、例年に比べ償還額が多額であったが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 令和3年度の水道の契約水量及び給水実績は、給水能力合計が92,436,250立方メートルに対して、給水計画量が65,536,480立方メートル、給水実績量が65,536,480立方メートルであった。
 本事業の課題は、県央第一水道の供用開始から30年以上経過し、設備の老朽化が進行していること、また、県央第二水道の施設能力に対して給水計画量及び給水実績の割合が低いことなどが挙げられる。
 今後も引き続き、デジタルトランスフォーメーションの活用推進などにより、施設設備の保守管理を徹底するとともに、耐震化の推進やアセットマネジメントを活用した計画的な修繕や更新・改良を行い、施設の強靱化を進めることにより、県民のライフラインである水道水の安定供給を図られたい。
 また、県央第二水道については、引き続き施設能力に見合った給水量の確保や事業規模の適正化を検討されたい。
 加えて、「群馬県水道ビジョン」(令和2年度~11年度)に基づき、より効率的な事業運営に向け、県関係機関や市町村水道事業者との広域連携のあり方についても検討されたい。

(エ) 団地造成事業

 事業収支の状況をみると、総収益は4,649百万円で前年度に比べ3,516百万円、310.3%増加し、総費用は3,910百万円で前年度に比べ2,661百万円、213.0%増加した。これは主に、分譲収益及び造成原価がそれぞれ増加したことによるものである。
 この結果、前年度の純損失116百万円から純利益739百万円となり、増収増益の決算となった。増収増益となった主な理由は、前年度に比べ産業団地及び住宅団地の分譲面積が増加したためである。
 また、経常損益では、前年度に比べ959百万円増加し、839百万円の経常利益となった。
 団地の分譲実績は、景気や投資動向に左右されるため、年度ごとにばらつきがみられるが、当年度の状況は、産業団地の分譲面積は約23.8ha、住宅団地の分譲区画数は14区画であった。
 本事業の課題は、企業誘致の受皿となる分譲可能な産業用地が減少していることや、住宅団地の分譲が依然として低調なことなどが挙げられる。
 今後の事業運営に当たっては、本県の優位性や魅力を生かしながら、市町村や県関係部局と連携し、現在造成中の産業団地の早期完成に努められたい。
 また、CO2フリー電力の地産地消プログラム「電源群馬水力プラン」の活用や、良質で安定した工業用水の供給など、企業局の強みを結集した企業誘致に取り組み、産業団地の早期分譲に努められたい。
 さらに、住宅団地については、住宅需要の減少やニューノーマルなどの社会情勢の変化に対応するため、販売戦略を見直し、本県への移住・定住につながるよう、分譲促進を図られたい。

(オ) 施設管理事業

a 全体

 事業収支の状況をみると、総収益は754百万円で前年度に比べ80百万円、11.9%増加し、総費用は844百万円で前年度に比べ436百万円、34.1%減少した。これは主に、ゴルフ場事業において、当年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う指定管理者納
付金が減額となる営業休止期間がなかったため、使用収益が増加したことによるものである。
 この結果、全体の純損失は89百万円で、前年度に比べ517百万円減少し、増収・損失幅縮小の決算となった。
 また、経常損益では、前年度に比べ160百万円増加し、117百万円の経常利益となった。
 なお、当年度の電気事業会計からの借入金の償還額は164百万円、年度末の残高は1,029百万円で、前年度末に比べ9.8%減少したが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 今後の事業の運営に当たっては、以下の事業別に記された留意点を踏まえ、取り組むことを望むものである。
b 格納庫事業

 格納庫事業においては、固定資産除却費の減により、格納庫管理費が減少し、加えて令和3年5月に新たな団体が入居したことにより賃貸収益が増加したため、23百万円の純利益を計上した。
 事業運営に当たっては、空きスペースへの入庫者確保のほか、短期利用の促進に取り組むことにより、収益力の向上と効率的な運営を図られたい。
c 賃貸ビル事業

 賃貸ビル事業においては、新規入居・退去はなかったが、既入居団体の契約面積の増加等により、賃貸収益が4百万円増加し、固定資産除却費の減などにより公社総合ビル管理費が減少したため、前年度と同様に純損失となったが、前年度に比べ損失額は20百万円減少した。
 営業費用に占める減価償却費の割合が高く、経営が赤字体質となっていることから、事業運営に当たっては、企業局内での施設管理事業のあり方等の検討結果を踏まえ、施設や設備の更新を行うとともに、採算性や公益性を踏まえた今後の事業のあり方を検討されたい。
d ゴルフ場事業

 ゴルフ場事業においては、上武ゴルフ場の廃止に伴う特別損失を計上したものの、ゴルフ場事業の納付金が増加したことに加え、前年度に計上した減損損失の反動などにより、前年度の純損失588百万円から、97百万円となった。
 また、ゴルフ場の利用者数は、新型コロナウイルス感染症の影響による休業日が少なかったことや、指定管理者と連携して各ゴルフ場の設備改修など、サービス向上に努めたことにより220,134人となり、前年度の182,323人に比べ、37,811人増加した。
 今後の事業運営に当たっては、パブリックゴルフ場として、ニューノーマルに対応した事業運営を行うとともに、指定管理者と連携の上、各ゴルフ場の利用者ニーズを踏まえた事業運営を検討されたい。
 また、ジュニアゴルファーの育成など、ゴルフ人口の裾野を広げる取組を積極的に行うことにより、ゴルフ場利用者の確保に努めるとともに、身近で気軽にスポーツに親しむ場として、広く県民に親しまれるゴルフ場づくりに取り組まれたい。
 なお、今後のクラブハウス等の整備に当たっては、「群馬県営ゴルフ場事業あり方検討委員会報告書」(令和4年3月)の趣旨を踏まえた上で、適切な更新や改修を検討されたい。

(3) 病院局事業

 事業収支の状況をみると、総収益は31,357百万円で、入院収益及び外来収益の増加や新型コロナウイルス感染症関係補助金の受入れ等により、前年度に比べ958百万円、3.2%増加した。総費用は30,169百万円で、材料費や委託料等の経費が増加したものの、給与費や減価償却費が減少したことなどにより、前年度に比べ219百万円、0.7%減少した。
 経常損益は、前年度に比べ1,190百万円増加し、1,188百万円の経常利益となった。
 また、純利益は1,188百万円で、前年度に比べ純損益が1,177百万円増加し、2年連続して増収増益の決算となった。
 その主な要因は入院収益及び外来収益の増加、新型コロナウイルス感染症関係補助金の増加によるものであり、引き続き収益改善に向けた取組が求められる。
 病院別にみると、心臓血管センターは36百万円、がんセンターは836百万円、精神医療センターは237百万円、小児医療センターは80百万円の純利益で、初めて県立4病院全てにおいて黒字決算となった。
 現金預金は前年度に比べて983百万円増加しており、各月末残高の状況についても、全ての月において前年度を上回っていた。
 県立病院は、それぞれの専門分野において高度専門医療を担い、施設整備や高額医療器械導入などの設備投資が行われており、その財源として発行した企業債の残高は13,784百万円となっている。前年度に比べ残高は1,542百万円減少しているものの、今後、多額の償還資金が必要となることに加え、人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響等により、病院経営は依然として厳しい状況が続くことが予想される。
 「第五次群馬県県立病院改革プラン」(令和3年度~6年度)(以下「第五次改革プラン」という。)では、県立病院の使命を果たすため、以下の4つの改革の柱が掲げられており、今後の事業運営に当たっては、次の事項を望むものである。

ア 県立病院としての機能強化

 県立病院は、県内における各専門領域の拠点病院として、先進的で質の高い医療を提供している。
 心臓血管センターは、本県心疾患医療の専門病院として、がんセンターは、県内唯一のがん専門病院として、高度専門的な医療を提供している。また、精神医療センターでは、他の医療機関では対応困難な精神症状の患者へ適切な医療を提供し、小児医療センターでは、高度で先進的な周産期・小児医療を提供している。
 今後も引き続き、高度専門医療の更なる充実や地域医療機関との病診連携・病病連携に取り組むとともに、医療安全管理対策の推進により、県民から求められる役割や機能の確保に努められたい。

イ 群馬の医療を担う人材の確保と育成

 先進的で質の高い医療を提供するためには、これを支える人材の確保や育成が必須であるが、医師や看護職員をはじめとする医療従事者の確保は、本県県立病院においても喫緊の課題となっている。
 このような中、令和4年2月には、県、群馬大学医学部附属病院、県医師会等で構成される「ぐんま地域医療会議」の提案に基づき、常勤医の退職に伴い新規患者の受入れを休止しているがんセンターの頭頸科に対し、群馬大学医学部附属病院から医師の派遣が決定されるなど、関係機関との連携による人材確保が進められている。
 人材不足による病院の機能低下を避けるためにも、県や医師会などの関係機関との連携強化に向け積極的に取り組むとともに、県立病院で働く魅力や実習の受入強化などの情報発信を効果的に行うことにより、必要な人材の確保に努められたい。
 また、高度化・専門化する医療に対応するため、研修の受講や資格取得支援、レジデントの育成などの取組を進め、院内における人材育成を積極的に推進されたい。

ウ 経営の健全化

 令和3年度の決算は、新型コロナウイルス感染症関係補助金の受入れのほか、入院収益及び外来収益の増により純利益となったが、引き続き医業収益の向上や医業費用の削減に向けた取組が求められている。
 また、第五次改革プランでは、病床の効率的運用の取組強化や新たな診療報酬加算の取得、共同購入品目の拡充等の取組を進め、経常収支を黒字化させることを目標としている。
 持続可能な病院経営を目指すためにも、ベッドコントロールの強化や診療報酬加算の確実な取得による収益の向上のほか、価格交渉の強化や共同購入品目の拡充等による費用の削減など、更なる経営の健全化への取組を進められたい。

エ デジタルトランスフォーメーションの推進

 デジタルトランスフォーメーションの推進は、県全体で取り組む重要な課題であり、各県立病院では、電子カルテの導入や各部門システムの導入等デジタル化の取組を進めている。
 引き続き、各県立病院のDX推進委員会を中心に、医療現場と経営部門が一体となって病院全体のデジタルトランスフォーメーションを推進し、医療分野や事務分野における新技術の導入や情報共有の円滑化などについて検討を進められたい。
 併せて、今後需要が見込まれる遠隔医療への対応や、AI(人工知能)を活用した画像・映像診断や問診の導入を引き続き検討し、より高度な診断や、ヒューマンエラーによる医療ミス防止につなげるとともに、入力業務や集計業務の自動化を推進し、業務の生産性を高めることにより、医療の質と患者サービスの向上に努められたい。

(参考)定期監査等における指摘事項等の状況

令和3年度留意改善事項一覧
区分 実施機関数 留意改善事項
指摘事項 注意事項 検討事項
定期監査 6 0 7 0 7
随時監査 0 0 0 0 0
6 0 7 0 7
令和3年度留意改善事項(件数・内容)
監査結果 件数 内容
指摘事項
(適正を欠くと認められ、改善を要するもの)
0件  
注意事項
(軽易な誤りがあり、改善を要するもの)
7件
  • 収入に関するもの(1件)
    • 納付期限までに納付されていない未払診療費について、群馬県病院局財務規程に定める期限までに督促していなかったもの(病院局3件)
  • 契約に関するもの(2件)
    • 競争入札により契約すべきところ、随意契約により契約を締結していたもの(病院局1 件)
    • 3人以上から見積書を徴して契約すべきところ、同一日に3回に分けて、見積書を徴しないで随意契約を締結したもの(病院局1 件)
  • 工事(1件)
    • 工事の設計積算において、一部材料費を計上せず、過小積算となったもの(企業局1件)
  • その他(1件)
    • 所得税及び復興特別所得税の源泉徴収をせず、納期限までに納付しなかったため、不納付加算税及び延滞税が発生したもの(病院局1件)
検討事項
(事務の効率化等の面から検討を要するもの)
0件  

令和3年度群馬県公営企業会計決算審査意見書(全文)(PDF形式)

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