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コラム~専門家から学ぶ~「花粉症について~イントロダクション~」
群馬大学 村上 正巳 名誉教授
※こちらの内容は、令和7年2月1日に開催された花粉症に関する県民公開講座「花粉症について知ろう!~最新の対策と治療~」の講演内容から抜粋したものです。
花粉症の現状
はじめに、花粉症の現状です。花粉症の大部分を占めるスギ花粉症の有病率は、1998年からの約10年ごとに10ポイント程度増加しており、現在では約4割の方が花粉症を持っている状況です。また、アレルギー性鼻炎の医療費についても、医療機関における保険診療で約3,600億円、市販薬で約400億円、全体で4,000億円と非常に大きな医療費となっています。
次に、スギ人工林の現状ですが、花粉発生源となる林齢が20年を超えるスギ人工林の面積は、全国で431万ヘクタールとなっています。なお、発生源対策を進めた場合は、10年後に2割減少し、30年後に半減すると予想されています。
国や本県の花粉症対策
このような現状から、国は、1.発生源対策、2.飛散対策、3.発症・曝露対策の3本柱で花粉症の削減を加速化させる取り組みを進めています。発生源対策としては、スギ人工林の伐採・植替え等の加速化や花粉の少ない苗木の生産拡大によって、10年後にスギ人工林を2割減少、30年後に花粉発生量を半減させることを目指しています。飛散対策としては、スギ花粉飛散量の予測精度向上支援や、スギ花粉飛散防止剤の開発促進等の対策があります。発症・曝露対策としては、本日各分野の専門家の方々にご講演いただきますが、治療や予防に関する取り組みの推進が挙げられています。
本県においても、花粉発生源対策を含め、花粉症の幅広い情報を把握できるポータルサイトを県ホームページ内に立ち上げました。ぜひ参考にしていただきたいと思います。
今回の公開講座で皆様にお伝えしたいこと
花粉症の発症を防ぐには、花粉が本格的に飛散する前に、予防や治療を始めておくことが大切です。本日の講座では、各分野の専門家の方々による解説を通じて、花粉症の仕組みや日常生活での予防方法、治療方法などについて、県民の皆様によく知っていただきたいと考えています。