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平成29年度公営企業会計決算審査意見書

更新日:2018年10月29日 印刷ページ表示

群監第131-1号
平成30年8月24日

群馬県知事 大澤 正明 様

群馬県監査委員 丸山 幸男
群馬県監査委員 林 章
群馬県監査委員 萩原 渉
群馬県監査委員 水野 俊雄

平成29年度群馬県公営企業会計決算審査意見について

 地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第30条第2項の規定に基づき審査に付された平成29年度群馬県公営企業会計の決算について審査した結果は、別紙のとおりです。
(以下、別紙)

第1 審査の概要

1 審査の対象

  • 平成29年度群馬県電気事業決算(企業局所管)
  • 平成29年度群馬県工業用水道事業決算(企業局所管)
  • 平成29年度群馬県水道事業決算(企業局所管)
  • 平成29年度群馬県団地造成事業決算(企業局所管)
  • 平成29年度群馬県駐車場事業決算(企業局所管)
  • 平成29年度群馬県施設管理事業決算(企業局所管)
  • 平成29年度群馬県病院事業決算(病院局所管)

2 審査の手続

 平成29年度の公営企業会計決算の審査は、決算書類が事業の経営成績及び財政状態を適正に表示しているかを検証するため、財務諸表と関係帳票、証拠書類などを照合するとともに、地方公営企業法その他の関係法規に準拠して作成されているかを審査した。
 また、事業が常に経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されているかどうか、経営の分析を行うとともに、関係職員から説明を求め、定期監査及び例月現金出納検査等の結果も考慮して慎重に実施した。

第2 審査の結果

 決算諸表は経営成績及び財政状態を適正に表示しており、その計数は正確である。
 事業の運営に当たっては、経営の基本原則に従って、経済性の発揮と、その本来の目的である公共の福祉の増進に意を用い、おおむね適正に運営されたものと認められた。

参考:定期監査等における指摘事項等の状況
監査結果 内容
指摘事項
(適正を欠くと認められ、改善を要するもの)
該当なし
注意事項
(軽易な誤りがあり、改善を要するもの)
洗濯業務の委託契約において、契約単価と異なる単価を基に算出した請求金額を支払ったもの(病院局)
定期検便検査業務の委託契約において、一部の検査項目の単価設定に瑕疵があったもの(病院局)

1 事業運営

(1)企業局事業

ア 総括意見

 企業局所管の6事業全般にわたる経営状況をみると、経常収益は21,812百万円で前年度に比べ2,059百万円、8.6%減少し、経常費用は16,707百万円で前年度に比べ1,784百万円、9.7%減少した。経常収益と経常費用との差引は、5,106百万円の経常利益となったが、前年度に比べ274百万円、5.1%減少した。
 当年度は、電気事業において販売電力料が757百万円増加した一方で、団地造成事業において土地造成事業の分譲収益が2,702百万円減少したことなどにより経常収益が減少した。また、団地造成事業において土地造成事業の造成原価が2,294百万円減少したことなどにより経常費用も減少した。この結果、経常収益の減少が経常費用の減少を上回ったため、全体としては減収減益となったものである。
 また、この経常利益に特別損益を加えた純損益は、5,224百万円の純利益となり、前年度に比べ1,779百万円、51.6%増加した。これは、工業用水道事業において、前年度計上した、東毛工業用水道の第二浄水場の計画廃止に伴う会計処理による損失が皆減したことなどにより、特別損失が2,373百万円減少したことによるものである。
 平成28年3月に策定した「群馬県企業局経営基本計画」(平成28~31年度)(以下「基本計画」という。)は全体的には、目標達成に向けておおむね順調に進捗しているところであるが、引き続き、各事業を将来にわたって安定的に継続していくため、効率的な経営に努めるとともに、人口減少社会における「群馬の未来創生」に積極的に貢献していくことが望まれる。なお、事業別の審査意見は次のとおりである。

イ 事業別意見
(ア)電気事業

 事業収支の状況をみると、総収益は7,468百万円で前年度に比べ753百万円、11.2%増加し、総費用は5,814百万円で前年度に比べ361百万円、6.6%増加した。これは主に、平成28年度冬季において山間部の積雪量が多かったことや雨量が平年比で104%となったことの影響などにより水力発電所の供給電力量が増加したことに加え、売電契約の更改により販売電力料の平均単価が上昇したことで販売電力料が増加したことなどによるものである。この結果、純利益は1,654百万円で前年度に比べ392百万円、31.0%増加し、増収増益の決算となり、一定の純利益及び内部留保資金は確保されている。
 当年度の年間供給電力量は801,490千キロワットアワーで、前年度に比べ9.4%増加し、当年度の目標である799,128千キロワットアワーに対する供給率は100.3%となった。また、八ッ場発電所の建設はおおむね計画どおり進められており、基本計画の目標達成に向けて、おおむね順調に進捗している。
 平成25年度から再生可能エネルギー固定価格買取制度の適用を受け、さらに、平成29年度からの売電契約の更改により販売電力料の平均単価が上昇したことなどにより、安定した電力料金収入の確保が図られている。
 しかし、平成25年4月に閣議決定された「電力システムに関する改革方針」に基づき、平成28年4月に卸規制の撤廃や小売事業の全面自由化が実施され、さらに平成32年には送配電事業の法的分離が行われる予定であることなど、近年、電気事業制度の枠組が大きく変化している。
 このような状況のなか、今後も、電力の安定供給、効率的な事業運営、新規開発への取り組み及び地域との関係強化を行いつつ、基本計画の目標達成に向けて、着実な事業推進に努めていく必要がある。

(イ)工業用水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は1,967百万円で前年度に比べ625百万円、24.1%減少し、総費用は1,563百万円で前年度に比べ2,707百万円、63.4%減少した。これは主に、東毛工業用水道第二浄水場の計画廃止に伴い前年度に計上した、長期前受金の特別利益への計上と、関連資産を精算し水道事業に譲渡したことなどによる特別損失の計上がなくなったことによるものである。この結果、純利益が404百万円となり、前年度の純損失から純利益に転じた。
 経常損益では、減価償却費の減などにより営業費用が74百万円減少するなどしたため、経常利益は前年度に比べ68百万円、20.7%増加して395百万円となった。
 当年度の企業債及び他会計借入金の償還額は1,690百万円、年度末の残高は8,322百万円で、前年度末に比べ5.3%減少したが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 平成29年度の年間契約水量は、前年度に比べ、渋川工業用水道は0.1%、東毛工業用水道は0.3%それぞれ増加し、基本計画の目標達成に向けて、おおむね順調に進捗している。
 今後も引き続き老朽化した施設の計画的な改修、耐震化の推進及び放射性物質を含む浄水発生土への対応等を通じて工業用水の安定供給を図るとともに、基本計画期間における年間契約水量の確保を達成できるよう、受水企業の契約水量の維持や新規の受水契約獲得などの営業活動を強化して、収入の確保に努める必要がある。

(ウ)水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は6,930百万円で前年度に比べ39百万円、0.6%減少し、総費用は4,925百万円で前年度に比べ235百万円、5.0%増加した。
 この結果、純利益は2,005百万円で前年度に比べ274百万円、12.0%減少し、減収減益の決算となった。
 経常損益では、新田山田水道、東部地域水道及び県央第二水道の水道用水料金引下げなどにより、営業収益が180百万円減少するなどしたため、経常利益は前年度に比べ212百万円、9.6%減少して2,003百万円となった。
 県央第一水道、新田山田水道、東部地域水道、県央第二水道の4施設の年間給水計画量に対する給水実績量は100.0%で、安定した水道用水供給が行われていると認められる。
 当年度の企業債及び他会計借入金の償還額は2,244百万円、年度末の残高は16,716百万円で、前年度末に比べ11.5%減少したが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 県民サービスの向上のため、平成29年4月1日から新田山田水道、東部地域水道、県央第二水道の料金引下げを行ったところであるが、営業利益は確保した。今後も引き続き、老朽化した施設の計画的な改修、耐震化の推進及び放射性物質を含む浄水発生土への対応などを通じて安全で安心な水道用水の安定供給を図られたい。
 また、給水量は基本計画の計画量を確保する結果となり、基本計画の目標達成に向けて、おおむね順調に進捗しているところであるが、引き続き、基本計画期間における年間給水量の確保などにより経営の健全性維持に努められたい。

(エ)団地造成事業

a 全体

 事業収支の状況をみると、総収益は4,820百万円で前年度に比べ2,423百万円、33.5%減少し、総費用は3,825百万円で前年度に比べ2,111百万円、35.6%減少した。これは主に、土地造成事業において、分譲収益及び造成原価がそれぞれ減少したことによるものである。この結果、全体の純利益は995百万円で前年度に比べ312百万円、23.9%減少し、減収減益の決算となった。
 経常損益では、全体は947百万円の経常利益となったものの、前年度に比べ361百万円、27.6%減少した。なお、土地造成事業においては、955百万円の経常利益を計上したが、ニュータウン事業においては、8百万円の経常損失を計上し、2年連続の経常損失となった。
 基本計画では、平成28年度から平成31年度までの間に、新規産業団地造成面積を80.7ヘクタール、産業団地の分譲面積を60ヘクタール、住宅団地の分譲区画数を70区画とする目標を定めている。これに対し、新規産業団地の造成はおおむね計画どおり進められている。また、平成29年度末までに産業団地の分譲面積は約64.4ヘクタールとなり、基本計画の目標に到達した。その一方で、住宅団地の分譲区画数は17区画にとどまっていることから、基本計画の目標達成に向けて、より一層努力することが必要である。
 また、当年度の企業債の償還額は437百万円で、年度末の残高は1,303百万円となっており、事業全体では3年連続で経常利益を計上しているものの、当面償還が続く状態となっている。
 今後の事業の運営に当たっては、事業別に記された留意点を踏まえ、取り組むことを望むものである。

b 土地造成事業

 団地造成事業の中核を占める土地造成事業においては、工業団地など産業系団地の分譲が減少したことにより、分譲収益は前年度に比べ2,702百万円、39.0%減少したものの、4,228百万円を計上した。
 帳簿価額を時価評価に引き下げた平成26年度以降、販売価格が造成原価を下回る状況はほぼなくなっており、経常損益では、前年度に引き続き、経常利益を計上した。
 産業団地分譲においては、当年度は約25.0ヘクタールを分譲し、前年度に比べ約11.2ヘクタール減少した。新規産業団地の整備を進めるなか、企業誘致や市町村からのオーダーメイドに対応した産業団地の整備など、様々な取組を行っているところである。今後の産業団地の造成に当たっては、ニーズに対応した造成及び早期分譲に努める必要がある。
 住宅団地分譲においては、平成29年4月に分譲価格を引き下げたこともあり、当年度は6区画を分譲することができた。引き続き、分譲区画の増加に向け、より一層努力する必要がある。

c ニュータウン事業

 ニュータウン事業においては、住宅用地及び産業用地の分譲件数の増加に伴い土地売却収益は480百万円と前年度に比べ220百万円、84.8%増加し、経常損失は8百万円と、前年度の31百万円から改善した。
 一般宅地分譲においては、土地造成事業の住宅団地分譲と同様に、平成29年4月に分譲価格を引き下げたこともあり、当年度は8区画を分譲し、前年度に比べ5区画増加した。しかしながら、分譲中の93区画に加え、多くの未造成地を抱えている状況にあり、引き続き早期分譲に向け、更なる工夫を求めるものである。
 産業用地分譲においては、当年度は約2.0ヘクタールを分譲し、前年度に比べ約0.8ヘクタール増加した。引き続き、住環境に十分に配慮しつつ、企業誘致に資するよう、産業用地の造成及び早期分譲に努める必要がある。

(オ)駐車場事業

 駐車場事業については、高崎市との基本協定により、収入が維持管理費を上回った場合は当該差額を市に負担金として支出し、収入が維持管理費に不足する場合は当該不足額を市から収入することとされており、収支は均衡する仕組みとなっている。
 事業収支の状況をみると、総収益は149百万円で前年度に比べ6百万円、4.1%減少している。高崎市との基本協定に基づき、総収支は均衡となっているが、基本協定に基づく市への負担金を除いた支出は103百万円であり、実質的な損益は46百万円の利益となり、前年度に引き続き黒字となっている。また、大型商業施設や公共施設の建設に伴い、前年度に比べ駐車台数は5.7%、駐車利用料金は7.0%それぞれ増加した。
 なお、ウエストパーク1000は、建設に要した借入金の償還が平成30年度末で完了することから、平成31年4月1日に施設を高崎市へ譲渡することが決定されている。
 今後は、適正かつ円滑に引継ぎが行われるよう手続きを進められたい。

(カ)施設管理事業

a 全体

 事業収支の状況をみると、総収益は838百万円で前年度に比べ38百万円、4.4%減少し、総費用は671百万円で前年度に比べ70百万円、11.7%増加した。これは主に、賃貸ビル事業において、賃貸収益が減少したこと、ゴルフ場事業において、使用収益が減少したことやゴルフ場管理費が増加したことによるものである。この結果、全体の経常利益及び純利益は167百万円で、前年度に比べ108百万円、39.4%減少し、減収減益の決算となった。
 なお、当年度の他会計借入金の償還額は163百万円、年度末の残高は1,521百万円で、前年度末に比べ7.3%減少したが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 今後の事業の運営に当たっては、事業別に記された留意点を踏まえ、取り組むことを望むものである。

b 格納庫事業

 格納庫事業においては、前年度に計上した固定資産除却費の皆減などにより格納庫管理費が5百万円減少するなどしたことから、23百万円の純利益を計上し、前年度に比べ2百万円増加した。
 当年度の格納庫利用率は前年度と同率であり、基本計画の目標を確保している。
 今後も、短期貸付など、施設の空きスペースの有効活用により一層努めるとともに、引き続き効率的に事業運営を行う必要がある。

c 賃貸ビル事業

 賃貸ビル事業においては、平成29年3月末をもって大口入居者が退去した影響などから賃貸収益が13百万円減少したことや、修繕費や固定資産除却費などの公社ビル管理費が17百万円増加したことなどにより、21百万円の純損失を計上し、前年度の純利益から純損失に転じた。
 平成28年4月に入居者資格要件の見直しを行い、当年度は4団体の新規入居者を確保したものの、大口入居者が退去した影響で、年平均の賃貸面積は前年度に比べ10.5%減少しており、当年度の入居率は、基本計画の目標を下回っている。
 新規入居者の確保並びにホール及び会議室の利用者の増加に向け、営業活動の更なる充実を図る必要がある。

d ゴルフ場事業

 ゴルフ場事業においては、165百万円の純利益を計上したものの、前年度に比べ80百万円、32.6%減少した。これは、天候の影響を受けて指定管理者納付金の減額調整を行ったことにより使用収益が21百万円減少したことや、クラブハウスの増改築工事に伴う職員増による人件費などの増加により、ゴルフ場管理費が59百万円増加したことなどによるものであり、純利益は他会計借入金の償還額163百万円をわずかに上回っている。
 当年度の年間利用者数は263,191人と、前年度に比べ7,396人、2.9%増加しており、基本計画の目標を上回っている。また、18ホール当たり利用人員は県内ゴルフ場の平均を上回っている。
 県民に身近で気軽にスポーツに親しむ場を提供するパブリックコースとして、今後も利用者サービスのより一層の向上を図ることが必要である。

(2)病院局事業

 事業収支の状況をみると、総収益は27,496百万円で、患者1人1日当たりの診療収入の増加により外来収益が増加したものの、入院患者数の減少により入院収益が減少するなどしたため、前年度に比べ188百万円、0.7%減少した。総費用は27,958百万円で、高額薬剤の使用による材料費のほか、経費などが増加したものの、給与費、支払利息が減少したことなどにより、前年度に比べ7百万円、0.03%減少した。この結果、純損失は462百万円で、前年度に比べ赤字額が181百万円増加した。
 病院別にみると、精神医療センターは209百万円の純利益となり、黒字決算となった。心臓血管センターは418百万円、がんセンターは33百万円、小児医療センターは219百万円の純損失となり、赤字決算となった。
 県立病院は、それぞれの専門分野において高度専門医療を担い、施設整備や高額医療器械導入などの設備投資が行われており、その財源として発行した企業債の残高は20,471百万円となっている。今後、多額の償還資金が必要となることに加え、診療報酬は近年抑制傾向であり、改定による大きな収入増は見込めないことや、人口減少、消費税率の引き上げによる影響などにより、病院経営は依然として厳しい状況が続くことが予想される。
 このような経営環境の中、医療技術の向上を図り、県民に安全で安心な高度・専門医療サービスの提供を続けていくためには、人材の確保と定着及び職員の資質向上に向けた取り組みを強化することに加え、地域医療連携などによる病床利用率の向上など、経営の健全化に向け、より一層経営改善に努める必要がある。今後の事業運営に対しては、次の事項を望むものである。
 (注)上記において表示した各病院の金額・比率は、病院局総務課分として計上された収益及び費用を各病院に振り分けて算出したものである。(総務課は管理部門であり、医業を実施していないため)

参考:第三次改革プランにおける経常損益などの推移(単位:百万円)
区分 平成27年度 平成28年度 平成29年度
経常損益 -228百万円 -387百万円 -608百万円
純損益 -166百万円 -281百万円 -462百万円
1日平均入院患者数(人) 計画値 708人 720人 735人
実績値 668人 643人 613人
1日平均外来患者数(人) 計画値 1,042人 1,048人 1,059人
実績値 1,067人 1,045人 1,003人
ア 経営の健全化を図るための取組みについて

 県立病院の経営の健全化については、平成27年3月に「第三次群馬県県立病院改革プラン」(平成27~29年度)(以下「第三次改革プラン」という。)を策定し、「第二次群馬県県立病院改革プラン」(平成24~26年度)で定めた役割を継承しつつ、高度先進医療や今まで培った専門性の充実・強化、職員の経営意識の向上などに重点的に取り組み、一般会計繰入金を抑制しながら平成29年度末までに病院事業全体の収支を均衡させることを目標としていた。
 第三次改革プランに定めた平成29年度の経常収支、医業収支などの目標数値と、決算数値とを比較すると、入院患者数の減少、材料費の増加などの影響により、決算数値は目標数値に到達することはできず、計画期間内に収支を均衡させることはできなかった。
 平成30年3月には「第四次群馬県県立病院改革プラン」(平成30~32年度)(以下「第四次改革プラン」という。)が策定された。第四次改革プランでは、第三次改革プランで定めた役割を継承しつつ、患者増へつながる魅力ある高度・先進医療への挑戦や一歩踏み出した収支改善の取組を推進し、一般会計繰入金を抑制しながら、計画期間内において経常収支を黒字化させることを目標としている。
 第三次改革プランの実施状況の評価、検証を踏まえ、第四次改革プランに定めた目標の達成に向けて、更なる病院運営の効率化と経営改善に努める必要がある。

イ 高度先進医療従事者の確保と資質の向上について

 県立病院には、地域における高度先進医療を担う役割がある。医療従事者の確保と資質の向上は、第四次改革プランにおいて重点的に取り組む項目の一つとしている。
 新しい医療施設や高度医療器械が十分にその機能を発揮し、県民に高度な先進医療を安定的に提供することができるよう、また、必要な医療サービスの提供を維持できるよう、引き続き、医師、看護職員をはじめとする専門性の高い医療従事者の確保及び定着に努めるとともに、研修などによる在職医療従事者の育成及び資質の向上に努める必要がある。

ウ 安全・安心な医療の提供について

 近年の医療事故に係る報道により、県内の医療機関における医療の透明性、医療に関わる場所での安全性について、県民の意識が高まっている。
 また、第四次改革プランにおいて取り組む重点項目の一つに、安全・安心な医療の提供を挙げている。
 県立病院において、平成28年度に発生した医療事故及びヒヤリ・ハット事例の報告件数は、医療事故が36件で前年度と比べ2件増加し、ヒヤリ・ハット事例が4,785件で前年度と比べ67件増加した(平成29年度公表)。
 地域の拠点病院として、県民が安心して安全な医療を受けられるように、職員の意識を向上させるとともに、今後も、徹底した医療安全対策に取り組む必要がある。

平成29年度群馬県公営企業会計決算審査意見書(全文)(PDF形式)

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