本文
コラム~専門家から学ぶ~「子どもの花粉症と食物アレルギー最新対策! ~口腔アレルギー症候群も含めた治療と予防のポイント~」
重田こども・アレルギークリニック 重田 誠 院長
※こちらの内容は、令和7年2月1日に開催された花粉症に関する県民公開講座「花粉症について知ろう!~最新の対策と治療~」の講演内容から抜粋したものです。
ポイント
- 花粉症の正確な診断を行い、重症度を判定する
- 花粉の時期も楽しく生活ができるように総合的に治療を行う
- ハウスダストや動物など花粉以外の原因にも注意
- 初期療法や抗原の回避などの対策が重要
- 症状が強い場合やサッカーなど外のスポーツをしている場合は、アレルゲン免疫療法が効果的
- 口腔アレルギー症候群などにも注意する
内容
子どもの花粉症の基礎知識
まず、免疫とアレルギーの違いです。免疫は、ウイルスや細菌から体を守る働きをします。これに対し、アレルギーは異物に対して過剰に反応してしまう状態です。アレルゲンが入ってきたときに体が異物と判断してアレルギー反応を起こす状態(感作)になってしまい、次にアレルゲンが入ってきたときに症状を起こしてしまうという仕組みです。
0歳の子に対して花粉症かと疑う方もいますが、それは原則ありません。スギ花粉に対する抗体は、スギのシーズンを経るごとに上がっていき、それぞれの子どもによっても異なりますが、抗体があるレベルに達した時に、発症することが多いです。スギに曝されたシーズンを経ることで起こるので、0歳児が発症することはほとんどなく、早くても2歳すぎから発症します。ただ以前に比べてこどもの花粉症の発症は低年齢化しています。
花粉症と食物アレルギーの関係
口腔アレルギー症候群という花粉に関連した食物アレルギーもあります。一般的に果物は消化酵素に弱いため、口から摂取してもアレルギーを起こすことは、ほとんどありません。しかし花粉と果物の抗原構造が似ているために、体が間違って反応して起こるアレルギーのことを口腔アレルギー症候群といいます。口の中の痒みが主体ですが、まれにアナフィラキシーなどの症状がでることもあります。非加熱の果物で症状がでますが、多くの場合、加熱すれば症状は起こしません。発症経過としては、花粉症が強くなると徐々に口腔アレルギー症候群が出てくるとされています。
予防と治療の最新対策
花粉症の症状が見られたら、鼻炎の中には感染性のものなどもあるため、まずは正確な診断を行い、重症度を判定することが重要です。その上で、重症度に応じて、花粉の時期も楽しく生活ができるように総合的に治療を行います。花粉症は、症状が出る前の時期から治療した方が、症状が軽くなり、症状の終了も早くなることが分かっています。
外出時にマスクや眼鏡を使うなど抗原を回避する対策も重要です。また、症状が強い場合やサッカーなど外のスポーツをしている場合は、アレルギーを根本的に治療するアレルゲン免疫療法が効果的です。