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教育あがつま 第131号
算数・数学の基礎的な知識及び技能とは何か
中之条町教育委員会教育長 唐澤 正明
6年生の学習内容の一つに半径7センチメートルの円の面積を求めることがあります。この円の面積を求めるためには、3.14×49という計算が必要になります。この計算を実行するために必要な基礎的な知識及び技能とはいったい何なのでしょうか。
まず、2年生で学習するかけ算九九を習得していることが必要です。次に、3年生で学習する3桁×2桁のかけ算の筆算技能を習得していることが必要です。さらに、5年生で学ぶ小数点の処理の仕方を習得していることも必要です。さて、これで先の計算についての基礎的な知識及び技能の分析が一応できたといってもよいでしょうか。
学校教育法第30条第2項は、「前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。」という表現で学力の三要素を規定しています。
私は、算数・数学の基礎的な知識及び技能は、小学校1年生で学習する「一桁の数の足し算と引き算」であると考えます。小学校1年生の「一桁の数の足し算と引き算」から一歩一歩、学習指導を発展させて、算数・数学がきらいな子どもを一人でも減らしましょう。
意志あるところに道は拓ける!
吾妻教育事務所 管理主監 茂木 一弘
昨年暮れに西脇工業高校駅伝部の様子がTVで紹介されました。その内容は、全国高校駅伝大会で8度優勝に導いた名将、渡辺公二監督からバトンを引き継いだ足立幸永監督の指導の様子を取り上げたものでした。徹底した管理的指導で結果を出せなかった一年目をバネに、選手の主体性を伸ばす指導への変換を試みるものでした。走る距離は指示するものの、走り方は各選手に任せていました。後半に課題を抱える選手は、その後半にペースを上げる走りを意識し練習に取り組んでいました。また、大会への出場選手も生徒の話合いで決めていました。大会で自分の力を出し切れない2年生に代わり、着実な結果を残す1年生を選手に決めた場面は、特に印象的であり、足立監督もこの結果を聞き生徒とチームの成長を感じていました。残念ながら、全国大会では優勝を逃し2位という結果でしたが、県大会、地区大会、全国大会と大会が進むごとに記録を伸ばし続けた選手には、精神的な力強さが感じられました。
表題の「意志あるところに道は拓ける!」は、その西脇工業高校駅伝部のスローガンです。新春の箱根駅伝に5年連続出場を果たした上武大学駅伝部も、創部当時のマネージャーが「僕たちを指導してもらえますか」と現在の花田監督に送ったメールが常連校へのきっかけでした。学校の子どもたちを伸ばすヒントが、ここにあるような気がします。
平成24年度 学校・園計画訪問より「本年度のまとめ」学校教育係
「生きる力」をはぐくむ学校・園づくりの推進
信頼される学校・園づくりのために
特別支援教育の充実
各園・学校においては、「個別の指導計画」に基づいた授業の充実が進められています。個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒にとっては、卒園・卒業までの限られた教育期間の中で、どのようなことを身に付けさせていくのかといった長期的な目標と、今学期に何ができることを目指していくのかといった短期的な目標との両方が必要です。
短期・長期目標設定のためには、担任はもとより複数の職員の目による幼児児童生徒の実態把握を行い、実態に合った必要な指導内容の設定と、目標の達成状況を行動から読み取ることができる具体的な評価項目を検討する「担任を支える校内体制と指導を評価・改善するPDCAサイクル」の構築が肝要です。
また、本年度は、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒の自立と社会参加を考える際、欠かすことのできない吾妻郡医師会・各町村の保健福祉部局・吾妻発達支援センター等と連携した体制の強化に向けて、「吾妻郡特別支援教育連携協議会」を吾妻保健福祉事務所と合同開催しました。各校においても、保護者、関係機関職員を交え、役割を明確にした「個別の教育支援計画」の作成に向けた動きが進められ、教育効果の高まりが期待されます。
学校安全の推進
管内の多くの園・学校で、危機管理マニュアルの整備・見直しが実施されています。避難訓練等において、事前の打合せや事後の評価を行うことで、学校の実情に応じたマニュアルの見直しが進められています。
また、児童生徒の危険予測・回避能力を身に付けさせるための手だてとして、実際の道路へ出向いて行った交通安全教室や起震車、避難ばしごなど、体験を取り入れた避難訓練を実施している学校もあります。今後も、時間や場所の設定等を工夫した実践的な避難訓練をはじめ、教育活動全体で危機回避能力を高めるための取組を実施してください。
児童生徒の安全を確保するためには、学校だけでなく保護者や地域の関係機関等の協力が不可欠です。職員はもちろん、家庭や地域の関係機関に安全計画を周知し、連携を図りながら学校安全活動に努めてください。
授業・学級活動を通した人間関係づくり
東中 1年生 道徳の授業
管内のいじめ認知件数(12月末現在)は、小学校13人(前年比8人増)、中学校12人(前年と同じ)であり、小学校での認知件数が増加しています。6日以上欠席した児童生徒の実人数は、小学校7人(前年比5人増)、中学校40人(前年比8人増)であり、ともに増加しています。不登校のきっかけとしては「不安などの情緒的混乱」が最も多く報告されていますが、「友人関係」も次いで多く、面談等を通じて過去のいじめがきっかけであることが判明するケースが見られます。その小さな変化を見過ごしたことが、児童生徒の人間関係づくりの妨げになっていることもあると考えられます。
管内では、いじめや不登校の未然防止に向け、道徳の時間の充実や異年齢・異校種の交流活動など人間関係づくりへの積極的な取組が見られました。学級活動では、個人目標の自己決定や、集団目標の集団決定により児童生徒に自己有用感をもたせる実践も見られました。いじめアンケートやQ―-Uテストなど、児童生徒の実態把握につながる取組も多くの学校で行われています。大切なのは、それらアンケートや調査をもとにした、教師の予断ない児童生徒理解にあります。引き続き、児童生徒理解に基づく「共感的人間関係」を育成し、「自己存在感」や「自己決定の場」を与える授業づくりに努めてください。
たくましく生きる力の基礎をはぐくむために
幼稚園教育の充実
太田幼稚園の園児達が遊ぶ様子
各園では、発達の段階を考慮した様々な環境の構成を工夫し、幼児の健やかな成長を願った先生方の指導のもと、積極的な言葉掛けや交流により、元気に「今日も幼稚園に早く行きたい」「もっと遊びたい」と思う幼児の姿が多く見られました。
本年度は、運営要領「幼稚園教育の充実」に「思いや考えを言葉による伝え合いに結び付ける」「自己発揮と自己抑制の調和のとれた自律性を育てる」「自分の体を大切にしようとする気持ちを育てる」の3点を重点として挙げ、保育実践の充実に努めていただきました。
今後も、幼児一人一人の発達の段階を意識しながら、修了までに育ってほしい幼児の姿をイメージし、幼児が自分の遊びに、より集中できるような環境を構成したり、教師の言葉掛け等により、主体的な活動を促したりすることで、意欲、集中心、気付きなどの学びの芽生えの育成に努めてください。
平成24年度 事業報告「本年度のまとめ」生涯学習係
吾妻の特色を生かした地域づくり・人づくり
生涯学習の推進
生涯学習機会・学習情報の提供
地域の皆さんの要望と今日的な課題に応えるため、多様な機関と連携した講座を開催しました。
1 ぐんま県民カレッジ
「ほっとはーとセミナー」全3回実施。群馬大学大学院教授の山口氏、同大講師の牧氏による「認知症の理解と予防」をテーマとした講座、認知症サポーターの養成講座も実施。
講師 山口 晴保 氏
家庭・地域の教育力向上
家庭や地域の教育力向上への支援
学校と家庭・地域が連携した子育て支援体制づくりや、家庭教育に関する学習機会の提供及び支援。
2 PTA指導者研修会
日本子どもの安全教育研究所理事長の宮田氏による「子どもの安全・大人の役割」と題した講演と、応桑幼PTA、坂上小PTAの実践発表。
3 学校支援センター推進研修会
所長の講話、学校支援ボランティアを対象としたワークショップを開催。
4 放課後子ども教室安全管理員等研修会
しつもん財団認定講師小林氏によるワークショップの実施と、吾妻5町村による事業計画発表。
人権学習機会・情報の提供
人権問題に関する理解と認識を深め、豊かな人権感覚を育成するための研修会を前橋地方法務局中之条支局、中之条人権擁護委員協議会と共同で開催。
5 あがつま人権フェスタ
梯氏による講話「ハンディキャップを乗り越えて」とピアノ演奏。中学生の人権作文の表彰と発表。
青少年の健全育成の推進
安心して子どもを育てられる社会づくりを進めるため、青少年の社会参加活動を推進し、青少年団体指導者を育成。
6 少年の主張吾妻地区大会
管内14校の代表中学生が自分の考えを主張し社会の一員であることを再認識。
- 青少年育成推進研修会「おかしなお菓子の家づくり」子どもたちがものを創る喜びを体験。
- 子ども会指導者上毛かるた講習会(支援事業)
- 上毛かるた競技吾妻地区大会(後援事業)
○地域と学校のパートナーシップ推進フォーラム
国立赤城青少年交流の家所長の桜井氏による「体験活動へのかかわり方」の講演。よしだ農園の吉田氏、長野原町教委の田中氏、草津町青少推会長の坂田氏3者による事例発表。
講師 桜井 義維英 氏
○講師派遣・出前講座事業
幼稚園、小・中学校、PTA、地域の団体等を対象にした外部講師の派遣支援。生涯学習係員による出前講座。青少年育成コーディネーターによる学校等への情報メディア教育の実施。
☆吾妻東部町村連携講座(支援事業)
「ふるさと探訪」4回 地域の特性を生かした学びや体験活動を実施。
☆吾妻西部町村連携講座(支援事業)
「ふるさと再発見」4回 その土地ならではの文化や自然を体験。
[文化・スポーツの振興]
文化やスポーツの普及とその指導者を対象とした研修会を開催しました。
○「スポーツ県群馬」推進のマスタープラン研究協議会
(株)アファン藤川氏による「スポーツに必要な動体視力トレーニング」の講演。東吾妻町スポ-ツ推進委員小池氏による講話。
☆文化財調査委員等研修会(支援事業)
家庭・地域の教育力向上
[家庭や地域の教育力向上への支援]
学校と家庭・地域が連携した子育て支援体制づくりや、家庭教育に関する学習機会の提供及び支援。
○PTA指導者研修会
日本子どもの安全教育研究所理事長の宮田氏による「子どもの安全・大人の役割」と題した講演と、応桑幼PTA、坂上小PTAの実践発表。
○学校支援センター推進研修会
所長の講話、学校支援ボランティアを対象としたワークショップを開催。
○放課後子ども教室安全管理員等研修会
しつもん財団認定講師小林氏によるワークショップの実施と、吾妻5町村による事業計画発表。
人権学習機会・情報の提供
人権問題に関する理解と認識を深め、豊かな人権感覚を育成するための研修会を前橋地方法務局中之条支局、中之条人権擁護委員協議会と共同で開催。
○あがつま人権フェスタ
梯氏による講話「ハンディキャップを乗り越えて」とピアノ演奏。中学生の人権作文の表彰と発表。
講師 梯 剛之 氏
青少年の健全育成の推進
安心して子どもを育てられる社会づくりを進めるため、青少年の社会参加活動を推進し、青少年団体指導者を育成。
○少年の主張吾妻地区大会
管内14校の代表中学生が自分の考えを主張し社会の一員であることを再認識。