本文
四万川ダムの役割
あらまし
四万川は、群馬県・新潟両県の県境に位置する稲包山に源を発し、日向見川・新湯川・上沢渡川を合わせて、吾妻川に合流する延長約19.7キロメートル、流域面積163.3平方キロメートルの一級河川です。
上流部に四万温泉の旅館街が密集し、下流部には中之条町市街地を抱えた重要河川であり、過去に幾度となく洪水による災害に見舞われ、多くの死者を出すなどの被害を被っていました。このため、抜本的な治水対策が急務とされていましたが、上流部の四万温泉街の大規模な河川改修は困難であり、ダムによる洪水調節を実施するため、四万川ダムが建設されました。
四万川ダムの4つの役割
役割1 洪水調節(四万川沿川の洪水被害の軽減)
昭和56年8月23日の台風15号による出水状況
発生年月日 |
原因 |
被害状況(中之条町) |
---|---|---|
昭和56年8月 |
台風15号 |
被害額:14億5千万円(町全体) |
昭和57年8月 |
台風10号 |
被害額:7億3千万円(町全体) |
昭和63年8月 |
豪雨 |
一般被害額:300万円 |
平成元年7月 |
豪雨 |
一般被害額:1,300万円 |
四万川沿川の水害は台風や豪雨により、ひんぱんに大きな出水を繰り返していました。
このような水害を防ぐために四万川ダムではダム地点で計画高水流量、毎秒350立方メートルのうち、毎秒290立方メートルの洪水調節を行います。
なお、洪水調節は、洪水調節ゲートをもたない自然調節方式を採用しています。
四万川ダムの計画は、100年に一度起こり得る規模の洪水を対象としています。
※備考:平成11年8月の豪雨におけるダムの洪水調節効果はこちらをクリックしてください。
役割2 水道用水の供給
水需要の増加に伴い、群馬県の大間々町・笠懸町・藪塚本町・新田町の4町当時において、昭和62年6月から8月、平成2年7月から9月、平成6年8月、平成8年8月から9月に取水制限または減圧給水が実施される等の渇水被害が発生しています。
供給地 | 供給量 |
---|---|
中之条町へ | 3,000立方メートル/日 (毎秒0.035立方メートル) |
群馬東部水道企業団(太田市)へ | 28,500立方メートル/日 (毎秒0.330立方メートル) |
群馬東部水道企業団(旧大間々町、笠懸町、藪塚本町、新田町)へ | 14,200立方メートル/日 (毎秒0.165立方メートル) |
※備考:四万川ダム上水道給水区域図(ダム位置図)はこちらをクリックして下さい。
発生期間 | 被害市町村(当時) | 取水制限の状況 |
---|---|---|
昭和62年6月16日から8月25日 | 大間々町、笠懸町 | 減圧給水(最大)71日 最大制限率30パーセント 影響人口 42,700人 |
平成2年7月23日から9月5日 | 大間々町、笠懸町、藪塚本町、新田町 | 減圧給水(最大)45日 最大制限率20パーセント 影響人口 不明 |
平成6年8月16日から8月30日 | 大間々町、笠懸町、藪塚本町、新田町 | 減圧給水(最大)14日 最大制限率20パーセント 取水制限(最大) 5日 最大制限率30パーセント 影響人口 50,000人 |
平成8年8月9日から9月25日 | 大間々町、笠懸町、藪塚本町、新田町 | 減圧給水(最大)18日 最大制限率40パーセント 影響人口 29,000人 |
役割3 既得用水の安定化、河川環境の保全
四万甌穴(おうけつ)群
ダム下流の四万川既得用水への安定した供給を行うとともに、河川環境保全のための流量を確保しています。
役割4 発電
水車・発電機
ダム下に設置された日向見発電所で、最大毎秒2.0立方メートルの使用量により、最大出力1,000キロワットの発電を行います。