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第2次群馬県犯罪被害者等基本計画 第1章

更新日:2012年7月6日 印刷ページ表示

第1章 犯罪被害者等の現状

1 犯罪被害の現状

(1) 群馬県の犯罪発生状況(交通人身事故を除く)

本県の刑法犯認知件数*注1は、平成16年の42,643件をピークに、その後減少に転じ、平成23年は20,981件と平成16年に比べ50.8%減少しています。【図1参照】

【図1】群馬県の刑法犯認知件数の推移

図1グラフ画像

被害が深刻な事態となる重要犯罪の認知件数は、平成15年の366件をピークに、減少傾向となり、平成23年は144件、内訳は殺人13件、強盗39件、放火21件、強姦13件、略取誘拐4件、強制わいせつ54件となっています。【図2参照】

【図2】群馬県の重要犯罪認知件数の推移

(2) 交通人身事故の状況


本県の交通人身事故発生件数は、平成16年まで増加傾向にありましたが、平成17年以降7年連続で減少し、平成23年は18,667件となっています。【図3参照】

【図3】群馬県の交通人身事故発生状況

図3グラフ画像

また、死者数については、平成14年に200人を超えましたが、その後減少し、平成19年以降は100人以下となっています。【図4参照】

【図4】群馬県の交通人身事故死者数

図4グラフ画像

2 犯罪被害者等の置かれた状況

 (1) 犯罪被害者等の抱える様々な問題

 犯罪の被害者やその家族(犯罪被害者等)は、生命、身体、財産上の直接的な被害だけでなく、事件に遭ったことによる精神的ショックや身体の不調、医療費の負担や失職・転職などによる経済的な困窮、捜査や裁判の過程における精神的苦痛や時間的負担、周囲の人々の無責任なうわさ話や配慮に欠けた対応によるストレス、不快感など、被害後生じる様々な問題に苦しめられます。このような問題は「二次的被害」と言われ、多くの犯罪被害者等がこのような被害を受けていると言われています。
被害者の抱える問題の中でも、精神的な被害は深刻です。先の地下鉄サリン事件や阪神淡路大震災の被害者(被災者)が様々なトラウマ(心的外傷)やPTSD(心理的外傷後ストレス障害)の症状を訴えたことにより、被害者が受ける精神的被害の深刻さが広く認識されるようになりました。

 (2) 事件後の心境や状況

平成20年10月に内閣府が行った「犯罪被害者等に関する国民意識調査」によると、事件後の心境や状況については、被害者や被害者の家族の6割以上が「不安を抱えた」と回答するなど、多くの被害者や被害者の家族が深刻な精神的被害を受けていることが明らかとなっています。

図5グラフ画像

(3) 県民から見た犯罪被害者の人権問題


平成22年12月に県が行った「人権問題に関する県民意識調査」によると、犯罪被害者等の人権問題については、「過度な取材等によるプライバシーの侵害」が52.2%で最も多く、次いで、「周囲の人の無責任な噂」が37.2%と、取材や噂といった情報に関する項目が上位2項目を占めています。

図6グラフ画像

3 犯罪被害者等支援の経緯

(1) 国際的な動き

1985年(昭和60年)国連総会において「犯罪及び権力濫用の被害者のための司法の基本原則宣言」が採択されました。

宣言では、

  • 被害者は、その尊厳に対し共感と敬意をもって扱われるべきであること
  • 被害者に対して、訴訟手続における被害者の役割や訴訟の進行状況、訴訟結果等に関する情報を提供する必要があること
  • 被害者が必要な物質的、医療学的、精神的、社会的援助を受けられるようにし、その情報を被害者に提供すべきこと
  • 各国政府は、警察、裁判、医療、社会福祉等の関係機関の職員に十分な教育訓練を行い、司法上・行政上の敏速な対応を進めるため適切な制度整備等を行うことなどが盛り込まれ、犯罪被害者等支援は国際的な潮流となっています。

(2) 国の動き


犯罪被害者等のための施策については、昭和20年代はどちらかといえば治安対策や交通政策に位置付けられて始まり、昭和49年8月30日のいわゆる三菱重工ビル爆破事件を契機に制度の確立を求める遺族、マスコミ等からの声の高まりにより制定された「犯罪被害者等給付金支給法」から公的な保障制度が確立しました。
その後、平成3年に開催された「犯罪被害者給付制度発足10周年記念シンポジウム」において、特に精神的援助の必要性が被害者自身によって強く指摘され、これを契機として更なる犯罪被害者等支援のための検討が始まりました。

     
警察庁では、平成8年2月、被害者対策に対する基本方針を取りまとめた「被害者対策要綱」を制定し、全国に通知したほか、平成11年6月には、警察官が捜査活動の際に守るべき心構えや捜査方法、手続き等を定めた犯罪捜査規範を改正し、犯罪被害者等に対する配慮及び情報提供、犯罪被害者等の保護等に関する規定を整備しました。
平成12年5月には、いわゆる犯罪被害者保護のための二法、「刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律」及び「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続きに付随する措置に関する法律」が公布され、刑事手続きの中で犯罪被害者等の心情に配慮するとともに、証人への付き添い、遮へい措置の導入、ビデオリンク方式等の導入等による証人の負担の軽減、公判廷における犯罪被害者等の意見陳述、公判優先傍聴、公判記録の閲覧及び謄写などが規定されました。
また、同年には、少年法改正等により、少年保護事件に犯罪被害者等の申し出による意見の聴取制度等が導入されました。

 
平成13年4月には、「犯罪被害者等給付金支給法」が抜本的に改正され、法律の名称を「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」と改め、給付対象障害等級の拡大、重傷病給付金の新設、遺族給付金への医療費負担額の付加、給付金支給額の引き上げが行われるとともに、警察本部長は、犯罪被害等の早期の軽減に資するための措置として、犯罪被害者等に対し、情報の提供、助言及び指導、警察職員の派遣その他の必要な援助に努めることや、犯罪被害者等早期援助団体(次頁コラム2参照)の指定が新設されました。

   
なお、このほか、平成11年5月に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」、平成12年5月に「ストーカー行為等の規制等に関する法律」、及び「児童虐待の防止等に関する法律」、13年4月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が公布されるなど、特定の犯罪に係る被害者保護のための法的整備も進みました。

その後も、平成14年4月1日には、国家公安委員会が「警察本部長等による犯罪  の被害者等に対する援助の実施に関する指針」を定めるなどの取り組みにより、一定の評価を得た一方で、依然として多くの犯罪被害者等が困難に直面し、苦しんでいる現状から、これを打開し、その権利利益を図っていくため、犯罪被害者等のための施策に府省庁が横断的に取り組み、総合的かつ計画的に推進していく基本構想を示した  「犯罪被害者等基本法」が平成16年12月8日に公布され、平成17年4月1日に施行されました。
また、平成17年12月27日には、犯罪被害者等基本法第8条に基づき、総合的かつ長期的に講ずべき犯罪被害者等のための施策の大綱等を盛り込んだ「犯罪被害者等基本計画」が閣議決定されました。
   

近年では、平成20年12月1日から、刑事裁判における「犯罪被害者参加制度」 (証人尋問、被告人質問等への参加制度)が導入され、また、同年12月15日には、被害者等による少年審判の傍聴等の制度が導入されています。

そして、平成23年3月25日には、「第2次犯罪被害者等基本計画」が閣議決定されています。

   
(3) 県の動き


県では、国における「犯罪被害者等基本法」の制定及び「犯罪被害者等基本計画」の策定を受け、平成19年10月に「群馬県犯罪被害者等基本計画」を策定し、関係機関・団体による総合的な施策の推進に努めてきました。
また、平成20年7月には、犯罪被害者等早期援助団体として、「NPO法人被害者支援センターすてっぷぐんま」が群馬県公安委員会の指定を受けています。