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第2章 基本方針及び重点課題

更新日:2017年4月1日 印刷ページ表示

基本方針1 身体的・精神的被害及び生活基盤の回復、権利行使への取組の推進

重点課題1 損害回復・経済的支援等への取組

現状と課題

 犯罪被害者等は、犯罪に遭い財産を奪われたり、入院や通院により多額の治療費がかかる等、 経済的な困難に直面することが少なくありません。
 これらの経済的損失の回復や犯罪被害者等の名誉の回復、加害者に反省や謝罪を求めるため、損害賠償を請求することができます。しかし、加害者と向き合うことによる精神的負担、訴訟には専門的な知識や高額な費用を要するとともに、多くの時間と労力を費やすこと、加害者に自分の所在を知られてしまうことへの不安等を伴うことから、犯罪被害者等に対して損害賠償等に必要な情報を提供し、各種支援制度の周知や支援を行う必要があります。
 また、犯罪被害者等が損害賠償請求の訴訟で勝訴したとしても、加害者側に賠償能力が欠如しており損害を回復できない場合や直接的な財産被害のみならず、働き手を失ったり失職する等して、長期に経済的な困難に苦しむ犯罪被害者等もいることから、犯罪被害者等に対する給付金等の支給制度を活用した支援を行う必要があります。
 この他、自宅に住むことができなくなった犯罪被害者等については、再び安定した住居で平穏な生活ができるよう支援するほか、犯罪被害者等が安心して仕事が続けられるよう、雇用主に対する理解の促進を図るとともに各種就労支援を行う必要があります。

具体的な施策

1  損害賠償の請求についての支援等(犯罪被害者等基本法第12条関係)

 犯罪被害等により失職し無収入になってしまうなど、経済的な困難に直面する方々の損害や名誉を回復するために、損害賠償の請求について支援等を行います。

損害賠償の請求についての支援等施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.損害賠償請求制度の周知(警察本部) 刑事手続き、損害賠償請求制度について、広報や情報提供を行います。
2.広報啓発による各種支援制度の周知(警察本部、人権男女・多文化共生課) 県・県警のホームページの活用、啓発冊子、パンフレットの作成配布、広報紙への掲載、マスメディアの活用等を通じ、各種支援制度を周知します。
3.相談窓口に関する情報提供(警察本部、交通政策課、人権男女・多文化共生課) 交通事故相談所や(財)日弁連交通事故相談センターでの無料相談さらには群馬弁護士会等で行う法律相談に関する情報提供を行います。
4.民事法律扶助制度に関する情報提供(警察本部、人権男女・多文化共生課) 日本司法支援センター(法テラス)による民事法律扶助制度等について、広報や情報提供を行うことに加え、法テラスとの連携強化を進めます。
5.暴力団犯罪による被害回復への支援(警察本部) 公益財団法人群馬県暴力追放運動推進センター等と連携して、暴力団犯罪による被害回復を支援します。
2 給付金の支給に関する制度の適正な運用等(犯罪被害者等基本法13条関係)

 犯罪被害者等が損害賠償請求では損害回復の目的を果たせない場合や、直接的な財産被害のほか、長期にわたり経済的な困難に苦しむ場合の経済的負担の軽減を図るため、給付金の支給等による支援を行います。

給付金の支給に関する制度の適正な運用等施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.犯罪被害者等給付金の支給に関する制度の適正な運用(警察本部) 犯罪被害者の遺族又は重傷病若しくは障害を負った犯罪被害者等に「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」に基づき、給付金の支給手続を行います。また、制度の積極的な周知を行い、適正に支給裁定手続を実施します。
2.国外犯罪被害者弔慰金の支給に関する制度の適正な運用(警察本部) 国外の犯罪行為により不慮の死を遂げた日本国民の遺族又は障害が残った日本国民に「国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律」に基づき、弔慰金等の支給手続きを行います。また、制度の積極的な周知を行い、適正な支給裁定手続を実施します。
3.その他の公費支出の適正な運用(警察本部、人権男女・多文化共生課) 犯罪被害者及び犯罪により死亡した被害者の遺族等の経済的負担を軽減し、捜査活動への一層の理解と協力を得るためや被害者の回復を図るため公費支出の充実を図るとともに、次の費用に対し、公費支出による支援を行います。
ア 身体犯被害者に対する初診料・検査料・診断書料
イ 身体犯被害者遺族等に対する死体検案書料
ウ 性犯罪被害者に対する初診料・検査料(性感染症検査を含む)・治療費・診断書料・検査を実施した際の再診料
エ 司法解剖後の遺体修復費及び遺体搬送費
オ 自宅が犯罪現場となり、居住することが困難となった場合等の宿泊費
カ 自宅で凶悪事件に遭い、転居した場合の転居費用の一部補助
キ 自宅で被害に遭遇し、被害によりハウスクリーニングが必要な場合の経費
ク 精神的被害を受けた被害者等に対し、私設臨床心理士が行うカウンセリング費用及び精神科・診療内科等の医療費(投薬費を含む。)
ケ 性暴力被害者に対する初診料・検査料(性感染症検査を含む)・治療費・診断書料・検査を実施した際の再診料
コ 性暴力被害により精神的被害を受けた被害者に対し、精神科医師及び臨床心理士等が行うカウンセリング費用及び精神科・診療内科等の医療費(投薬費を含む。)
4.交通遺児等への支援制度の情報提供(交通政策課、警察本部) 奨学金の給付など、交通遺児や犯罪被害者の遺児への支援制度について周知を行います。
3 居住の安定(犯罪被害者等基本法第16条関係)

 犯罪被害者等の自宅が事件現場になり暮らすことができなくなったり、配偶者等からの暴力で他の住居を探さなければならなくなる等の事案が発生した場合、犯罪被害者等が安定した住居で平穏な生活ができるよう支援を行います。

居住の安定施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.県営住宅入居への優先的取扱い及び配慮(住宅政策課) ア 犯罪被害者等に対して、県営住宅入居抽選において、一般の入居希望者より当選確率を高める優先的な取扱いを実施します。
イ 放火等の犯罪により、自宅が消滅して住み続けることが困難になってしまった犯罪被害者等に対しては、県営住宅への入居について配慮します。
2.DV被害女性等に対する一時保護(再掲1-2-2-1)(人権男女・多文化共生課) DV被害女性等緊急に保護を要すると認められる女性を一時保護し、相談・保護・自立支援等を行います。
4 雇用の安定(犯罪被害者等基本法第17条関係)

 犯罪被害者等の職の維持・確保のため、雇用主に対する理解の促進を図るとともに、犯罪被害者等に対する各種就労支援を行います。

雇用の安定施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.雇用主等への周知・啓発(労働政策課、人権男女・多文化共生課) 雇用主や従業員等に対して、犯罪被害者等の置かれている状況についての理解の促進及び被害回復のための休暇制度等の周知・啓発を行います。
2.各種就労支援(労働政策課) ア 概ね35歳未満の若者に対して「若者就職支援センター」(ジョブカフェぐんま)において就職支援を行います。
イ 子育て中の女性等を対象として「ジョブカフェ・マザ ーズ」において就職支援を行います。
ウ 働くことに自信が持てない概ね40歳未満の若者に対して、「若者サポートステーション」において、職業的自立に向けた支援を行います。
エ 概ね35歳以上の中高年齢者等に対して「シニア就業支援センター」において再就職支援等を行います。
オ 犯罪等の被害により障害を負ってしまった後遺障害者に対して、就労支援を行います。
カ 犯罪被害者等と雇用主の間で生じた労働問題について 相談を受ける各種相談窓口の周知を図ります。

重点課題2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

現状と課題

 身体に被害を受けた犯罪被害者等の多くは、長期にわたる治療を余儀なくされたり、重篤な後遺症により常に看護や介護が必要になる場合があります。
 また、生命を奪われた被害者の遺族はもとより、身体に被害を受けた被害者及びその家族等の方々も深刻な精神的被害を受けることもあります。
 さらに、身体的な被害はなくても犯罪等により精神的な被害を受けた犯罪被害者等は多数にのぼると考えられ、重度のPTSD(外傷後ストレス障害)等、長期にわたり精神的後遺症に悩まされる方々も少なくありません。
 そこで、犯罪被害者等が受けた精神的・身体的被害を早期に回復するため、保健医療サービス及び福祉サービスが適切に提供される体制を作っていく必要があります。
 また、児童虐待、ストーカー行為、配偶者等からの暴力(DV)等の犯罪被害者等は、加害者側から再び危害を加えられるのではないかと深刻な不安を抱いています。
 このような不安から、犯罪被害者等は、被害の届出・申請を躊躇したり断念するケースもあるため、犯罪被害者等を再被害から守り、再被害に対する不安を解消する必要があります。
 さらに、犯罪被害者等は再被害から逃れるために保護施設に入所したり、捜査や公判過程において協力を求められたり、医療機関で治療を受けたりと様々な関係機関の担当者等と接するため、関係機関の職員等に対して二次的被害を与えないよう配慮を求めるとともに、カウンセリング体制を充実して、犯罪被害者等の精神的な負担軽減に努めていく必要があります。

具体的な施策

1 保健医療及び福祉サービスの提供等(犯罪被害者等基本法第14条関係)

 犯罪被害者等が受けた精神的・身体的被害を早期に回復するため、保健医療サービスや福祉サービスが適切に提供される体制を構築し支援を行います。

保健医療及び福祉サービスの提供等施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.精神保健福祉相談(障害政策課、人権男女・多文化共生課) ア こころの健康センター、保健福祉事務所において精神保健福祉相談を実施し、犯罪被害者等の心の健康回復に努めます。
イ 性暴力被害者に対して、精神科医や臨床心理士を斡旋し、カウンセリングを実施することで、被害者の心の健康回復に努めます。
2.救急医療体制の確保(医務課、人権男女・多文化共生課) ア 地域差のない迅速かつ適切な救急医療の提供に努めます。また、夜間体制の確保、メディカルコントロール体制(※注3)の整備により、救急医療体制の充実に努めます。
イ 各種医療機関への情報の周知により、犯罪被害者等への配慮ある対応を目指します。
ウ 犯罪被害者と思われる負傷者を治療した際の適切な対応に努めます。
エ 性暴力被害者に対して、産婦人科医療支援を行います。
3.医療機関における情報管理の徹底(医務課、監査指導課、人権男女・多文化共生課) ア 医療現場における犯罪被害者等の情報漏洩防止に努めます。
イ 犯罪被害者等の被害状況に応じた医療機関に関する情報の周知に努めます。
ウ 性暴力被害者に対して、公的支援可能な産婦人科医療機関の情報を周知します。
4.生活支援(健康福祉課) 生活困窮者自立相談支援事業、生活福祉資金貸付事業、生活保護等の制度を活用しながら、市町村や社会福祉協議会と連携し、生活に困窮している犯罪被害者等への経済的な支援や自立支援を行います。
5.民生委員・児童委員等との連携(健康福祉課、人権男女・多文化共生課) 個人情報の取扱いには十分注意しながら、民生委員・児童委員・人権擁護委員等を通じて、地域社会と連携して犯罪被害者等への支援を行います。
6.児童・生徒の健全育成(健康体育課) 加害者の子どもも含め、精神的に不安定になりがちな児童・生徒に対し、心のケアを推進します。
7.各種子育て支援(児童福祉課) 児童の問題を抱えた家族に対し、地域の(主任)児童委員や市町村など関係機関との情報共有の徹底を図り、連携を取り合いながら、各種子育て支援を行います。
8.ひとり親家庭自立支援(児童福祉課) 各保健福祉事務所において、母子・父子自立支援員が、ひとり親家庭の自立に向けた各種相談に応じます。
9.高次脳機能障害(※注4)者支援(障害政策課) 交通事故などにより高次脳機能障害となられた方やその家族への相談支援を行います。
10.障害者に対する経済的支援・福祉サービスの提供(障害政策課) ア 特別障害者手当の給付等生活安定のための支援を行います。また、相談体制、ホームヘルプサービス、グループホーム等の生活支援サービスの充実に努めます。
イ スポーツ・文化活動や情報化支援、コミュニケーション支援などの充実のため、関係者との連携強化に努め、 障害者の社会参加を推進します。
11.障害者110番による支援(障害政策課) 障害のある方が、犯罪被害等のトラブルを抱えた場合に、「障害者110番」を活用できるよう、当事者への周知を中心とした広報に努めます。
12.聴覚及び言語障害者の安全確保(警察本部) ファックスやメールでも110番を受理できる「ファックス110番」、「メール110番」を設置し、聴覚及び言語に障害のある方からの緊急通報に適切に対応するためのサポートを行います。
13.児童虐待への対応(児童福祉課) 被虐待児童ができるだけ家庭的な環境のもとで過ごすことができるよう里親(※注5)委託や児童福祉施設のケア単位の小規模化を推進し、被虐待児童への支援(保護・ケア・自立支援等)を行います。

(※注3)メディカルコントロール体制:救急現場から医療機関に搬送されるまでの間に、救急救命士等が行う救急医療活動について、医師による指示、指導・助言、事後検証を行い、その質を保障する体制。
(※注4)高次脳機能障害:交通事故や脳血管性疾患などにより、脳に生じた後遺症のこと。記憶障害や注意障害といった認知障害や、社会的な行動障害などをきたす。
(※注5)里親:児童福祉法に基づき、保護者のいない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を養育することを希望する者であって、都道府県知事が適当と認める者。

2 安全の確保(犯罪被害者等基本法第15条関係)

 児童虐待やストーカー行為、配偶者等からの暴力(DV)をはじめとする、暴力的な犯罪等により被害を受けた犯罪被害者等を再被害から守るとともに、再被害の不安から被害の届出等を躊躇したり断念したりすることのないよう支援を行います。

安全の確保施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.DV被害女性等に対する一時保護(再掲1-1-3-2)(人権男女・多文化共生課) DV被害女性等緊急に保護を要すると認められる女性を一時保護し、相談・保護・自立支援等を行います。
2.児童相談所等一時保護施設等の運営(児童福祉課) 児童相談所の一時保護及び母子生活支援施設の入所については、被保護者が安心して生活できる環境の整備に努めます。
3.児童虐待防止(児童福祉課) ア 「群馬県要保護児童対策地域協議会」の運営により県域の関係機関等の連携を図るとともに、市町村における「要保護児童対策地域協議会」への専門職配置など体制強化により、各地域における児童虐待防止に努めます。
イ 児童相談所における警察・学校等の関係機関との連携により、児童虐待の早期発見、再発防止に努めます。
4.児童虐待への対応(児童福祉課) ア 児童相談所において、被虐待児童への迅速な安全対策を講じます。また、施設入所や里親委託等により被虐待児童への支援を行います。
イ 学校・保育所等・医療機関等において虐待が疑われる子を発見した場合は、市町村・児童相談所をはじめとした関係機関と連携し、児童の安全が確実に担保されるよう地域全体での虐待対応力強化を図ります。
5.被害者連絡制度による適切な情報提供(再掲1-3-1-3/2-4-1-16)(警察本部) 一定の事件に関する犯罪被害者等に対して、原則として、事件の捜査状況や加害者の処分状況等に関しての情報提供に努めます。
6.再被害防止措置の推進(警察本部、市町村課) ア 同一加害者によって再び被害を加えられる恐れのある犯罪被害者等を再被害防止対象者に指定し、各種保護資機材の貸与や警戒措置を講ずるなどして、再被害防止を推進します。
イ ストーカー行為や配偶者からの暴力被害者に対して、 住民基本台帳閲覧制限を教示するほか、市町村と連携して適切な支援を行います。
ウ 各市町村が行う住民基本台帳事務に係る研修会の講師として、住民基本台帳閲覧制限等を含む制度の説明及び助言を行います。
7.暴力団等からの被害防止(警察本部) 暴力団等からの再被害を防止するため、警察において「保護対象者」の指定等を行い、各種保護対策を図ります。
3 保護、捜査、公判における配慮等(犯罪被害者等基本法第19条関係)

 保護施設や捜査・公判の過程において、犯罪被害者等に接する関係機関の職員等が二次的被害を与えることがないよう配慮を求めるとともに、カウンセリング体制を充実する等、犯罪被害者等の精神的な負担軽減を図ります。

保護、捜査、公判における配慮等施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.女性警察官等の効果的な活用(警察本部) 性犯罪捜査に対応するため、女性警察官等の活用に配慮します。
2.ビデオリンク(※注6)等の保護措置の周知(警察本部) 犯罪被害者等を保護するため公判廷におけるビデオリンク等の保護措置について周知に努めます。
3.警察施設における環境改善(警察本部) 犯罪被害者等の事情聴取に当たっては、安心して聴取に応じられるよう、その心情に配慮し、応接セットを備えたり、照明や内装を改善した部屋を利用するなど環境の改善に努めます。
4.外国籍犯罪被害者等への対応(警察本部) 外国籍の犯罪被害者等の被害申告時、通訳人の確保や母国と異なる日本での司法手続きについて説明する等、個々の実情に応じた適切な対応に努めます。
5.カウンセリング体制の充実(警察本部) カウンセリング技術を有する警察職員に対し専門的研修を行うことにより、その技術・能力の向上に努め、当該職員の積極的な活用によるカウンセリングに努めます。また、精神科医やカウンセラー、被害者支援団体等との連携を図るなど、犯罪被害者のニーズに応じた適切なカウンセリングの実施に努めます。
6.被害児童からの事情聴取における配慮(警察本部、児童福祉課) 被害児童の事情聴取において、検察庁、警察、児童相談所等の関係機関が事前に協議を行い、関係機関の代表者が聴取を行うことを積極的に検討するほか、聴取の場所、回数、方法を考慮する等、被害児童に配慮した取組を進めます。

(※注6)ビデオリンク:性犯罪被害者等が、刑事事件の証人として法廷で証言することが大きな精神的負担となるような場合、その負担を軽減するために証人は別室に在席し、法廷と別室をケーブルでつなぎ、 モニターを通して尋問を行う証人尋問の方法。

重点課題3 刑事手続への関与拡充への取組

現状と課題

 事件の当事者である犯罪被害者等は、捜査や公判等の刑事に関する手続、少年保護事件の調査や審判等の手続に関し重大な関心を持っているため、犯罪被害者等が自らこのような手続に関わっていくことを望む場合も少なくありません。
 こうした状況を踏まえ、平成20年に刑事裁判における犯罪被害者参加制度(証人尋問、被告人質問等への参加)や、被害者等による少年審判の傍聴等の制度が導入されました。
 引き続き、刑事手続及び少年保護事件の手続に関する情報提供を行う必要があります。

具体的な施策

1 刑事手続への関与のための犯罪被害者等に対する情報提供の充実(犯罪被害者等基本法第18条関係)

 犯罪被害者等が、捜査や公判等の刑事に関する手続、少年保護事件の調査や審判等の手続への参加を望む場合、刑事裁判における犯罪被害者参加制度(証人尋問、被告人質問等への参加) や被害者等による少年審判の傍聴等の制度等の情報提供を行います。

刑事手続への関与のための犯罪被害者等に対する情報提供の充実施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.「被害者の手引」の活用(警察本部) 事件の態様に応じ、犯罪被害者等に対して、被害者等が必要とする情報を取りまとめたパンフレット「被害者の手引」を配布し、犯罪被害者等のニーズに応じた情報提供に努めます。
2.各種刑事手続における適切な説明、情報提供等(警察本部) 公判記録の閲覧・謄写、不起訴記録の弾力的開示等に関する現行制度の周知に努めます。
3.被害者連絡制度による適切な情報提供(再掲1-2-2-5/2-4-1-16)(警察本部) 一定の事件に関する犯罪被害者等に対して、原則として、事件の捜査状況や加害者の処分状況等に関しての情報提供を行い、各種支援制度の案内に努めます。
4.検視及び司法解剖時における適切な説明(警察本部) 検視、司法解剖を行う際には、遺族等への適切な説明を行い配慮に努めます。
5.交通事故捜査体制の強化等(警察本部) 科学的捜査のための研修の実施及び各種資機材の効果的な活用等交通事故捜査体制の強化に努めます。

基本方針2 支援体制整備への取組の推進

重点課題4 支援等のための体制整備への取組

現状と課題

 精神的に大きなショックを受けている犯罪被害者等に対して、途切れることのない円滑で適切な相談体制を充実していくことは重要です。
 相談者のニーズは多様であり、時間の経過に伴い求める支援も変わってくることから、犯罪被害者等を対象とした専門的な相談窓口の整備とともに、県や市町村における総合的な窓口の設置やインターネットを通じた情報提供等、誰もがいつでも相談し、情報を入手できる体制を構築していくことが必要です。
 加えて、犯罪被害者等の相談や支援に携わる者には、犯罪被害者等の心身の状況に応じた専門的な知識・技術等が求められるほか、コーディネーターの育成等も必要です。また、支援施策推進のため、犯罪被害者等の支援に関する県民意識の把握や、犯罪被害者等の状況に配慮した的確な支援体制を構築するため、犯罪被害者等のニーズを把握することも求められています。
 また、民間被害者支援団体は、犯罪被害者等がいつでもどこでも必要な支援を受けるためには必要不可欠な団体ですが、その活動は寄付やボランティアに支えられています。
 このことから、犯罪被害者等の支援に際し重要な役割を果たしている団体の活動について、広報啓発等を行い県民の理解を得る必要があります。

具体的な施策

1 相談及び情報の提供等の総合的支援(犯罪被害者等基本法第11条、第23条関係)

 犯罪被害者等が直面する問題について、専門的に相談に応じることができる窓口を整備し、県や市町村における総合的な窓口の設置やインターネットを通じた情報提供等、誰もがいつでも相談し情報を入手できる体制を構築します。

相談及び情報の提供等の総合的支援施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.犯罪被害者等支援総合窓口による情報提供等(人権男女・多文化共生課) 群馬県ホームページの「犯罪被害者等施策」において、随時情報を更新し、広く県民に情報提供を行うとともに、犯罪被害者等からの意見や要望を受け付けます。
2.相談支援体制の充実強化(危機管理室、人権男女・多文化共生課) ア 相談支援体制の充実強化を図るため、犯罪被害者等の相談・支援に携わる相談支援員の充実・育成に努めます。
イ 大規模交通事故発生時に備え、被害者等支援体制の強化に努めます。
3.県性暴力被害者サポートセンターの運営(人権男女・多文化共生課) 県性暴力被害者サポートセンターを運営し、性暴力被害者に対して、専門の相談員による電話相談・面談、支援のコーディネート、支援機関等への付添い・同行支援、産婦人科医療の提供、法律相談・カウンセリング等の専門相談を行う体制を整えます。また、同センターの広報啓発に努めます。
4.各種広報啓発資料の作成・配布(消費生活課、人権男女
・多文化共生課)
各種広報啓発資料の作成・配布に努めます。
5.DV被害者等に対する情報提供、相談支援(人権男女・多文化共生課) DV被害者が、情報を容易に入手できるよう広報啓発に努めるとともに、女性相談センターにおいてDV被害女性等への相談支援を行います。
また、配偶者暴力相談支援センターの設置を進めるとともに関係団体との連携体制を強化します。
6.児童虐待への的確な対応(児童福祉課) 児童虐待に対して、必要な時に的確に対応できるよう、児童相談所における夜間休日の連絡体制や相談体制の充実に努めます。
7.子育てに関する相談支援(児童福祉課) 子育てに関する相談窓口として、24時間、365日対応の電話相談など、市町村と連携した相談体制を充実します。
また、児童心理司等によるカウンセリングを行います。
8.少年被害者相談(児童福祉課) 犯罪等の被害を受けた少年に対して、相談窓口や各種治療のための専門家、施設について情報提供をします。また、被害者の心理的負担に配慮した面接の実施に取り組みます。
9.障害を理由とする差別相談の実施(障害政策課) 群馬県障害者差別相談窓口を設置し、障害を理由とする差別に苦しむ方への支援に取り組みます。
10.医療機関における情報提供(医務課、人権男女・多文化共生課) 医療機関に訪れた犯罪被害者等が、円滑な支援が受けられるよう、パンフレット等を配備するなど、適切な情報提供に努めます。
11.無料交通事故相談の実施(交通政策課) 交通事故相談所において、専門の相談員が交通事故で悩んでいる方の相談に応じます。
12.公立学校における関係機関との情報の共有(義務教育課、高校教育課、特別支援教育課) 公立学校では、関係機関や関係団体と連携して、情報を共有することにより、犯罪被害者等である児童・生徒の相談体制の整備に努めます。
13.「スクール・カウンセラー」制度の活用(義務教育課、高校教育課) 県内の小・中学校、県立高校に配置されている「スクール・カウンセラー」による相談支援の中で、犯罪被害者等である児童・生徒の相談に応じます。
14.犯罪発生状況の情報提供(再掲3-5-1-12)(警察本部) 犯罪被害者等の個人情報に配慮した、犯罪発生状況等の情報発信活動に努めます。
15.各警察署による各種相談業務の活用(警察本部) ア 各警察署における被害者相談窓口については、各種広報媒体等を活用して広報に努めるとともに、相談者等へ 配慮した相談室等の環境整備に努めます。
イ 警察において、相談等管理システムにより適切な管理を行い、相談内容に応じて部内外の専門窓口へ支援の確実な引継ぎが行われるよう努めます。
16.被害者連絡制度による適切な情報提供(再掲1-2-2-5/1-3-1-3)(警察本部) 一定の事件に関する犯罪被害者等に対して、原則として事件の捜査状況や加害者の処分状況等に関しての情報提供を行い、各種支援制度の案内に努めます。
17.被害者支援要員制度の適正な運用(警察本部) 事件発生当初における被害者やその遺族の心情を考慮した危機介入的な支援を図るため、警察署及び高速道路交通警察隊における被害者支援要員を指定し、犯罪被害者等のニーズに応じた適切な支援に努めます。
18.市町村における適切な情報提供及び各警察署等との連携の促進(警察本部、人権男女・多文化共生課) 市町村における適切な情報提供を促進するため、市町村担当者会議・研修会の開催や、犯罪被害者等支援に関する各種情報等を提供します。また、警察署ごとに設置する犯罪被害者支援連絡協議会において、市町村と各警察署、地域における関係機関の連携を促進します。
19.群馬県犯罪被害者等支援連絡協議会における連携(人権男女・多文化共生課) 群馬県犯罪被害者等支援連絡協議会を活用し、関係機関との連携・支援体制を強化します。
20.少年育成センターによる支援(警察本部) 児童虐待や福祉犯罪(※注7)被害を受けた児童に対して、カウンセ リングや居場所づくり等体験活動等への参加促進、就学・就労の支援等を推進します。
21.少年の悩み事相談窓口における対応(警察本部) 少年からのあらゆる相談に「電話」「面接」どちらでも少年相談専門員が対応します。

(※注7)福祉犯罪:児童に淫行をさせる行為等、少年の心身に有害な影響を与え、少年の福祉を害する犯罪。

2 調査研究の推進並びに犯罪被害者等の支援に係る人材の養成及び資質の向上等(犯罪被害者等基本法第21条、第23条関係)

 犯罪被害者等の被害の状況に応じて的確な支援が行えるよう、関係機関相互の調整をするコーディネーターの育成や手法を研究するほか、犯罪被害者等の支援に関する県民意識や犯罪被害者等のニーズを把握します。

調査研究の推進並びに犯罪被害者等の支援に係る人材の養成及び資質の向上等施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.犯罪被害者等の支援に携わるボランティア等の養成(人権男女・多文化共生課) 犯罪被害者等の支援に携わるボランティアの養成及び相談支援員の資質向上を図るための研修等を実施し、支援活動の充実強化を図ります。
2.児童虐待防止のための事例検証(児童福祉課) 児童相談所、保健福祉事務所、警察、市町村等の関係者により、児童虐待死亡事例等の検証を行い、再発防止策の着実な実施に努めます。
3.児童虐待予防・虐待防止のための子育て支援人材育成事業(再掲3-5-1-7)(児童福祉課) 児童虐待予防や防止のため、子育て支援の関係者に対して研修を行うとともに、市町村の支援体制の充実を図ります。
また、児童虐待をテーマとした県民講座を開催し、防止のための啓発を行います。
4.一時保護所の職員研修(人権男女・多文化共生課) 女性を一時保護する公的施設において、犯罪被害者等と接する際の適切な対応に関し研修等を行い、犯罪被害者等に配慮した対応に努めます。
5.教職員研修の充実(義務教育課、高校教育課、特別支援教育課) 教職員が、犯罪被害者等である児童・生徒の相談等に的確に対応できるよう研修等を行い、資質の向上を図ります。
6.各種相談業務の向上(警察本部) 警察等相談窓口設置機関において、適切な相談ができるよう、職員教育を行うほか、事例の紹介等を通じて資質向上に努めます。
7.犯罪被害者等支援担当者の資質の向上(警察本部) 犯罪被害者等に直接関わる犯罪被害者等支援担当者に対する研修を行い、資質の向上を図ります。
8.犯罪被害者等支援に関わる県職員の資質の向上(人権男女・多文化共生課) 犯罪被害者等支援に関わる県職員に対して、犯罪被害者等や支援関係者による研修等を行い、各施策内容や職員の資質向上を図るとともに、二次的被害の防止に努めます。
9.市町村職員への研修機会の提供(人権男女・多文化共生課) 犯罪被害者等に対する理解を深めるため、市町村職員に対する各種研修の機会を提供するとともに、二次的被害防止への広報・啓発に努めます。
3 民間被害者支援団体に対する援助(犯罪被害者等基本法第22条関係)

 民間被害者支援団体は、犯罪被害者等がいつでもどこでも必要な支援を受けられるために必要不可欠な団体です。団体の活動を支援するとともに、広く県民への周知を図ります。

民間被害者支援団体に対する援助施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.民間被害者支援団体等への支援の充実及び連携・協力関係の強化(人権男女・多文化共生課) ア 犯罪被害者等の相談支援に当たる民間被害者支援団体に対し、相談員の育成等支援の充実に努めるとともに、連携・協力関係の強化を図ります。
イ 性暴力被害者支援のため、民間被害者支援団体に県性暴力被害者サポートセンターの相談業務を委託し、連携・協力関係の強化を図ります。
ウ DV被害者支援のため、民間シェルターへの助成等を行います。
2.交通遺児支援団体への支援等(交通政策課) 交通遺児に奨学金を給付する公益財団法人佐藤交通遺児福祉基金に対し、事業運営や募金活動への協力を図ります。

基本方針3 犯罪被害者等を支えるための社会気運醸成への取組の推進

重点課題5 県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組

現状と課題

 犯罪被害者等の支援に対して積極的な意思を持ち、ボランティア活動に参加したいと考えている県民がいる一方、犯罪被害者等からは「近所の人や通行人に変な目で見られた」「友人、会社の同僚等周囲の人との関係が変化した」等の意見もあり、周囲の人々の誤解、偏見による悩みや苦しみも被害の一部であると言えます。県民においても、「過度な取材等によるプライバシーの侵害」や「無責任な噂」等、周囲の無理解を人権問題として考える人が多い状況です。
 犯罪被害者等への関心のある人がいる現状と周囲の人々の誤解や偏見に悩まされている実態とのギャップは、犯罪被害者等が必要とする支援への理解不足から生じるものと考えられます。
 このギャップをなくし、周囲の人々の目を気にしながら生活している犯罪被害者等の負担を解消するためには、県民一人一人が犯罪被害者等の置かれている状況や犯罪被害者等が望んでいることを知る機会を持つなど、犯罪被害者等について正しく理解することが大切です。
 そこで、県民の皆さんが犯罪被害者等についての正しい理解と知識を持ち、犯罪被害者等に対する配慮が可能となるよう、学校教育や社会教育を通じて様々な広報啓発活動等を行うとともに、マスコミや企業等に対し幅広い理解を求めていくことが必要です。

具体的な施策

1 県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組(犯罪被害者等基本法第20条関係)

 犯罪被害者等支援への関心が高まる一方、偏見やうわさ等に悩む犯罪被害者等も多いため、県民が正しい理解と知識を持ち、犯罪被害者等に配慮した対応ができるよう、広報啓発を進め ます。

県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組施策一覧
施策(担当所属) 施策の内容
1.児童・生徒への道徳教育(義務教育課、高校教育課、特別支援教育課) 学校での道徳教育において、「命の大切さ」についての指導を行い、児童・生徒が自他の命を大切にする心を育てるとともに、善悪の判断を身に付けさせることにより、規範意識を高めます。
2.学校教育における人権教育の推進(義務教育課、高校教育課、特別支援教育課) 学校での人権教育において、犯罪被害者等の人権問題についての理解を深めます。
3.社会教育における人権教育事業の活用(生涯学習課) 社会教育における人権教育指導者養成講座や指導者の資質向上研修事業において、犯罪被害者等の人権問題を取り上げ、理解を深めます。
4.「犯罪被害者週間」にあわせた集中的な啓発事業(警察本部、人権男女・多文化共生課) 犯罪被害者週間(11/25~12/1)に集中的な広報啓発を実施し、犯罪被害者等の置かれている状況について、県民の一層の理解に努めます。
5.特定期間内における集中的な広報啓発の実施(警察本部、消費生活課、交通政策課、人権男女・多文化共生課、児童福祉課) ア 県民防犯運動等期間中の啓発
イ 交通安全運動期間中の啓発
ウ 人権週間(12/4~12/10)期間中の啓発
エ 児童虐待防止推進月間(11月)中の啓発
オ 女性に対する暴力をなくす運動(11/12~11/25)期間中のDV被害者根絶のための啓発
6.民間被害者支援団体との共同による広報啓発活動(警察本部、人権男女・多文化共生課) ア 民間被害者支援団体が行う各種広報啓発事業を支援し、共同して幅広い理解の促進に努めます。
イ 犯罪被害者等の自助グループ(※注8)が行う啓発活動への支援に努めます。
ウ 配偶者等からの暴力(DV)被害者支援団体が行う啓発活動への支援に努めます。
7.児童虐待予防・虐待防止のための子育て支援人材育成事業(再掲2-4-2-3)(児童福祉課) 児童虐待予防や防止のため、子育て支援の関係者に対して研修を行うとともに、市町村の支援体制の充実を図ります。
また、児童虐待をテーマとした県民講座を開催し、防止のための啓発を行います。
8.県の広報メディアの活用(警察本部、人権男女・多文化共生課) 県の広報メディアを利用して、犯罪被害者等への理解を促進するための情報を積極的に提供します。
9.中学生・高校生を対象とした「命の大切さを学ぶ教室」の開催(警察本部) 中学生・高校生を対象に、命の大切さ等を直接生徒に語りかける「命の大切さを学ぶ教室」を開催し、犯罪被害者等への配慮・協力意識の涵養や次世代を担う者の規範意識の向上に努めます。
10.大学生を対象とした犯罪被害者支援にかかる講義と社会参加活動の促進(警察本部) 犯罪被害者支援にかかる社会参加活動についての大学生の理解を深めるため、大学生に対し犯罪被害者等の立場や支援のあり方等に関する講義等を積極的に行うとともに、社会参加活動の場を提供します。
11.犯罪被害者等に関する個人情報の保護(警察本部) 警察による被害者の実名発表、匿名発表については、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と、マスコミによる報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望等を踏まえ、プライバシーの保護、発表することの公益性等の事情を総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるように配慮します。
12.犯罪発生状況の情報提供(再掲2-4-1-14)(警察本部) 犯罪被害者等の個人情報に配慮した、犯罪発生状況等の情報発信活動に努めます。

(※注8)自助グループ:同じ問題を抱える人同士が集まって意見を交換し、互いに援助しあう活動グループ。

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