本文
令和2年度第46回群馬県環境審議会議事録
開催日時
令和3年2月1日(月曜日) 10時00分~12時00分
開催場所
県庁7階 審議会室
出席者の状況
- 委員:18名出席 6名欠席(定足数12名)
- 事務局(県):環境森林部長、環境政策課長、気候変動対策課長、環境保全課長、廃棄物・リサイクル課長、自然環境課長
- 参考人等:なし
- 傍聴人:なし
審議の概要と審議結果
- 開会
- あいさつ 板橋会長、環境森林部長
- 議事
- (1)審議事項
ア 「群馬県環境基本計画2021-2030」について
「群馬県環境基本計画2021-2030」の策定について、環境政策課長から説明がなされ、審議の結果を踏まえて計画案を修正のうえ、知事あて答申することが了承された。
イ 「第三次群馬県循環型社会づくり推進計画」について
「第三次群馬県循環型社会づくり推進計画」の策定について、廃棄物・リサイクル課長から説明がなされ、次回の環境審議会を書面審議とし、その結果を踏まえて答申することが了承された。
ウ 「群馬県災害廃棄物処理計画」の変更について
「群馬県災害廃棄物処理計画」の変更について、廃棄物・リサイクル課長から説明がなされ、次回の環境審議会を書面審議とし、その結果を踏まえて答申することが了承された。 - (2)説明事項
ア 「群馬県地球温暖化対策実行計画2021-2030」(仮称)について
「群馬県地球温暖化対策実行計画2021-2030」(仮称)について、気候変動対策課長から説明がなされた。
イ 「群馬県再生可能エネルギー推進計画2021-2030」(仮称)について
「群馬県再生可能エネルギー推進計画2021-2030」(仮称)について、気候変動対策課長から説明がなされた。
- (1)審議事項
- 閉会
第46回群馬県環境審議会 審議概要
審議事項
「群馬県環境基本計画2021-2030」について
(環境政策課から説明)
【委員】
「資料1-1」について、元は「6全ての主体が参加する環境保全の取組」の柱にあった2つのテーマが「2持続可能な循環型社会づくり」の柱へ移されたが、一つの柱の中に入れていることが気になる。例えば、「多様な主体との連携・パートナーシップの強化」のテーマは、SDGsではゴール17に関係し、全体に係わる内容である。また、「自主的取組の拡大」のテーマについては、「4安全・安心で快適な生活環境づくり」の「有害化学物質による環境リスクの低減」のテーマにあるPRTR制度も、自主的取組に基づいた活動である。「2」の柱だけに入れたのはなぜか。
【環境政策課長】
全ての柱に係わってくるが、一番深く関係する柱に集中的に記載した。
【委員】
一点目に、群馬県は森林と水資源が豊富である。健全な水循環というキーワードについては、どう扱っているか。
二点目に、国土形成計画などで、グリーンインフラの概念が出てきている。自然環境が有する多機能性を都市づくりに生かしていくという観点である。自然環境の有する多機能性を活用して、減災効果が期待できる。グリーンインフラの観点は計画に取り込まれているか。
【環境政策課員】
一点目の水循環については、第5章第4節の「水環境、地盤環境の保全、土壌汚染対策の推進」の項目で水環境に触れている。
二点目のグリーンインフラについては、第5章第1節の「脱炭素社会の実現に向けて」の項目で、グリーンインフラの概念を含めた形で、道路整備や自転車道整備など環境配慮型の整備について記載している。
【委員】
概念として入っていることは理解した。今後、グリーンインフラという言葉はたくさん使われるようになる。概念は環境基本計画の全ての施策に関連する。施策を展開する時には、そのように広報できるとよい。
【委員】
一点目に、水環境の改善は計画案に入っているが、健全な水循環とは、より大きな概念である。群馬県の地下水や河川を保全することが、関東地方あるいは全国から見て、水循環の中での水環境保全であるという、より大きな考え方が重要である。浄化対策や水環境改善の前に、健全な水循環のためにという考え方が言葉としてあった方がよいのではないか。
二点目には、「資料1-2」で、基本目標の「日常生活、事業活動その他人の活動において」という文面は、「その他人」という部分が「他人」に読めてしまう。例えば、「日常生活、事業活動その他すべての人の活動において」のように言葉を加えると、違和感がなくなるのではないか。
【環境政策課長】
一点目については検討したい。
【会長】
検討をお願いする。
【環境政策課長】
二点目の基本目標については、環境基本条例に書かれている言葉から引用している。今回はこの表現とさせていただき、御指摘は、今後施策を進める中で考慮していきたい。
【委員】
水循環については、水循環基本法と国の水循環基本計画がある。環境基本計画は環境基本法を踏まえて策定するものであろうが、水循環基本法の概念は計画に反映されているのか。
【環境政策課長】
環境基本計画は、法の趣旨を守りながら群馬の環境に合った施策をまとめている。水循環基本法の考え方にも反するものではなく、考慮しながら策定するものであるが、あくまでも県の施策としてまとめている計画なので、法律に特化した形では記載していない。
【委員】
環境基本計画の中に水循環基本法を入れ込むのは難しい。概念がしっかり入っていればよいと考える。水循環基本法を入れ込むとすると、言葉遣いなど色々と気を遣わなければならなくなる。法律用語が入ってくる可能性もあり、解説を要する事項が増えてしまう。県民にわかりやすい基本計画であることが第一である。
【環境政策課長】
県としても、法律に基づいた施策を進めていく。施策について記載した計画であるということで御理解をいただきたい。
【会長】
必要な文言の整理は会長へ一任していただき、知事あてに答申してよいか。
【委員】
(異議なし)
「第三次群馬県循環型社会づくり推進計画」について
(廃棄物・リサイクル課から説明)
【委員】
「資料2-2」の第2章第2節「3廃棄物の適正処理」について、「(イ)最終処分場の状況」に「本県の最終処分場は当面逼迫する状況にはありません」とある。同じページに掲載されている「表2-2-7」によると、一般廃棄物最終処分場の残容量は、実績から考えて、あと14年分である。全国平均では20年を超えており、全国と比較すると14年しかない。当面大丈夫だと受けとれる表現は問題である。
【廃棄物・リサイクル課長】
全国平均に比べると14年は短い。しかし、新しい処分場の計画もあることを踏まえて、当面は逼迫する状況にないと記載した。表現については検討したい。
【委員】
誤解を生じる。新しい処分場を作らなければならないことが前提とされている。県民はそれが前提とは考えないだろう。
【会長】
文言の検討をお願いする。
【委員】
「資料2-2」の13ページ、第2章第2節「23Rの取組状況」の「(イ)ごみの組成分析結果」について、群馬県の組成分析結果は全国とほぼ同じであるが、全国に比べてビニール類の比率が高いと記載されている。しかし、その後の記述で対策を述べているわけではない。全国に比べてビニール類の比率が高いとは記載しなくてもよいのではないか。
【廃棄物・リサイクル課長】
記載内容を検討したい。
【委員】
68ページには、「生分解性プラスチック」と「バイオプラスチック」という言葉が使われているが、使い分けているのか。
【廃棄物・リサイクル課長】
使い分けている。素材に着目した箇所は「生分解性プラスチック」と記載している。
【委員】
「生分解性プラスチック」は、海洋でも分解されて、海洋プラスチック汚染を起こさないものか。
【廃棄物・リサイクル課長】
そうである。土の中でも分解するものがあり、そういったものを「生分解性プラスチック」と記載している。
【委員】
「バイオプラスチック」とは、「バイオマスプラスチック」のことか。「生分解性プラスチック」とは違うものか。
【廃棄物・リサイクル課長】
「バイオマスプラスチック」は、バイオマスから出来ているものである。バイオマスから出来ていて、かつ、生分解性のものもあると認識している。
【会長】
委員の質問の趣旨は、「バイオマスプラスチック」という名称ではないのかということではないか。
【廃棄物・リサイクル課長】
「バイオマスプラスチック」に修正する。
【委員】
難しい問題である。「バイオマスプラスチック」はカーボンニュートラルではあるが、プラスチック汚染問題の解決には繋がらないと指摘されている。「生分解性プラスチック」はカーボンニュートラルではないが、環境中に排出された時に分解されるといわれている。しかし、実際に海で分解するかはまだ分からない。いずれのプラスチックについても、全般的に転換するのは心配である。そこまで舵を切ってしまってよいのか。
【廃棄物・リサイクル課長】
「バイオマスプラスチック」については、CO2削減に貢献すると認識している。「生分解性プラスチック」については、環境への影響がまだ分からない部分があるので、記載を検討したい。
【委員】
名称から受ける認識と、本当に環境にやさしいのか、分解されるのかという実態は必ずしも一致しない。それを踏まえた計画としてほしい。
【会長】
必要な部分は修正をお願いする。
「第三次群馬県循環型社会づくり推進計画」については、今回の修正意見及び現在行われているパブリックコメント等の結果を反映した案を書面審議により皆様にお諮りし、その結果をもって知事あて答申してよいか。
【委員】
(異議なし)
「群馬県災害廃棄物処理計画」の変更について
(廃棄物・リサイクル課から説明)
【委員】
一点目に、災害時の浄化槽とし尿処理については、かなり計画に記載されているが、下水道が利用できない場合、被災を免れた住宅等のトイレも利用できなくなる。さらに、必要な数の仮設トイレを平時から備蓄することは困難である。下水道の地域は人口が密集した市街地である。下水管が壊れたり処理場が被災するといった被害が非常に心配される。そのような被害に関する想定がない。市街地における下水道の被災の方が影響が大きい。災害が起きてから調達体制を整えるのではなく、災害時にできるだけ時間をかけずに対応できる状況を作っておくことが大事である。
具体的には、他の公共団体でも取り組まれているように、例えば、公園や避難所のトイレに浄化槽を設置しておくことが考えられる。東日本大震災でも、浄化槽の方が圧倒的に災害に強いことが証明された。避難所や公園などにある浄化槽を重点的に点検して、使えるようにしておく。仮設トイレの調達に時間をかけるよりも、使えるトイレの場所を市民が認識している方が、リスクを減らすことができる。公衆トイレや避難所が浄化槽であれば、災害時にも点検すればいち早く使うことができる。是非検討していただきたい。
二点目に、汚水の広域処理について、通常は下水道の処理区域であっても、災害時には浄化槽をつないだり、被災していない市が被災した市の処理を引き受けるなど、区域を越えた処理が実現できるような内容を加えてほしい。県が役割を担って、区域を越えて広域的に処理できる体制が事前に整えられていれば、災害時にもスムーズに対応できるのではないか。
【廃棄物・リサイクル課長】
一点目は、浄化槽のトイレを市町村の避難所マップに記載するなど、色々な工夫の仕方が考えられる。今回の計画変更では、浄化槽についての記載を全体的に変更した。市町村の災害廃棄物処理計画においても記載できればと考えている。
二点目の体制については、し尿の処理に限らず、避難所や家庭から出るごみについても支援の体制が必要と考えている。全般的な支援体制を構築していきたい。
【委員】
浄化槽についての記載が多いが、下水道が被災した場合の想定も必要である。実際には被害やリスクが大きいにも関わらず、あまりにも想定が少ない。下水道が使用できなくなった場合の計画が弱いのではないか。
【会長】
下水道が被災した場合の対策が足りないのではないかという意見であるが、如何か。
【廃棄物・リサイクル課長】
下水道が被災した場合には、仮設トイレ等による対応や、御指摘のように、浄化槽の公衆トイレ等で対応することになる。平時から備える対応を追加したい。
【会長】
「群馬県災害廃棄物処理計画」については、今回の修正意見及び現在行われているパブリックコメント等の結果を反映した案を書面審議により皆様にお諮りし、その結果をもって知事あて答申してよいか。
【委員】
(異議なし)
説明事項
「群馬県地球温暖化対策実行計画2021-2030」(仮称)について
「群馬県再生可能エネルギー推進計画2021-2030」(仮称)について
(気候変動対策課から説明)
【委員】
「資料5」の「3-2計画の基本目標」について、再生可能エネルギー導入量目標を達成するために、県では、どのエネルギーを重点的に取り組むのか。
【気候変動対策課長】
特に、住宅用太陽光発電+蓄電池等の点の取組や、マイクログリッドなどの面の取組、間伐材を活用した木質バイオマス発電、小河川や砂防ダム等による小水力発電など、群馬県の特性を活かした再生可能エネルギーについて重点的に取り組みたい。
【委員】
これまでの気候変動適応策の中には、巡り巡って適応策となるものが多く羅列されている。しっかり適応策を位置づけ、数値目標や進捗指標も示してもらいたい。
【気候変動対策課長】
計画では、気候変動適応法に従い、7つの分野における適応策を整理している。将来に向けての適応策の方向性については示していくが、現時点では、数値目標の設定は困難である。数値目標化については、今後検討してまいりたい。
【委員】
「資料4」で再生可能エネルギーの導入促進の重点取組について、施設建設がメインに記載されているが、発電による余剰電力の処理や、間伐材調達の問題など社会経済システムをどうするかという視点がもっとあった方がいい。
【気候変動対策課長】
表中には、重点取組を掲げたものである。御指摘の点をはじめ、系統接続制限や電力需給バランスの調整の問題、木質バイオマス発電における間伐材の調達などは、各県共通の課題・悩みであり、これらも記載させていただく予定である。なお、これらの施策を頭出ししていなかった点については、検討させていただく。
【委員】
「資料4」の「4-3施策の進捗管理指標」については、1年間の数値か。
【気候変動対策課長】
そのとおりである。分かりやすく記載を追加したい。
【委員】
地球温暖化と気候変動の違いは何か。単に法律の根拠の違いか。
【気候変動対策課長】
それぞれ根拠となる法(起源)の違いがあり、温暖化は古くから使用された用語であり、気候変動、特に気候危機はここ数年の用語である。なお、地球温暖化は気候変動が生じる一つの要因と捉える一方、気候変動は、一つの要因を越えた広い概念と捉える考え方もあるようであるが、用語をうまく整理していきたい。
その他
【委員】
群馬県は「ぐんま5つのゼロ宣言」でプラスチックごみ「ゼロ」を掲げている。県として、また、環境審議会として、些細なことかもしれないが、こういったところ(委員の卓上に置かれているペットボトル)から削減すべきではないか。また、資料もペーパーレスにできないか。
【会長】
可能なところから取り組み、環境審議会としても推進していくこととしたい。意見として承った。