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オイカワ

更新日:2011年3月23日 印刷ページ表示

オイカワの画像

 オイカワはコイ科オイカワ属に属し、体の背側は青みをおびた淡褐色、体側と腹面は銀白色で、うろこは水晶のような光沢を示します。ちょうどイワシを小さくしたような体型と体色です。
 信濃川、利根川以西の本州、四国吉野川水系及び九州が天然分布域と考えられていますが、現在では琵琶湖産稚アユの放流に伴って、東北地方の一部と四国一円に拡大しています。分布域が広いことから地方名が多く、ヤマベ、ジョロウブナ(関東)、ハエ、シラハエ(雌)、アカハエ(雄、関西、山口、高知)、アカッパラ、ガラッパヤ(群馬)などと呼ばれています。標準和名のオイカワは、琵琶湖付近で生殖期の雄を指す呼び名です。
 繁殖力はきわめて旺盛で、環境適応能力も高く、移殖された地でも、またたく間にその水域の代表的な魚となってしまう例が多い事が知られています。

 産卵期は5月下旬から8月下旬までで、水深5~10cmの流れのゆるい平瀬の砂礫底で産卵します。産卵は昼間行われますが、卵はいわば生みっぱなしで親に保護されないため、他の小魚にとって恰好の餌となってしまいます。生殖期になると、雄の顔や頭部にぼつぼつとした白色の追星(人間でいう”にきび”のようなもの)を生じ、とくに頭部のものは大型となります。雄の婚姻色はきわめて明瞭で、あごから体の腹側にかけて暗紅色となり、体の側面は光沢をもった暗青色となります。さらに、雄の尻びれが雌に比べ著しく大きくなるのが特徴です。

 成長は1年で全長10cm、2年で12cm、3年で13cmほどですが、雄は最大18cm前後にもなります。2年で成熟するのがふつうですが、雄の一部は3年、雌は1年で成熟するものもあります。

 食性は付着藻類をはじめ、陸生昆虫、水生昆虫と幅広いです。日中は餌を求めて行動範囲はかなり広く、河川のオイカワは、30分で20m2(ヘイホウメートル)ぐらいを泳ぎまわります。敏しょうで警戒心は強いが、釣るのは比較的簡単で、針に掛かった時の引きが良いので、釣りの対象魚として人気が高く、関東でヤマベ釣り、関西でハエ釣りと呼ばれ、釣り上げた数を競う競技会が開催されています。

 県内でも、川の改修工事に伴って稚魚に適した浅瀬が増えたことや、水質等の河川環境がオイカワに適するようになり、生息範囲を拡大しています。利根川水系の中・下流は以前から多数生息していましたが、近年では上流域でもよく姿を見るようになってきました。