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平成28年度公営企業会計決算審査意見書

更新日:2017年11月2日 印刷ページ表示

群監第131-1号
平成29年8月18日

群馬県知事 大澤 正明 様

群馬県監査委員 丸山 幸男
群馬県監査委員 林 章
群馬県監査委員 橋爪 洋介
群馬県監査委員 星名 建市

平成28年度群馬県公営企業会計決算審査意見について

地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第30条第2項の規定に基づき審査に付された平成28年度群馬県公営企業会計の決算について審査した結果は、別紙のとおりです。
(以下、別紙)

第1 審査の概要

1 審査の対象

  • 平成28年度群馬県電気事業決算(企業局所管)
  • 平成28年度群馬県工業用水道事業決算(企業局所管)
  • 平成28年度群馬県水道事業決算(企業局所管)
  • 平成28年度群馬県団地造成事業決算(企業局所管)
  • 平成28年度群馬県駐車場事業決算(企業局所管)
  • 平成28年度群馬県施設管理事業決算(企業局所管)
  • 平成28年度群馬県病院事業決算(病院局所管)

2 審査の手続

 平成28年度の公営企業会計決算の審査は、決算書類が事業の経営成績及び財政状態を適正に表示しているかを検証するため、財務諸表と関係帳票、証拠書類などを照合するとともに、地方公営企業法その他の関係法規に準拠して作成されているかを審査した。
 また、事業が常に経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されているかどうか、経営の分析を行うとともに、関係職員から説明を求め、定期監査及び例月現金出納検査等の結果も考慮して慎重に実施した。

第2 審査の結果

 決算諸表は経営成績及び財政状態を適正に表示しており、その計数は正確である。
 事業の運営に当たっては、経営の基本原則に従って、経済性の発揮と、その本来の目的である公共の福祉の増進に意を用い、おおむね適正に運営されたものと認められた。

参考:定期監査等における指摘事項等の状況
監査結果 内容
指摘事項
(適正を欠くと認められ、改善を要するもの)
該当なし
注意事項
(軽易な誤りがあり、改善を要するもの)
資金前渡金について、前渡金の精算、前渡金の支出に係る支出票の起票及び資金前渡された前渡金での経費支払をそれぞれ失念したもの(病院局)

1 事業運営

(1)企業局事業

ア 総括意見

 企業局所管の6事業全般にわたる経営状況をみると、経常収益は23,871百万円で前年度に比べ3,891百万円、19.5%増加し、経常費用は18,491百万円で前年度に比べ2,580百万円、16.2%増加した。経常収益と経常費用との差引は、5,380百万円の経常利益となり、前年度に比べ1,311百万円、32.2%増加した。
 当年度は、電気事業において販売電力料が139百万円減少した一方で、団地造成事業において土地造成事業の分譲収益が5,167百万円増加したことなどにより経常収益が増加した。また、団地造成事業において土地造成事業の造成原価が4,273百万円増加したことなどにより経常費用も増加した。この結果、経常収益の増加が経常費用の増加を上回ったため、全体としては増収増益となったものである。
 また、この経常利益に特別損益を加えた純損益は、3,445百万円の純利益となり、前年度に比べ944百万円、21.5%減少した。これは、工業用水道事業において、東毛工業用水道の第二浄水場の計画廃止に伴う会計処理により損失を計上したことなどで、特別損失が2,571百万円増加したことによるものである。
 今後の事業の運営に当たっては、「群馬県企業局経営基本計画」(平成28~31年度)(以下「基本計画」という。)に基づき、各事業を将来にわたって安定的に継続していくため効率的な経営に努めるとともに、人口減少社会における「群馬の未来創生」に積極的に貢献していくことが望まれる。なお、事業別の審査意見は次のとおりである。

イ 事業別意見
(ア)電気事業

 事業収支の状況をみると、総収益は6,715百万円で前年度に比べ121百万円、1.8%減少し、総費用は5,452百万円で前年度に比べ37百万円、0.7%増加した。これは主に、平成27年度冬季において山間部の積雪量が少なかったことや平成28年5月から7月までが少雨であったことの影響などにより水力発電所の供給電力量が減少し販売電力料が減少したこと及び委託料が増加したことなどによるものである。この結果、純利益は1,262百万円で前年度に比べ158百万円、11.1%減少し、減収減益の決算となった。
 当年度は、事業収支と同様の理由により水力発電所の供給電力量が目標を下回ったため、供給目標達成率は87.5%と前年度に比べ3.4ポイント低下したものの、一定の純利益及び内部留保資金は確保されている。
 また、平成25年度から再生可能エネルギー固定価格買取制度の適用を受け、さらに、平成28年5月から田沢発電所が稼働したことにより、安定した電力料金収入の確保が図られている。
 基本計画では、平成31年度の年間供給電力量853百万キロワットアワー及び現在建設中である八ッ場発電所の完成を目標としている。しかし、平成25年4月に閣議決定された「電力システムに関する改革方針」に基づき、平成28年4月に卸規制の撤廃や小売事業の全面自由化が実施され、平成32年には送配電事業の法的分離が行われる予定であることなど、近年、電気事業制度の枠組が大きく変化している。
 このような状況の中、今後も、電力の安定供給、効率的な事業運営、新規開発への取り組み及び地域との関係強化を行いつつ、基本計画の目標達成に向け、着実な事業推進に努めていく必要がある。

(イ)工業用水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は2,592百万円で前年度に比べ449百万円、20.9%増加し、総費用は4,271百万円で前年度に比べ2,399百万円、128.1%増加した。これは主に、東毛工業用水道第二浄水場の計画廃止に伴い、長期前受金を特別利益へ計上した一方で、関連資産を精算し水道事業に譲渡したことなどにより特別損失を計上したことによるものである。この結果、純損失が1,678百万円となり、前年度の純利益から純損失に転じた。
 経常損益では、資産減耗費の減などにより営業費用が147百万円減少するなどしたため、経常利益は前年度に比べ144百万円、78.6%増加して327百万円となった。
 当年度の企業債及び他会計借入金の償還額は1,136百万円、年度末の残高は8,786百万円で、前年度末に比べ10.0%減少したが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 平成28年度の1日当たり契約水量は、渋川工業用水道は前年度と同量となり、東毛工業用水道は前年度に比べ0.4%減少したが、年間契約水量では基本計画の計画量を確保する結果となった。
 今後も引き続き老朽化した施設の計画的な改修、耐震化の推進及び放射性物質を含む浄水発生土への対応などを通じて工業用水の安定供給を図るとともに、基本計画期間における年間契約水量の確保を達成できるよう、受水企業の契約水量の維持や新規の受水契約獲得などの営業活動を強化して、収入の確保に努める必要がある。

(ウ)水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は6,969百万円で前年度に比べ210百万円、2.9%減少し、総費用は4,690百万円で前年度に比べ483百万円、9.3%減少した。これは主に、福島第一原子力発電所事故に伴う東京電力ホールディングス(株)からの損害賠償金の減により特別利益が減少し、減価償却費などの減により営業費用が減少したことによるものである。この結果、純利益は2,279百万円で前年度に比べ273百万円、13.6%増加し、減収増益の決算となった。
 経常損益では、総費用と同様の理由などにより営業費用が454百万円減少するなどしたため、経常利益は前年度に比べ406百万円、22.4%増加して2,215百万円となった。
 県央第一水道、新田山田水道、東部地域水道、県央第二水道の4施設の年間給水計画量に対する給水実績量は99.5%で、安定した水道用水供給が行われていると認められる。
 当年度の企業債及び他会計借入金の償還額は1,799百万円、年度末の残高は18,879百万円で、前年度末に比べ8.6%減少したが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 平成29年4月1日から新田山田水道、東部地域水道、県央第二水道の料金引下げを行い、県民サービスの向上に努めているところであるが、引き続き老朽化した施設の計画的な改修、耐震化の推進及び放射性物質を含む浄水発生土への対応などを通じて安全で安心な水道用水の安定供給を図るとともに、基本計画期間における年間給水量の確保などにより経営の健全性維持に努められたい。

(エ)団地造成事業

a 全体

 事業収支の状況をみると、総収益は7,243百万円で前年度に比べ4,094百万円、130.0%増加し、総費用は5,936百万円で前年度に比べ3,273百万円、122.9%増加した。これは主に、土地造成事業において、分譲収益及び造成原価がそれぞれ増加したことによるものである。この結果、全体の純利益は1,308百万円で前年度に比べ821百万円、168.9%増加し、増収増益の決算となった。
 経常損益では、全体は純利益と同額の経常利益となり、前年度に比べ846百万円、183.0%増加した。なお、土地造成事業においては、1,339百万円の経常利益を計上したが、ニュータウン事業においては、土地売却収益が減少したことにより、31百万円の経常損失と前年度の経常利益から経常損失に転じた。
 基本計画では、平成28年度から平成31年度までの間に、産業団地の分譲面積を60ヘクタール、住宅団地の分譲区画数を70区画とする目標を定めている。これに対し、平成28年度には産業団地約37.4ヘクタール、住宅団地3区画の進捗であったことから、基本計画の目標達成に向けて、特に住宅団地の分譲については、より一層努力することが必要である。
 また、当年度の企業債の償還額は473百万円で、年度末の残高は1,740百万円となっており、事業全体では2年連続で経常利益を計上しているものの、当面償還が続く状態となっている。
 今後の事業の運営に当たっては、事業別に記された留意点を踏まえ、取り組むことを望むものである。

b 土地造成事業

 団地造成事業の中核を占める土地造成事業においては、工業団地など産業系団地の分譲が増加したことにより、分譲収益は6,930百万円と前年度に比べ5,166百万円、293.0%増加した。
 帳簿価額を時価評価に引き下げた平成26年度以降、販売価格が造成原価を下回る状況はほぼなくなっており、経常損益では、前年度に引き続き、経常利益を計上した。
 産業団地分譲において、当年度は約36.2ヘクタールを分譲し、前年度に比べ分譲面積は大幅に増加した。新規産業団地の整備を進めるなか、企業誘致や市町村からのオーダーメイドに対応した産業団地の整備など、様々な取組みを行っているところである。今後の産業団地の造成に当たっては、ニーズに対応した造成及び早期分譲に努める必要がある。
 住宅団地分譲においては、前年度に引き続き、当年度も分譲は0区画であった。当年度、住宅団地の分譲価格の見直しを行い、平成29年4月には分譲価格を引き下げたところである。今後はPR方法の見直し及び営業活動の強化など、分譲区画の増加に向け、より一層努力する必要がある。

c ニュータウン事業

 ニュータウン事業においては、住宅用地及び産業用地の分譲件数の減少に伴い土地売却収益は260百万円と前年度に比べ1,054百万円、80.2%減少し、前年度の経常利益から経常損失に転じた。
 県内の新設住宅着工戸数が前年度に比べ2.0%増加する状況のなか、一般宅地分譲(一般分譲)において、当年度は3区画と前年度に比べ3区画減少しており、住宅地区で60区画(分譲面積15,598.79平方メートル)の土地在庫を抱えている状況にある。産業用地分譲においては、当年度は約1.2ヘクタールを分譲し、前年度に比べ分譲面積は減少している。
 平成28年3月に新住宅市街地開発事業を廃止し、住宅用地の一部を産業用地に変更するなど事業計画を大幅に見直している中、産業用地の再整備や既存の住宅用地及び産業用地の分譲について、様々な取組を進めているところであるが、当年度は、分譲実績の増加とならなかった。
 なお、土地造成事業と同様、ニュータウン事業においても、当年度、一般宅地分譲(一般分譲)の住宅用地の分譲価格の見直しを行い、平成29年4月には分譲価格を引き下げたところである。今後、一般宅地分譲(一般分譲)及び産業用地分譲とも、分譲区画及び分譲面積の増加並びに早期分譲に向け、PR方法及び営業活動の展開についても検討する必要がある。

(オ)駐車場事業

 駐車場事業については、高崎市との基本協定により、収入が維持管理費を上回った場合は当該差額を市に負担金として支出し、収入が維持管理費に不足する場合は当該不足額を市から収入することとされており、収支は均衡する仕組みとなっている。
 事業収支の状況をみると、総収益は155百万円で前年度に比べ25百万円、19.3%増加している。高崎市との基本協定に基づき、総収支は均衡となっているが、基本協定に基づく市への負担金を除いた支出は117百万円であり、実質的な損益は、前年度に引き続き38百万円の利益となっている。また、定期駐車が増加したことなどにより、前年度に比べ駐車台数は13.6%、駐車利用料金は27.8%それぞれ増加した。
 駐車台数及び駐車利用料金は前年度実績を上回ったものの、増加の要因は、近隣の施設が一時的に職員駐車場として定期契約したことによるものであり、普通駐車料金及び回数券による売り上げは減少している。
 今後は、ウエストパーク1000がある高崎駅周辺は、大型商業施設や公共施設の開設に伴い駐車場の需要は見込めるので、駐車場特約店舗の開拓促進など、利用者の増加に向けた対策を講じて実質的な損益のより一層の改善を図るとともに、施設の移譲、移管を含め、事業のあり方について検討する必要がある。

(カ)施設管理事業

a 全体

 事業収支の状況をみると、総収益は876百万円で前年度に比べ29百万円、3.3%減少し、総費用は601百万円で前年度に比べ99百万円、14.2%減少した。これは主に、賃貸ビル事業において、賃貸収益が減少したこと、ゴルフ場事業において、固定資産除却費などのゴルフ場管理費が減少したことによるものである。この結果、全体の経常利益及び純利益は計275百万円で、費用の減少額が収益の減少額を上回ったことにより、前年度に比べ70百万円、33.9%増加し、減収増益の決算となった。
 なお、当年度の電気事業会計から借り入れた借入金の償還額は169百万円、年度末の残高は1,640百万円で、前年度末に比べ9.3%減となったが、今後も長期間にわたって償還するため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 今後の事業の運営に当たっては、事業別に記された留意点を踏まえ、取り組むことを望むものである。

b 格納庫事業

 格納庫事業においては、固定資産除却費が増加したことから格納庫管理費が5百万円増加したことにより、21百万円の純利益を計上したものの、前年度に比べ2百万円減少した。なお、純利益の額は電気事業会計から借り入れた借入金の償還額7百万円を上回っている。
 なお、当年度をもって、当該借入金の償還が終了したが、今後も、短期貸付など、施設の空きスペースの有効活用により一層努めるとともに、引き続き効率的に事業運営を行う必要がある。

c 賃貸ビル事業

 賃貸ビル事業においては、平成27年12月に大口の入居団体が退居した影響などから賃貸収益が減少したことにより、10百万円の純利益を計上したものの、前年度に比べ16百万円、62.6%減少した。
 施設利用率は78.0%と、賃貸面積の減少により前年度に比べ11.3ポイント低くなった。
 なお、平成28年4月に入居者資格要件について見直しているが、当年度の新規入居団体はなく、加えて、平成29年3月末をもって一部の入居団体が退居していることから、新規入居者の確保並びにホール及び会議室の利用者の増加に向けた営業活動について、その効果を検証のうえ、営業方法の見直しなど抜本的な対策を講じる必要がある。

d ゴルフ場事業

 ゴルフ場事業においては、前年度に計上があった玉村ゴルフ場の旧クラブハウスの撤去費用が減少したことなどにより、244百万円の純利益を計上し、前年度に比べ88百万円、56.4%増加した。これは、電気事業会計から借り入れた借入金の償還額162百万円を上回っている。
 年間利用者数は255,795人と、前年度に比べ1.7%増加した。また、18ホール当たり利用人員は県内ゴルフ場の平均を上回っている。今後も利用者サービスのより一層の向上を図ることが必要である。

(2)病院局事業

 事業収支の状況をみると、総収益は27,684百万円で、入院、外来患者数は共に減少したものの、患者1人1日あたりの診療報酬単価が増加したことにより医業収益が665百万円増加するなどしたため、前年度に比べ800百万円、3.0%増加した。総費用は27,965百万円で、退職者の増加により給与費が増加したこと、手術件数の増加や高額薬剤の使用などにより材料費が増加したことなどにより医業費用が919百万円増加し、前年度に比べ915百万円、3.4%増加した。この結果、純損失は281百万円で、前年度に比べ赤字額が115百万円増加した。
 病院別にみると、精神医療センターは132百万円の純利益となり、黒字決算となった。心臓血管センターは83百万円、がんセンターは27百万円、小児医療センターは303百万円の純損失となり、赤字決算となった。
 県立病院は、それぞれの専門分野において高度専門医療を担い、施設整備や高額医療器械導入などの設備投資が行われており、その財源として発行した企業債の残高は21,852百万円となっている。今後、多額の償還資金が必要となることに加え、診療報酬は近年抑制傾向であり、改定による大きな収入増は見込めないことや、人口減少による影響などにより、病院経営は依然として厳しい状況が続くことが予想される。
 このような経営環境の中、医療技術の向上を図り、県民に安全で安心な高度・専門医療サービスの提供を続けていくためには、人材の確保と定着及び職員の資質向上に向けた取り組みを強化することに加え、地域医療連携などによる病床利用率の向上など、経営の健全化に向け、より一層経営改善に努める必要がある。今後の事業運営に対しては、次の事項を望むものである。
(注)上記において表示した各病院の金額・比率は、病院局総務課分として計上された収益及び費用を各病院に振り分けて算出したものである。(総務課は管理部門であり、医業を実施していないため)

参考:第三次改革プランにおける経常損益などの推移(単位:百万円)
区分 平成27年度 平成28年度 平成29年度
経常損益 -228百万円 -387百万円

数値なし

純損益 -166百万円 -281百万円

数値なし

1日平均入院患者数(人) 計画値 708人 720人 735人
実績値 668人 643人

数値なし

1日平均外来患者数(人) 計画値 1,042人 1,048人 1,059人
実績値 1,067人 1,045人

数値なし

ア 経営の健全化を図るための取組みについて

 県立病院の経営の健全化については、平成27年3月に「第三次群馬県県立病院改革プラン」(平成27~29年度)(以下「第三次改革プラン」という。)を策定し、「第二次群馬県県立病院改革プラン」(平成24~26年度)で定めた役割を継承しつつ、高度先進医療や今まで培った専門性の充実・強化、職員の経営意識の向上などに重点的に取り組み、一般会計繰入金を抑制しながら平成29年度末までに病院事業全体の収支を均衡させることを目標としている。
 第三次改革プランに定めた平成28年度の経常収支、医業収支などの目標数値と、決算数値とを比較すると、医業収益は増加したものの、給与費、材料費などが増加したことにより、医業費用の増加が医業収益の増加を上回り、決算数値は目標数値に到達することはできず、病院事業会計全体の単年度損益額は、281百万円の純損失となった。この純損失額は、第三次改革プランで設定していた純損失額90百万円を191百万円超過している。
 これまでも各病院においては、積極的に経営改善に取り組んできたところであるが、第三次改革プランの最終年度である平成29年度の目標数値達成に向け、更なる病院運営の効率化と経営改善に努める必要がある。

イ 高度先進医療従事者の確保と資質の向上について

 県立病院には、地域における高度先進医療を担う役割がある。医療従事者の確保と資質の向上は、第三次改革プランにおいて重点的に取り組む項目の一つとしている。
 新しい医療施設や高度医療器械が十分にその機能を発揮し、県民に高度な先進医療を安定的に提供することができるよう、また、必要な医療サービスの提供を維持できるよう、引き続き、医師、看護職員をはじめとする専門性の高い医療従事者の確保及び定着に努めるとともに、研修などによる在職医療従事者の育成及び資質の向上に努める必要がある。

ウ 安全・安心な医療の提供について

 近年の医療事故に係る報道により、県内の医療機関における医療の透明性、医療に関わる場所での安全性について、県民の意識が高まっている。
 県立病院において、平成27年度に発生した医療事故及びヒヤリ・ハット事例の報告件数は、医療事故が34件で前年度と比べ2件増加し、ヒヤリ・ハット事例が4,718件で前年度と比べ508件増加した(平成28年度公表)。また、第三次改革プランにおいて取り組む重点項目の一つに、安全・安心な医療の提供を挙げている。
 地域の拠点病院として、県民が安心して安全な医療を受けられるように、職員の意識を向上させるとともに、今後も、徹底した医療安全対策に取り組む必要がある。

平成28年度群馬県公営企業会計決算審査意見書(PDF形式)

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