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教育あがつま 第132号

更新日:2014年3月14日 印刷ページ表示

傘かしげ

吾妻教育事務所長 桑原 三七次

 「それは、ある雨の日の出来事。狭い路地、やっと二人が通れるほどの道幅。丁度そこへ傘を差した二人が出会った。その二人は、すれ違いざまに、当然の動き(しぐさ)として、傘をかしげて通り過ぎていった。」 これは、6年生「道徳副読本」の教材として取り上げられている『傘かしげ』という「江戸しぐさ」の話の一例である。「江戸しぐさ」は、この他にもたくさんあり、近年これに関する入門書等も多く刊行されている。 封建制度が厳しかった江戸時代、しかも、当時世界最大の人口の大都市江戸で、町人を中心に商いや生活をする上で、お互いに気持ちよく楽しく過ごすために編み出された暮らしの知恵が、「江戸しぐさ」と呼ばれるものになっていったようだ。 この『傘かしげ』の例などは、相手の存在を意識するとともに雫がかかった後の結果について思いをはせ、「雫がかかったら冷たいだろうな、嫌な思いをするだろうな…。」等の思いがあって、『傘かしげ』というしぐさとなって現れたのではないかと思う。そして、この封建社会の時代においても、いかにしたら自分も相手も気持ちよく暮らしていけるかという「共生」の考え方を地で行ったものだと思う。 今の時代、自由と責任、権利と義務の下、民主主義を謳歌している。ただ、社会の中だけでなく、教育の中にはいじめをはじめとする問題が取り上げられている。この『傘かしげ』の中にある「行為の結果について思いをはせる力」を育んでいけば、今自分がしていることへの深い思慮が生まれ、少なくとも、人間関係で相手を傷つけ、その結果として悩み、尊い命を自ら絶つことはなくなっていくのではないかと思う。様々な教育活動の中で、子どもたちに「行為の結果について思いをはせる力」をパワーアップさせていくことを望みたい。 もちろん、大人たちにも…。

スーパーバイザー3年目の雑感

吾妻教育事務所スクールカウンセラースーパーバイザー黒崎 和夫

 本県ではスクールカウンセラーの全校配置といじめ問題対策推進事業の初年度です。偶々3年目を迎えたスーパーバイザーとして、予想される戸惑いと緊張感をふまえて一言雑感を申し述べます。 言うまでもなく、制度や事業はいわば既製品です。例えば、スクールカウンセラーの勤務形態や訪問回数に課題があるとしても、制約を最大限に生かした活用が工夫のしどころという共通認識は数年かけて定着してきたように思います。 また、制度の充実と共に、分業と協働、生徒指導とカウンセリングもしくは教育相談、わがままと個別への配慮、担任を中心とした情報の一元化や指導体制の強化などでのバランス指向も手がけられてきました。 一方、課題の中心は不登校に象徴される心の教育の充実と言えるのではないでしょうか。不登校の陰にいじめが隠れている事例は決して少なくありません。特に、心に傷を負ったいじめは深刻ですが、表面的には解消しているように見えたりします。事例によっては発達障害という背景もあります。 いじめを「絶対に許さない」ためには、いかなるきっかけもいじめの理由として認めないことは言うまでもありませんが、きっかけの存在を否定することも不自然でしょう。見えないいじめや隠れたいじめは感じ取るものと言えるかも知れません。

平成24年度実践記録・自作学習材コンテスト

優秀賞作品の紹介

自己の感情を理解し、状況に応じた適切な行動がとれる生徒の育成
~好きなこと、得意なことを生かした自立活動の実践~
 長野原町立東中学校 教諭 須賀 紀江

画像:怒りのものさし
怒りのものさし

1 実践の概要

 自閉症とADHDを併せもつ生徒の指導において、以下の実践を行った。

  1. 自立活動の時間を設定し、月曜日の1校時に自分の感情や行動を考える時間をもった。
  2. 認知行動療法プログラムを導入し、怒りをコントロールして適切に対処する方法を考えさせる授業を実践した。
  3. 生徒の好きなことや得意なことを生かした活動を設定し、他者の意図や感情を理解し、場に応じた適切な行動をとることができるよう、支援した。

2 ねらい

 生徒の好きなこと、得意なことを取り入れた自立活動の取組を通して、生徒が自分の感情や行動の特徴を理解し、状況に応じた適切な行動をとることができるようにする支援の在り方を探る。

3 成果と課題

  • 自立活動の時間の設定により、生徒が冷静に自分の感情について考えることができた。
  • 「怒りのものさし」を作ったことで、パニックを起こしそうになったときの対処の方法が生徒自身にも教員にもわかりやすくなった。
  • 文章を書く活動に好きなことを紹介する題材を設定したことで、相手に内容が伝わることや相手の知りたいことを意識して書こうとすることができた。
  • 文章を書く活動では、書きたいことを急いで書くことが多かった。今後は、正しく、読みやすい文字や原稿用紙の使い方などの指導が必要である。

「東日本大震災」を社会科でどう取り扱うか ~教科学習に今日的な社会事象を取り入れる試み~
高山村立高山小学校 教諭 関 俊明

写真:復興新聞づくり
復興新聞づくり

1 実践の概要

 「社会の今日的な課題に対応した教材」として東日本大震災を取り上げ、2つの授業を実践した。震災後9日目の気仙沼漁協の人々の様子を掲載した新聞を切り口に、生産に携わる人の努力について考えさせ、思考力・判断力・表現力の育成を図った。また、多様な資料をもとに、被災地の人の立場に立って考えたことを壁新聞の形にまとめ、防災意識の高揚を図った。

2 ねらい

 教科学習に今日的な社会事象を取り入れる授業の展開の試みとして、東日本大震災の資料を教材化し、実資料やWebで公開されている情報などを提示することによって、児童の考える力を深め広げる。

3 成果と課題

 「今日的な社会に視点」をおいて教材開発を行ったことは、児童が自分の考えや理解をより広げ深める学びの場になった。また、豊富な資料を有効に活用したことで、児童の興味関心を高めることもできた。今後は、過去の災害なども取り上げて、吟味し検討を行い、新たな教材開発を行っていきたい。

小規模学級における新たな人間関係づくりの取組
~自分発見、友達発見と家庭との連携を通して~
 東吾妻町立岩島小学校 教諭 齊藤 幸子

画像:心の木
心の木

1 実践の概要

 小規模学級における固定化された人間関係を改善するために、以下の3つの方針にそって計画的・継続的に実践を行った。

  1. 児童が自分自身や友達への見方を変えることができるように、直接的に個と集団に対してアプローチを行う。
  2. 児童が自分自身や友達への見方を変えることができるように、授業を通してアプローチを行う。
  3. 親が子ども、友達、親同士の見方を変えることができるように、親にアプローチを行う。

2 ねらい

 小規模学級において児童が自分や友達を見つめ直し、固定化した友達関係から新たな人間関係を築くことができるようにする。

3 成果と課題

  • 個へのアプローチにより、児童が自分自身や友達のよさに気付き、新たな一面を発揮することができた。また、周囲の児童も、固定 的な人間関係から新たな人間関係を構築し、自分のよさを発揮することができるようになった。
  • 集団へのアプローチにより、自分や友達の見方が変化し、行動化ができるようになった。お互いを認め合うことができるようになり、新たなつながりがさらに深まった。
  • 教師の指導の在り方を見直すことにより、児童が自ら考え、共に学ぶ豊かな人間関係を築くことにつながった。
  • 家庭へのアプローチにより、親同士の人間関係が変化し、出身幼稚園や保育園の枠を超えた親同士の関係づくりが進んだ。

心身の健康の基盤をつくる歯科保健活動の充実を目指して
 東吾妻町立太田中学校 養護教諭 加藤 恒世

写真:歯肉炎予防のポイントは?
歯肉炎予防のポイントは?

1 実践の概要

 歯と口の健康増進の向上を図るため、「指導にいかす『管理』」「自立的な態度、行動を目指した『指導』」「健康づくりの実践の場である『家庭・地域との連携』」を3つの柱とし、歯と口の健康診断と事後措置などを充実させるとともに、各学年の実態や特徴にあわせて生徒への個別指導や集団指導を行った。また、小学校と合同で学校保健委員会を開催したり、学校医や栄養士、歯科衛生士などの外部専門機関との連携を図ったりした。

2 ねらい

 個々の生徒が、歯科保健についての課題を把握し、改善のために主体的な取組が行えるようにする。

3 成果と課題

  • 欠席者が減少し、昨年度の5分の1以下になった。
  • あいさつや清掃に進んで取り組む生徒が多くなった。
  • 朝食の完全摂取率が94%と、3年前よりも増加した。
  • 生徒が、歯の健康に対して積極的な取組が見られるようになった。
  • 歯科受診率が3年間100%になっている。
  • う歯のない生徒とたくさんある生徒の2極化がみられる。
  • 小学校との連携を図り、9年間を見通した歯科保健指導安全計画の策定が必要である。

吾妻の特色を生かした地域づくり・人づくりの推進

写真:地域と学校のパートナーシップ推進フォーラム
地域と学校のパートナーシップ推進フォーラム

生涯学習係運営方針

  • 多様な学習ニーズや地域的な課題を踏まえ、関係機関と連携した学習機会や情報を提供します。
  • 青少年の健全な成長と社会性をはぐくむため、学校・家庭・地域が連携した活動を推進します。
  • 家庭の教育力の向上が図れるよう、子育てやPTA活動への支援に努めるとともに、役立つ情報を提供します。
  • 社会全体の人権意識を高めるため、主体的に参加できる人権学習の機会や情報を提供します。
  • 地域文化の創造と生涯スポーツの振興を図るため、環境整備や指導者・団体の育成を支援します。

写真:第34回少年の主張吾妻地区大会
第34回少年の主張吾妻地区大会

写真:吾妻ブロック青少年育成推進研修会
吾妻ブロック青少年育成推進研修会

学校、児童・生徒、保護者対象の主な講座・研修会

PTA指導者研修会

 6月9日(日曜日)ツインプラザ(中之条町)

  • 園・学校の特色を生かしたPTA活動の推進と指導者の資質の向上を図ります。
  • 研修内容:ミュージカル落語家 三遊亭亜郎様による講演会、沢田幼稚園PTAと岩島中学校PTAの事例発表を実施します。

吾妻ブロック青少年育成推進研修会「おやこでつくる工作 どうぶつらんど」

 6月29日(土曜日)ツインプラザ(中之条町)

  • 家族と一緒に物を作る喜びを体験する研修会です。作ることを通して親子のふれあいを深めることを目的として開催します。

少年の主張吾妻地区大会

 8月19日(月曜日)コンベンションホール(東吾妻町)

  • 郡内14中学校の代表生徒が、日頃の生活の中で感じていることや考えていることを発表します。
  • 社会の諸課題に対する率直な意見や提言を、熱意をもって発表する中学生の主張をぜひお聴きください。

地域と学校のパートナーシップ推進フォーラム

 11月27日(水曜日)コンベンションホール(東吾妻町)

  • 学校と家庭、地域、行政等の関係者を対象に、地域と家庭の連携・協力に関する共通理解を図ります。
  • 内容:事例発表と講演会を実施する予定です。

青少年育成活動事業「親子教室」

 12月7日(土曜日)中之条合同庁舎(予定)

  • 毎月第1土曜日の「少年の日」を普及促進し、親子の交流をはかりながら、家族の絆を深めます。

人権教育(社会教育)指導者研修会 「あがつま人権フェスタ」

 <予定>12月8日(日曜日)ツインプラザ(中之条町)

  • 法務局、中之条人権擁護委員協議会との共催事業として、中之条町教育委員会の後援を得て、様々な人権問題に関する理解と認識を深め、人権尊重社会の実現をめざします。
  • 研修内容:全国中学生人権作文コンテスト(吾妻地区大会)の受賞者の表彰、及び代表者による作文発表や人権講演会の視聴等を通して、豊かな人権感覚の育成の一助とします。

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