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第2次群馬県犯罪被害者等基本計画 第4章

更新日:2012年7月6日 印刷ページ表示

第4章 重点課題

第1 損害回復・経済的支援等への取組

基本的な方向性

  • 損害賠償請求についての援助等
    犯罪等の被害に係る損害賠償請求が、適切かつ円滑に行われるよう、犯罪被害者等が行う損害賠償の請求についての援助に努めます。
  • 給付金の支給に関する制度の適正な運用等
    犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等に対する給付金支給制度の適正な運用に努めます。
  • 居住・雇用への支援
    犯罪被害者等は、様々な理由から、転居や転職を余儀なくされることがあるため、このような方々のために、スムーズな転居支援や転職のための就労支援に努めます。 

1 損害賠償の請求についての支援等(基本法第12条関係)

現状・課題

   犯罪被害者等の中には、思いがけない犯罪等により、かけがえのない財産を奪われたり、入院・通院により多額の治療費がかかったり、被害に遭ったために仕事が続けられなくなり失職し、無収入になってしまうなど経済的な困難に直面する方々もいます。
   犯罪被害者等が、これらの経済的損害を回復するためには、「加害者による不法行為が原因である」として、加害者に対し損害賠償を請求しなければなりません。
   この損害賠償請求は、犯罪被害者等の経済的な回復を図るだけでなく当該犯罪等に係る事件の全容を把握し、犯罪被害者等の名誉を回復するとともに、加害者に謝罪や反省を求めるという重要な意味を持っています。
   しかし、犯罪等により傷つき、様々な問題を抱えている犯罪被害者等にとって加害者と向き合わなければならない損害賠償請求は、更なる精神的負担を与えることもあります。
   また、一般的に訴訟には、専門的な知識・高額な費用、多くの時間と労力を費やすこととなり、さらには、損害賠償請求をする過程で加害者の所在等の情報が不足していることや、加害者に自分の所在を知られてしまうことへの不安等を抱えています。
   そこで、犯罪被害者等が必要としている刑事手続や損害賠償請求に関する的確な情報を提供し、各種支援制度の周知及び支援を図る必要があります。

県の取組

(1) 損害賠償請求制度の周知

刑事手続き、損害賠償請求制度について、広報や情報提供を行います。

(2) 広報啓発による各種支援制度の周知

県のホームページの活用、啓発冊子、パンフレットの作成配布等を通じ、各種支援制度の周知に努めます。

(3) 相談窓口に関する情報提供

交通事故相談所や(財)日弁連交通事故相談センターでの無料相談さらには群馬弁護士会等で行う法律相談に関する情報提供に努めます。  

(4) 民事法律扶助制度に関する情報提供

日本司法支援センター(法テラス)による民事法律扶助制度等について、広報や情報提供に努めます。 

(5) 暴力団犯罪による被害回復への支援

警察において、公益財団法人群馬県暴力追放運動推進センター等と連携して、暴力団犯罪による被害回復を支援します。

   
2 給付金の支給に関する制度の適正な運用等(基本法13条関係)

現状・課題

犯罪被害者等が、様々な困難を乗り越えて損害賠償請求の訴訟で勝訴判決を受けたとしても、加害者側に賠償能力が欠如していたり、財産を隠される等、損害回復の目的を果たせない場合も少なくありません。
 また、犯罪被害者等の中には、直接的な財産被害のみならず、働き手を失い、あるいは、自らが働けなくなってしまったことで収入がなくなったり、身体的な被害を負い、治療のために費用がかかるなど、長期にわたって、経済的な困難に苦しむ方々もいます。
 そこで、このような方々の経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等に対する給付金の支給制度等による各種支援を行っていく必要があります。

県の取組

(1) 給付金の支給に関する制度の適正な運用

殺人等の故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた犯罪被害者の遺族又は重傷病若しくは障害を負った犯罪被害者等に「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」に基づき、給付金の支給手続を行います。
また、制度の積極的な周知を行い、適正な支給裁定手続に努めます。

(2)  その他の公費支出の適正な運用

犯罪被害者及び犯罪により死亡した被害者の遺族等の経済的負担を軽減し、捜査活動への一層の理解と協力を得るため、

  • 身体犯被害者に対する初診料・検査料(保険診療に伴う自己負担分)・診断書料
  • 身体犯被害者遺族等に対する死体検案書料
  • 性犯罪被害者に対する初診料 ・検査料(性感染症検査を含む)・診断書料、自宅で被害に遭い、その影響で転居した場合の転居費用の一部補助
  • 司法解剖後の遺体搬送料
  • 自宅が犯罪現場となり、居住することが困難となった場合等の宿泊費
  • 精神的被害を受けた被害者に対し、私設臨床心理士が行うカウンセリング経費、精神科医等が行う診察費等について迅速的確な公費支出に努めます。

 (3)  交通遺児等への支援制度の情報提供

奨学金の給付など、交通遺児や犯罪被害者の遺児への支援制度について周知に努めます。

3 居住の安定(基本法第16条関係)

現状・課題

犯罪被害者等のなかには、自宅が事件現場になったことによる家屋の損壊等で暮らすことができなくなったり、精神的な苦痛を受け継続的に居住できなくなり、結果的に転居を余儀なくされる方々も少なくありません。
さらには、配偶者等からの暴力(ドメスティック・バイオレンス/DV)を受けた被害者のように、自宅以外の場所に居住場所を探さなければならない場合もあります。
このような犯罪被害者等が再び安定した住居において平穏な生活ができるよう支援を行う必要があります。

県の取組

(1) 公営住宅入居への優先的取扱い及び配慮

ア 犯罪被害者等に対して、県営住宅入居抽選において、一般の入居希望者より 当選率を高める優先的な取扱いを実施します。
イ 放火等の犯罪により、自宅が消滅して住み続けることが困難になってしまっ た犯罪被害者等に対しては、県営住宅への入居について配慮します。

(2) DV被害女性等に対する一時保護(再掲第2ー2(1))


DV被害女性等緊急に保護を要すると認められる女性を一時保護し、相談・保護・自立支援等を行います。
        

4 雇用の安定(基本法第17条関係)

現状・課題

犯罪被害者等は、身体的・精神的被害により、仕事の能率の低下や対人関係に支障が生じたり、治療のための通院、刑事手続き及び裁判出廷等のため職場を欠勤せざるを得ない場合が多々あります。
さらに、事業主、上司及び同僚等の犯罪被害者等への理解や配慮の不足から仕事を辞めざるを得ない場合も少なくありません。
そこで、犯罪被害者等が安心して仕事を続けられるよう事業主に対する理解の促進を図るとともに犯罪被害者等に対する各種就労支援を行っていく必要があります。

県の取組

(1) 事業主等への周知・啓発


事業主や従業員等に対して、犯罪被害者等の置かれている状況についての理解の促進、及び被害回復のための休暇制度等の周知・啓発に努めます。

(2) 各種就労支援

ア 概ね35歳未満の若者に対して「若者就職支援センター」(ジョブカフェぐんま)において就職支援を行います。
イ 働くことに自信が持てない概ね40歳未満の若者に対して、「若者サポートステーション」において、職業的自立に向けた支援を行います。
ウ 概ね35歳以上の中高年齢者等に対して「シニア就業支援センター」において再就職支援等を行います
エ 犯罪等の被害により障害を負ってしまった後遺障害者に対して、就労支援を行います。                     
オ 犯罪被害者等と雇用主の間で生じた労働問題について相談を受ける各種相談窓口の周知を図ります。
カ 県立高校における進路指導(進学・就職)の際、国の機関である群馬労働局・ハローワーク(公共職業安定所)等との連携を強化し、情報交換等を通じ就職支援を行います。

第2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組                 

基本的な方向性

  • 保健医療及び福祉サービスの充実等
    犯罪被害者等が再び平穏な生活を取り戻すために、適切な保健・医療・福祉等のサービスを受けることができる体制づくりを目指します。
  • 安全確保の充実等
    犯罪被害者等を再被害から守り、再被害に対する不安への解消に努めます。
  • 保護、捜査、公判における配慮の充実等
    犯罪被害者等に対して二次的被害を与えないよう配慮し、精神的負担の軽減に努めます。

  1 保健医療及び福祉サービスの提供等(基本法第14条関係)

現状・課題

一般的に、身体に被害を受けた犯罪被害者等の多くは、長期にわたる治療を余儀なくされたり、重篤な後遺症により常に看護や介護が必要になる場合があります。
また、生命を奪われた被害者の遺族はもとより、身体に被害を受けた被害者及びその家族等の方々も深刻な精神的被害を受けることもあります。
さらに、身体的な被害はなくても犯罪等により精神的な被害を受けた犯罪被害者等は多数にのぼると考えられ、重度のPTSD(外傷後ストレス障害)等、長期にわたり精神的後遺症に悩まされる方々も少なくありません。
こうした犯罪被害者等の精神的被害に関しては、犯罪被害者等に接する関係者をはじめ、周囲の人々の理解や配慮が何よりも大切です。
そこで、犯罪被害者等が受けた精神的・身体的被害を早期に回復するため、保健医療サービス及び福祉サービスが適切に提供される体制を作っていく必要があります。

県の取組

(1) 精神保健福祉相談

こころの健康センター、保健福祉事務所において被害後の精神的ケアの相談を行います。

(2)  救急医療体制の確保

ア 地域差のない迅速かつ適切な救急医療の提供に努めます。
 また、夜間体制の確保、メディカルコントロール体制の整備により、救急医療体制の充実に努めます。
 イ 各種医療機関への情報の周知により、犯罪被害者等への配慮ある対応を目指します。
 ウ 犯罪被害者と思われる負傷者を治療した際の適切な対応に努めます。

(3) 医療機関における情報管理の徹底

 ア 医療現場における犯罪被害者等の情報漏洩防止に努めます。
イ 犯罪被害者等の被害状況に応じた医療機関に関する情報の周知に努めます。

(4) 生活支援

生活に困窮している犯罪被害者等への経済的な支援や自立支援を行います。
また、生活福祉資金による支援を行います。

(5) 民生委員・児童委員等との連携

民生委員・児童委員・人権擁護委員等を通じて、地域社会と連携して犯罪被害者等への支援を行います。

(6) 児童・生徒の健全育成

加害者の子どもも含め、精神的に不安定になりがちな児童・生徒に対し、心のケアを推進します。

(7) 各種子育て支援

児童の問題を抱えた家族に対し、地域の(主任)児童委員や市町村との連携等により各種子育て支援を行います。

(8) ひとり親家庭自立支援

ひとり親家庭に対し自立のための各種支援を行います。

(9) 高次脳機能障害者支援

交通事故などにより高次脳機能障害となられた方やその家族に対する相談支援を行います。

(10) 障害者に対する経済的支援・福祉サービスの提供

ア 特別障害者手当の給付等生活安定のための支援を行います。
また、相談体制、ホームヘルプサービス、グループホーム等の在宅福祉サービスの充実に努めます。
イ スポーツ・文化活動や情報化支援、コミュニケーション支援などの充実を図り、障害者の社会参加を推進します。

(11) 障害者110番による支援

障害のある方が、犯罪被害等のトラブルを抱えた場合に、「障害者110番」において、相談支援を行います。

(12) 聴覚及び言語障害者の安全確保

ファックスやメールでも110番を受理できる体制を整備して、聴覚及び言語 に障害のある方のためのサポートを引き続き行います。

 (13) 児童虐待への対応

児童福祉施設への入所や里親への委託等により、被虐待児童への支援(保護・ケア・自立支援等)を行います。

  2 安全の確保(基本法第15条関係)

現状・課題

反復継続的に行われる児童虐待、ストーカー行為、配偶者等からの暴力(DV)をはじめとし、暴力的な犯罪等により被害を受けた犯罪被害者等は、加害者側から再び危害を加えられるのではないかと深刻な不安を抱いています。 
このような不安から、犯罪被害者等は、被害の届出・申請を躊躇したり断念するケースもあります。
そこで、犯罪被害者等を再被害から守り、再被害に対する不安を解消する取組をしていかなければなりません。

県の取組

(1) DV被害女性等に対する一時保護(再掲第1ー3(2))

DV被害女性等緊急に保護を要すると認められる女性を一時保護し、相談・保護・自立支援等を行います。

 (2) 児童相談所等一時保護施設等の運営 

児童相談所の一時保護及び母子生活支援施設の入所については、被保護者が安心して生活できるよう努めます。

(3) 児童虐待防止

ア 「群馬県要保護児童対策地域協議会」の運営により県域の関係機関等の連携を図るとともに、市町村における「要保護児童対策地域協議会」の対応を促進し、各地域における児童虐待防止に努めます。
イ 児童相談所における警察・学校等の関係機関との連携により、児童虐待の早期発見、再発防止に努めます。

(4) 児童虐待への対応

ア 児童相談所において、被虐待児童への迅速な安全対策を講じます。また、施設入所や里親委託等により被虐待児童への支援を行います。
イ 学校・保育所等において、地域医療機関・警察等の関係機関や市町村との連携の強化により、児童虐待に適切に対応します。

 (5) 被害者連絡制度による適切な情報提供(再掲第3-1(3)/第4ー1(15))

一定の事件に関する犯罪被害者等に対して、原則として、事件の捜査状況や加害者の処分状況等に関しての情報提供に努めます。

(6) 再被害防止措置の推進

同じ加害者によって再び被害を加えられる恐れのある犯罪被害者を再被害防止対象者に指定し、各種保護資機材の貸与や警戒措置を講ずるなどして、再被害防止を推進します。

(7) 暴力団等からの被害防止

暴力団等からの再被害を防止するため、警察において「保護対象者」の指定等を行い、各種保護対策を図ります。

3 保護、捜査、公判における配慮等(基本法第19条関係)

現状・課題

犯罪被害者等は、犯罪等による被害を受けた後、再被害から逃れるために保護施設に入所したり、捜査や公判過程において協力を求められたり、あるいは医療機関で治療を受けたりと様々な関係機関の担当者等と接することになります。このような過程で、関係者の理解不足から二次的被害を受けていることもあります。
そこで、関係機関の職員等に対して二次的被害を与えないよう配慮を求めるとともに、カウンセリング体制を充実して、犯罪被害者等の精神的な負担軽減に努めていく必要があります。

県の取組

(1) 女性警察官等の効果的な活用

性犯罪捜査に対応するため、女性警察官等の活用に配慮します。

(2) ビデオリンク等の保護措置の周知

犯罪被害者等を保護するため公判廷におけるビデオリンク等の保護措置について周知に努めます。

(3) 警察施設における環境改善

犯罪被害者等の事情聴取に当たっては、安心して聴取に応じられるよう、その心情に配慮し、応接セットを備えたり、照明や内装を改善した部屋を利用するなど環境の改善に努めます。

(4) 外国籍犯罪被害者等への対応

 外国籍の犯罪被害者等の被害申告時、通訳人の確保や母国と異なる日本での司法手続きについて説明する等、個々の実情に応じた適切な対応に努めます。

 (5) カウンセリング体制の充実

カウンセリング技術を有する警察職員に対し専門的研修を行うことにより、その技術・能力の向上に努め、当該職員の積極的な活用によるカウンセリングに努めます。また、精神科医やカウンセラー、被害者支援団体等との連携を図るなど、犯罪被害者のニーズに応じた適切なカウンセリングの実施に努めます。

第3 刑事手続への関与拡充への取組

基本的な方向性

○ 刑事手続における各種情報提供の充実
犯罪被害者等の裁判への参加や少年審判の傍聴等の制度に関する情報提供を通じ、犯罪被害者等が刑事手続等に参加できる機会の周知に努めます。

1 刑事手続への関与のための犯罪被害者等に対する情報提供の充実(基本法第18条関係)

現状・課題

「事件の当事者」である犯罪被害者等は、常に事件の真相を求め続けており、その捜査や公判等の刑事に関する手続、少年保護事件の調査や審判等の手続に関し重大な関心を持っています。
このため、犯罪被害者等が自らこのような手続に関わっていくことを望む場合も少なくありません。
こうした状況を踏まえ、平成20年に、刑事裁判における犯罪被害者参加制度(証人尋問、被告人質問等への参加)や、被害者等による少年審判の傍聴等の制度が導入されました。
今後とも、刑事手続及び少年保護事件の手続に関する情報提供を行う必要があります。

県の取組

(1) 「被害者の手引」の活用

事件の態様に応じ、犯罪被害者等に対して、「被害者の手引」を配布し、犯罪被害者等のニーズに応じた情報提供に努めます。

(2) 各種刑事手続における適切な説明、情報提供等

公判記録の閲覧・謄写、不起訴記録の弾力的開示等に関する現行制度の周知に努めます。

 (3) 被害者連絡制度による適切な情報提供(再掲第2-2(5)/第4ー1(15))

一定の事件に関する犯罪被害者等に対して、原則として、事件の捜査状況や加害者の処分状況等に関しての情報提供を行い、各種支援制度の案内に努めます。

 (4) 検視及び司法解剖時における適切な説明

 検視、司法解剖を行う際には、遺族等への適切な説明を行い配慮に努めます。

(5) 交通事故捜査体制の強化等

 科学的捜査のための研修の実施及び各種資機材の効果的な活用等交通事故捜査体制の強化に努めます。

第4 支援等のための体制整備への取組                      

基本的な方向性

  • 総合的支援及び情報提供の充実
    精神的にも大きなショックを受けている犯罪被害者等を支えていくため、公的な各種サービスの適切な情報提供及び支援により、途切れのない支援を目指します。
  • 現状把握及び関係者の資質の向上
    犯罪被害者等の置かれた現状把握に努めるとともに、犯罪被害者等支援に携わる職員等の資質の向上を目指します。
  • 民間被害者支援団体への援助
    犯罪被害者等の支援に関して重要な役割を担う民間被害者支援団体への支援に努めます。

1 相談及び情報の提供等の総合的支援(基本法第11条関係)

現状・課題

犯罪被害者等は、被害直後から、様々な場面に遭遇し、次々と対応していかなけれ ばなりませんが、精神的にも大きなショックを受けている犯罪被害者等にとって、こ うした対応は非常に困難であることから、対応が円滑、適切に行われるよう相談体制 を充実していくことは大変重要なことです。
 これまで、犯罪被害者等の相談については、警察の相談窓口がその機能を担ってき ましたが、相談者のニーズは多様であり、さらに時間の経過に伴い求める支援も変わ ってくることから、犯罪被害者等が直面する各般の問題について専門的に相談に応じ ることができる窓口の整備とともに、県や市町村における総合的な窓口の設置やイン ターネットを通じた情報提供等、誰もがいつでも相談し、情報を入手できる体制を構 築していくことが課題です。
また、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必 要な支援を途切れることなく受けることができるようにするためには、今後、関係機関による支援チームの編成や、支援計画の策定等について検討していくことも必要で す。

県の取組

(1) 犯罪被害者等支援総合窓口による情報提供

群馬県ホームページの「犯罪被害者等施策」について、随時情報を更新し、広く県民に情報提供を行います。

(2)  相談支援体制の充実強化

相談支援体制の充実強化を図るため、犯罪被害者等の相談・支援に携わる相談支援員の充実・育成に努めます。 

(3) 各種広報啓発資料の作成・配布

各種広報啓発資料の作成・配布に努めます。

(4) DV被害者等に対する情報提供、相談支援

DV被害者が、情報を容易に入手できるよう広報啓発に努めるとともに、女性相談センターにおいてDV被害女性等への相談支援を行います。

(5) 児童虐待への的確な対応

児童虐待に対して、必要な時に的確に対応できるよう、児童相談所における夜間休日の連絡体制や相談体制を確保します。

(6) 子育てに関する相談支援

子育てに関する相談窓口として、24時間、365日対応の電話相談により、相談体制を充実します。また、児童心理司等によるカウンセリングを行います。

(7) 少年被害者相談

犯罪等の被害を受けた少年に対して、相談窓口や各種治療のための専門家、施設について情報提供をします。

(8) 医療機関における情報提供

医療機関に訪れた犯罪被害者等が、円滑な支援が受けられるよう、パンフレット等を配備するなど、適切な情報提供に努めます。

(9) 無料交通事故相談の実施

交通事故相談所において、専門の相談員や弁護士が交通事故で悩んでいる方の相談に応じます。

(10)  公立学校における関係機関との情報の共有

公立学校では、関係機関や関係団体と連携して、情報を共有することにより、犯罪被害者等である児童・生徒の相談体制の整備に努めます。

(11) 「スクール・カウンセラー」制度の活用

県内の小・中学校、県立高校に配置されている「スクール・カウンセラー」による相談支援の中で、犯罪被害者等である児童・生徒の相談に応じます。

(12)  生徒指導・進路指導総合推進事業の活用

犯罪被害者等である児童・生徒が不登校や問題を抱えるに至った場合、関係機関において自立に必要な支援を行い、学校への復帰を図ります。

(13)  犯罪発生状況の情報提供(再掲第5ー1(12))

犯罪被害者等の個人情報に配慮した、犯罪発生状況等の情報発信活動に努めます。

(14)  各警察署による各種相談業務の活用

ア 各警察署における被害者相談窓口については、各種広報媒体等を活用して広報に努めるとともに、相談者等へ配慮した相談室等の環境整備に努めます。
イ 警察において、相談等管理システムにより適切な管理を行い、相談内容に応じて部内外の専門窓口へ支援の確実な引継ぎが行われるよう引き続き努めます。

(15)  被害者連絡制度による適切な情報提供(再掲第2-2(5)/第3-1(3))

一定の事件に関する犯罪被害者等に対して、原則として事件の捜査状況や加害者の処分状況等に関しての情報提供を行い、各種支援制度の案内に努めます。

(16)  被害者支援要員制度の適正な運用

事件発生当初における被害者やその遺族の心情を考慮した危機介入的な支援を図るため、警察署及び高速道路交通警察隊における被害者支援要員を指定し、犯罪被害者等のニーズに応じた適切な支援に努めます。

 (17) 市町村における適切な情報提供及び各警察署等との連携の促進

市町村における適切な情報提供を促進するため、市町村担当者会議・研修会の開催や、犯罪被害者等支援に関する各種情報等を提供します。また、市町村と各警察署等、地域における関係機関の連携を促進します。

(18) 群馬県犯罪被害者等支援連絡協議会における連携

群馬県犯罪被害者等支援連絡協議会における関係機関との連携を強化し、支援体制を整備します。

2 調査研究の推進並びに犯罪被害者等の支援に係る人材の養成及び資質の向上等(基本法第21条関係)

現状・課題

犯罪被害者等の相談や支援に携わる者は、様々な制度の理解をはじめ、犯罪被害者等の心身の状況に応じた専門的な知識・技術が必要になりますが、こうした人材は不足しているのが実状であり、今後、相談員や支援員等の養成が必要です。
また、犯罪被害者等が被害直後から再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援を途切れなく受けることができるようにする必要があります。
このようなことから、犯罪被害者等の被害の状況に応じた的確な支援ができるよう関係機関相互の調整をするコーディネーターの育成やその手法を研究することも今後の大きな検討課題です。
さらに、今後の支援施策推進に役立てるため、犯罪被害者等の支援に関する県民意識を把握することや、すべての犯罪被害者等の状況に配慮した的確な支援体制を構築するため、犯罪被害者等のニーズの把握に努めることも求められます。

県の取組

(1)  犯罪被害者等の支援に携わるボランティア等の養成

犯罪被害者等の支援に携わるボランティアの養成及び相談支援員の資質向上を図るための研修等を実施し、支援活動の充実強化を図ります。

(2) 児童虐待防止のための事例検証

児童相談所、保健福祉事務所、警察、市町村等の関係者により、児童虐待死亡事例等の検証を行い、児童虐待の防止に活用します。

(3) 児童虐待予防・虐待防止のための子育て支援人材育成事業(再掲第5-1(7))

児童虐待予防や防止のため、子育て支援の関係者に対して研修を行うとともに、児童虐待をテーマとした県民講座を開催し、防止のための啓発を行います。

(4) 一時保護所の職員研修

女性を一時保護する公的施設において、犯罪被害者等と接する際の適切な対応に関し研修等を行い、犯罪被害者等に配慮した対応に努めます。

(5) 教職員研修の充実

教職員が、犯罪被害者等である児童・生徒の相談等に的確に対応できるよう研修等を行い、資質の向上を図ります。

(6) 各種相談業務の向上

警察等相談窓口設置機関において、適切な相談ができるよう、引き続き職員教育を行うほか、事例の紹介等を通じて資質向上に努めます。

(7)  犯罪被害者等支援担当者の資質の向上

警察現場で犯罪被害者等に直接関わる犯罪被害者等支援担当者に対する研修を行い、資質の向上を図ります。

(8) 犯罪被害者等支援に関わる県職員の資質の向上

犯罪被害者等支援に関わる県職員に対する研修等を通じ、資質の向上を図るとともに、二次的被害の防止に努めます。

(9)  市町村職員への研修機会の提供

犯罪被害者等に対する理解を深めるため、市町村職員に対する各種研修の機会を提供するとともに、二次的被害防止への広報・啓発に努めます。
   

3 民間被害者支援団体に対する援助(基本法第22条関係)

現状・課題

民間被害者支援団体(次頁コラム5参照)は、犯罪被害者等がいつでもどこでも必要な支援が受けられるためには必要不可欠な団体です。
現在、全国には様々な団体があり、そのほとんどが犯罪被害者等の支援に対する必要性が高まる中で設立されてきたものです。
さらに、民間被害者支援団体に、自らも犯罪被害の経験がある方が参加することにより、犯罪被害者等のニーズに沿った支援が可能となっています。
民間被害者支援団体の活動は、善意の寄付やボランティアに支えられています。犯罪被害者等の支援に際し重要な役割を果たしている団体の活動について、広く県民の皆さんにご理解をいただくよう努めます。

県の取組

(1) 民間被害者支援団体等への支援の充実及び連携・協力関係の強化

ア 犯罪被害者等の相談支援に当たる民間被害者支援団体に対し、相談員の育成等支援の充実に努めるとともに、連携・協力関係の強化を図ります。
イ DV被害者支援のため、民間シェルターへの助成等を行います。

 (2) 交通遺児支援団体への補助等

交通遺児に対して奨学金を給付する公益財団法人佐藤交通遺児福祉基金に対し運営費補助や募金活動への協力など運営を支援します。

第5 県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組

基本的な方向性

○  県民への理解の増進
犯罪被害者等支援への関心が高まる一方、偏見やうわさ話等に悩む犯罪被害者等も依然多いため、犯罪被害者等に対する正しい理解の増進に努めます。

1 県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組(基本法第20条関係)

現状・課題

ここ数年、犯罪被害者等への関心が高まるにつれ、犯罪被害者等の支援に対して積極的な意思を持ち、ボランティア活動に参加したいと考えている県民の方が増えてきています。
しかし、犯罪被害者等からは、被害後に「近所の人や通行人に変な目で見られた」、「友人、会社の同僚等周囲の人との関係が変化した」等の意見も多数あり、周囲の人々の誤解、偏見による悩みや苦しみも被害の一部であると言えます。県民においても、「過度な取材等によるプライバシーの侵害」や「無責任な噂」等、周囲の無理解を人権問題として考える人が多い状況です。
犯罪被害者等への関心が高まっている現状と周囲の人々の誤解や偏見に悩まされている実態とのギャップは、犯罪被害者等が本当に必要としている支援に対する理解不足から生じるものと考えられます。
このギャップをなくし、周囲の人々の目を気にしながら生活している犯罪被害者等の負担を解消するには、日頃から、犯罪被害者等の置かれている状況や犯罪被害者等が望んでいることを知る機会を持つなど、犯罪被害者等について正しく理解することが大切です。
そこで、県民の皆さんが犯罪被害者等についての正しい理解と知識を持ち、犯罪被害者等に対する配慮が可能となるよう、学校教育や社会教育を通じて様々な広報啓発活動等を行うとともに、マスコミや企業等に対し幅広い理解を求めていくことも重要です。

県の取組

(1)  児童・生徒への道徳教育

学校での道徳教育において、「命の大切さ」についての指導を行い、児童・生徒が自他の命を大切にする心を育てるとともに、善悪の判断を身に付けさせることにより、規範意識を高めます。

(2) 学校教育における人権教育の推進

学校での人権教育において、犯罪被害者等の人権問題についての理解を深めます。

(3) 社会教育における人権教育事業の活用

社会教育における人権教育指導者養成講座や指導者の資質向上研修事業において、犯罪被害者等の人権問題を取り上げ、犯罪被害者等の人権についての理解を深めていきます。

(4) 「犯罪被害者週間」にあわせた集中的な啓発事業

犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)に集中的な広報・啓発を実施し、犯罪被害者等の置かれている状況について、県民の一層の理解に努めます。

(5) 特定期間内における集中的な広報・啓発の実施

ア 県民防犯運動(地域安全運動)期間中の啓発
イ 交通安全運動期間中の啓発
ウ 人権週間(12月4日~12月10日)期間中の啓発
エ 児童虐待防止推進月間(11月)中の啓発
オ 女性に対する暴力をなくす運動(11月12日~11月25日)期間中のDV被害者根絶のための啓発

(6) 民間被害者支援団体との共同による広報啓発活動

ア 民間被害者支援団体が行う各種広報啓発事業を支援し、共同して幅広い理解の促進に努めます。
イ 犯罪被害者等の自助グループが行う啓発活動への支援に努めます。
ウ 配偶者等からの暴力(DV)被害者支援団体が行う啓発活動への支援に努めます。

(7) 児童虐待予防・虐待防止のための子育て支援人材育成事業 (再掲第4-2(3))

児童虐待予防や防止のため、子育て支援の関係者に対して研修を行うとともに、児童虐待をテーマとした県民講座を開催し、防止のための啓発を行います。

(8) 県の広報メディアの活用

県の広報メディアを利用して、犯罪被害者等への理解を促進するための情報を積極的に提供します。

(9)  中学生・高校生を対象とした「命の大切さを学ぶ教室」の開催

中学生・高校生を対象に、命の大切さ等を直接生徒に語りかける「命の大切さを学ぶ教室」を開催し、規範意識の向上や犯罪被害者等への配慮・協力意識の涵養に努めます。

(10) 大学生を対象とした犯罪被害者支援にかかる講義と社会参加活動の促進

犯罪被害者支援にかかる社会参加活動についての大学生の理解を深めるため、大学生に対し犯罪被害者等の立場や支援のあり方等に関する講義等を積極的に行います。

(11) 犯罪被害者等に関する個人情報の保護

警察による被害者の実名発表、匿名発表については、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と、マスコミによる報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望等を踏まえ、プライバシーの保護、発表することの公益性等の事情を総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるように配慮します。

(12) 犯罪発生状況の情報提供(再掲第4ー1(13))

犯罪被害者等の個人情報に配慮した、犯罪発生状況等の情報発信活動に努めます。