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県内水道事業者の各種危機管理マニュアル策定状況
 地震や洪水などによりライフラインが途絶えると、生活が困難になるだけでなく生命維持が難しくなり、特に水道は、いち早く住民に給水しなければならないライフラインであると言えます。
 日頃から、想定しうる災害等への危機意識を持ち続けることは重要ですが、担当者が被災することも想定した場合、担当者以外の者が応急給水等の手配をしなければならず、その際に誰でも対応できるようにマニュアルを整備しておくことが重要です。
1.水道関連の危機管理マニュアル
市町村等水道事業者が早急に策定する必要のある危機管理マニュアルは、次のとおりです。
(1)地震対策マニュアル
大きな地震(震度5弱以上)が発生した場合の対応マニュアル
(2)洪水(雨天時)対策マニュアル
台風や集中豪雨により、河川氾濫や土砂崩れが発生した場合の対応マニュアル
(3)水質事故対策マニュアル
水質基準超過など健康被害が想定される事故が発生した場合の対応マニュアル
(4)設備事故対策マニュアル
浄水場や配水池などで事故が発生した場合の対応マニュアル
(5)管路事故対策マニュアル
管路が凍結等の何らかの原因で、減断水や濁水など広範囲で社会生活に支障が生じるおそれのある事故が発生した場合の対応マニュアル
(6)停電事故対策マニュアル
停電により水道の安定供給が困難になった場合の対応マニュアル
(7)テロ対策マニュアル
水道施設でテロが発生した場合の対応マニュアル
(8)渇水対策マニュアル
少雨等で河川やダム等からの取水制限がなされる場合の対応マニュアル
(9)応急給水計画、(10)応急復旧計画
<応急給水計画>
長期間の断水など、給水困難な事象が発生し、周辺の水道事業者からの応急給水が必要な状況となった場合の対応マニュアル
<応急復旧計画>
長期間の断水など、給水困難な事象が発生し、自力での復旧が困難なため、他の水道事業者へ応援を求める必要がある場合の対応マニュアル
2.策定状況の現在と将来目標
 令和4年度に策定した水道広域化推進プランにおいて、圏域毎に上記1の(1)から(8)までのマニュアル策定状況を示しているため、これに災害時の相互応援に係る(9)と(10)を加えて市町村等水道事業者を対象に調査をしました。
 また、現在の策定状況の他、今後(令和10年度末及び令和15年度末)の整備目標を併せて調査しました。
| 区分 | 水道事業者 | 令和6年度末 | 令和10年度末 | 令和15年度末 | 
|---|---|---|---|---|
| 県央 | 前橋市 | 100 | 100 | 100 | 
| 高崎市 | 90 | 100 | 100 | |
| 伊勢崎市 | 90 | 100 | 100 | |
| 渋川市 | 100 | 100 | 100 | |
| 榛東村 | 90 | 100 | 100 | |
| 吉岡町 | 80 | 100 | 100 | |
| 玉村町 | 44 | 100 | 100 | |
| 西部 | 藤岡市 | 100 | 100 | 100 | 
| 富岡市 | 100 | 100 | 100 | |
| 安中市 | 50 | 100 | 100 | |
| 上野村 | 100 | 100 | 100 | |
| 神流町 | 20 | 20 | 100 | |
| 下仁田町 | 70 | 100 | 100 | |
| 南牧村 | 0 | 40 | 40 | |
| 甘楽町 | 100 | 100 | 100 | |
| 吾妻 | 中之条町 | 100 | 100 | 100 | 
| 長野原町 | 100 | 100 | 100 | |
| 嬬恋村 | 80 | 100 | 100 | |
| 草津町 | 100 | 100 | 100 | |
| 高山村 | 0 | 100 | 100 | |
| 東吾妻町 | 0 | 100 | 100 | |
| 利根沼田 | 沼田市 | 0 | 0 | 100 | 
| 片品村 | 60 | 100 | 100 | |
| 川場村 | 100 | 100 | 100 | |
| 昭和村 | 10 | 100 | 100 | |
| みなかみ町 | 0 | 100 | 100 | |
| 東部 | 桐生市 | 90 | 100 | 100 | 
| みどり市 | 40 | 100 | 100 | |
| 群馬東部水道企業団 | 90 | 100 | 100 | |
| 水道用水供給事業(県企業局) | 100 | 100 | 100 | |
※策定する必要のないマニュアルであることが明らかな場合は、当該マニュアルを除いた策定済みマニュアルの割合(%)としています。
3.まとめ
 令和6年度調査の結果、令和6年度末時点で一つも策定できていない水道事業者は昨年度の8事業者から5事業者に減少し、全体の策定率は昨年度の54%から67%に増加しました。
 一方、将来の策定目標では、令和10年度末は昨年度の94%から92%に、令和15年度末は昨年度の100%から98%にそれぞれ減少する結果となりました。
 群馬県では、人員不足等でマニュアル策定ができない水道事業者に対し、災害レジリエンス向上に不可欠な各種危機管理マニュアル策定に向けて積極的に後押しし、全市町村水道事業者の策定率100%を目指します。








