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県立美術館・博物館運営検討部会(第6回)の概要
更新日:2016年7月19日
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1 開催日時
平成28年7月19日(火曜日) 14時~16時
2 開催場所
県庁25階 251会議室
3 出席者
委員3名、県立美術館・博物館長、副館長及び次長11名
4 議題及び主な意見等
(1) 平成28年度以降の成果指標について
[各館の指標について説明]
○近代美術館
- 入館者数は、例年10万人前後で推移していたが、ここ何年かは割り込んでいるため8万人と設定した。
- 教育普及活動参加者数は、例年1万人から1万3千人を確保していたが、今のスタッフと予算の状況では負担が多く、目標値は1万2千人とした。
- 学校受入校数は、昨年度と同様の目標値を設定した。
- 出張授業校数は、平成25年度から27年度実績の概ね1.2倍とした。
○館林美術館
- 入館者数は、昨年度は過去最高の来館者数に達したが、これは例外であり、目標としては、過去3年間の平均をとった。
- 教育普及活動参加者数は、昨年度の実績は良かったが、職員の体制を勘案し、今までと同じ目標値を掲げた。また、同じ理由で、学校受入校数、出張授業校数についても、今までと同じ目標値とした。
○歴史博物館
- 入館者数は、平成18年度までは、10万人であったが、平成19年度以降減り続け休館前は、7万数千人となっていた。リニューアルオープンし、10万人を目標として回復したい。
- 教育普及活動参加者数は、平成30年度は、4万人、学校受入校数は、250校を目標とし、うち、県内校は全小学校の半数である150校とした。反面、出張授業校数は、リニューアル後、当面は0とし、まずは、出向くことより、来てもらうことに力を入れたい。
○自然史博物館
- 今年、20周年を迎える。このため、多くの方に来てもらいたいという思いを込め、多めの目標を掲げた。
- 企画展の満足度を上げることで、リピーター率を上げたい。
- 調査研究等も大切である一方、体験して学習する場等として博物館を利用して欲しい。
- 人に来てもらうためには、博物館の魅力を伝えることが必要であり、周知活動にも力を入れている。
- この他、地域に根ざした博物館としてボランティアの方との連携も大事であると考える。
以上を踏まえ、指標を設定した。
○土屋文明記念文学館
- 過去3年間の平均値から目標を設定した。
- 20周年を迎え、またスタッフがようやく慣れてきたところで、質をあげようと努力している。お金をかけずして、常設展も質の良いものにリニューアルした。移動展の種類を増やそうということも行っている。学校連携では、今年は、中高生に文学に親しんでもらおうと学校に出向く試みも実施している。
- 既存資料の整備と活用も考えている。
[主な意見等]
○委員
- 昨年度の入館者数が増えた理由を教えて欲しい。
○館林美術館
- 昨年度は、企画展を4回開催した。春の企画展は、ご婦人層を中心に来ていただき、夏の企画展は若い人を中心に人気があり、グッズの売り上げも良かった。秋の企画展は県外からも多く来館していただき、冬の企画展は高齢者が多かった。結果として過去最高の入館者数8万5千人を記録した。
○委員
- 一つの企画展の来館者数が多かったのでなく、全体的に多かったのであれば、目標値を実績より下げる必要はないのではないか。
○館林美術館
- 巡回展の運にも恵まれ、たまたま経費の折り合いがついたこと等もあるため、この目標値としたが、以前までの目標値よりは高く設定している。
○委員
- リピーターはどうか。
○館林美術館
- 県外からの方も多かった。東京で鑑賞することができなかったものを当館で鑑賞することができ良かったとの声も聞いている。
○委員
- 館林美術館は、県外の地域の公民館等にも広報しており、広く周知を行っている。
○委員
- 来館者が増えた理由は、館林美術館が地域に根ざした成果とも言える。
○委員
- 土屋文明記念文学館は、開館日数が300日を超えているが。
○土屋文明記念文学館
- 休館にすると人が少なくなってしまうという危機感がある。実際は、企画展の質をあげるために、資料を整理する期間等を設けたいと思っている。
○委員
- 休日に施設が開いているのはありがたい。たくさんの人に来てもらいたいときは、休日にも開館したらどうかと思う。
○自然史博物館
- 自然史博物館は、1月2日及び3日は、開館しているが、来館者が少ない1月1日は開館していない。
○委員
- 各館の来館者満足度が90%以上で推移している中で、まあまあ以上を満足とするならば、そのまあまあ以上の割合がどう変化しているかを見る段階に来ていると思う。今後、具体的施策にどう結びつくのかが課題であると思う。
○委員
- 各館における活動指標について、どのような職員がどの部分にどのように配置されているのかデータを示して欲しい。
(2) 平成29年度当初予算編成に係る課題について
[各館の課題について説明]
○近代美術館
- 平成26年の開館40周年から入館者が落ち、10万人を割り込んでいる。その原因としては、企画展で扱ったものが現代美術であったこと等が挙げられる。ぱっと見てわかるものでなく、逐一説明を受けないとわかりにくく、一般受けしにくいものであった。また、予算の制約上、コレクション展で済ませてしまったことや、地域限定の作家を使っていたこと等も原因であった。
○館林美術館
- 平成29年度の事業についてお話しする。春の京都国立近代美術館名品展では人間国宝等の作品を展示し、またフランスの絵本や江戸時代の焼き物の展示なども企画している。この他、平成33年度の開館20周年記念に向け、フランソワ・ポンポンを軸にした展覧会に関する調査を実施する。
- 施設設備面については、平成13年に開館し15年が経ち、不具合が生じている。優先順位を付けながら整備したい。
○歴史博物館
- リニューアルに伴い、企画展の展示替えをしている期間も、常設展に入れるようにした。また、テーマ展示室を設け、少しずつ内容を変えるよう取り組む。さらに、企画展示はストーリー性があり、かつタイムリーな内容とする。
○自然史博物館
- 大きなコンセプトとしては、調査研究機関としてしっかりと研究し、資料収集すること、そしてそれを未来に伝えていく。さらに県立ということで地域に根ざした題材を扱っていくことも必要である。
- 情報が簡単に手に入る世の中で、実際に博物館に来てもらい、見てもらい、触れてもらうことで体験していただきたい。
- 20周年を迎え、施設も老朽化しており、優先順位を付け、整備していきたい。また、収蔵資料も増えていく中で、収蔵の仕方を工夫していきたい。
○土屋文明記念文学館
- 平成29年度は、大手拓次が生誕130周年にあたるので取り扱いたいと思う。また97回展は、文学者達の手紙の展示を考えている。次の98回展は、吉野秀雄が没後50年にあたるため取り扱う。99回展は、寄贈いただいた幼年倶楽部等の雑誌の展示を考えている。
- 平成30年度の準備も進めており、100回展は、アララギ創刊110周年ということでアララギと伊藤左千夫展を企画している。
- 企画展を充実する中で、年度途中で急に欲しい資料が出てきた場合、それを買える仕組みがない。
- 他館から資料を借用する場合は、館の信用が必要となる。この信用は、収蔵庫がきちんとしているか否かにかかっているので、しっかりと整備したい。
- 20年が経ち、施設も古くなってきており、目をつぶるところとそうでないところを精査し整備したい。
- 企画展をより良いものにしていくという点で、学芸係に学芸員がいない。教員が就いているが5、6年かけて一人前に育てても、他の館と違い、また戻って来ることはない。この点を踏まえ、いかに上手くやっていくかが課題である。
[主な意見等]
○委員
- 近代美術館だが、日本美術の展示は、担当者がいないので、できないとの話だが、工夫ができるのではないか。歴史博物館も重要文化財の絵画等を扱っている。相互に協力をできると思うが。
○近代美術館
- 相互に協力し合うことは、可能だと思う。
○委員
- 土屋文明記念文学館は、教員が教育現場に戻ると帰って来ないということだが、組織的な問題もある。学校から教育職として出て行けば良いが、そうでない場合は、館等で勤務した年数が教育経験として扱ってもらえない。
○委員
- これは、群馬県だけで解決できる問題でない。土屋文明記念文学館と歴史博物館がこのような問題があり、優秀な人材が集まるが、蓄積にならない。近代美術館は、学芸員採用なので、人が動かない。自然史博物館は、専任の学芸員と教員の学芸員が半々である。
- 5館は、今、色々なしわ寄せがきている。本音で人を動かす時期に来ているのではないか。お金が入っても人が来ないというたこ壺型にならないよう考えなければならない。5館が集まり、こういったことを話すことは大変有意義である。
○委員
- 他館の日本画の展示で見られたが、同じ絵画であっても、プラスアルファをしてテーマを変える、また我々に気づかせてくれる学芸員のメッセージがあると良い。同じものを並べるのでも、我々を誘導してくれる展示内容にしていただきたい。
○委員
- 近代美術館に関しては、人気がないもの、わかりにくいものだから人が来ないのでなく、そういったものを展示するということは、人の心を動かすチャンスである。近代美術館の一番の強みを出すことで変わっていくと思う。
○近代美術館
- 群馬県の美術館なので、絹を全面に出した展覧会も実施した。コレクション展示については、昨年度あたりから、切り口を変え始めている。例えば、生活に身近な庭の風景を集めたもの等、学芸員が工夫をしている。群馬県の作家の展覧会など群馬県の美術館としてやるべきことをやっておきながら、もう一つは、美術というものを広く知ってもらう。来年度は、現代美術だが抽象的でなく、具体的なものを展示すること等を考えている。バランスをとりながら、入館者数を増やす工夫をすこしずつ始めている。
○委員
- 人のつながりだけではなく、近代美術館は歴史博物館がリニューアルオープンし、グランドオープンする中で、それを意識しながら、来年、再来年の企画を考えているか。また、歴史博物館は、近代美術館の存在を意識し、自分達のリニューアル、グランドオープンに向けての展示を考えているか。
○歴史博物館
- 近代美術館を意識した展示内容とはなっていない。
○近代美術館
- 企画展のサイクルの予定が合えばできると思うが、今の段階ではない。
○委員
- 両館で定期的に話し合うことはできないのか。
○土屋文明記念文学館
- 去年、前橋文学館と連携した企画を行った。
(3) その他
[自然史博物館が策定した博物館基本構想について説明]
○自然史博物館
- 別添、「博物館基本構想」により、説明。
[主な意見等]
○委員
- 基本構想を策定し、業務の分析等をしてきているため、自然史博物館の言葉には説得力がある。この構想に書いてある以上の効果があると思う。
- できないことも含め、きちんと記録しておくことが大事なことである。
○委員
- 何を評価するかの基軸がしっかりとできている。
○委員
- 内部で議論をしっぱなしでなく、このように、かたちが残してあれば次に発展する。
○委員
- わかりやすく、美しい。この構想にも書いてあるが、なぜを刺激するのが一番だと思う。
○委員
- 県民自身もこの構想のようにいくように関わっていく必要があると思う。
○近代美術館
- 平成26年度から評価等を定めており、ホームページでも公表している。しかし、ここまで細かい評価項目は定めていないので、参考にしたいと思う。
○館林美術館
- 20年の過去を振り返り、これからどうあるべきかを示されたのは、素晴らしいと思うが、他県の美術館等では、評価のための評価にならないようにとの意見もある。
○委員
- 基本をしっかりつくって、みんなが議論できるベースをドキュメントとして残すことは重要だと思う。
○土屋文明記念文学館
- きちっと、文書化し、定着させて、みんなで共有することは大事だと思う。
○委員
- 県民やメディアにわかりやすいものにするためにも、こういうものは必要だと思う。
○委員
- できれば、各館でまとめて欲しい。評価のための評価をするのでなく、基本構想を生かすために目標を設定するかたちでの活動をしてもらうとありがたい。
○委員
- 些細なことでも美しく感じることは、美術館・博物館の基準になると思う。美を感じる心は、思いやりにつながる。美しいものには近寄りたいと思う。
○委員
- 最後に一言5館に申し上げたい。企画展などを開催するにあたっては、時期的なもの、時宜にかなったものを事前に良く調査検討し、準備を進めていただきたい。また、オール群馬を上手くつなげていただきたい。
5 会議資料
資料1 成果指標(様式1-1) (PDFファイル:37KB)