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令和4年度 第1回 県立美術館・博物館運営検討部会(通算10回目)の概要
1 開催日時
令和4年7月21日(木曜日)14時00分~16時00分
2 場所
ぐんま男女共同参画センター大研修室
3 出席者
委員 5名
事務局 6名
4 議事内容
(1)魅せる群馬の文化発信プラン-第2次群馬県文化振興指針-令和3年度評価について
(委員)
コロナ禍において、来館者数が減少した状況は各館とも同じだが、各館の担当者評価に差が出ている。自己評価ではあるが、評価基準があいまいに思える。
(文化振興課)
具体的に何を実施・評価した上でこの自己評価になったのかが分かりづらい。今後評価を行う中で、判断基準をはっきりさせたい。
(委員)
映画館の来館者は7割落ちた。オンラインでは味わえない、空間としての映画館を楽しむ方もいる。来館者数が少なくても、どれだけ満足してもらえたかが大切ではないか。数値(来館者数)で評価することの難しさを感じる。
(委員)
文化の評価軸は2つあるべきである。美博物館でいえば、(1)来館者数(2)企画展内容(後世に残るものかどうか)各館の来館者数に差があるのであれば、各館に共通のストーリーを設定して、5館全て回ってもらえるようにしたらどうか。群馬ゆかりのもの(上毛三山、絹など)に関する企画展を各館で実施し、回遊することで内容を理解できるようにしたら面白い。
(委員)
近美が休館中に出来たと考えられる準備とはどのようなものか。老朽化に伴う施設整備は、今後他の施設にも起こりうることであり、詳細を聞きたい。
(文化振興課)
館での展示以外の活動(例:教育普及事業やアーティストの制作活動の動画作成等)に計画的に取り組めたのではないかと考えている。
(委員)
土屋文明記念文学館のスマホ音声ガイドアプリ導入は、来館できた方に対するサービスであるが、コロナ禍で学芸員が直接解説できなくなったことによる代替の手段なのか。それとも一つのデジタル化の取組として行ったものか。
(文化振興課)
きっかけとしては、コロナ禍による作品解説会が実施出来なくなったことである。導入により、来館者がいつでも解説を聞けるようになったため、今後も引き続き実施していきたい。
(委員)
音声ガイドの導入は大変喜ばしい。ただ一方で、作品を前にリアルタイムで学芸員の解説を聞ける機会が失われてしまうのは寂しいので、こちらも工夫しながら続けていってほしい。
(委員)
コロナ禍により、展示の他ワークショップや講演会など、様々な館の活動が縮小されたが、オンラインで開催する等、工夫して実施してきたことは評価できる。感染防止対策による人数制限により、定員が少なくなったイベントはオンラインでも実施してほしい。
ターゲット層について、こどもや年配向けの企画はあるが、10~20代を対象にしたものが少ないように感じる。その際、展示内容に着目した内容でなく、生涯学習の一つとして様々な芸術文化につながるようなワークショップ(例:アートの概念を説明するような内容等)があると参加しやすいと思う。
(文化振興課)
教育普及事業では、こども向けのイベントを開催することが大半。若年層(10~20代)に対する企画はほとんどなかったのではないかと思われる。今後よく検討していく必要がある。
(委員)
監督省庁へ毎年提出が求められる館毎の教育普及事業の報告書において、「対象」とされるのが小中学生であることも関連しているのではないか。
(委員)
映画の分野でも、若年層の観客は少ない。どのように鑑賞機会を提供していくかが課題である。夏休み期間に、高校生に見てもらいたい映画を集めて上映する企画を実施している。また、若者に映画を贈る(映画館までの交通費とチケット代の支援)企画を実施したことがある。支援する大人と参加する高校生を募集し、太田の高校生が実際に鑑賞した。この企画で、初めて映画館で鑑賞したという参加者もおり、映画館の魅力を伝えることが出来た。
(文化振興課)
県の総合計画により、20年先を見据えて政策を検討・実施する必要がある。文化行政では、今後社会の主役となるZ世代に対して、どのように働きかけていったらよいか。スマホを始め、デジタルで完結してしまう世の中になりつつあるが、リアルの重要さなどどのように伝えていったらよいか。
(委員)
美博物館でスマホのガイドが普及しづらい理由の一つに、著作権の関係で撮影出来ない作品が多くあり、展示室でのスマホ使用の線引きが難しくなることが挙げられる。ただ、実際の鑑賞より、撮影することに重点を置く方も出てきている現状を踏まえると、今後の対応が難しいところ。
(委員)
オンラインツアーにおける旅行会社とのタイアップについて教えてほしい。旅行会社側のメリットは何か。
(文化振興課)
募集段階~撮影~配信から旅行会社に頼んだが、経費的な面から継続するのは難しい。コロナ禍で本来業務の状況が厳しい中、新たな取り組みとして実施してくれた面があるが、集客面等から、今後継続するかどうかはシビアに考えているのではないか。
(委員)
若年層は夢中になれるものを探している。作る人の情熱に触れる機会があれば、その文化でなくても、その経験がきっかけになり、夢中になれるものを見つけられるかもしれない。
(委員)
文化活動に参加する際、交通アクセスが大きな課題になっている。公演会場でもアクセスの良さで来場者数の差が顕著に出る。特に高校生は自力で行くことが多いので影響を受けやすい。
Z世代に対応するために、全てをデジタルの方向性で進めた結果、リアルのよさを感じられる機会が少なくなるのは寂しい。デジタルに慣れた世代だからこそ、実際に行って見たくなる、リアルの魅力に気づいてもらえるような機会が提供できたらよい。
(委員)
単純に料金を下げても、興味を持つ理由(作品、場所等)がないと、学生は来てくれないのではないか。全体的に入館料が高くなっていることから、学生はどの展覧会に行くか吟味した上でセレクトし、来館している印象がある。失敗を避けるため、スマホで情報を集めて、お金をかけるべきものを選択する風潮にある。
(委員)
若年層における支出の優先順位が、大分変化してきたのかもしれない。その優先順位を理解した上で、アクセスの面など対応を考えていく必要がある。撮影できる美博物館が増えてきており、貴重な体験が出来て嬉しく思っている。撮影の可否は著作権等のほか、どのような観点から決まるのか。
(委員)
館の所有品だとしても、撮影等には著作権者の許可が要る。以前行った展覧会では、作家(著作権者)と相談の上、撮影出来る作品や展示室を限定したこともある。撮影した写真が館の宣伝になる部分はあるが、撮影時に他のお客さんの迷惑にならない、作品への事故防止など気をつけるべきことがある。
(委員)
美博物館では、受け身の体験が主になることが多いので、来館者側も作品に能動的に関われるような工夫があるとよい。視覚だけでなく五感に訴えるものがあると、その後の印象も残りやすいので、リピーター増につながると思う。(例:企画展に連動した食品等をミュージアムショップやカフェで販売する等)
文学館常設展のリニューアルを知らなかった。常設展は内容が変わらないため、見に行かなくなってしまう場合があるが、具体的なリニューアル内容や来館者への工夫がPRされれば、再び興味をもつ方がいると思う。各館とも、来館者が主体的に関われる機会が増えると嬉しい。
民間のイベントで、大人が学生を援助するチケット(一般料金を高めに設定し、その代わり学生の席を確保する仕組み)を導入していたところもあった。若年層が関わるきっかけとして、様々な制度を検討していく余地がある。
(委員)
今後の評価にあたり、定員に対して何人の実績だったか、数値として分かるとよい。
(文化振興課)
企画展で評価すべき2つの軸(来館者数、企画の経緯や内容)が明確になるようにしたい。満足度の評価の取り方など、評価の収集方法も見直していきたい。
(委員)
歴博の所蔵品(綿貫観音山古墳の多数の出土品)が国宝に指定されたことが、アイヌ展など優れた企画展の誘致につながったのではないか。誇れる所蔵品を持つことは強みになる。今後も期待したい。
(委員)
世の中で流行っているものの影響でヒットする場合もある(例:漫画のヒットによるアイヌ文化への注目度向上など)
(委員)
5館に共通のストーリーで企画展を実施する提案はとても面白いと思う。担当課評価の項目のうち、「担当課来年度事業評価」に差があるが、この意図は何か。
(文化振興課)
各館とも、評価初年度(2018年度)からの比較で選択したため、評価結果に差が出たように思われる。歴博は拠点計画を踏まえた結果でもある。
(全体意見)
結果としては昨年度から大きな違いはなかったかもしれないが、コロナ禍の先が見えない中で、手探りで日々対応してきた職員の頑張りは評価したい。コロナ禍2年目を経験して見えてきた課題があると思うので、今後も工夫して館の運営に取り組んでほしいエールを込めたB評価とする。
5 会議資料
・資料1 魅せる群馬の文化発信プラン-第2次群馬県文化振興指針-評価シート一覧(令和3年度分)
・資料2 魅せる群馬の文化発信プラン-第2次群馬県文化振興指針-評価シート個票
(未確定の内容が含まれるため非公開とする)