ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 教育委員会 > 吾妻教育事務所 > 授業づくりのポイント解説

本文

授業づくりのポイント解説

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

※ 印刷用のファイルはこちらからダウンロードできます。授業づくりのポイント解説(PDFファイル:41KB)

1 ねらいについて

(1)単元の指導目標を踏まえて1時間のねらいを設定していますか

ねらいについてのイメージ画像

 立案された単元全体の指導計画を基に、1時間1時間の授業の具体的な構想が立てられます。本時のねらいは単元の指導目標が指導計画に沿って具現化されたものの一つということになります。1時間1時間のねらいを達成することが単元の指導目標の達成に結び付くということを意識して、本時のねらいを設定することが大切です。

(2)「目的」と「手立て」が明らかになっていますか?

 本時のねらいが漠然としていると評価も不確かなものになり、子どもにどのような力が付いたのか、何のために授業を行ったのかがあいまいになります。「目的(身に付けさせたい力など)」と「手立て(その授業の中心となる学習活動)」を明らかにして設定するようにしましょう。また、1時間で多くのことを盛り込もうとせず、ねらいを絞った授業を行うことも大切です。

2 学習活動について

実態把握

(1)本時のねらいにかかわる子どもの実態を把握していますか?

 一人一人の子どもに応じた授業を展開するためには、目の前の子どもの実態を把握しておくことが必要です。特に、本時でねらう身に付けさせたい力について、それを支える力(前段階で身に付けておくべきもの)の定着の状態をつかんでおくことが必要です。また、本時のねらいに迫る学習活動を展開する上で、その活動にかかわる個々の子どもの特徴を把握し、一人一人の子どもが活躍できる場を想定しておくことも大切です。実態把握の方法は、単元導入時の「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」等の調査、関連する単元の実態、日頃の授業観察、前時の様子など多面的にとらえておく必要があります。

課題の工夫

(2)多様な考え方が期待できるなど、学習活動の充実が図れる課題を設定していますか?

 本時の学習活動を充実させるためには、子どもが主体的に取り組めるような課題を設定することが大切です。基礎的・基本的な知識・技能を習得する授業であれば、子どもの実態に見合う課題の設定が必要です。また、身に付けた知識・技能を活用して思考力・判断力・表現力を育成する授業では、多様な考え方や解決方法が想起できたり、発展性を秘めたりしているような課題の設定が効果的です。

(3)子どもの主体的な活動を促す課題提示の仕方を工夫していますか?

子どもの主体的な活動のイメージ画像

 子どもが主体的に学習活動に取り組める手立てとして、課題設定の工夫とともに子どもの興味・関心を高めたり、課題を把握したりしやすくするなどの提示の仕方を工夫することも大切です。子どもの発達段階や実態にもよりますが、具体物を使用した課題の提示や具体的に課題の場面設定を行うなど、視覚的にとらえさせて理解を促すような課題の提示は効果的です。
 また、指導者が学習のめあてを明確にして、それを子どもにしっかりと把握させることは、子どもの主体的な取り組みを促します。これから取り組む学習活動について「何について考えるのか」「どのような知識・技能の習熟を図るのか」といった学習活動のゴールを子どもに意識させることによって、課題解決のための見通しをもたせることもできます。

中心的な学習活動の工夫

(4)本時のねらいを踏まえた中心的な活動を柱にして展開を構想していますか?

 本時のねらいの達成に向けて、身に付けさせたい力を獲得するための中心となる学習活動を柱とした授業の流れを構想していくことが大切です。その上で、子どもの思考の流れや解決の筋道を見通し、無理なく学習活動を展開していけるよう計画することが必要になります。また、中心となる学習活動が位置付くことで、補充や発展といった指導・支援の幅を広げることや時間配分を適切に設定することが可能となります。

(5)本時のねらいに迫る中心的な指示・発問が吟味できていますか?

 二者択一や一問一答ではなく、子ども同士で意見を交流できるような発問を考えることが大切です。そのためには、子どもの既有の考えを揺さぶったり、葛藤させたりするような指示・発問を準備するとともに、子どもたちがどのような反応をするのか予想しておくことが重要です。また、指示・発問は展開や子どもの思考の流れに即したものとなるよう計画するとともに、実際の場面では、明確な言葉で簡潔に、タイミングや間のとり方に留意することが大切です。

(6)子どもの発達の段階や思考の流れに即した教材・教具が準備できていますか?

 本時のねらいを達成するために、子どもの発達の段階や思考の流れに即した教材・教具を準備することが大切です。そのためには、その教材・教具を活用することでどのような効果が期待できるのかという点について明確にしておくこと、そしてその効果が本時のねらいの達成のどの部分にかかわるのかを確認しておくことが必要です。例えば、ある教材・教具を使って子どもの興味・関心・意欲を高めること、子どもの理解を深めることなどの効果が期待できるとき、それだけで終わらず、本時のねらいに迫るところまで見通すことが大切です。

(7)考える時間を確保し、学び合う活動を取り入れていますか?

学び合いのイメージ画像

 子どもの主体的な学び合いを促すには、一人一人にじっくり考えさせる時間を確保することが大切です。話し合うための自己の考えをしっかりともたせた上で、子どもから出された考えの整理や共通・相違点の指摘など、考えの交流を図れるような場の工夫を行いましょう。その際、話合いの進め方、意見の出し方、適切な形態の吟味など、話合いに向けた準備がされていることも大切になってきます。

個に応じた指導の工夫

(8)授業中の見取りを学習活動や指導・支援に生かしていますか?

見取りを生かしましょうのイメージ画像

 様々な個人差が存在する子どもたちに、同じ目標を達成させるためには、一人一人に合った学習活動や指導・支援の方法を見極めることが必要です。学習における子どもの実現状況の見取りは、その後の個に応じた多様な指導・支援を展開していくための分岐点ともいえます。具体的な子どもの姿を想定した評価項目を設定するとともに、全ての子どもを的確に見取り、その結果をその場で次の指導・支援に生かす展開の構想が大切です。(「指導と評価」については平成18年教育経営資料第35集参照)

(9)一人一人が主体的に取り組める学習活動を用意していますか?

 子どもたちが確実に力をつけていくためには、一人一人が学習意欲をもち、主体的な取組を持続できるような学習活動を設定することが大切です。評価を生かして補充的な学習や発展的な学習に取り組めるようにしたり、子どもの実態や学習活動の目的を踏まえて意図的な学習形態を用意したりするなど、多様な学習活動が必要になります。例えば、つまづきのある子どもについては個別の指導・支援や理解の状況に応じた繰り返しの学習活動、段階的な課題の準備やヒントの提示、TTの明確な役割分担による効果的な指導など、柔軟な配慮が必要となります。また、評価項目においておおむね満足できる状況に達している子どもについては、発展的な課題に取り組ませるなど身に付けた力を活用し、さらに高められるような学習が必要になります。

3 学習状況の適切な評価について

(1)「観点別学習状況」の各観点のうち、何を評価するかを明確にしていますか?

 各教科の目標に照らして、その実現状況を観点ごとに評価し、それを評定に結びつけます。授業はその実現状況を観点ごとに評価するための情報を集める場でもあります。そのため、子どもの「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」のうち何を評価しようとしているのかを明確にします。つまり、本時のねらいを達成できた具体的な姿をそれぞれの観点からイメージして授業にのぞむ必要があります。
 その際には、「評価規準の作成、評価方法の工夫改善のための参考資料」(国立教育政策研究所・教育課程研究センター)に掲載されている評価の観点及びその趣旨や評価規準及びその具体例を参考にします。また、学校で設定した単元の評価規準、本時の評価項目を再度確認することが大切です。

(2)評価のための情報をどの場面で、どのように集めるかを明確にしていますか?

評価のための情報を集めましょうのイメージ画像

 評価項目は、その役割の一つとして、評価情報(児童生徒のねらいの実現状況等)を集めるために設定されています。評価項目が多くなればなるほど情報を集めることに時間がかかります。そこで、1時間の中では評価項目を一つ程度に絞り込み、子どもが本時のねらいを達成できたかどうかを評価する場面を明確にします。つまり、子どもが本時のねらいの達成にかかわる学習に取り組んでいる場面(本時の中心的な学習活動)で評価情報を集めます。
 また、評価情報を集める方法として授業中や授業後に児童生徒の姿を簡単に記録することが考えられます。例えば、名簿や座席表を使って評価項目に照らしてマルサンカクなどの記号やキーワードを残すようにします。また、授業中に使ったワークシートや作品等から授業後に評価情報を集め、蓄積することが大切です。

解説の項目をチェックするためのチェックシートはこちら

吾妻教育事務所へ戻る