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9.乳幼児期の栄養
(1)はちみつは、1歳を過ぎるまでは与えないようにしましょう
乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがあるため、はちみつは1歳を過ぎるまでは与えないようにしましょう。
(2)離乳への移行と、離乳の進め方の目安
離乳への移行
こどもが乳汁を必要としなくなる時期は、こどもの成長や発達、離乳の進行の程度や家庭環境によって個人差があります。乳汁を終了する時期を決めることは難しいことから、いつまで授乳を継続するかについては、お子さんの状態や自らの状態により判断しましょう。
離乳の進め方の目安
こどもの発育、発達の状況にあわせて離乳をすすめましょう。また、生活リズムを身につけ、食べる楽しさを体験していくことができるように工夫しましょう。
※こども家庭庁ホームページ「授乳や離乳について」<外部リンク>
離乳食のポイント
ア 食品の種類と組合せ
離乳の進行に応じて、 食品の種類及び量を増やしていきます。離乳の開始は、おかゆ(米)から始め、新しい食品を始める時には離乳食用のスプーンで1さじずつ与え、こどもの様子をみながら量を増やしましょう。慣れてきたらじゃがいもや人参等の野菜、果物、さらに慣れたら豆腐や白身魚、固ゆでした卵黄など、種類を増やしてみましょう。
離乳が進むにつれ、魚は白身魚から赤身魚や青皮魚へ、卵は卵黄から全卵へ、食べやすく調理した脂肪の少ない肉類、豆類、緑黄色野菜などの野菜類、海藻とヨーグルト、塩分や脂肪の少ないチーズと新たな種類も増やしてみましょう。脂肪の多い肉類は少し遅らせましょう。
離乳食に慣れ、1日2回食に進む頃には、穀類(主食)、野菜(副菜・果物)、たんぱく質性食品(主菜)を組み合わせた食事にしましょう。また、家族の食事から調味する前のものを取り分けたり、薄味のものを取り入れたりすると、食品の種類や調理方法が多様になります。母乳育児の場合、生後6か月頃に鉄欠乏やビタミンD欠乏の報告があることから、適切な時期に離乳を開始し、様子をみながら鉄やビタミンDの供給源となる食品を意識的に取り入れることが重要です。
食物アレルギーがあっても原因食物以外の離乳食開始の時期を遅らせる必要はありません。医師から指示された原因食物を除去しながら通常通りに離乳食を進めましょう。
離乳が順調に進まず鉄欠乏のリスクが高い場合や、 適当な体重増加が見られない場合には、医師に相談した上で、必要に応じてフォローアップミルクの活用も検討しましょう。牛乳を飲用として与える場合は、鉄欠乏性貧血の予防の観点から、1歳を過ぎてからが望ましいです。
イ 調理形態・調理方法
離乳の進行に応じて、食べやすく調理したものを与えましょう。こどもは細菌への抵抗力が弱いので、調理を行う際には衛生面に十分に気を配りましょう。
食品は、こどもが口の中で押しつぶせるように十分な固さになるよう加熱調理し、初めは、つぶしがゆとし、慣れてきたら粗つぶし、つぶさないままへと進め、軟飯へと移行させます。野菜類やたんぱく質性食品などは、始めはなめらかに調理し、次第に粗くしていきます。離乳中期頃になると、つぶした食べ物をひとまとめにする動きを覚え始めるので、飲み込み易いようにとろみをつける工夫も必要になります。
調味について、離乳の開始時期は、調味料は必要なく、離乳の進行に応じて、食塩、砂糖など調味料を使用する場合は、それぞれの食品のもつ味を生かしながら、 薄味でおいしく調理します。油脂類も少量の使用としましょう。
(3)離乳の完了
離乳の完了とは、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳、粉ミルクや乳児用液体ミルク以外の食物からとれるようになった状態をいいます。その時期は生後12~18か月頃ですが、母乳、粉ミルクや乳児用液体ミルクを飲んでいない状態を意味するものではありません。この頃には1日3回の食事、1日1~2回の間食となります。
※アレルギーに関する「正しい情報」をお届けする Webサイト「アレルギーポータル」<外部リンク>
※厚生労働省ホームページ「楽しく食べる子どもに」 (PDF:2.34MB)
※「早寝早起き朝ごはん」全国協議会Webサイト<外部リンク>
(4)乳幼児に多いアレルギーの基礎知識
食物アレルギーは、0歳で発症する場合が多く、6歳以下の発症が約80%を占めます。
食物アレルギーのタイプ
【即時型食物アレルギー】
典型的なタイプです。原因食物を食べてから2時間以内に起こることが多く、表のような症状が1つ又は複数現れ、皮膚症状は80%以上の人に見られます。呼吸器、消化器、循環器、神経の症状が現れたときは、命に関わる危険があるので、早く医療機関に受診しましょう。
【新生児・乳児消化管アレルギー】
新生児期から乳児期におう吐、下痢、血便、体重増加不良を呈します。
原因食物
- 即時型食物アレルギーでは、乳児期では、卵や牛乳、小麦が原因になることが多く、幼児期になると魚卵(いくら)、木の実類、くだものなどが原因に加わります。
- 新生児・乳児消化管アレルギーの原因の多くは人工乳です。最近、卵黄も増えています。
次のことは発症の予防効果が認められていません。
- 妊娠中や授乳中のお母さんが卵や牛乳など特定の食物を食べないこと。
- 離乳食の開始時期(生後5~6か月)を遅らせること。
- 卵や牛乳を食べ始める時期を遅らせること(但し、アトピー性皮膚炎が発症している場合にはかかりつけ医と相談)。
食物アレルギーかもしれないと思ったら?
- まずは、かかりつけ医に相談しましょう。
- 医療機関で原因を調べ、医師の指導に従って対応しましょう。
詳しくは群馬県ホームページをご覧ください
部位 |
症状 |
---|---|
皮膚 |
かゆみ、赤み、発疹(じんましん、湿疹) |
目 |
充血、かゆみ、まぶたのはれ |
口・のど |
違和感、イガイガ感、くちびるのはれ |
鼻 |
くしゃみ、鼻みず、鼻づまり |
(※注)呼吸器 |
せき、喘鳴(ぜんめい)(ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸音)、呼吸困難(息が苦しそう)、チアノーゼ |
(※注)消化器 |
腹痛、おう吐、下痢 |
(※注)循環器 |
脈が速い、血圧低下(脈が触れにくい) |
(※注)神経 |
頭痛、元気がない、意識障害、尿や便をもらす |
(※注)の症状は重症化に注意する。
※消費者庁ホームページ「食物アレルギー表示に関する情報」<外部リンク>