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フナ類
キンブナ
ギンブナ
子供の頃、小川などでフナを捕まえた記憶がある人も多いと思いますが、本県にはキンブナ、ギンブナ、ゲンゴロウブナという3種類のフナが生息しています。外見はコイと良く似ていますが、口もとにヒゲがないため、区別は簡単にできます。それぞれの分布、生息場所、特徴などについて種類ごとに紹介します。
キンブナは、日本では東日本を中心に、関東地方および山形県以北に生息しており、キンタロウ、アカゴロウ、マルブナとも呼ばれています。フナの仲間では最も小さく、大きさは8~15cmほどで、背中の高さが一番低く円筒形をしています。体の色は赤褐色から黄褐色ですが、ウロコが明るく縁どられ金色に光っています。あまり群れをつくらず、泥底の沼、流れの緩い小さな川の底近くにおり、小型の底生動物などを食べています。県内での生息地は城沼が有名ですが、山地の湖でも見られます。
ギンブナは、日本各地に生息しており、「マブナ」の愛称で呼ばれています。大きさは10~30cm位になり、体は緑褐色で腹側が銀色に光っています。泥底の川や湖に広く分布し、県内での分布域も広く、底生藻類などを食べています。このギンブナという魚は雄が少なく、関東地方に生息するギンブナは全て雌だけです。ではどうやって子孫を残すのかと言いますと、他の魚の精子を利用して受精を行ないます。しかし、雄からの遺伝的性質は受け継がないため、雌親とそっくりなギンブナになってしまい、子供は雌だけしかできません。SF映画にでてくるクローン人間のようなことが、自然界のギンブナで実際に起こっているわけです。
ゲンゴロウブナは、琵琶湖原産の日本固有種で、フナの中では最も大きく、25~50cm位になります。体の色は灰色に近い褐色で、腹側は銀色に光り、背中が高いのが特徴です。現在では、養殖や釣り対象魚として品種改良し、ヘラブナ、カワチブナと呼ばれ放流しているため、日本各地に住んでいます。おもに湖沼で群れをつくって遊泳し、他の魚があまり利用しない植物プランクトンを主食としています。釣りは「フナに始まりフナに終わる」と言われていますが、ヘラブナ釣りは繊細な釣りで人気があり、湖沼での釣り風景を見る機会も多いです。