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コラム~専門家から学ぶ~「花粉症にさようなら!予防と治療の最新ガイド」
群馬大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 松山 敏之 講師
※こちらの内容は、令和7年2月1日に開催された花粉症に関する県民公開講座「花粉症について知ろう!~最新の対策と治療~」の講演内容から抜粋したものです。
ポイント
1.アレルギー性鼻炎とは
アレルギー性鼻炎は、体の防御システムが過剰に反応することで引き起こされる鼻炎です。
2.花粉症による生活への影響
花粉症の症状は、QOL(生活の質)の低下を引き起こす可能性があります。
- 勉強・仕事・家事への支障
- 睡眠障害
- 倦怠感・疲労感
3. 花粉症の予防と治療の最新ガイド
- 薬物療法
飲み薬/貼り薬、点鼻薬、点眼薬、注射(重症例)など、現在は多くの治療選択肢があり、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状を抑えることができます。 - アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)
アレルギー性鼻炎に対する唯一の根治治療とされる方法であり、花粉エキスを含む薬を少量ずつ舌下に投与し、体を花粉に慣らしていくことで症状の改善を目指します。 - 手術療法
レーザー手術、粘膜下下鼻甲介骨切除術、後鼻神経切断術など、症状が重い場合には手術も選択肢の一つとなります。日帰りで受けられる手術もあるため、忙しい方でも治療を検討しやすくなっています。
内容
花粉症/アレルギー性鼻炎とは
花粉症の医学的な正式名称はアレルギー性鼻炎です。では、アレルギーとは何かというと、「体の防御システムが過剰に反応すること」を指します。アレルギー性鼻炎とは、「体の防御システムが過剰に反応することで引き起こされる鼻炎」です。花粉そのものが悪いわけではありません。しかし、アレルギー性鼻炎の人は、体が花粉を異物(悪者)と誤認し、防御システムが過剰に反応することで、鼻水やくしゃみなどの症状が引き起こされます。
花粉症による生活への影響
アレルギー性鼻炎の主な症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の違和感、発熱、倦怠感、目のかゆみなどがあります。鼻には、呼吸、加湿、加温、免疫機能、嗅覚など多くの役割があります。これらの機能が花粉症の症状によって損なわれることで、勉強・仕事・家事への支障、睡眠障害、倦怠感、疲労感などを引き起こし、生活の質(QOL)が低下します。また、近年ではくしゃみが周囲への配慮を必要とするため、気疲れによるQOL低下を感じる人も増えています。
花粉症の予防と治療の最新ガイド
1. 薬物療法
飲み薬/貼り薬、点鼻薬、点眼薬、注射(重症例)など、現在は多様な治療選択肢があり、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状を抑えることができます。治療法は個人のライフスタイルや好みに応じて選択できます。
2. アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)
アレルギー性鼻炎に対する唯一の根治治療とされる治療法であり、アレルギーの原因物質に徐々に慣れさせることで、症状の軽減を目指します。現在、スギ花粉とダニアレルゲンの2種類が舌下アレルゲン免疫療法の保険適用となっています。
3. 手術療法
手術療法には、以下の3種類があります。症状が重い場合には、手術も選択肢の一つとなります。日帰りで受けられる手術もあるため、忙しい方でも治療を検討しやすくなっています。
1.電気凝固法・レーザー手術
鼻粘膜の縮小や変調を目的とした手術
2.粘膜下下鼻甲介骨切除術・鼻中隔矯正術
鼻づまりの改善を目的とした鼻腔整復術
3.後鼻神経切断術
鼻水の改善を目的とした手術
4.生物学的製剤(重症例)
既存の治療で十分な効果が得られない重症または最重症の患者に対し、厳格な施設要件や医師要件のもとで、生物学的製剤が使用されることもあります。