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平成26年度 第9回群馬県がん対策推進協議会議事録
日時:平成26年8月27日(水曜日)19時00分~20時30分
場所:群馬県庁舎7階 審議会室(群馬県前橋市大手町1-1-1)
参加者:群馬県がん対策推進協議会委員、県健康福祉部長、県保健予防課長ほか関係課長等 26名
《配付資料》
- 資料1:群馬県がん対策推進協議会規則
- 資料2:群馬県がん対策推進条例の改正について
- 資料3-1:群馬県がん対策推進計画の進捗管理方針について
- 資料3-2:分野別・実施主体別年次計画
- 資料3-3:がん対策推進計画・年次別計画の「重点的に進捗管理を行う項目」について
- 資料3-4:群馬県がん対策推進計画に関する進捗管理シート
- 資料4-1:がんに関する総合的な機関のイメージ
- 資料4-2:群馬県における「がんに関する総合的な機関の設置検討」について
- 資料5:がん登録推進法施行にむけた今後の予定
- 資料6:保健医療計画検討部会の設置について
- 資料7:保健医療計画(がん医療連携体制の整備に係る部分)について
- 資料8:がん診療連携拠点病院の指定更新に係る方針について
会議内容
1 開会
開会
2 あいさつ
群馬県健康福祉部長 片野 清明
群馬県がん対策推進協議会 会長代行 野島 美久
3 議事
(1)会長、副会長の選出について
会長及び副会長については、第8回協議会において選出する予定であったが、鶴谷前会長が逝去され、その暫定的な対応として、野島委員が会長代行を務めていた。
群馬県がん対策推進協議会規則第3条1項により、会長及び副会長は委員の互選により定めることとされており、協議の結果、会長に月岡委員、副会長に野島委員が選任された。
(2)報告事項
ア 「群馬県がん対策推進条例」の改正について
事務局説明
群馬県がん対策推進条例は、平成22年12月24日に制定されて以来、現在、4年目を迎えている。同条例附則第2項には「この条例の施行後3年を経過するごとに、必要な見直しを行う。」と定められており、3年目を迎えた昨年度に見直しを行い、平成26年4月1日付けで改正を行った。主な内容としては、次の6点である。
- 県ががん対策を推進するための連携先に「事業者」を加え、職域における受診率向上対策等のがん対策を進めやすくしたこと。
- 従来規定されていた「県民の責務」を「県民の役割」と軟らかい表現に修正したこと。
- 国のがん診療連携拠点病院制度に変更があったことに対応し、第7条に「地域がん診療病院」等の記述を追加したこと。
- 第7条に、小児がん対策に力を入れるため、それに関する記載を加えたこと。
- 緩和ケアが、がんと診断された時点から重要な医療であることを第9条に明記したこと。
- 第16条に規定する県民運動について、「がんに強い地域社会を構築するため」と加え、県民運動の目標を明記したこと。
委員意見
がんの早期発見は非常に大切だが、県として、受診率を向上させる施策は考えているか。
事務局説明
これまでも様々な対策を講じてきた。がん検診を受診しようという意識が社会の中に広まることが大切だが、意識の醸成には時間がかかると考えている。例えば、「がんに強い群馬づくり推進サポーター」を養成しているが、養成された「がんに強い群馬づくり推進サポーター」が地域や職域において、がん検診を受けようと誘い合って、受診率が向上に結びつくまでには時間がかかる。
委員意見
「がんに強い群馬づくり推進サポーター」の養成研修を受講された方から電話があった。2人の方にがん検診の受診を勧めたところ、両者ともがん検診を受診してくれたとのこと。「がんに強い群馬づくり推進サポーター」の養成はとても効果があると思う。
委員意見
「がん検診受診率向上モデル事業」を実施している。9月に事例発表会を開催し、効果のあった取組を県内の市町村に広めていく。この事業を活用し、高崎市では、自治会を通じてがん検診を普及したが、こうしたことが広がっていけば、受診率も上がっていくのではないかと思う。
委員意見
がん検診受診率向上対策は、どの年齢層をターゲットに考えているのか。後期高齢者のがんが増えているが、がんが発見されても、治療しないという方針の方が3分の2くらいいる。そう考えると、後期高齢者にもがん検診を推進する意義があるのだろうかと感じる。50歳代、60歳代は受診率向上対策を推進して欲しいが、年齢によってがんが持つ意味が違うので、全ての対象者について早期発見すべきという考えは疑問を感じる。
委員意見
どういう人たちががん検診を受けていないのか。ターゲットとなる層を絞れるとより効果的な対策がとれるのではないか。
事務局説明
県としては、40歳(子宮頸がん検診は20歳)から69歳の受診率を50%以上にする目標を立てている。働いていて、家族が困るという世代に受診率向上対策を強化している。
また、どういう人が受診していないかだが、大きな分け方として地域と職域とがある。県民全体の受診率と比較し、市町村がん検診の受診率は低いことが判明していることから、職域の方が受診率が高いと考えている。
委員意見
後期高齢者の人でも元気な方もいる。病気になってもがん治療を望む人もいる。
また、女性だと男性医師からがん検診を受けることに抵抗がある人が多い。女性の医師が担当するがん検診の日程が分かるシステムがあるといい。検診方法では、血液検査によるがん検診の開発が新聞に掲載されていたが、検査が苦痛という理由で受診を敬遠する人もいる。血液検査で分かる様な検査方法が開発されることを希望する。
事務局説明
がん検診に対する考え方は、その人の生き方に関わることなので、行政としては、それぞれの生き方を尊重して対応したい。
また、県庁職員にアンケートとったところ、女性の医師によるがん検診が分かると後押しになる、がん検査が苦痛なので拒否したい、という意見が多くあった。血液検査によるがん検診の開発という報道もあったが、実現まではまだ時間がかかるようである。新しい検査方法の導入により、苦痛感が軽減される様に努めていきたい。
イ 群馬県がん対策推進計画の進捗管理について
事務局説明
現在の群馬県がん対策推進計画の期間は、平成25年度から29年度までの5か年となっており、当協議会で進捗状況について評価を行うこととなっている。
がん対策推進計画では取り組むべき施策を定めているが、そのうち一部の項目を重点項目とし、「具体的に進捗管理をする項目(指標)」を設定している。「具体的に進捗管理をする項目(指標)」の一部は、県の保健予防課では把握ができないため、がん診療連携拠点病院等に協力をお願いすることとしている。
委員意見
重粒子線治療についても重点項目とされている。
委員意見
重粒子線治療は、本年度で5年目になるが、累計で1,300人、昨年度は500人弱を治療した。前立腺がんの患者が多いが、それ以外のがん種の患者も増えてきた。目標である治療患者数年間600人を超える見込みである。
委員意見
重粒子線の治療では、膵臓がんの治療も増えているのか。
委員意見
膵臓がんは治療法が限られているので、重粒子線治療の利用者が増えている。
委員意見
緩和ケアの現状はどうか。
委員意見
「治療の時からの緩和ケア」から「診断の時からの緩和ケア」という位置づけに変わり、積極的な治療を望まないがん患者も増えているという印象を持つ。そういった人を支える緩和ケア、緩和ケア病棟を含む地域全体で支える包括的な緩和ケアをしていかなければいけないと思う。がん診療連携拠点病院だけでなく、地域に密着した中小病院や診療所が、がん患者さんを診ることが重要であり、地域資源を生かした幅広い体制が拡散していくことが大事であると感じている。
委員意見
「地域包括ケア」は今後のキーワードだと思う。限られた医療資源を有効に活用するという観点から、医療だけでなく福祉を含めた包括的なケアが共通認識になっている。
ウ 「がん対策情報収集・分析検討部会」の設置について
事務局説明
「がん対策情報収集・分析検討部会」は、本県におけるがんに関する情報を収集、管理、評価する体制を検討することを目的として、第8回協議会で了承された。第1回目の部会の検討内容を報告する。
資料は、がんに関する総合的な機関のイメージを示している。考えられる最大の機能を記載しているものであり、本県に見合った内容について検討していく。平成26年度、27年度に、年2回度部会を開催するとともに、先進地視察を行う予定である。今年度は、7月30日に千葉県地域統括支援センターを視察したが、県民のがんに関する相談をワンストップで受けているほか、がんに関する様々な情報をホームページや冊子を作り提供している。
「がん対策情報収集・分析検討部会」では、県に対して、平成28年度に検討結果を提言し、県では、提言に基づき事業を具体化していく。
委員意見
がんに関する総合的な機関は、群馬大学の中に置く予定なのか。
事務局説明
平成23年度に検討した際は、群馬大学医学部附属病院に設置することが望ましいという意見があったが、ゼロベースから検討していきたい。
委員意見
当時、群馬大学にそのような要望もあがったが、場所や人の問題もありストップした。
事務局説明
群馬県がん対策推進計画の策定において、がん対策に関する情報を集約する機関があった方がいいのではないかという意見があった。この部会の中であり方を整理していくこととしており、機能はその中で考えていく。
委員意見
がん対策推進計画の策定の際に、県にデータが少なかったと感じた。先ほど、どういう人たちががん検診を受診していないかという質問があったが、分析が不十分であると感じた。データをしっかりとって分析し、施策に反映させることが必要ということでがん対策推進計画に盛り込まれたものである。
統括相談支援センターは、平成23年度に厚生労働省からの財政的支援があるということで、群馬大学医学部附属病院に設置することで予算要求をしたが、認められなかったことで白紙になったと聞いている。
委員意見
検討している機関には、がん登録の機能も盛り込まれているが。
委員意見
がん登録の精度が向上し、全国でも屈指となったが、データの精度向上だけでなく、集まった情報を効果的に使うために、こうした総合的な機関で研究をしていけばいいと思う。これまでの研究者による研究だけでなく、長期的な視点から精度の高い情報をがん対策に活用して欲しい。
エ 全国がん登録について
事務局説明
平成25年12月6日に「がん登録の推進に関する法律」が公布され、現在は、平成28年1月の施行に向けて準備が進められている。
がん登録は、広範な情報収集によりがんに関する情報を的確に把握し、民間も含めたがんに関する調査研究に活用するとともに、その成果を国民に還元しようとするものである。
現在、厚生労働省において政省令の策定が進めらており、年内または年初には明らかになる見込みである。県では、政省令が明らかになった時点で、関係医療機関等へ周知するとともに、研修会を通じて、円滑なスタートができるように配慮したい。
委員意見
平成28年1月から全国がん登録が開始される見込みだが、がんの生存率ができるようになるまでには相当の時間がかかる。法律には、地域がん登録という用語はないが、これまでに蓄積された地域がん登録のデータを併せてもっていいということなので、引き続き地域がん登録にしっかり取り組んで欲しい。
委員意見
本県の地域がん登録は、全国的にみてどうか。
委員意見
本県の地域がん登録は、全国的にみて非常に精度が高い。
(3)協議事項
ア 「保健医療計画検討部会」の設置について
事務局説明
第6次保健医療計画が本年度に終了することから、現在、策定を進めているところである。保健医療計画は多岐にわたっていることから、がん対策に関する部分は、本協議会を策定組織に位置づけ、実際の作業は、本協議会に「保健医療計画検討部会」を設置し、検討作業を行っている。
協議事項である「保健医療計画検討部会」の委員は7名とし、第6次計画の委員に準ずる形で委員を選任するが、特に在宅医療の推進が重要になっていることから、「在宅福祉かんわケア大地」の津久井氏を加えて検討を進めていきたい。策定期間が短いことことから、本日の協議会に諮る前の5月と8月に準備委員会を設置し、検討を進めている。
委員意見
第6次医療計画の策定の際も部会を設置したのか。
事務局説明
第6次計画の策定の際も部会を設置し、基本的に同じ職にある方に委員の就任を依頼した。
(議案は満場一致で承認された。)
イ 第7次保健医療計画(がん診療連携の整備に関すること)について
事務局説明
5月と8月に「保健医療計画検討部会」の準備員会を開催し、第7次保健医療計画の策定を進めているが、群馬県がん対策推進計画に基づいた内容とすることを策定方針としている。
第7次保健医療計画は、他の疾病と同様に、現状と課題、求められる医療機能、医療機関等の具体的な名称、対策、指標及び数値目標で構成されている。
内容は、がんの予防、がんの早期発見、がん医療、相談支援と情報提供、がん登録などである。がん対策推進計画にはない新しい項目として、在宅に関する同業種の連携及び病院と歯科医師との連携などを追加した。
現在、素案をまとめているところであるが、今後、表現の微修正はあるが、このような内容で計画を策定していきたい。
委員意見
在宅医療や介護サービスの体制の構築がクローズアップされており、大変いいことだと思う。末期のがん患者を受け入れることができる介護サービス事業所は、少しずつ増えてはいるが、まだまだ受け入れができないが現状である。現場では、何とか支えたいという認識はあっても医療との連携が図れなかったり、現場で働く介護職員の知識不足など、色々な壁があるのが現状である。是非とも、研修や医療と介護の連携に力を入れて欲しい。
委員意見
がん診療連携拠点病院でがん治療をするにあたり、施設から入院してくるがん患者もいる。拠点病院から施設に退院できる場合もあるが、地域の病院に転院してから施設へ戻る場合もある。地域での医療と介護の連携体制が重要になる。
委員意見
がんピアサポーターの有志で、地域がんサロンを前橋市内、高崎市内に開設し、太田市内でも開設予定であるが、予算が不足し、大変苦しい運営となっている。千葉県でも、相談支援のために相当の予算を割いていると聞いており、群馬県でも支援をお願いしたい。
事務局説明
第7次保健医療計画のたたき台を提案しているが、計画に盛り込むか否かは別として、具体的な施策の提案として今後検討していきたい。
委員意見
在宅ケアの問題が提起されているが、医療と介護の壁を取り除く鍵は、看護師にあると考えている。
委員意見
医療と介護の連携については、介護と看護の職員が同行して患者を訪問するなど、これまでも実施したところであるが、もう少し枠を広げ、同じ目線で取り組んでいきたい。
がん性疼痛看護認定看護師やがん看護専門看護師などの養成のほか、研修に行かせる病院の体制づくりも重要である。
なお、患者さんに接する機会が多いのは、看護師や介護職員であり、その質を担保するのは非常に重要である。そこに相当の財政的な支援することが、患者が地域で安心して暮らしていくためには必要なことだと思う。
また、住民の相談という観点では、ワンストップの窓口として保健センターや統括支援センターがある。これらのセンターが関係機関と連携することで、相談機能が充実すると思う。保健センターや地域包括支援センターの機能を充実させるかが鍵となる。
委員意見
高齢化が進んでいる町村では、保健師や看護師等の人材確保が難しいと感じている。我が町では医療、介護、看護、社会福祉協議会、特別養護老人ホーム、グループホームの関係者でスタッフミーティングで情報共有、情報交換を行っているが、人材の確保は大変困難である。
また、町ではがん検診の受診率向上に向けて色々な広報をしているが、高齢者の中には広報の文面を理解できない人もいる。高齢化の進んだ地域での効果的な周知方法があればいい。
委員意見
人材の確保は、都市部でも難しい問題となっている。
(議案は満場一致で承認された。)
ウ がん診療連携拠点病院の指定更新に係る方針について
事務局説明
がん診療連携拠点病院の質の向上を図るため、拠点病院の指定要件が厳格化された。それと同時に、拠点病院以外のカテゴリーとなる「地域がん診療病院」及び「特定領域がん診療連携拠点病院」が新設された。
県内には吾妻医療圏以外の医療圏に10カ所の拠点病院があり、引き続き、その体制維持を図るため10拠点病院の指定更新がなされるよう尽力していきたい。
なお、県内唯一拠点病院のない吾妻医療圏では、現在、原町赤十字病院を「群馬県がん診療連携推進病院」に指定して、医療圏のがん診療の要と位置づけているが、原町赤十字がすぐに「地域がん診療病院」の指定を受けられる状態ではないので、今後の課題として検討していくこととなる。
また、もう一つの新しいカテゴリーになる「特定領域がん診療連携拠点病院」は、県内で該当する医療機関はないため、現時点での推薦予定はない。
委員意見
「特定領域がん診療連携拠点病院」はどういう病院か。
事務局説明
特定のがん種に関して多くの診療実績を有し、拠点的役割を果たす病院である。
(議案は満場一致で承認された。)
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