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コラム~専門家から学ぶ~「アレルギー性結膜炎の予防と治療方法について」

更新日:2025年3月13日 印刷ページ表示

群馬大学医学部附属病院 眼科 戸所 大輔 准教授

※こちらの内容は、令和7年2月1日に開催された花粉症に関する県民公開講座「花粉症について知ろう!~最新の対策と治療~」の講演内容から抜粋したものです。

講師:群馬大学医学部附属病院 眼科 戸所 大輔 准教授の写真


ポイント

  1. 「花粉症」だけではないアレルギー性結膜疾患
    まずは眼科で正しく診断してもらう
  2. 治療の中心は点眼薬、大事なのは「点眼回数」と「開始時期」
    • かゆみの有無にかかわらず点眼する
    • 花粉が飛ぶ前に点眼治療を開始する 
  3. 治療効果を高めるセルフケア
    • 眼にもマスクを!(花粉症用メガネ)
    • 洗眼薬の使用がおすすめ

内容


「花粉症」だけではないアレルギー性結膜疾患

 アレルギー性結膜疾患は、花粉症だけではありません。アレルギー性結膜疾患を分類すると、アレルギー性結膜炎、アトピー性角結膜炎、春季カタル、巨大乳頭結膜炎の4つがあります。このうち、季節性アレルギー性結膜炎がいわゆるスギ花粉症ということになります。しかし、花粉症だと思ったら、実は重症な疾患であることがあります。花粉症は、痒みを生じるのみであまり視力障害はありませんが、重症型アレルギー性結膜疾患と言われるアトピー性角結膜炎、春季カタルでは角膜病変を伴い、視力障害を起こすことがあります。まずは眼科で正しく診断してもらうことが重要です。


​​治療の中心は点眼薬、大事なのは「点眼回数」と「開始時期」

 アレルギー性結膜炎の治療に用いる点眼薬には、全てのアレルギー性結膜疾患に用いる抗アレルギー点眼薬、春季カタルに用いる免疫抑制点眼薬、重症例・難治例に追加で用いるステロイド点眼薬の3系統があります。このうち、ステロイド点眼薬を使用する場合は、ステロイド投与による眼圧上昇に注意が必要です。眼圧が上がっても自覚症状がなく、気づかないうちに緑内障になっていることがあります。  

 抗アレルギー点眼薬の使い方には、2つのポイントがあります。1つ目は、「かゆみの有無に関わらず点眼する」ことです。花粉症患者を対象にした調査により、痒くなくても指示通り点眼したほうがかゆみを抑えられることが分かっています。痒みによって眼をこするとさらに症状を悪化させるため、眼の痒みを感じさせない点眼薬の使い方が重要です。

 2つ目は、「花粉が飛ぶ前に点眼を開始する」ことです。花粉が飛散して症状を自覚してから点眼するよりも、飛散開始前から点眼するほうが、発症を遅らせるとともに、重症化を防ぐことが分かっています。このため、花粉飛散開始予測日の2週間前から点眼を開始することを推奨します。


治療効果を高めるセルフケア

 セルフケアのポイントは、眼に花粉を入れないことと、入った花粉を洗い流すことです。コンタクトレンズ装用者は、装用を中止するか、ベンザルコニウム塩化物という防腐剤を含まない点眼薬を選択することを推奨します。この防腐剤はコンタクトレンズに吸着して眼に悪影響を及ぼすことがあるためです。

 また、花粉症用眼鏡を装用することも効果的です。装用することにより、結膜上の花粉数が65%減少することが分かっています。さらに、花粉は水分を含むと破裂し、アレルゲンが溶出するため、スギ花粉を破裂させず、洗い流すことが重要です。このため、スギ花粉を破裂させにくい洗眼薬を使用することを推奨します。調査においても、洗眼で自覚症状が軽減することが分かっています。

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