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群馬県文化審議会(第3回)の概要(通算3回目)
1 開催日時
平成25年9月13日(金曜日) 午前9時58分~12時00分
2 場所
群馬県庁7階 審議会室
3 出席者
委員13名
4 議題
(1)各部会の開催状況について
美術館・博物館運営検討部会及び文化振興基金活用検討部会からの報告の後、意見交換を行った。
〔主な意見〕
<美術館・博物館運営検討部会について>
・委員
指定管理者制度には収蔵品の研究や、各館の専門分野への深い考察が抜けがちになるという問題点がある。研究内容を評価することが難しいため、いつも入館者数がクローズアップされてしまう。
・委員
よく一人あたりの入館者にどれだけコストがかかっているかという議論がされるが、民間で成り立つのであれば県が公的資金を投入する必要はない。各館がそれぞれの専門性を発揮し、県民が求めるものを提供するためにどのようなマネージメントを行ったのかを評価する必要がある。しかし、どういう基準を設け、どのように判断したら、それが判定できるのかが今の課題である。5館の中でも決して立地条件の良くない館林美術館や土屋文明記念文学館が、地域に対する資産の還元や、地域資源の掘り起こしを一地域に止まらず、広域的に展開する努力をしている。こうした活動をどう評価するかということだと思う。
・委員
県外では指定管理者制度を導入した後、見直しにより直営に戻している例もある。指定管理者制度は万能な制度ではないことを認識しなければならない。
館林美術館の話しがでたが、昨年度、館林ジャンクションという企画展があった。東毛地域という栃木県や埼玉県と生活圏が一体となった立地条件を良く考えていると思う。美術館運営の仕方も、近県との関係を考えた上で、外郭団体などもいれて長期的に検討していく必要がある。
・委員
文化の活性化には美術館、博物館、コンサートホール、そういったところに行く僕ってなんて格好いいんだろうと思えるようなムーブメントを作る必要がある。どんなに良い企画、コンサートでも、自分がなんのためにそこに行くのかという理由が見いだせなければ行かない。県立や市町村立の施設も、もっと気軽に楽しめる雰囲気をだせば面白くなると思う。
・委員
8月に伊香保で第13回全国紙芝居まつりが開催され、全国から紙芝居好きな人達が集まった。それはすごい熱気で、好きなものに対してはみんなこれだけ熱い思いをもって集まるのかと驚きだった。この大会のように、美術館、博物館でも上手く何かと連携した事業ができれば良いと思う。
<文化振興基金活用検討部会について>
・委員
文化振興基金は取崩型で進んでいるため、大まかに計算しても30年はもたない。寄附などにより収入を増やす仕掛けや、基金の運用方法について長期的な計画が必要である。
委員
寄附については文化基本条例を作るときから検討している。いずれは具体化しないと財源が尽きてしまう。流れを変えなければ行けない。
(2)文化振興施策の概要について
文化振興課が所管している平成25年度事業について、事務局から進捗状況等の報告を行った。また、平成24年度事業の実績について併せて報告を行った。
〔主な意見〕
・委員
平成24年度に行った「文化づくりコーディネーター育成講座」は県民の自発的な活動をバックアップするための取組の第一歩となる、意義のある事業だった。講座だけで終わりにせず、受講者の意見交換の場だけでも定期的に設けて欲しい。
・委員
富岡製糸場と絹産業遺産群が、来年いよいよ世界遺産登録実現かというところにきている。しかし、設備は文化遺産になったとしても絹産業はそうではない。絹産業の周知のために日本絹の里の分館を置き、絹製品など関係資料を展示することはできないだろうか。日本だけでなく諸外国からの来場者にも、絹産業の素晴らしさについて理解を深めてもらうことができると思う。
(3)平成26年度事業について
平成26年度の文化振興施策の方針について、意見交換を行った。
〔主な意見〕
・委員
東国文化の発信にあたっては、子どもたちに文化を知ってもらうことを意識し、学校、博物館、資料館などで子ども向けの展示を行うなど、分かりやすく発信して欲しい。
・委員
古代において東国が輝いていたのは、世界性、先端性があったから。その部分を掘り下げることが非常に重要だが、まだ全体のストーリーが出来ていない。東国文化=(イコール)古墳ではなく、むしろ古墳の中の副葬品や金銅製品の方が重要である。
・委員
歴史博物館の改修工事中、貴重な資料をこの機会に他の資料館等で展示して欲しい。施設の機能の問題などもあると思うが、そのまま眠らせてしまうのはもったいない。
・委員
部局が違うかもしれないが、食文化についても考えておいた方が良い。歴史や古墳も良いが、県内外から観光に来た人が取っつきやすいのはなんと言っても食べ物。うどん、おっきりこみに代表される粉物文化は古墳や絹産業とも関わっていることなので、考えて欲しい。
・委員
全体的にPRを考えて行かなければならない。素晴らしいものを持っているということが県民には広く伝わっていない。宣伝で考えると、どういうコンセプトで、どう露出し伝えていくのかということになる。作業には時間がかかり1日や2日でできることではない。何年後に何処まで持っていくかという目標を掲げる必要がある。文化振興の宣伝戦略を考える部会を設けるなど、そのことだけを考える必要があるのではないか。
・委員
岩宿遺跡の展覧会が韓国で行われた。海外での展示の情報は国内で流しようが無いが、海外でも認められているという話は何かの時にできないかと思う。韓国に武寧王陵という日本生まれの王様のお墓があるが、古墳から出ている瓦などが高崎と縁があるということで、韓国の国立中央博物館から40周年記念に協力して欲しいという依頼が来ていると聞いた。歴史博物館はあまり活用できない状況にあるが、改修後、こうした事業に協力することでまた盛り上がってくれればと思う。
・委員
補足すると、韓国の百済武寧王陵から出土した鏡や酒器といった副葬品とほぼ同一のものが群馬の古墳からも出土しており、これらは極めて深い関係がある。公州博物館はこれまでの百済展の集大成として、日本、韓国、中国を貫く武寧王百済展を計画していることから、文化財を借りるために本県にも来県している。今後、計画的かつ戦略的に群馬の文物の国際性を位置づけていくことができれば、県民の目、世界の目も変わるだろう。富岡製糸場の世界遺産登録も控えており、これはある意味で千載一遇のチャンスであると思う。
(4)その他
次回の文化審議会は平成26年2~3月に開催することとした。
5 会議資料
資料1 美術館博物館運営検討部会報告 (PDFファイル:292KB)
資料2 文化振興基金活用検討部会報告 (PDFファイル:131KB)