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令和4年度ぐんま農業新技術(水産分野)

更新日:2023年5月1日 印刷ページ表示

背景・ねらい

 渓流魚(イワナやヤマメ)の生残率は、継代養殖由来の放流魚に対して自然繁殖由来魚の方が高いことが全国の調査データを解析した結果から示唆されている。そのため、近年では自然繁殖由来魚の増殖手法が重要視されている。自然繁殖由来魚の再生産を利用した増殖手法の1つとして禁漁区の設定が挙げられ、複数の先行研究において禁漁区の設定による渓流魚の資源増加が確認されている。

 しかし、これらの先行研究は事例研究に留まっており、河川環境による影響を考慮した禁漁区設定による資源量への影響は評価されていなかった。そこで、河川環境が異なる複数の禁漁区が設定されている上野村内を流れる神流川の支流域をモデルとして、渓流魚の産卵期にあたる秋にその年の資源の再生産に直接寄与する親魚の資源量を評価することで、禁漁区設定の効果を検証した。

技術の内容・特徴

  1. ​支流域に禁漁区を設定することで、その年の再生産に寄与すると考えられる渓流魚の成熟魚の生息密度は、通常の釣り場と比較して約2倍になる(表)。
  2. 禁漁区の設定により増加した資源は、禁漁区に接する釣り場への染み出しや、禁漁区の輪番解禁といった手法によって活用することが可能である。

技術の概要

図 技術の概要

表 調査を行った河川のデータ

調査を行った河川のデータ

利用上の留意点

  1. 禁漁区を設定してから渓流魚の生息密度が十分に増加するには2年から3年を要する。
  2. 禁漁区を設定する際には密漁の抑止が不可欠である。そのため、定期的な監視や禁漁区への看板設置(図)、遊漁者に配布される釣り場マップやウェブサイトによる遊漁者への周知が必要である。