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令和6年度第1回群馬県文化振興指針及び文化振興基金部会の概要(通算11回目)
更新日:2024年7月31日
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1 開催日時
令和6年7月12日(金曜日)9時00分~12時30分
2 実施方法
オンライン
3 出席者
部会委員5名
4 議題及び主な意見
(1)新・群馬県文化振興指針(第3次群馬県文化振興指針)関連事業について
(委員)
- 評価業務は、基本的には二つの意義があるかと思う。
- 一つは、アカウンタビリティの問題。もう一つは、自己評価、自己点検の側面。その二つの側面双方のところから考えても、今回の評価業務の結果は見直しが必要なのではないかと感じている。まず、今回、十年というタイムスパンで振興指針が作られて長期にわたって群馬県の文化支援に関する危機や課題というものを克服する、あるいは改善していこうということをかなり意識しており、この長期にわたるタイムスパンの中で何をどう改善していくのかを意識して、この評価業務は行われなくてはならない。だからこそ、今回のこの個票においては、短期・中期・長期というタイムスパンを設定している。その中で、どこをどう取り組んで、何を改善するか、その改善が進んだとしたら、その先で何をするのか。そして最終的なゴールに向かってどこをどう仕上げていくのかというようなことが目指されているのが、この評価シートだと思う。その上でKPIという指標を設定し、その指標を実現するために具体的に何を改善しようとしてアクションするのかを書くというような流れになる必要があるのかと思う。ここを意識して、シートを作っていく必要があるというところが今回の状況の中では十分に理解が共有されていなかったという印象を持っており、本日のやり取りの中で、意見交換し、進めていただきたい。
【1 パーセントフォーアート推進(アーティスト支援・アート支援団体支援等)】
(委員)
- 短期・中期・長期でだんだん状況が改善していくという想定をしているということと、それぞれのインパクトの最終的なゴール、目標に向かって、具体的に複数のアクションを提案し、改善する状況を見通しているというところが良いのではないかと感じた。
- 十年という非常に長期にわたるタイムスパンで評価事業は行っていくものなので、当然最初の予想では想定していなかったような状況が起きる、あるいは最初に設定した目標が実現できそうにないと感じる時が出てくるはずである。その時は随時目標設定を見直せば良い。
(委員)
- インパクトは、ゴール、つまり、そのような状態になっているもので、その状態になるために必要な数量的なものがKPIだと考えている。そのため、この書かれているインパクトを達成するために、このKPIを達成しなければいけない。そしてこのKPIを達成するために、それぞれ下に書いてあるアクションをしなければいけないというヒエラルキーの構造になっている。
- その観点から、市町村のアート事業数が十個あれば、ここに書かれているインパクトの状態が満たされるのか、このアート事業数では測りきれないと思う。そのため、インパクト自体の設定が違うのか、あるいはそのインパクトに対してのKPIの立て方が違うのか。
- また、アート事業数のKPIを達成するために、ここに書かれているアクションをすれば、本当にその事業数が達成できるのか教えて欲しい。
(文振課)
- 指摘の通りだが、KPIとして市町村等のアート事業数を設定した理由については、パーセントフォーアートの指標として現時点で市町村に対してアート事業数についての照会を毎年度行っているが、それ以外の数値について把握するところがまだできていないためである。ただ、他にKPIの指標となるような数値が出てくれば、そちらで置き換えてできればと思う。
(委員)
- 今回の設定は短期・中期・長期に分かれている。最終的にはアート事業数が目標かもしれないが、例えば短期的にはそのアート事業数を図るために何かをやるなど、段階的に進めても良いのではないか。せっかく三つの期間があるので、もう少し細分化してやることをステップで見ていけば、KPIの立て方も変わってくると思う。その観点からも考えていただけると良いと思う。
(文振課)
- アクションは少なくとも三つ埋めるようにしたい。パーセントフォーアートは知事の肝いりで始めた事業で、条例を作って進めている事業なので、KPIとして短期的な目標を達成するためにどのようなアクションを設定するか、検討したい。
- 他の事業も含めて短期・中期・長期でどのようなKPIが適当か考えていきたい。
【2 GUNMAマンガアニメフェスタ】
(委員)
- 基本的にはKPIとして設定した作品応募人数を実現するためにどのようなアクションをするかという構図になっている。体験機会を提供して来場者数が増えることは注目度が高まることを意味し、それによってクリエイターたちが励みになることもあると思う。
- マンガアニメフェスタの認知度はまだ十分ではなく、県内外での認知度も低い。人材育成の登竜門として考えるならば、まだアクションとしてなすべき項目があるのではないか。
(委員)
- メディア芸術を盛り上げるためにもいくつかのアクションが必要だと思う。例えば、影響力のあるアニメーターが来てサインをもらうだけで盛り上がるとは限らない。群馬を舞台にしたアニメーションや漫画がいくつかできるなど、細分化した目標があれば盛り上がると思う。
(文振課)
- 作成プロセスとして非常に重要なのは、現場の声や担当者の意見を積み上げながらどこに目標を達成するための課題があるのかを考えることだと思う。
(委員)
- 一つは、登竜門になるという目標に対して、750の応募人数が妥当か分からない。
- もう一点は、登竜門になるためには応募作品を増やすことと来場者数を増やすことが必要だが、これらは異なるアクションを同時に行う必要がある。応募作品を増やすためのアクションと来場者を増やすためのアクションは別々に考えるべき。もし両方を満たす必要があるならば、イベントの意義を明確に定義することが重要である。
(文振課)
- 群馬県はクリエイティブの拠点を目指しており、漫画アニメを通じて若いアーティストを育てることを考えている。先ほどの指摘は非常に重要で、若手アーティストを育てる登竜門としての役割と、メディア芸術を発信する役割の二つがあり、これがインパクトにつながると思う。もう一度検討したい。
【3 伝統文化継承事業】
(委員)
- 今回の指針でもかなり重要な事業だと思う。伝統文化に関する事業は、本当に風前の灯火で危機的な状況に陥っている。この危機をどう克服するか、あるいは歯止めをかけるかは、非常に真剣に考えなければならないポイントだと思う。
- 個票は、主と従が入れ替わっていると思う。危機的な状況にある群馬の伝統文化を守るために、まず目指すべきは、県内の伝統文化の継承件数を維持することである。そのために補助金の数を増やす、支援事業の数を増やすことがアクションとして必要である。また、十年後までに何をどう改善していくのかをもう少し意識していただきたい。
(委員)
- 伝統工芸は別の部署が担当していると聞いたが、これは祭りのようなものか。
- 伝統工芸と伝統文化は非常に密接なので、例えば祭りの飾り花を作るなど、色々な伝統工芸のもとにお祭りがあると思う。これは広い意味で伝統文化と捉えてよいのか。
(文振課)
- この事業は地域の絆を深めることから始まっており、主にお祭りや山車などが対象である。そこに付随する民族工芸品は、現時点では伝統文化継承事業の対象として考えていない。
(委員)
- 同じくKPIとアクションが逆になっている点が気になった。また、継承件数が令和5年で522件、目標が620件だが、継承件数が増えることがあるのか。現状が522件なら522件を維持することが目標ではないかと思ったが、どのような意味か。
(文振課)
- 実際には復活するものもあるかと思うので、それを見込んでこのKPIにしたが、620件は高いかもしれないので再検討したい。
- KPI、アクションについて、教育文化事業団の意見も聞きながらさらに充実させるように整理していきたい。また、伝統文化の継承には太鼓やお囃子など、色々な道具を含めるべきという意見も今後検討させていただければと思う。
【4 県民芸術祭】
(委員)
- 県民芸術祭は、県民のいろいろな活動を承認して参加させることと、それに対してなるべく多くの人に鑑賞していただくという二つの目標があると思う。そして、KPIを増やすために何をするかがアクションに来るべきなので、増やすためのアクションをもう少し具体化して考える必要があるのではないかと思う。
(委員)
- 現状維持、現状肯定から出発しているような印象を受ける。県民芸術祭に何らの課題もないのか、解決すべき、あるいは改善すべき余地がないのかを考えたとき、もっといろいろ検討すべきことがあるのではないかと思う。
- この個票の県民芸術祭の参加者は来場者か発表者か。
(文振課)
- 来場者である。県民芸術祭という事業に入場した方の人数が来場者である。
(委員)
- 来場者の層を調べることは非常に重要なポイントだと思う。市民芸術祭や県民芸術祭のようなイベントでは、発表者やその親族、関係者しか来ていないことが珍しくない。決してそれが悪いわけではないが、芸術祭をより開かれたものにするための努力が必要である。そういったことをアクションとして考えてみるのも良いのではないか。他にも検討できることがあると良いと思う。
(文振課)
- KPIを一つにしているので、来場者数が相応しいのか、参加者数が良いのか、検討したい。また、関係者しか来ていないのではないかという点についても、教育文化事業団で実態を把握していると思うので、アクションを再度検討し、活性化を図りたいと思う。
【5 「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録】
(委員)
- インパクトを見ると、KPIは周知機会を増やすことではなく、認知度や県民の認知・支持をKPIに設定すべきではないかと思う。その上で、民間企業団体と連携するか、自分たちでするかを考えるべきで周知機会を増やすだけでは不足だと思う。また、令和5年の実績が7なのに、次のKPIが2になっているのはなぜか。
(文振課)
- 令和5年はTOKYOMX等とタイアップして周知する機会があった。ただ、今後毎年同じ形で行うとは限らないため、そのような形で設定した。
(委員)
- 現在、旅館やホテルは働く人が不足し、団体客を断る状況である。オーバーツーリズムの問題もあり、ユネスコの無形文化遺産登録に向けて、ただ人を増やすだけではなく、温泉の良さをイメージアップする方法が必要である。例えば、四万温泉では明るすぎる明かりを減らし、目や心が休まるようにするなど、テレビでのPRだけでなく、働く人がいない状況を考慮した指針も必要だと思う。
(委員)
- KPIの設定に温泉文化の周知機会数が入っているのが気になる。温泉文化を周知させる機会を増やすのはあくまで手段であり、これは達成のためのアクションに位置づけられるべき。そういう手段を使って、結果としてどういう事態がもたらされるのかを確認するのが短期・中期・長期のKPIの設定だと思う。
(文振課)
- 実は温泉文化の一番の目標は、ユネスコ無形文化遺産の登録である。例えば、上野三碑も昔、登録を目指していた時は登録が目標だった。例えば令和8年度が最短で温泉文化が登録されるスケジュールなので、令和8年度の中期目標に温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録を置く方が良いのではないかと考えている。改めて相談させて欲しい。
(委員)
- インパクトが間違っているのではないかと思う。この話でいくと、認知や支持が入っていないとおかしい。目標が登録されることであれば、登録されることがKPIで良いと思う。それに対してのアクションとして、周知機会を増やすなどがあると思うので、インパクトとKPIの立て方をもう一度見直していただければと思う。
【6 世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」保存・活用】
(委員)
- イベントや動画制作を目標とする際、例えば「千人に見られた動画」など、具体的な目標を設定することが重要である。動画制作やイベント実施だけではなく、どのような動画やイベントを行ったのかが分かるようにするべきである。
(文振課)
- 令和5年度の実績として、富岡製糸場以外の三資産にスポットを当てた動画を制作した。
- イベントとしては、令和5年度に富岡製糸場の西置繭所で世界遺産登録十周年のプレイベントを開催し、世界遺産の価値と各資産を支えた人々を紹介した。また、富岡製糸場に来た方が他の三つの資産にも行くよう、周辺の観光情報も含めた企画展を開催した。
(委員)
- 色々な動画のアーカイブがあるが、閲覧者数が少ない動画が多いので、それを目標達成として良いのか疑問に思う。
(委員)
- 4資産の来訪者数が最終的に52万5千人となっているが、保存と活用の好循環を考えた時に、この数字が正しいのか、もう少し多い必要があるのかと思う。
- KPIを来訪者数と決めたときに、その来訪者数を達成するためのアクションが動画制作やプランの構築、イベントの実施となっている。動画や観光プランを作ったからといって見てもらえるわけではないので、見てもらう努力が必要である。動画の再生回数やイベントの参加人数など、具体的な数の目標を設定することが重要だと思う。
(委員)
- 観光プランの3ルートは他の世界遺産と混ぜたプランか、富岡製糸場の4資産だけか。
(文振課)
- 今考えているのは、群馬県内の他の魅力ある施設と絡めた形の観光プランである。
- モデルツアーやオンラインツアーも昨年度実施したが、民間が自走できるまでの事業化ができていないので、観光プランを作り、それを売り込んでいけるようにしたいと考えている。
(委員)
- 作って売り込んでいくところまで行うことが必要である。ガイドの育成など、来訪者に魅力を実感してもらえるような取り組みはどうなっているか。
(文振課)
- ガイドについては、それぞれの市町で取り組んでいる。市町によっては観光施設というより教育施設として捉えているところもあり、温度差がある。
(委員)
- イベントをするだけでなく、本当に価値を伝えていく取り組みがないと弱いのではないかと思う。指標化は難しいかもしれないが、何らかのアクションとして考えていただけると良いと思う。
(文振課)
- 一番根本的なのは、施設を整備することである。現在、保存整備を進めている段階で、その状態で枝葉の部分をいくら頑張っても、来場者数には繋がりにくい。基礎自治体が行っていることに対して県がフォローする形で動く。保存と活用の好循環をどうするかについては検討したいと思う。
【7 世界の記憶「上野三碑」周知】
(委員)
- 群馬県の幸福度調査の中の歴史文化への誇りが上野三碑と直接つながっているかは難しい。上野三碑は県民の中でもあまり知られていないと感じる。認知度をどう上げるかが目指されるべきポイントだと思う。
(委員)
- 認知度が課題であれば、認知度をKPIにして良いと思う。認知度を上げるためにソーシャルメディアや情報発信、メディアでの紹介機会を増やすなどのアクションを行うことが現実的だと思う。
(委員)
- KPI達成のためのアクションで目標数が800となっているが、これは特別公開の時の来場者数か。
(文振課)
- 特別公開の時の来場者数になる。
- 認知度やアクションについて見直し、もう一度作り直したいと思う。
【8 埴輪王国ぐんま発信】
(委員)
- 前事業と同じで、認知度をKPIにするのが良い。その上で、アクションに関しては書かれている内容で基本的には良いと思う。特に商品開発を実施する点が非常に良いと思う。同じやり方を上野三碑でもできれば良いのではないかと思った。イベントに関しては、同じイベントであれば集客数が分かっていると思うので、集客数を書いても良いのではないか。
(委員)
- KPIは見直すべきだと思う。幸福度で測るのは難しい。上野三碑との違いを考えると、埴輪王国群馬は群馬県内でかなり浸透している印象がある。認知度が既に高いので、この事業はある程度成功していると思う。認知度をKPIにするのは良いと思うが、既に高い認知度をどう考えるかが課題だと思う。
(委員)
- 商品開発は非常に重要だと思う。民間企業と連携して商品開発をするチームには、歴史博物館も入っているのか。
(文振課)
- 歴史博物館もメンバーに入っている。それ以外にも飲食やアパレル、箸置きなどを作る事業者も参加しており、現在、その輪が広がっている。今年は県庁の中だけでなく、外にも出てみようと考えており、来週はザスパの会場でブースを出す予定である。
(委員)
- 今回の事業は埴輪王国群馬を発信することで観光振興やイメージアップを図ることが目的なので、最終的な目標は県外だと思う。県外での認知度を計り、それを上げていくことが重要だと思う。
(委員)
- 群馬の歴博に呼び込むような連携をすると、さらに回遊してくると思う。県外とのタイアップが重要だと思う。
(文振課)
- 今年、東博で挂甲武人埴輪国宝指定50周年を記念し、大埴輪展を予定している。それとリンクしながら、いろいろな事業展開を考えている。いただいた意見を参考にしながら、さらに埴輪王国の発信を進めていきたいと思う。
【9 上毛かるた活用】
(委員)
- 上毛かるたは、県内では知らない人がいないほど浸透しており、郷土愛を育むためのツールとして非常に強力に作用している。設定されたKPIも高止まり状態を示唆しているように感じる。今後の戦略として、対外的な認知を県内の認知に波及させることが重要だと思う。県外の人たちが上毛かるたを認知し、群馬県が特別だと認識することで、県内の人たちの郷土愛がさらに強化される構図がある。
(文振課)
- 山本知事が課題としているのは、子供たちの中に上毛かるたを知らない世代が育っていることである。以前は多くの大人が上毛かるたを知っていたが、家庭で上毛かるたに触れる機会が減っている。
(委員)
- 上毛かるたを覚えるためにその土地を巡るデジタルスタンプラリーなどもあるが、ゆかりの地にもう少し仕掛けがあっても良いと思う。
- お札も新しくなったので、カルタも変化が欲しい。著作権の問題はもちろんあるが、そろそろそういう目新しさが必要なのかなとも思う。
【10 近代美術館】
(委員)
- 教育普及事業参加者数の中には、学校団体など授業で参加する子供たちの数も含まれているか。
- また、学校団体の利用実績はどれくらいか。
(近代美術館)
- 含まれている。
- 令和5年度の実績として、小学校・中学校からの美術館見学は38校で1,385人、館外での訪問鑑賞事業は16校で884人となっている。
(委員)
- 思っていた人数より少ないようだ。
(委員)
- 美術館の独自の企画展や共同巡回展の数はどれくらいか。
(近代美術館)
- 直近の例では、年間3本から4本の企画展を実施しており、そのうち1本は巡回展である。それ以外はコレクション展示や他館等から借用した作品を展示している。
(委員)
- 地域の芸術家を取り扱う企画展と巡回展では、どちらが入場者数は多いのか。
(近代美術館)
- 一概には言えないが、企画展の内容によっては巡回展が入館者数は多い場合もあり、地域の焦点を当てたものでもある程度の来館者数が見込めることもある。
(委員)
- 入館者数の目標について調べたところ、文化庁のサイトで2019年時点では97,557人の入館者数となっていた。これについて、97,557人が異常値なのか、コロナ前はどうだったのか教えて欲しい。また、教育普及事業が1万2千人の参加者数となっているので、残りの4万8千人をどうやって積み上げていくかが分からない。具体的なアクションを入れていただきたい。
- 美術館の入館者数以外にも質的な指標や中身に関する目標値があっても良いのではないかと思う。
(近代美術館)
- ギャップの4万8千人をどう達成するかは、今回はアクションとして書いていないが、企画展示の観覧者数がそのギャップを埋める要素となる。観覧者数を増やすために、SNSを活用してインスタグラムやフェイスブック、X(エックス)での情報発信を行いたいと考えている。
- また、2019年と現在の入館者数の差は、カウントの仕方がより正確になるように変更したためである。現在は発券ベースで正確に入場者数を把握しており、これが差の原因である。
(委員)
- 短期・中期・長期で変わらない目標があり、アクションも一つしかないため、美術館として現状に改善すべき課題がないと受け取れてしまう。教育普及事業だけをアクションとして設定するのではなく、別の項目も立てることが望ましいと思う。美術振興のコアな存在として、質的な側面も評価に組み込む可能性はある。例えば、美術系の雑誌やメディアでどれだけ美術館の事業が紹介されたかを目安にすることも考えられる。現状を変えるための目標を美術館で検討していただければと思う。
- 質問だが、近代美術館の内部で自己評価的な事業はあるか。
(近代美術館)
- 毎年度館内の自己評価を行っていたと思う。確認したい。
(委員)
- もし可能であれば、館内での自己評価業務に関する資料を委員にも参考資料として公開して欲しい。
(委員)
- 中之条ビエンナーレについて、入場者数が増えているのは嬉しいが、SNS映えを目的とするターゲット層が増えており、鑑賞教育が必要だと感じている。子供たちに鑑賞教育を提供できるのは美術館だと思う。群馬県の児童数は23万人いるので、教育普及に力を入れていただけると助かる。
(委員)
- Museumとおおきく括っても、規模やありようが異なるので、KPIの設定はそれぞれ異なって当然だが、やはり入館者数はひとつの基準となるだろう。一方で、それだけに頼らず、イベントの参加者や関係者のリアクションや、メディアでの掲載件数、ホームページの検索閲覧数なども細かくチェックすべきであるし、オンラインの活用も重要である。講演会や作品解説のオンライン提供など、柔軟に動けるポイントは見つかるのではないだろうか。
(文振課)
- 広報活動や地域連携に一生懸命取り組んでいる部分は、個票にも反映していただけるとありがたい。
【11 館林美術館】
(委員)
- 館林独特の問題だと思うが、県内の偏りや埼玉からの客の割合などは出しているか。
(館林美術館)
- 企画展ごとにアンケートをとっており、母数はアンケート回答者に限定されるが、約40%が県内の方、60%が県外の方という形になっている。県外からも足を運んでいただくため、昨年度以降、東武鉄道と連携し、東武鉄道全域に館林美術館のポスターを掲示するなどの取り組みを行っている。
(委員)
- 入館者数の設定について、5.5万人という根拠は令和3年、令和4年、令和5年の平均ということだが、コロナ禍の状況の中での数をカウントして考えているということか。
(館林美術館)
- 令和3年、令和4年、令和5年の数字を基に検討した。だが、コロナ禍前の実績でも、令和元年度は57,000人、平成30年度は51,000人だったため、おおよそ5万人前後の入館者数で推移している。
(委員)
- KPI達成のためのアクションとして、1項目だけでなく、他にも考えるべきことがあると思う。群馬県内だけでなく外部も考えることが重要なミッションだと思う。
(委員)
- 作品解説講演会やワークショップを行うことがアクションの目標ではなく、その先の参加者数やリアクションなどを掘り下げるべきである。
(館林美術館)
- 解説だけではなく、企画展の関連イベントとして、参加者が企画展に関心を持ち、足を運んでいただくことがKPI増加につながるという趣旨である。アクションはこれ一つだけではないので、検討したいと思う。
(文振課)
- 令和5年度の入館者数が1万人ほど多かったのは企画展が良かったからかもしれない。KPIの立て方として、目標数値が5.5万人で良いのか再検討する必要があるかもしれない。
- 地域との結びつきを大事にしながら館の運営をしてきたこともあり、アクションとしてしっかり反映するべきだと思う。館内でよく相談して欲しい。
【12 歴史博物館】
(委員)
- 基本的に来館者満足度調査は好意的なコメントが多くなるため、満足度調査を目安にすることも少し微妙だと感じる。満足度調査で注目すべきはクレームであり、クレームが寄せられることはネガティブに捉えるべきではなく、その中から汲み取るべきことを見つけ、施設でできることは何かを精査していくことが重要である。これを目標値に反映させるのは難しいが、大事なことだと思う。
(委員)
- 補足すると、アンケートだけでなく、インターネットの口コミを見る方法もある。例えば、歴博のGoogleマップやじゃらん、トリップアドバイザーなどの口コミサイトでのネガティブな評価を見て改善することができる。また、インスタグラムやエックス(旧ツイッター)でもネガティブなコメントを拾い、改善のヒントにすることができる。アクションに具体的に入れるかは別として、改善のヒントにしていただければと思う。
(文振課)
- 教育普及の数値化について、令和5年度が4万人で、目標が3万人となっている。これから子供が劇的に減ることを考慮して設定しているのかもしれないが、その点も考慮する必要がある。
- 最終的なアウトプットとして、歴史の教育と学術振興に中心的な役割を果たすことが目標となるのか、他の方向性を引き出すのが良いのか、再考する必要があると思う。
【13 自然史博物館】
(委員)
- 以前の「紳士淑女のための鉱物展」の取り組みが素晴らしかった。近所の本屋で鉱物の本や標本のチラシがあり、タイアップもしていた。広報から企画まで先端的で面白い取り組みだと思った。
(自然史博物館)
- 文真堂書店とは企画展ごとにタイアップしている。
- 美術的な要素も含めた展示で、普段の自然史博物館とは違った展示となり、評価をいただいた。
(文振課)
- 計画を作り、外部評価もしながらマネジメントを行っている。評価個票に自然史博物館の良い点を取り入れることで、他の館も参考にできる指標や評価があるかもしれない。ぜひ検討してほしい。
【14 土屋文明記念文学館】
(委員)
- 文学館の場合、テーマが少しマニアックで、立地条件も難しいところにあるため、文学館だけでは解決しがたいハードルが多いと思う。そこを加味して事業を進めていく必要があると感じている。
- その上で、文学、特に短歌というジャンルはマニアックだが、ここ数年で短歌ブームが起きていると感じる。大学の学生の中にも短歌ファンが増えている印象がある。アクションが一枠残っているので、若者をターゲットとした事業を行うなど、ターゲット層を明確にしたアクションを考えても良いのではないかと思う。
- 例えば、前橋の文学館に出かけて色々なイベントに参加している学生たちをもっと抱き込むチャンスがあると思う。これまでも文学館では面白い取組をしており、今後もそういったチャレンジを続けていただきたい。
(土屋文明記念文学館)
- 文学がマニアックというのはその通りだと思う。企画展のテーマも硬くなりすぎず、昨年度はあんびるやすこ、今年度は銭天堂を取り上げており、子供たちにも好評である。広い範囲で文学を取り上げ、多くの層の方に来ていただくことを目指している。
- 短歌ブームについてもその通りで、コロナ後にアイドル短歌など若者の間で盛り上がっている。そういったムーブメントを利用して、短歌の発展と文化の振興に努めていく。
- 若者の取り込みについては、昨年度から推し活講座という大学生向けの講座を開催した。文明ゆかりの地でフィールドワークを行い、文明の勉強をしていただく取り組みも行っている。
(文振課)
- 教育、芸術、文化の発展という表現は抽象的なので、文学館ならではのインパクトを明確にする必要があると思う。例えば、公募展の応募点数をKPIに設定するなど、具体的な目標を考えると良いかもしれない。
- 五館で共通して、どこに課題があるのかを明確にし、その中からKPIやアクションを考えることが大事だと思う。また、ターゲットを明確にすることも重要である。例えば、歴史博物館では子供をターゲットにしたアクションが考えられる。
- 企画展は五館のコアな事業なので、質や満足度などそれぞれの館で考慮した指標を設定することが重要である。
【15 障害者芸術文化活動支援センター(こ・ふぁん)】
- 意見なし
【16 群馬交響楽団支援】
(委員)
- 13万6千人が達成できれば日本一の地方オーケストラになれるのか。
- 定期演奏会は1万6千人だが、Meet theオーケストラとGTシンフォニックコンサートは人数ではなく率になっているので、人数にした方がわかりやすいのではないか。13万人の構成比がわかると思うので、入場率ではなく人数だとどれくらいになるのか教えて欲しい。
(文振課)
- 13万6千人で日本一の地方オーケストラになれるかは微妙な数字である。人口の減少率が影響するため、群馬県の場合は他の地域よりもそれが低い。
- Meet theオーケストラの人数については、2,000人規模のホールでの入場者数を考えると、それほど大きな数字にはならないかもしれない。GTシンフォニックコンサートは全体で5~6回行われ、2,000席とすると約1万人の数字である。移動音楽教室で子供たちが鑑賞している数が大きい数値かもしれない。
(委員)
- 大きな影響のある部分を評価につなげるために、確実にしていることを入れていただければと思う。
(委員)
- アクションが全部演奏会の種類になっていて、入場者数がKPIになっていることから考えるとわかりやすいが、それぞれの演奏会でこれだけの入場者を目指すという内訳になっている感じがする。県民からの支持を集めるためのアクションや、広報の工夫、サポートを集める関係づくりなどもアクションに入れるべきではないか。
(文振課)
- GTシンフォニックコンサートは新しい層の開拓を目的として高崎市で始めたもので、若い人たちに人気がある。指摘いただいたように目標は見直したいと思う。
- 企業協賛や賛助会員の数、定期会員の数も重要である。これらをKPIに含めることも検討したい。広報や質も大事なところで、音楽雑誌などで取り上げられるかどうかも重要である。群響は群馬県の宝なので、アクションも含めて再検討したいと思う。
(委員)
- 今年何回か定期演奏会に参加したが、ファンが自分たちのオーケストラとして熱心に通っていることを実感したと同時に、年齢層の高さも感じた。新しいファンの獲得に力を入れているのは素晴らしいことである。歴史と伝統を大事に継承しつつ、新しい人も入りやすいメンバーシップ制度の見直しなどがあると良いと思う。
【17 群馬芸術文化創造事業】
(委員)
- 新規団体採択件数が確保されることは大事だが、それが自己目的化してはいけない。相談件数が目標値に満たなかったからダメというわけでもない。調査することは良いが、数字として出てきた結果をどう評価するか、どう解釈するかを慎重に考える必要がある。
(委員)
- 単年度予算では打ち上げ花火的に終わってしまうことが多いが、三年間取り組めることは良いことである。ぜひ続けてもらいたい。
(文振課)
ここの整理の仕方については、一度事務局に一任させて欲しい。
【18 群馬パーセントフォーアート推進(群馬モデル事業)】
(委員)
- 基本的に企業活動にアートを活用してもらいたいということであれば、それがKPIになると思う。アクションは良いと思うが、今設定されているKPIの会員数を増やすというところは、必ずしもアートを活用することと一致しない。目的は会員数を増やすことなのか、アートを活用することなのか、どちらが重要か。会員にならなくてもアートを活用することはできる。
(文振課)
- アートを活用している企業をどう調査すれば良いのかが難しく、設定できなかった。
(委員)
- 参加しているワークショップやセミナーの影響を聞く方法もあるが、全体の企業数をカウントするのは難しい。
(委員)
- 企業とアーティストの関わり方について、イタリアのレッジョ・エミリア・アプローチ(レミダ)という取り組みがある。企業が出す廃材を子供たちの美術教育に再利用するものである。カーボンニュートラルの観点から廃材をリサイクルする取り組みを指標に入れてみてはどうか。
(委員)
- 一例として、株式会社ナカダイという前橋の産業廃棄物を取り扱う会社では、十年以上前からリサイクルとリユース事業を展開している。産廃の収集運搬にとどまらず、それらを徹底的に整理・分類し、「モノファクトリー」という名称で、素材としてアーティストや学生たちに提供することで社会貢献とビジネスの両輪を実現している。前橋の会社だが、今では全国津々浦々でこのユニークな活動を展開、企業価値やCSRの向上につなげるコンサルタント事業も行っている。そういった視点も取り入れれば、より広がりが出るのではないか。
(文振課)
- 群馬パーセントフォーアートの全体の事業の一つとして考えているため、一枚に個票を整理するか考えていたが、廃材利用や企業ができることについて意見をいただいたので、分離するかこのままが良いか検討させていただく。
(委員)
- 自分の企業で活動にアートを取り入れているというところに手を挙げてもらうのはどうか。そういったシステムを作るのは難しいだろうか。
(文振課)
- 検討したい。
- パーセントフォーアート推進事業は今年度から本格的に始めているというところもあり、事業そのものが進化していくと思う。随時情報提供し、また意見をいただきたい。
【19 デジタルミュージアム推進】
(委員)
- 高めのKPIを設定したという話だが、結果的には令和5年度では半分以下の結果だった。この結果から次に活かせる話として、もう少し具体的に改善すべき方策として議論の中で出たものがあれば教えていただきたい。
(文振課)
- 冬の時期で寒かったことと、当日雨が降ったことは参加者が少なかった原因かと思う。2回目の県庁舎での事業について、1回目が無料で2回目が有料ということも観覧者数に影響したのではないかと考えている。時期や料金設定についても課題と考えており、今後検討していきたいと思う。
- これは国の交付金事業で、KPIの設定が必須となっており、8,000人という数字を設定した。昨年度は達成できなかったが、今年度は工夫を凝らしていきたいと思っている。MR技術を用いた展示が子供たちに非常に好評だったため、これに特化しようと考えている。場所は前橋の中心商店街での実施を検討している。全国でも例のない取り組みになるかもしれない。また、前回は平日も実施したが、今回は週末に限定しようと思っている。
- この事業は単年度事業で、来年度までの事業となっている。最終的に個票にするかどうかは、相談させていただければと思う。
【その他】
(委員)
- 各部署の現場で携わっていらっしゃる方々としては、あれもやりたい、これもやりたいと思っていると思うが、どうにもならない要因があると思う。特に予算と人手の問題は、先立つものがないとどうしようもないことが多い。そこはぜひ文化振興課と意見交換を密にしていただきたい。
5 会議資料
- 次第 (PDF:38KB)
- 資料1 新・群馬県文化振興指針 個票