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令和5年度第51回群馬県環境審議会議事録

更新日:2023年12月22日 印刷ページ表示

開催日時

令和5年11月13日(月曜日)10時00分~11時34分

開催場所

県庁29階 294会議室 及び Web会議

出席者の状況

  • 委員:17名出席 6名欠席(定足数12名)
  • 事務局(県):環境森林部長、環境政策課長、環境保全課長、廃棄物・リサイクル課長、自然環境課次長、グリーンイノベーション推進課長ほか
  • 参考人等:なし
  • 傍聴人:なし

審議結果

1 開会

2 挨拶

 須田環境森林部長

3 議事

(1)審議事項

 部会に属する委員等の指名について
 一部委員の改選に伴い、板橋会長が「循環型社会づくり推進部会」に属する委員を指名した。

(2)説明事項

 ア 「令和5年版環境白書」について
 「令和5年版環境白書」について、環境政策課長から説明がなされた。

 イ 群馬県の生活環境を保全する条例施行規則の改正について
 水質汚濁防止法施行令等の改正に伴う「群馬県の生活環境を保全する条例施行規則」の改正内容について、環境保全課長から説明がなされた。

 ウ 地球温暖化対策実行計画の一部改定について
 地球温暖化対策実行計画の一部改定について、グリーンイノベーション推進課長から説明がなされた。

その他

 特になし

4 閉会

審議概要

説明事項

ア 「令和5年版環境白書」について

(環境政策課から説明)

【委員】
 騒音のグラフに関し、騒音の種類として夜中に編隊を組んで任意飛行する飛行機の音は含まれているか。

【環境保全課長】
 含まれていない。

【委員】
 公害苦情件数の経年変化を見ると令和2年度に急増し、令和4年度も増えている。これは様々な要因を反映していると思われるが、ある特定の苦情が増えているのか。

【環境保全課長】
 環境白書182ページに苦情の件数・内容に関するグラフがある。
 令和3年度から翌年度にかけ、大気汚染が11件増、水質汚濁が60件減、土壌汚染については変わらず、騒音が15件増、振動が3件増、悪臭が6件増、地盤沈下は0件、その他については81件増加している。

【委員】
 その他が急激に増えているが、自然災害など様々な現象を反映していると思う。どの様な要因で苦情が増えたのか把握しているか。

【環境保全課長】
 詳細は把握していない。

【会長】
 特定の地域から苦情が出ているということか。

【環境保全課長】
 特定の地域から苦情が出ているわけではない。

【委員】
 温室効果ガス排出量について、群馬県として2030年度に最終的に約50%削減する目標がある。
 家庭、企業、組織や関係部所において、削減対策をしたときには最初の年度はすごく効果が出ると思うが、それから先は緩やかに推移していく。それを踏まえ、2030年度の目標達成に向け順調に進んでいるのか教えていただきたい。

【グリーンイノベーション推進課長】
 現行計画では、2030年度の温室効果ガスの削減目標について、基準年度である2013年度と比べて50%削減するとしている。
 資料1で示した2020年度目標は1つ前の計画であり、基準年度は2007年度である。今回のマイナス16.8%減少という結果は、1つ前の計画目標を達成している状況である。
 委員ご指摘のとおり、削減については最初アピールした時には一気に減るが、そこからの浸透が難しい。そのため、2021年度からの現行計画では再生可能エネルギー導入の目標数値も定めている。2030年度までに77億kW(キロワット)増やしていくため、太陽光など様々な再エネ施設を計画に沿って増やしていく。
 省エネについても、企業向け、家庭向けにアナウンスしていきながら、目標達成に向け地道に努力をしていきたいと考えている。

【委員】
 8ページの左下、野生鳥獣に係るデータに関し、現在、クマの被害が増えているが、群馬県での対策について教えていただきたい。

【自然環境課次長】
 クマの被害について、県内の今年度の人身被害は現時点で4件である。過去1番多い年度では7件の被害があった。全体的な状況としては、群馬県内では目撃情報を含め平年並みという状況となっている。
 クマの被害では人身被害や林業における樹木の皮剥ぎ等が問題となっており、計画に基づき捕獲を実施している。
 人身被害の要因としては、里山、中山間地域が過疎となり畑や森林が整備されなくなったことで、クマの生息地域と人々が暮らす地域がかなり隣接し、以前のような緩衝地帯が無くなってきているということがある。
 県としては、柿の木を始めとした実のつくものや畑にあるものを収穫して残さないように注意喚起を行っている。また、クマはかなり臆病であり、隠れる所があるとそこを伝って人が住むところに入ってきてしまうため、なるべく刈払いをすることなどについても啓発を行っているところである。

【委員】
 8ページ右上の「間伐等森林整備面積の経年変化」で見ると、整備面積が昨年より減っている。間伐し、植林した樹木が成長する過程で多くの温室効果ガスを吸収する。間伐の面積は減っているが、成長期の若い森林により吸収量は増加していくという認識でよいか。

【グリーンイノベーション推進課長】
 7ページ左上の温室効果ガス排出量の経年変化で、令和2年度の排出量は約16,000千t-CO2(トンCO2)であるが、この数字には吸収量のデータは入っていない。

【環境政策課長】
 森林整備面積の増減が吸収量にどのように影響するかという質問だと思う。この部分については森林部門が担当しているため責任ある答えができないが、吸収量は面積に応じて算定されると認識している。

【会長】
 間伐面積とCO2吸収量の間には直接関係が無いということか。

【グリーンイノベーション推進課長】
 (間伐を含む森林の適切な施業が、CO2吸収量として目に見えるようになるには一定の時間が必要であり、強い因果関係という意味では)直接の関係があるとは言えない。

【委員】
 鳥獣被害に関し、過疎化により人が住まなくなった際、様々な農作物が残ったままとなり、そこにあるものを狙って動物がやってくるという話であった。食べ物を残さないという注意喚起を行っているという話だが、過疎化地域は、高齢者が多く、亡くなるケースもあり、食べ物を残さないということは現実的には難しいと思われる。
 注意喚起以外で具体的に行っていることや、今後どういったことが必要と考えるかについて、もう少し詳しくお話しいただきたい。

【自然環境課次長】
 クマの被害について多くの報道がされており、県にもクマ対策について要望や意見をいただいているところである。
 クマ被害は、一番身近な市町村に情報が入ってくるので、市町村との連携体制について検討していきたいと考えている。また、過疎化・高齢化で畑や果樹の手入れが難しい部分についての取組もこれから検討していきたいと考えている。

【委員】
 ほかの対策と違って、なかなか具体策が難しいとも思うが、地球温暖化の影響でこのような問題も加速してくる可能性があると思うので、ぜひ御検討いただきたい。

【会長】
 群馬大学でも低電力のネットワークを使った鳥獣被害対策の取組を行っているので、連携いただきたい。

イ 群馬県の生活環境を保全する条例施行規則の改正について

(環境保全課から説明)

【委員】
 六価クロムについては0.05が0.02に、0.5が0.2になり一目瞭然で厳しくなったと分かる。大腸菌群は測定方法が変わるとの説明があり、大腸菌群数3,000個/cm3(コ パー リッポウセンチメートル)から大腸菌数800CFU/mL(シーエフユー パー ミリリットル)に改正されるとのことで、かなり厳しくなるように見える。測定方法が変わったことによる影響を伺いたい。

【環境保全課長】
 チフス菌など糞便性病原菌の指標とするため、本来であれば、基準設定当時に大腸菌を指標としたかったが、まだ技術がなく、大腸菌群数という、ほかの菌も含めたもので基準が設定された。今回、大腸菌数で規制できるようになったのは、技術が進歩し大腸菌のみを測定できるようになったためである。

【委員】
 今回の改正で基本的に基準が厳しくなったという解釈でよろしいか。

【環境保全課長】
 数字としては厳しくなっているように見えるが測定方法が全く違う。大腸菌だけを検出する方法に改正されたので、現在の基準と同等という考え方で、大腸菌数800CFU/mL(シーエフユー パー ミリリットル)で検討されたということである。

【委員】
 今まさに説明いただいたとおり、現在は、特定酵素基質で培養した場合、大腸菌群と大腸菌自体は色が違った形で出てきて、どちらもカウントはできるはずである。
 結論からいうと、どちらも同様に数えることができ、基準となるところはほぼ一緒という形になる。今回は大腸菌数だけが基準になったという認識である。

【会長】
 先ほど、六価クロムの基準が超過していた場合には浄化を命ずるという説明であったが、六価クロムの場合、三価に還元してしまえば、それでもう浄化とみなしてよいということか。

【環境保全課長】
 六価クロムを規制しているので三価に還元する方法も、浄化の一つである。

【委員】
 水質汚濁防止法施行令等の排水基準に関し、どこからどこに排水する時の水を測定するのか教えていただきたい。また、水質特定施設に係る特定排出水規制基準との記載があるが、水質特定施設はどのようなものか教えていただきたい。

【環境保全課長】
 排水基準については、条例も法律も同じだが、工場排水が公共用水域へ出る場所、いわゆる排水口での基準となる。
 特定施設については、法律では1号から74号まで種類があり、法律の規制で足りない場合には各都道府県で規制を設けることができる。そのため、条例でさらに4種類の施設を指定し規制している。

【委員】
 六価クロムについては、人体にかなり有害ということで基準が強化されたと思う。欧米などでは2007年、もう10年以上前に使用が完全禁止にされているとのことだが、日本は規制の強化という段階である。動向が分かれば教えていただきたい。
 規制する場合、各事業場、工場などでかなり取り組まなければならないと思うが、この物質を使っている工場が具体的に県内にどのぐらいあるのか、取組を行っていくために県として何か支援を行う必要があるのか教えていただきたい。

【環境保全課長】
 日本では平成30年9月に、内閣府食品安全委員会において六価クロムの耐容一日摂取量(TDI)が1.1㎍/kg 体重/日(マイクログラム パー タイジュウキログラム パー デイ)で設定され、これに基づき、令和2年4月に水道水質基準が0.05mg/L(ミリグラム パー リットル)から0.02mg/L(ミリグラム パー リットル)に改正された。この改正を受け、昨年4月に環境基準も同じ値に変更され、これを受け今回排水基準が厳しくなるというものである。
 六価クロムを使用している主な事業所について正確な数字が今手元に無いが、基本的にはメッキを行う事業所で使用されていると認識している。

【委員】
 六価クロムは、人体への影響が大きく、発がん物質と考えられているとのことである。ほかの先進国等では廃止されているものが、日本でまだ規制が厳しくなったといっても、使用が許可されている状態である。今後変わっていくと思うので、取組の動向を見ていきたい。


ウ 「地球温暖化対策実行計画の一部改定」について

(グリーンイノベーション推進課説明)

【委員】
 仕事柄、フリーランスで色々な県有施設に行くと、プラごみを分けていないところがある。環境に関する部署や県庁では実施しており、周知も行っているのだと思うが、県有施設に実際に行き、分別が実施出来ていない点を指摘すれば、削減目標である44%にさらに近づけるのではないかと感じている。

【グリーンイノベーション推進課長】
 「ぐんま5つのゼロ宣言」でもプラごみ排出量「ゼロ」を掲げている。県として率先実行していくことが大事だと思っているので、周知にも力を入れていきたいと考えている。

【委員】
 15ページに地球温暖化対策実行計画の改定案として、「中小企業に対して技術的な助言を行う」と記載されているが、中小企業は数が多く、経営的にも厳しいところもたくさんあるため、この取組を事業所で進めていくのはなかなか難しいと思われる。このような対策を取ることにより、中小企業が取組を進められるのか感触を教えていただきたい。

【グリーンイノベーション推進課長】
 再エネ・省エネ対策等にはコストがかかるというのも事実である。中小企業は、足元の経営も大事であり、温暖化対策にはなかなか意識が向かないということを、現場の声として聞いている。
 県としては、経営が厳しいという話と、何をやったらよいか分からないという話が、中小企業の生の声だと思っている。今回の計画では、技術的助言の記載があるが、実は昨年度から中小企業に限らず、脱炭素の経営に向けた経営相談会、専門家による経営相談やセミナーを既に実施しており、今年度も継続的に実施している。
 さらに、「革新的環境イノベーションコンソーシアム」により、大企業等も巻き込みながら、サプライチェーン全体で、脱炭素化に向けた動きをどのように取っていくべきかという課題にも取り組み始めたところである。
 今後は、中小企業の生の声・現状も踏まえたうえで、政策をさらに充実・拡充をしていきたいと考えている。

【委員】
 取組を行ってもメリットが感じられないと、意識がなかなか向かないと思う。取組を行うことにより、どのような効果があるのか、企業に充分伝わるように進めることができればよいと思う。

【グリーンイノベーション推進課長】
 確かに中小企業はメリットがないと、なかなか手を付けづらい。最初の一歩を踏み出せないと思っている。
 大きな話になってしまうが、世界的な脱炭素の流れは、もう後戻りはないと考えており、これから企業には環境に対する意識が求められる時代になってくると思っている。
 県としては、単にコストだけにとらわれずに、温暖化対策を行うことにより、各企業の成長や選ばれる企業になっていくことにつながるというところが、企業側にとってのメリットであると考えている。それをいかに上手く伝えていくかということも県の使命だと考えているので、力を入れていきたいと考えている。

【委員】
 昨日、榛名山の水沢山に登り展望したら、見渡す限り太陽光発電ばかりであった。西毛地区の山あいの谷田がある地区を調査しているが、そうしたところに行っても太陽光発電が非常に多い。地元の人からすれば、放棄地もあるので、太陽光発電は有効活用されているということになると思うが、レッドデータブックに載る絶滅危惧種の多くは里地・里山など人間と接点が多いところに存在しているため、太陽光発電の設置などで種が失われているという現実がある。
 もう1つ気になるのは、他県ではよく実施されている風力発電が計画案でまったく触れられていない点である。風力発電の検討について、実際はどうなっているのか、県民にとっては分かりづらいと思う。
 また、促進地域に含めない区域について、公園や保全地域、保護区などは、線を引かれたその内側だけ守ればよいという問題ではない。生態系という観点からすると、その周りのバッファーゾーンも必要であり、様々な要因を考えながら進めていかないと取り返しがつかない問題が生じてくると思っている。
 太陽光発電や風力発電の問題、促進区域外の扱いについて伺いたい。

【グリーンイノベーション推進課長】
 まず風力については、かつてNEDOの風力発電関係のポテンシャル調査があり、その際に群馬県は風力発電に適していないという客観的なデータが出ている。そうしたこともあり、風力発電はなかなか難しいと考えている。
 促進区域については、区域以外は何でもやってよいということではなく、法的な規制等は全て適用される。また、促進区域の外側においても環境に配慮する事項というものを示している。市町村、企業もそうした規定に基づいて設置をしていくことになる。法的な規定はすべからく適応されるので、そこは従来とは変わらず決して緩くなるというものではないと考えている。
 太陽光について、全体的な考え方が野立てから屋根置きにシフトしていることもあり、乱開発をして土地の安定性を損なうということがないようにしていきたいと考えている。

【委員】
 環境アセスメント法で、太陽光もアセスの対象に追加されているかと思うが、県も同様に対象とする認識でよいか。

【環境政策課長】
 アセスメントについては環境政策課で実施している。条例を令和4年3月に改正し、それまで規制対象外だったメガソーラ発電施設についても、面積要件でアセスの対象としている。令和4年末まであった経過措置が現在終了しているので、今後もし開発する場合で、一定の面積要件に該当すればアセスの対象となる。

【委員】
 中小事業者として、やはり脱炭素化というのは今後のテーマだと考えている。しかし、経営相談やセミナーなどの受け身の取組だと、取組を促進するまでのモチベーションとならない。中小企業でも、どういったところをターゲットにしていくのかといった具体的な取組をぜひ要望する。

【グリーンイノベーション推進課長】
 具体的な取組、また中小企業の取組へのインセンティブとしては、太陽光や蓄電池に関する制度融資を設けている。この制度では、通常の金融機関のプロパー融資よりも低利で借りることができ、より負担がない形で導入ができる仕組みを整えている。また、共同購入事業も実施している。これは、スケールメリットを活かし共同で大量に購入すればそれだけ価格が下がるというものである。3つ目としては、導入時のイニシャルコストを抑える「初期費用0円事業」がある。太陽光設置の業者と組んで、案内をしている。
 このような金融面・ファイナンス面から支援するとともに、先ほどの相談会、セミナーでもう少し先を見据えた長期的な視点に基づく案内もしている。

【委員】
 委員の質問に対する答えの中で、群馬県は風力発電に向いてないとのことであったが、その理由について伺いたい。

【グリーンイノベーション推進課長】
 安定的に風が吹き、風向き・風の強さが安定的に確保できて初めて風力発電として有効となる。確かに群馬県は風が強いが、一時的な強風であったり、風がない時もあったりする、風の向きも安定しない状況では変化が激しすぎるため、風力発電には適しておらず、設置が進んでいない状況である。

【会長】
 今の説明はそのとおりである。ただ、これから蓄電技術が進んでくると恐らく状況は変わると思うので、風力発電を除外するのではなくぜひ検討の1つに加えていただきたい。

【委員】
 今回の計画の改定で市町村や企業、研究分野に行動・取組を広げていただくということで大変うれしく思う。
 夏にIPCCの6次報告書が公表された際、西薗先生に地球温暖化防止活動の中でお話いただき、温暖化の適応・緩和が大事であると伺った。
 地球温暖化は県庁の環境森林部では抱えきれないくらい大きな問題であると考えている。企業に関する部、福祉の部、教育関連、建築部門などと一緒にタッグを組み、環境森林部がサポートする形で協力してもらう動き方を検討してほしい。
 例えば教育関連では運動会の開催時期の見直し提案などが挙げられる。各分野での適応と緩和策が考えられるので、広がりを持った取組をぜひお願いしたい。

【グリーンイノベーション推進課長】
 当課の前身は気候変動対策課であり、もともとは環境森林部に属していたが、昨年4月の組織改正で知事戦略部のグリーンイノベーション推進課となった。狙いとしては、今、委員からお話があったとおり、県庁全体で横串をさして、それぞれの部局にあった取組を進めていくという点にある。
 26ページに、知事をトップとするグリーンイノベーション推進本部の体制図が記載されている。知事部局だけではなく、企業局、病院局、教育委員会、警察といった各組織が一丸となって実施できる体制を昨年度整えたところである。
 今後は、いかにそれを進めていくかがポイントになってくると思っている。