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国語科学習指導案(大造じいさんとガン)

更新日:2012年3月8日 印刷ページ表示

平成23年11月2日(水曜日)第5校時
嬬恋村立鎌原小学校 第5学年
(5年教室) 指導者 神戸恵美子

目指す言語能力

登場人物の相互関係や心情、場面についての描写をとらえ、優れた叙述について自分の考えをまとめること。(C 読むこと)

1 単元名

 「リーフレットで推薦しよう(大造じいさんとガン)」
 ~描写をとらえ、登場人物の関係をまとめる~

2 単元の考察

(1)児童の実態(男子5名 女子4名 計9名)

〔国語への関心・意欲・態度〕
 本学級の児童は、課題に対してしっかり考えて取り組もうとする児童が多い。しかし、課題によっては個別指導を要する児童もおり、課題の進み具合にばらつきが出ることもある。9名と少人数のクラスのため、いつも発言する児童が決まっていたり、活発に意見を言い合う場面が少なかったりする。
 物語を読むことに関しては、「物語を読むのは好きですか。」という質問に「はい」と答えた児童が7名、「いいえ」と答えた児童が2名いた。「はい」と答えた児童は、「楽しい、おもしろい。」「自分のためになる。」「感動できる場面がある。」という理由を挙げている。一方「いいえ」と答えた児童は、「理由はない。」「読むのが大変。」と答えている。物語を読むことに関しては意欲的な児童が多いと言えるが、好きでない児童もいることから、興味をもたせる工夫が必要になると考えられる。
〔読むこと〕
 「物語を読む時に登場人物の気持ちを想像しながら読みますか。」という質問には、「はい」と答えた児童が6名、「いいえ」と答えた児童が3名いた。多くの児童が気持ちを想像しながら読んでいると言える。
 また、「何をもとに想像しますか。」という質問を選択式で行った。(複数解答可。)結果は、「登場人物の行動」が5名、「登場人物の会話」が2名、「周りの様子(情景描写)」が3名いた。「その他」はいなかった。この結果から、児童がさまざまなことを手がかりに気持ちを想像しようとしていることが伺える。会話、情景描写と解答した児童がやや少なかったので、会話や情景描写に着目して心情を読み取る学習をしていきたい。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
 言葉についての意識を調査するために、「物語を読んでいて、きれいだな、おもしろいなと思う言葉や表現が見つかりますか。」という質問をした。「はい」と答えた児童が7名、「いいえ」と答えた児童が2名いた。物語を読むときに、言葉を意識して読んでいる児童が多いと言える。
 また、語感を調査するために「『どん』と『ドン』ではどちらの方が強くぶつかった感じがしますか。」という質問をした。全員が「ドン」を選んだ。理由は「カタカナの方が力強い感じがする。」「ひらがなだとやさしそう。」「迫力がある感じ。」「なんとなく。」というものだった。語感については、少しずつ育ってきているようであるが、5年生という発達段階も踏まえて、より多くの文章を読み、優れた表現に触れさせる必要がある。

(2)教材観

 本単元では、「C 読むこと」の言語活動例「エ 本を読んで推薦の文章を書くこと。」を通して、指導事項「エ 登場人物の相互関係や心情、場面についての描写をとらえ、優れた叙述について自分の考えをまとめること。」を指導する。
 「大造じいさんとガン」はガンの頭領「残雪」と狩人「大造じいさん」との間に繰り広げられる生存のための激しい闘争を通じて、感動すべきものに素直に心を動かしている大造じいさんの人間味あふれる姿が描かれている。残雪のもつ知恵や勇気、統率力のすばらしさに感動をもって対している大造じいさんの人間らしさ、正義感、愛情を感じさせたい。本作品は、場面の転換や物語の山場の部分などに、大造じいさんと残雪の行動を写す細かい描写や大造じいさんの心情を表す表現などが多く見られる。また、大造じいさんの心情を象徴した情景描写なども使われている。叙述に即して、登場人物の相互関係や心情を読み取るのに適した教材といえる。
 今回は読み取った内容を基にリーフレットを作成する言語活動を取り入れる。このリーフレットは「大造じいさんとガン」を読んだことのない4年生に「大造じいさんとガン」を推薦するものにする。リーフレットとは、ある物を宣伝するためのチラシである。宣伝するためには、その物の簡単な説明や見る人の興味を引くような内容を載せなければならない。物語のリーフレットを作るとなれば、話の内容をとらえることはもちろんリーフレットを見た人に伝わるような物語のおもしろさや主題をとらえなくてはならない。よって、教材文を学習する必然性が生まれ、児童の学習への意欲を高めることにつながると思われる。また、リーフレットには伝えたいことを簡潔に載せる必要があるため、読み取ったことを簡潔にまとめる学習にもつながる。これらの点で、言語活動にリーフレット作りを据える意義があると考える。
 本教材の中心となるのは、大造じいさんの心情の変化である。そこで、大造じいさんの心情の変化とその要因となる残雪の行動とを場面ごとにまとめていき、リーフレットに載せる。その際、単元の最後に改めてリーフレットを作成する学習活動を設定するのではなく、場面ごとに教材文から読み取ってワークシートにまとめた内容をリーフレットの用紙に貼り付けていき、学習の最後に「大造じいさんとガン」のリーフレットが完成するような授業展開にしていく。

(3)指導方針

 〈全体を通して〉

  • 学習への意欲を高めるため、4年生に向けて「おすすめリーフレットを作る」という相手意識・目的意識をもって活動に取り組ませる。
  • 叙述に基づいて自分の考えをまとめることができるようにするため、発表の際には教科書のどこを読んでそう思ったのかを一緒に言わせるようにする。
  • 自分の言葉でまとめる力をつけるため、全体で交流する前に個人で活動する時間を確保する。
  • 児童同士が意見を交流することで考えを深められるよう、発表する場を多く設ける。
  • 内容理解の手助けのため、どの時間も音読を取り入れる。
     〈「つかむ」段階〉
  • 内容を読み取りやすくするため、音読の練習や言葉の意味調べをさせる。
  • リーフレットのイメージをつかんだり学習への意欲を高めたりするために、映画のリーフレット(チラシ)を教室に掲示しておく。
  • リーフレットに書く内容を考える手助けとして、実際のリーフレットを見せる。
     〈「深める」段階〉
  • 作品全体のイメージがもてるよう、登場人物や大造じいさんの大まかな行動を確認しておく。
  • 登場人物の心情を想像しやすくするために、心情をあらわす表現にサイドラインを引く活動を取り入れる。
  • 大造じいさんの心情の変化をまとめやすくするため、それぞれの場面全体での心情の変化をとらえた後に、その場面の詳細を読みながら理由を考える活動をする。
     〈「まとめる」段階〉
  • 主題について考えやすくするため、各場面のまとめを振り返りながら登場人物の関係を整理する。
  • 叙述に着目できるよう、おすすめの場面や気に入った表現をリーフレットに書く活動を取り入れる。

3 単元の指導目標

 人間と動物とのかかわりをテーマとした物語文を読み、その物語を推薦するためのリーフレットを作成する活動を通して、各場面の内容を主人公の心情の変化を中心にまとめることができる。

4 単元の評価規準

  • 文章から読み取ったこと、感じたことを基に、リーフレットを作ろうとしている。 【国語への関心・意欲・態度】
  • 物語を推薦するために、登場人物の行動や会話などに着目して、内面に描かれた心情を想像して読んでいる。 【読む能力】
  • 言葉の美しさや正しさをとらえたり、その言葉が適切であるかどうかを感じ取ったりしながら読んでいる。 【言語についての知識・理解・技能】

5 指導と評価の計画(全8時間)

指導と評価の計画
主な学習の流れ 指導上の留意点及び具体の評価規準
1つかむ 2 1.全文を読み、感想を発表し合う。リーフレットについて知る。
  • リーフレットとは何かを知り、活動への見通しをもてるようにする。
2.音読の練習と言葉の意味調べをする。リーフレットに載せる内容について確認する。
  • 内容を把握しやすいように、音読や言葉の意味調べをしておく。
  • 人に物語を推薦するには、どんな学習をすればよいかを考え、学習への構えを作る。

【関:リーフレットに書く内容を進んで考え、学習の見通しをもとうとしている。】
(発表内容、ワークシートへの記述の評価)

2深める 5 3.前書きや本文を読んで、物語の設定や登場人物を確認する。
  • 物語の設定や登場人物を確認することで、物語の内容を理解しやすくする。

【言:教材文を読み、言葉や表現から作品の雰囲気や設定をとらえている。】(発表内容の評価)

4.1の場面を読んで、大造じいさんの心情の変化とその要因となった残雪の行動についてまとめる。
  • 児童の思考の手助けとなるように、サイドラインを引かせたり、児童の発表を板書したりする。
  • まとめを書きやすくするため

 

  1. 大造じいさんの初めの気持ち
  2. それを変えた残雪の行動
  3. 大造じいさんの最後の気持ち

の構成に沿ってまとめさせる。

【読:大造じいさんの心情の変化とその理由をとらえ、まとめている。】(ワークシートへの記述の評価)

5.2の場面を読んで、大造じいさんの心情の変化とその要因となった残雪の行動についてまとめる。
6.3の場面を読んで、大造じいさんの心情の変化とその要因となった残雪の行動についてまとめる。
7.4の場面を読んで、作品全体での大造じいさんの心情の変化をまとめる。
  • 4の場面では大造じいさんの言葉に着目させることで、残雪への思いを考えられるようにする。
  • 4の場面の気持ちをおさえた後で、1の場面から心情を振り返ることで作品全体での心情の変化をまとめやすくする。

【読:大造じいさんの心情を想像して、作品全体を通しての心情の変化をまとめることができている。】(発表内容、ワークシートへの記述の評価)

3まとめる 1 8.これまでの学習を振り返り、主題を考える。おすすめの場面や気に入った表現をリーフレットに書き込み、交流する。
  • 作品全体を通しての大造じいさんの心情の変化から、自分の考えをまとめるようにする。

【読:作品全体を通しての大造じいさんの心情の変化から、主題を考えることができる。】(発表内容、ワークシートへの記述の評価)

【関:作品全体を通して読み取ったことや感じたことを意欲的に発表しようとしている。】(発表内容)

6 本時の展開(6/8)

  1. 目標
     第3場面について、叙述を踏まえながら大造じいさんの心情の変化とその理由を捉えてリーフレットにまとめることができる。
  2. 準備
    教科書、ワークシート、リーフレットの用紙
  3. 展開
本時の展開
過程 学習活動 教師の支援 時間 評価項目
つかむ 1.漢字・言葉フラッシュをする。
  • 教材文に出てくる言葉や漢字をフラッシュカードで確認する。授業への集中力やリズムをつくる。
3  

2.本時のめあてを知る。

【3の場面の大造じいさんの心情をまとめよう。】

  • 本時のめあてを確認し、目的をもって学習に取り組めるようにする。
追求する 3.第3場面を音読する。
  • 今日学習する場面を全員で確認できるように、音読させる。
40  
4.大造じいさんが行った作戦について確認する。
  • 作戦の名前と使ったものを確認する。
5.大造じいさんの気持ちが表れている部分を探して教科書にサイドラインを引く。(残雪に対する気持ちには波線を引く)
  • 気持ちが直接書いてある部分だけでなく、読んでいて気持ちが感じられる表現も探すように伝える。
6.場面の初めと終わりの大造じいさんの気持ちをワークシートに書いて発表し合う。
  • サイドラインをもとにして、考えるように話す。
  • まとめる活動の際、児童の参考になるよう、板書しておく。
7.大造じいさんの気持ちを変化させたものは、何か考えてワークシートに書いて発表する。
  • まず、残雪の行動によるこ とを確認し、その残雪のどんな行動によって変化したのか考えさせるようにする。
8.第3場面での大造じいさんの心情の変化をまとめる。

○これまでの板書等を参考にしながら、この場面での

  1. 大造じいさんの初めの気持ち
  2. それを変えた残雪の行動
  3. 大造じいさんの最後の気持ち
    の順にまとめるように伝える。
  • 大造じいさんの心情の変化とその理由を捉えてワークシートにまとめている。

【読】(ワークシート)

9.まとめたものを発表し合う。
  • 自分のまとめたものと比べながら聞くように伝える。
 
まとめる 10.リーフレットの用紙に第3場面をまとめたものを貼る。
  • 本時のまとめとなるよう、リーフレットの用紙に貼る。
2  

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