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令和6年度ぐんま農業新技術(水産分野)
更新日:2024年7月24日
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背景・ねらい
アユ種苗生産では、採卵ロットごとに単位重量あたりの卵数を目視で計数し、飼育池に収容した個体数を推定しています。
直径約1ミリメートルのアユ卵を1回に300〜600粒程度計数することや、最盛期には1日に複数ロットを計数することから、卵計数は非常に労力のかかる作業です。また、約1ヶ月の採卵期間中で約35時間が計数作業に充てられるため、人員不足の現状からも、作業の省力化が求められています。
そこで本研究では、省力的な卵計数手法として画像解析によるアユ卵自動計数法を開発し、その有効性を検証しました。
技術の内容・特徴
- 画像解析ソフトウェアであるImageJを使用し、アユ種苗産における卵計数を自動化する技術を開発しました(図1)。
- 計数値の相対誤差*注 を比較したところ、画像解析で0.3±2.7%、目視で-8.4±7.6%と画像解析の方が目視より精度の高い計数を行えることが示されました(図2)。*注 相対誤差(%)=(計数値−真の卵数)/真の卵数 ×100
- 卵計数に要する作業時間は、従来から行われている目視による方法に比べ93%縮減されました(表)。
- (画像解析による計数作業) = (撮影) + (画像データ読み込み) + (解析)
図1 解析に用いた画像の例
*注
図2 計数値の相対誤差の比較
計数方法 | 作業時間(秒/サンプル) |
---|---|
目視(n = 10) | 1147 |
画像処理(n = 10) | 85 |
利用上の留意点
- 画像中に含まれるゴミ等のうち、円形に近い形状のものは卵として誤検出してしまう例が見られますので注意が必要です。
- 画像処理過程において卵と背景を分離しやすくするために、卵画像はコントラストがはっきりしたものが望ましく、背景色は黒色を推奨します。
- 画像の撮影時、卵は可能な限り重ならないように広げることで、より精度の高い計数が行えるようになります。