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令和5年度群馬県社会教育委員会議臨時会 開催結果について

更新日:2024年3月28日 印刷ページ表示

1 日時

 令和6年2月6日(火曜日) 14時00分~16時00分

2 開催方法

 オンライン開催

3 出席者

 社会教育委員 7名
 県教育委員会 7名

4 議事

(1)社会教育関係団体への補助金について

[事務局による説明]
・支援団体への補助の概要について配付資料により事務局から説明を行った。

(2)高齢者・障害者のニーズに応じた生活に必要な学びの支援について

[事務局による説明]
・上記の議事について、配付資料により事務局から説明を行った。

[委員からの主な意見・発言等]

​【A委員】
 文部科学省の資料から長寿社会における生涯学習の在り方について紹介する。若返る元気な高齢者とあり、私が公民館で出会った元気な高齢者が「何でも興味があることをやってみることが若返りの1つだ」と言っていたことを思い出した。資料には高齢者の生涯学習に必要な多様な学習の機会の提供についてまとめられている。(1)個人の自立のための学びが重要であり、身体的にも経済的にも自立して生活を送っていくための体系的な学びが必要。(2)地域参画・社会貢献のための学びが重要であり、コミュニケーションを円滑に行って地域において新たな人間関係を形成するなどの学びが必要。(3)高齢者こそICTリテラシーの基礎を学ぶことが必要。(4)死をめぐる学びも必要。また、コーディネート機能の整備について、人材の養成や活用が必要。その他、社会教育施設や学校、大学、民間組織等の役割も書かれている。次に、私は公民館運営審議会の委員をしているので高崎市の公民館事業について紹介する。各公民館が工夫をし、高齢者を対象にいろいろな事業を行っている。シニアの初めてのスマホ教室やインターネット教室などICTに関する講座が非常に多くなっている。他にも健康講座などがある。公民館以外にも長寿センターで高齢者の生きがいづくり、健康づくり、仲間づくりのための事業が行われている。

[事務局説明]
欠席した委員の資料について事務局から補足説明を行った。

【B委員】
 中之条大学について紹介する。中央公民館主催でたくさんの講座が行われ、年間で延べ2,140名が参加している。内容は、スマホや健康、地域の文化財など多岐にわたっている。町民全員が対象だが、平日の日中の開催が多いため60歳以上の参加が多いとのことである。ただし、高齢者に限っているわけではないので、内容によりいろいろな世代が一緒に参加できるところがいいことかと思う。退職して時間ができたら参加してみたいと思うものがたくさんある。

【G委員】
 資料1が全体を網羅した説明資料であり、この会議にとって参考となる資料であった。それに基づいて桐生市の南サロンや中之条大学、高崎市の公民館の取組について知ることができた。資料だけを見ると、誰一人取り残さないというよりは高齢者が非常に元気で、多様な場面で活躍している様子がよく見えてきた。活躍している高齢者を社会教育行政としてどのように支えていくかは重要であるが、一方で、そうではない高齢者もいると思う。むしろ、今回の誰一人取り残さない社会という視点から言えばそちらに注目すべきと考える。これに関連して、高齢者の単身世帯などに関する数字的な情報を事務局より紹介していただきたい。

[事務局説明]
群馬県における高齢者の割合、人口に係る資料について事務局から説明を行った。

【G委員】
 大変リアルな数字である。少し前の数字ではあるが66,000人がひとり暮らし世帯でいることが数字上はっきりしている。実態としてはもう少し多いのかもしれない。正月明けに政府が発表している人口の推計では、2100年の日本の人口が6,300万人。75年後には今の人口の半分まで下がるということである。随分先と思うかもしれないが、少なくとも今の小学生たちはその社会を目にすると思う。とにかく急激な速さで人口が減っていくことが予測されており、群馬県としても人口は減ることは必然だがその内訳がかなり厳しい。世帯数は増えていくが人口は減っていくため、特にひとり暮らし世帯が増えていく状況になり、これによってひきこもりなどの様々な課題を抱えた高齢者もいるであろうということである。各委員のそれぞれの立場からお考えなどをお聞かせいただきたい。

【C委員】
 実際には地域と学校がなかなかうまく結びついていないのが実態ではないか。今は部活動の地域移行のことで地域への働きかけがされていて、高齢者に関しては、学校との関わり合いやそこにPTAが介在するなどの接点はないだろうと思う。私個人としては、地域の役員をしていて、敬老会のようなことを毎月開催し、地域の元気な高齢者相手にセミナーや食事会などしているが、そこには保護者との接点がなかなか出てこない。どうしても保護者の関心は、育成会的な子どもたちに対する行事などに向いてしまう。高齢者に関しては、PTAの立場からこれといって皆さんにお伝えすることはないかなと思う。

【G委員】
 今、国の方針としても地域とのつながりや連携について様々な場面で打ち出されている。確かに高齢者のためというより子どもたちや学校のためだと思うので目的が違うかもしれないが、連携先としては大いにあり得るかなと思った。他の委員はいかがか。

【D委員】
 高齢者の活躍の場として、フリースクールも1つ担える可能性はあるかなと思う。先程説明のあった文部科学省の資料にも民間組織の役割についての記載もあった。高齢者が主体で活躍する場としてはICTが有効かなと思う。NPO法人はいろいろな方針がある中、すべてに合致することは難しく、高齢者に限ったことではないが、考え方の違いでなかなか定着されないことは往々にしてある。まずは現状の理解から、情報提供に段階を踏んでいくことが重要であるかなと思う。もう1つはすごく課題であるが、民間もそれぞれ考え方が違うので、きっとどこかに活躍ができる場所はあると思う。団体と直接繋がっていると、そこから横の広がりはなかなか難しいかと思うので、ハブになるような組織、例えば社会福祉協議会などとの連携をさらに広げ強くしていくのが重要なのかなと思う。

【G委員】
 先程ハブ、あるいはつなぐという話があった。団体やサークルに所属してそれぞれ取り組まれて活躍しているが、意外と縦割りの関係になっていたり、横の繋がりがつくれずにいたりする。そういったことに対するハブというかコーディネートするような機関や団体の重要性についての話であった。社会教育行政がそういった役割を果たすということもある。しかし、今のお話からすれば、社会教育行政は公民館で活躍している人は見えていると思うが、家の中にひきこもっていたりなかなか人と交わることができずにいたりする高齢者などの課題を抱えている人が見えにくい構造にあるかもしれない。そういった人たちが見えている社会福祉協議会や特定のミッションに取り組むNPO法人などの機関や団体と社会教育行政が連携する。そのような中で生きづらさを抱えている人を徐々に可視化、見える化していく。その先できっとコーディネートが必要になってくると思う。今の話を聞いて、社会教育の側からなかなか見えにくいのかなということ、そしてそうであれば見えている人たちと連携していく必要があると思った。他の委員はいかがか。

【E委員】
 私の地域にはひとり暮らしの人をどうしたらよいかという話から始まった居場所の会がある。各行政区にほとんどあるようで、町からも補助が出て活動をしている。長寿会に入っている人が多くひとり暮らしの人もいる。包括支援センターから講師を招き、上毛かるたや輪投げ、カラオケ、誕生会を行うなど楽しく活発に活動している。また、地域にある中央公民館では、さわやか教室を年間8回くらい行い100名くらいが参加している。私も会員になっていて、会員カードを持っていくと参加することができる。安全や人権に関する映画を見たり、バスで八ッ場ダム資料館の見学に行くなど地域を離れて研修したりしている。

【G委員】
 居場所の会はひとり暮らしの世帯の方を対象にした事業か。地域で団体に入っていない方を招くのはなかなか難しいと思えるが、どのような方法でその人たちにアプローチするのか。やはり、包括支援センターの情報や支援があってアプローチできるのか。

【E委員】
本来はそうだが、一般の長寿会の方や入ってない方も参加している。隣近所の人や長寿会の人がこのような活動があるので参加してはどうかと誘っているようである。30名くらいが参加している。

【G委員】
 この情報は貴重な話である。団体に入りませんかと誘うことはよく聞くが、入っていない方も対象にして声をかけることは素晴らしいと思った。今までいくつか論点が出された。1つは皆さんからたくさん提供していただいた情報でこれはすべて今後の議論のベースになると思う。それから、先ほどの居場所の会などの地域としての取組み、あるいは社会教育、公民館としての取組み、そして多様な受け皿というか活躍の場があるということ。一方で、生きづらさを抱えている人たち、特に高齢世代は見えにくいところもあり、委員から出されたキーワードでハブ、コーディネート、あるいはそういった人を知っている社会福祉協議会などの団体との連携が、今までの話から重要であると感じた。この後、障害者の学びの支援について話を進めるがよろしいか。

【A委員】
 文部科学省の資料から障害者の生涯学習の推進方策について紹介する。障害者の特徴を踏まえて考慮すべき事項があり、一人一人の障害に合わせたニーズ、特性に寄り添いながら学びの場をつくっていくことが求められている。視聴覚障害者の学びについては、先天性なのか途中から失明かによっても、学びに関するニーズが異なるとありなるほどと思った。環境が整うことも実際必要なのだろうと思う。聴覚障害者の学びについては、学習プログラムにおいてICTの活用やコミュニケーション等を学ぶプログラムが求められている。肢体不自由者、動きの困難者の学びについては、障害の有無にかかわらず社会の中でともに学ぶことができるよう環境の整備を整うことが大切である。難病の患者等の学びについては、その地域における難病患者への理解を広めることが求められ、手伝って欲しいこと、周囲に伝えて理解を得る力を育むことも重要である。精神障害者の学びについては、精神障害のリカバリーを目指す学びの場づくりが求められている。発達障害者の学びについては、ピアサポーターの確保が有効であり、自分に合ったロールモデルと出会うことができるような学びの場づくりが求められている。重度重複障害者の学びについては、生涯学習ニーズとして音楽を楽しむことや健康体づくり、アロマセラピー、読書活動などが挙げられ、これもICTを活用した意思伝達、意思表示装置、タブレットを活用して音楽に関する活動や身体活動に関するプログラムを開発していくことが重要であり、障害者のニーズに合った課題も踏まえながら、プログラムの開発が必要であり、寄り添いニーズを聞くことが大切である。本人のニーズを踏まえた学びに関する相談支援体制づくりということで、何かしたいと思っても体が言うことをきいてくれないこともあるので、そういったときには寄り添い、相談にこたえられるような体制づくりが大切である。国や地方公共団体に求められる取組、特別支援学校や大学に期待される取組も書かれている。ここでも社会福祉法人やNPO法人、企業、民間団体に期待される取組が書かれていた。次に高崎市の公民館で1年間に行った高齢者や障害者対象の事業一覧について紹介する。障害者対象の事業は全体で1つである。環境をつくる、寄り添う、専門的な知識を持った人が常駐しているなどが求められるとなると、公民館は地域で近くなので行きやすいが、主催する側としては開催しにくい面があると思った。高崎市には他に心身障害者会館で社会活動やレクリエーションが行われていたり、心身障害者のデイサービスセンターや総合福祉センター、地域活動支援センターで催しが行われたりしていることがわかった。そこも数は多くなく、障害者が誰一人取り残されないことを考えるとまだ賄えてないのかなというのが実情である。全国の取組については令和4年度障害者の生涯学習支援活動に係る文部科学大臣表彰事例集から紹介する。群馬県は太田点訳奉仕の会が表彰されていて、全国のいろいろな取組が掲載されているが、連携先は社会福祉法人や特別支援学校、スポーツ協議会などで、一番身近にある公民館はバリアフリーでなかったり場が整っていなかったりとやりづらい面があるのかなと思った。

【B委員】
 学校での学びの支援、障害のある子どもの学びの支援の事例について紹介する。学校では特別支援学級や通級指導教室があるが、学校の中だけで支援を完結しているわけではなく、いろいろな機関と連携して支援を行っている。ここでは、あがつま相談支援センターやまばとについて紹介する。対象は集団生活においてサポートを必要とする子どもや困り感のある子どもで、障害のあるということに限らず困り感のある子どもみんなが対象である。内容は、支援センターの相談員が学校を月に1回くらい訪問し、子どもたちの授業の様子を参観して担任とその子の様子や困りごとにどう支援したらよいのかなどを相談する。例えば黒板をノートに写すのが苦手だという場合にタブレットで写真を撮りその後でそれをゆっくり写すのもいいんじゃないかとか、具体的なサポートの仕方などを相談している。また、保護者が相談員に困りごとを聞いてもらったり相談したり、子どもも支援センターに行きトレーニングなどいろいろなサポートを受けている。学校以外の場でも福祉と繋がり、子どもの学びのサポートがされている事例である。

【G委員】
やはり関係機関との連携がないとこうした課題に向き合っていくことが難しく、連携が必要だということがよく理解できたと思う。

【F委員】
 私からは障害者のニーズに応じた生活に必要な学びの支援ということで、生涯学習の前段階になるが学校ではどんなことをしているのか特別支援学校の取組について紹介する。学校によって取組が違うので本校の内容についてということで紹介する。特別支援学校は、障害のある幼児、児童、生徒に対して、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識、技能を授けることを目的とする学校と文部科学省でも定義されている。障害の種類は視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱の5つの障害種がある。これらのうち2つ以上の障害をあわせ有している場合がありそのような場合を重複障害と言っている。群馬県では、視覚障害、聴覚障害、病弱、それぞれ特別支援学校が1校ずつ、肢体不自由の学校が3校ある。特別支援学校卒業後、高等学校に行く子もいる。知的障害の学校は今から10年ぐらい前に特別支援学校の未設置地域を解消するという取組があり現在すべての地域にある。ただ、知的障害の学校でも、特別支援学校に名前が変わり、肢体不自由や視覚障害、聴覚障害などをあわせ有する子どももみんな受け入れている。特別支援学校では、国語や音楽など、一般の教科の他に、自立活動という学習領域がある。これは特別支援教育にだけある領域で、個々の児童または生徒が自立を目指し、障害による学習上または生活上の困難を主体的に改善、克服するために必要な知識、技能、態度または習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培うというねらいがある。これは学習指導要領に書かれている文言であり、内容とすると健康の保持、心理的な安定、人間関係の形成、環境の把握、身体の動き、コミュニケーションの6つの区分があり、その中に全部で27の項目がある。これらの中から、それぞれの児童生徒に必要なものを選んで学習する。すべてを学習するわけではない。しかも、教科書があるわけではないので、教師が学習活動を考えて実施する。例えば、自閉症のある幼児、児童、生徒で他者に自分の気持ちを適切な方法で伝えることが難しいときに、みずから自分を叩いてしまったり、他者に対して不適切な関わり方をしてしまったりすることがあり、このような場合は、自分を落ち着かせることができる場所に移動して、慣れた別の活動に取り組むなどの経験を積み重ねていきながら、その興奮を沈める方法を知ることや、様々な感情を表したカードやメモなどを用いて、自分の気持ちを伝えるなどの手段を身につけられるように指導する。そういった学習が自立活動という学習になる。知的障害の特別支援学校では生徒たちは高等部を卒業するとすぐに社会に出て行くため、本校では学校独自教科として社会生活という教科を設け、自作教科書を作って授業を行っている。社会生活ではすてきな社会人になろうを合言葉によりよく働く、暮らす、余暇を過ごすために必要な知識や技能を身につけていくことを目指している。本校で作っている自作の教科書には、仕事における報告の仕方、挨拶をするときのポイント、電子マネーの使い方、毎月の生活費、携帯電話の安全な使い方など、日常生活を営む上で欠かせない事柄を載せている。特別支援学校には、作業学習という学習があり、作業活動を学習活動の中心にしながら、児童生徒の働く意欲を培い、将来の職業生活や社会自立に必要な事柄を総合的に学ぶものとして設定されている。作業活動の種類は、木工、縫製、農耕、受託、鹿革加工、軽作業など様々なものがある。学校によって異なっていて各学校の特色がかなり出る部分でもある。作業学習を発展させたものとして就業体験実習があり、学校によっては現場実習、職場実習などとも呼ばれている。これは特別支援学校の学習指導要領でも産業現場等における実習として位置付けられているが、現実的な条件下で生徒の職業特性等を明らかにし、職業生活ないしは社会生活への適用性を養うことを意図するとともに、働くことに関心を持つことや、働くことのよさに気づくことなど、将来の職業生活を見据えて基盤となる力を伸長できるように実施していくものである。学校が企業、作業所また福祉施設などにお願いをして実習が実現するが、実習先については生徒自身や保護者とよく相談をしてそれぞれの実態に合うように、そして高等部卒業後の進路選択に繋がるような実習先でいくつか体験をするということになる。そしてそのまま卒業後の進路決定に繋がるようにしていくわけである。本校の場合は、高等部の1年生の3学期から高等部3年生の2学期までで各学期に1回ずつ合計6回就業体験実習を行っている。1回の実習期間は人によって違うが1週間を通して実習することが多い。そして、実習中は自宅から実習現場に通う。これは、保護者が送迎することがほとんどで、将来、職場に行くときに家庭がどのような動きをするのかということを確認することも実習の一環ととらえている。また、本校独自の取組としてしろがねデュアルがある。デュアルシステムと呼ばれているもので、企業と学校とで職業訓練を実施していくものである。近くにB型の作業所があり、日頃の作業学習の授業をその作業所に行き行っている。全員がやるのではなく学校が推薦した生徒たちが行っている。県内の高等部のあるすべての特別支援学校では、障害者雇用の促進を目指して、企業採用担当者の方を対象に学校見学会を行っていて、毎年多くの企業が参加されている。学校見学会の際に、実際に障害者雇用をしている企業から障害者雇用の現状についての話もあり、時には本校の卒業生で一般就労した方が一緒に来て話をするようなこともある。知的障害の特別支援学校を卒業した後、どんな進路に進むのかということはあまり知られていないと思う。生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、地域活動支援センター、施設入所支援、グループホームなど多岐にわたる福祉サービスを受けていて、これらの中からどの進路先を選んでいくかについては保護者とよく相談をして決めていく。高等部を卒業すると、家庭に戻り保護者が主でやっていくことになるので保護者がいいところを一番優先して選んでいく形になる。最後に少し話が変わるが、本校では昨年度から強度行動障害に係る共同研究を行っていて、本校が研究拠点校で研究協力校は3校ある。共同研究者は国立のぞみの園と群馬県教育委員会特別支援教育課である。これは非常に全国的に先進なことであり全国でここだけが行っている研究である。今、強度行動障害がクローズアップされていて、強度行動障害のある人を受け入れてくれる施設などがなくて高等部を卒業した後などに家庭で24時間見なくてはいけないがとても見切れないで家族がもうどうしようもないほど疲弊していて、このままでは下手をすれば子どもを殺してしまいかねないというようなせっぱ詰まった現状が数多くある。先日はNHKテレビでも特集が組まれていてこのような状態のある人に対してどのように支援していくとよいのかそういったことも研究して将来につなげている。

【G委員】
 自作教科書であるとか、学校ごとにかなりプログラムに独自性があり、教員の皆さんはかなりの試行錯誤をするなど工夫して取り組まれていることが理解できた。こうした流れは強まってきているのかお聞きしたい。すべての子どもたちに開かれるということは、多様な子どもたちが学校に来ることになり、確立された教育方法や内容ではとても対応できず、教育する側の相当な試行錯誤が必要であることを強く実感した。

【F委員】
 日本では、平成19年度から特別支援教育が始まっていて、それまでは特殊教育と言われていて、その時は限られた場所で限られた子どもたちだけを教育するということで、言い方が少し悪いが閉鎖的な感じがあったと思う。しかし時代の流れとともに、平成19年度からすべての子どもに対して特別支援教育をすると変わったので、先ほど話があったように、小学校でも中学校でも困り感のある子どもに対してはみんな支援をしていくようになったので、本当に大きく日本は変わってきているんだろうと思う。そして群馬県でも知事がインクルーシブと言っているのでもっともっとまた変わっていくんだろうと思うし、本当に手探り状態でやっている状況で毎日苦戦している。

【A委員】
 すごいな、毎日大変だろうなと思った。私が小学校の教員時代、次年度に特別支援学級ができるので高崎市の特別支援学校を見学しに行ったことがあった。そのときに、子どもたちが様々なことをしている光景を見て、特別支援学校の先生には、頭が下がる思いです。話を聞いて1クラス何人くらいいるのかと強度行動障害に関わる共同研究のことで学校には何人くらいいるのか教えてもらいたい。

【F委員】
 法律上は、小中学校にある特別支援学級が1クラス8名で特別支援学校は6名。高等部になると8名で重複障害のある方については1クラス3名。ただ実際はもう少し少なくなっている。また、強度行動障害の状態にある方は多くいるが、全員についてケース検討ができないので、毎年4名ずつ検討している。実際はもっといる。

【B委員】
 小学校の様子について紹介する。特別支援学級に在籍している子どもはそこでその子の特性に合わせた勉強をするとともに、協力学級で同じ学年の子どもと一緒に勉強する場面もたくさんある。インクルーシブ教育についての話があったが、通常学級の子どもと一緒に同じ内容で学び、その時にその子に必要な支援をしてなるべく社会の中で一緒に生きていけるような力をつけていきたいということで特性に合わせた教育とみんなと一緒に学ぶ場面を小学校では大切にしている。

【C委員】
 普段から障害のある子ども達が健やかに育つ環境をつくっていただいていることに感謝する。伊勢崎市では特別支援学級の文房具などの消耗品は学校の予算から出ないため、障害児をもつ育成会の方々が支援していた。それがなくなり今はPTAが支援している。こういったことはこれから先私達が対応を考えていかなければならない問題だと思う。

【D委員】
 子ども一人一人の卒業後のことを具体的に想定されていて素晴らしいと思った。他の学校も社会的な自立に向けた方針のもと子ども達に働きかけているのか伺いたい。また、特別支援学校に在籍しているが登校できていない子は学校からするとどのような扱いになるのか伺いたい。

【F委員】
 1点目について、一人一人の出口を具体的に想定するというのはどの特別支援学校もやっていると思う。保護者は特別支援学校を卒業した後にどのような進路を取るかについて全く想像ができないと思うので、学校にもよるが小学部から小中高12年間を見据えながら進路指導をしている。また、視覚障害、聴覚障害、病弱、肢体不自由の中には、知的障害がない子どももたくさんいるので他の小中学校と同じように高校や大学という進路がある。知的障害があると進路が変わってくるところがあるので、小さいころから進路講演会などで保護者に卒業生の進路や将来の生活、余暇活動について話し見通しを持っていただくことはすべての特別支援学校でやっている。2点目については、高等部は義務教育ではないので退学して違う道を選ぼうと考える方もいるなど一概には言えないが、フリースクールに行き社会と繋がれているのならその子は幸せだと思った。18歳になった後はもう見みられないのでその後の進路はやはり保護者とよく話していかないと家庭が大変になってしまうとも思った。

【G委員】
 今紹介された特別支援学校の状況だけを見ても、かなりの専門性が必要で容易なことではないことに対して社会教育行政がどう取り組んでいけるのか。ハードルが高いことを改めて感じた。それでも県内にいくつか取組の事例があり、その中から邑楽町中央公民館の取組について事務局から説明をいただきたい。

[事務局説明]
邑楽町中央公民館のおうら青年学級について事務局から説明を行った。

【F委員】
 おうら青年学級の話を聞いてすごいなと思った。このような取組がいろいろなところで行われると卒業後の余暇活動がすごく充実するのだろうと思う。本校のすぐ隣にある障害者のためのスポーツ施設ではボッチャや障害者スポーツ大会が行われるなど障害者の生涯スポーツの取組がある。そういったところでスポーツの余暇活動をしている生徒もたくさんいる。また、県内でも今年から障害者の芸術活動に取り組んでいこうということで関係する施設もできていると思う。障害があっても生涯学んでいけるような体制が今後ますます整っていくのかなと思う。そのようなことが繋がるように学校でも取り組んでいるが、家庭が入るなど学校で直接できないこともありなかなか十分に進まないところもある。

【G委員】
 県内の社会教育の現場でも素晴らしい取組があることを知り感銘を受けた。昨年度の社会教育委員会議の議論の中でも邑楽町中央公民館の事例が取り上げられていて、多様で先駆的な取組を展開されていることに改めて理解できた。また、特別支援学校の教育プログラムでの連携というよりも余暇活動というキーワードが出された。障害者が生活していく中で多様な場面があり、そういったところで邑楽町中央公民館のような役割の発揮の仕方があることを改めて整理できたと思う。

【B委員】
 小学校の段階で考える障害のある子どもと地域との関わりについて、私の住む地域にある吾妻特別支援学校に通っている子どもたちは基本的には保護者の送迎やバスでの通学で同じ学年の子どもたちとの関わりが基本的にはない状態かなと思う。私が今まで行った学校では特別支援学校の子どもたちの住む地域の小学校との交流学習があり、学期に1回程度とか多くはないが特別支援学校の子どもたちが小学校に来て一緒に1日過ごしたり給食を食べたりして地域での友達、仲間をつくっていくような活動をしている。こういった活動も子どもたちが卒業後に地域との繋がりをつくるということではとても大切な活動だと考えている。

【G委員】
やはり地域との関係が大事であり、社会で生きていく上で学校の時間外も学校を終えた後も地域との接点について考えなければならないということである。

【C委員】
 地域の役員をしているが能登半島の地震もあり、災害時の一時避難について非常にクローズアップされている。地域には一人で動けない高齢者が多くいる中、数少ない民生委員でどう対応していくのか。また、障害者の避難をどうすればいいのか。調べると避難したり備蓄したり組織をつくったりというノウハウはある。しかし、接することの少ない障害者への対応についての情報はない。そういった資料があると地域の方も学ぶことができ避難時などに役立つのではないかと思う。

【D委員】
 私達も特性を持った子ども達と関わっていて、就労移行支援の企業と少し繋がりがある。私達が子ども達に提供しているプログラムの中で、企業が実際に行っている職業訓練のプログラムを提供したことがきっかけで、子ども達が企業の職業訓練に行き、職業訓練をしている成人がボランティアに来るなどの循環的な取組が結果的にできている。小委員会で事例を紹介したスターバックスでも聴覚障害者を積極的に雇用するなどしている。障害者とより密接に繋がっている企業がたくさんあるので、そういった企業と間接的に繋がりを持つこともとても重要だと思う。

【G委員】
 社会教育行政や社会教育施設が少し苦手とする企業や事業所と連携していくことにより、障害者の実情や企業のノウハウなどがうまく活かされるとの貴重な提案であり、社会教育行政はそういった連携先も新たに取り入れていく必要があると感じた。今日は論点が盛りだくさんでまとめるのが難しいが、いくつかキーワードで整理をさせていただき議事の進行を締めくくることとしたい。1点目は、高齢者あるいは障害者をめぐり、団体、機関の連携が重要なキーワードとして挙げられる。連携先として委員から提案のあった企業や事業所はもちろん、あるいは福祉についても議論があったが、これらはいずれも首長部局の管轄である。常々国から話は出ているが改めて本日議論する中で社会教育行政としては首長部局との連携が重要であり、開かれた社会教育行政が必要になってくると感じた。2点目は、個人に手を差し伸べるような、個人を対象とした取組がキーワードとして挙げられる。本日の委員からの情報で言えば一人暮らしの高齢者に手を差し伸べるなどである。なぜこの点に注目するのかと言えば、社会教育は基本的に団体活動を中心とした考え方であるためである。社会教育法では社会教育の定義として「組織的な教育活動」とあり、個人を相手にしないとは書いてないが、基本的にはサークルや団体を活動の主体としている。言い換えれば、複数の人が目の前にいるイメージであり、みんなで力を合わせて取り組んでいるのが社会教育の姿である。一方で、地域コミュニティの希薄化に顕著なように、その限界も見えてきている。本日紹介された「居場所の会」について、長寿会に入っていない人に手を差し伸べているという話があったが、従来の社会教育を見直す意味で、そういった発想が必要だと感じた。先日、県内の公民館職員から、家族を公民館の利用者として使わせてよいのか質問があった。全国的に見ればこれを認めていない自治体もあるが、他方で夫婦での使用も可能としている所もありとらえ方が違っている。個人を対象に、個人に対し手を差し伸べるという社会教育のあり方が、実は簡単なようで従来の枠組みのままでいくと難しいということを感じた。3点目は特別支援学校の話にあったように多様性や開かれた社会教育が必要だということである。これからはインクルーシブ教育ということで、すべての子どもたちが一緒に学ぶ将来像がある。そうした社会を目指すとなると、まずはPTAや学校運営に関わる地域の人たちがそのことに対する理解を持つことが必要となる。これは地域社会の大きな課題であり、そういう意味では邑楽町中央公民館のような実践が少しずつ広がっていかないとインクルーシブ教育は本物にはならないと思えた。多様性とか地域社会に開かれた社会教育について改めて考えなければならない。その具体策として余暇活動における支援が本日の事例の中から見えてきたと思う。以上であるが、ここでの私の整理は本日の議論の振り返りとして申し上げたに過ぎず、不足の点はお許しいただきたい。本日も貴重な議論をありがとうございました。

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