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令和6年度第2回群馬県障害者施策推進審議会の概要
1 日時
令和7年1月29日(水曜日) 午後2時00分から午後3時30分まで
2 場所
昭和庁舎3階 35会議室
3 出席者
(1)群馬県障害者施策推進審議会委員
江村恵子 (一社)群馬県手をつなぐ育成会会長
吉田英子 群馬県重症心身障害児(者)を守る会会長
中島穣 (公社)群馬県知的障害者福祉協会会長
眞下宗司 群馬県身体障害者施設協議会会長
吉邑玲子 群馬県精神障害者家族会連合会会長
服部真弓 (公社)日本精神科病院協会群馬県支部支部長
高森勉 群馬県自閉症協会会長
茂木勤 (公社)群馬県視覚障害者福祉協会会長
堀米泰晴 (一社)群馬県聴覚障害者連盟副理事長
半田卓穂 (特非)群馬県精神障害者社会復帰協議会副理事長
瀧本理絵子 群馬県難病団体連絡協議会役員
栗原陽子 群馬県民生委員児童委員協議会副会長
神山智子 (公社)群馬県看護協会会長
岩佐純 (独法)高齢・障害・求職者雇用支援機構群馬障害者職業センター所長
田中健一 群馬県特別支援学校長会副会長
鈴木利定 群馬県介護福祉士養成校協議会会長
神澤愛香 (一社)群馬建築士会副会長
(2)オブザーバー
片岡 学 群馬県産業経済部労働政策課補佐(就労環境整備係長)
(3)事務局
健康福祉部福祉局長 島田和之
障害政策課長 齊藤猛
障害政策課精神保健室長 永井佳美
障害政策課次長 清水彰
障害政策課自立支援専門官 手嶋純雄
障害政策課社会参加推進係長 相馬義昭
障害政策課支援調整係長 武井伸門
障害政策課地域生活支援係長 粕川達則
障害政策課補佐(施設利用支援係長) 山田芳和
障害政策課精神保健・発達支援係長 須田博
障害政策課社会参加推進係主幹 田宮妙子
障害政策課社会参加推進係副主幹 塩谷朋弘
障害政策課社会参加推進係主事 北川敦基
4 議事の概要
(1)開会
- 午後2時00分、開会
- 県の情報公開制度に基づき、審議会を公開とすることを説明
- 審議内容の概要を県のホームページ等で公開することを説明
- 議事録作成のため、会議の内容を録音することを説明
(2)あいさつ
群馬県健康福祉部福祉局長 島田 和之
(3)議事(議事進行は神山会長代理)
ア)バリアフリーぐんま障害者プラン8の取組状況について
(中島穣委員・(公社)群馬県知的障害者福祉協会会長)
入所者の地域生活への移行は、地域の中のグループホームの整備が不可欠と考えるが、目標値に応じた地域のグループホームの整備利用状況の問題はないのか。
(事務局)
このプラン8改定では、令和5年度から令和8年度までに入所者の地域移行は94人を目標としている。また、令和6年2月時点ではグループホームの定員は4,302名となっている。供給体制としては、数字の上では達成しているという状況。
ただし、地域ごとの偏りであるとか、あるいは定員の空きはあっても、障害特性なり、受入体制なりによって受け入れないというところもあるかもしれない。
そういう意味で、支援の質の向上という部分も大きな課題であると思っているので、国の動向も注視をしながら、地域生活の移行がさらに促進できるように取り組んでいく。
(吉邑玲子委員・群馬県精神障害者家族会連合会会長)
ペアレントサポートプログラムの実施についての質問であるが、発達障害について、保護者のサポートプログラムの講座を実施しているとあるが、家族会では、まだ発達障害の概念がない頃から入会していて、発達障害がこじれて統合失調症の発症かという例も見られ、学びたい親もいる。
他の場では若い保護者が多く、家族会の会員は高齢が多く、症状や悩みも違い、学ぶ場を探している。この事業に入れてもらえないだろうか。
(事務局)
参考資料(1)の20ページ、43番に「発達障害者社会適応支援事業」がある。
こちらの方が30歳前後までの成人の家族を対象とした事業ということで、発達障害に係る障害理解を深めたり、知識を高めていただくものということで、主にこちらについては、障害者、相談をしている方のご家族が対象となっている。
発達障害児・者又はその可能性のある児・者に対する発達障害に関する知識や対応方法等については、発達障害者支援センターの来所等による相談支援でも助言をさせていただいているところであり、発達障害に係る悩みや不安をお持ちの保護者の方がいらっしゃいましたら、同センターでの相談をご案内いただければ幸いである。
なお、二次障害が強いなどの理由で精神科医療による対応が優先される方や既にかかりつけ医療機関で受診されている方については、精神科への受診を優先いただくことや同センター利用にあたり主治医の判断を確認いただくようお願いしておりますのでご注意ください。
(堀米泰晴委員・(一社)群馬県聴覚障害者連盟副理事長)
遠隔手話通訳サービスの実施であるが、実績ゼロの状態が続いている。聞こえない、聞こえにくい人のニーズを再調査し、設置場所や機材の検討をするべき。
(事務局)
遠隔手話通訳サービスは、県庁の1階の総合案内にiPadを設置して提供しているもの。ご指摘の通り、こちらのサービスについてはここ数年、利用実績がないという状況。この事業及び群馬県として遠隔手話にどう取り組んでいくのかという、今後のあり方を検討したいと思っている。
令和6年12月に、遠隔手話通訳等検討会を設置した。その際、県庁の中でも、きこえにくい人がどのぐらい来庁されているか窓口の対応状況調査を行った。今回の資料の中ではその集計結果が出ていなかったので、記載をしていないが、検討会の場面の中では、資料として提供している。
簡単に結果を説明すると、県庁、それから指定管理施設全体では、この1、2年の間で、聞こえない、聞こえにくい方が窓口に来たのは、全体の約2割程度であった。ただその中でも、県庁の所属は非常に低く、地域機関や指定管理施設、やはり県民の方がよく来ているような窓口に来ているという実態がわかってきた。
また実際この遠隔手話通訳サービスを置いている総合案内の職員のヒアリングを行ったが、その窓口では、トイレ等が県庁舎のどこにありますかなどの簡単なお問い合わせが多いと聞いている。
この検討会を通じ、まさに聞こえない、聞こえにくい方にとって、より効果的な設置の場所であるとか、あるいはその手法自体の再検討を行い、事業の見直しを行うことを検討していきたいと思う。
(堀米泰晴委員・(一社)群馬県聴覚障害者連盟副理事長)
第1回目の会議の場では、聞こえない人の声や意見がとても少なかったと思う。
実際に使っている、聞こえない人たちというのは、ぜひ私たちのいう意見をお答えできるような機会を作っていただきたい。
もう1つは、当日の会議の進行が速すぎたので、聞こえない人に確認しながら進めていただければなということはお願いしたい。
(事務局)
第1回目の検討会では、進行でご迷惑をかけた部分があるかと思うので、しっかりその意見を踏まえて、また様々な機会でご意見をお聞きしながら、一緒に検討していきたいと思うので、よろしくお願いしたい。
(江村恵子委員・(一社)群馬県手をつなぐ育成会会長)
合理的配慮については主張していいことだと思う。手話通訳や同時通訳など応えたいがお金がかかる。したいのだけれどもできない。
(事務局)
県からの補助はない。あくまでもその団体や企業の方で対応していただく。
(神山智子委員・(公社)群馬県看護協会会長)
ヘルプマークの交付数について、年度ごとの数字を教えていただきたい。ヘルプマークの予算について、令和4年度のみ計上されているが、ヘルプマーク作成の予算なのか。
他の年度は、ヘルプマーク配布のため、予算としては計上していないということか。
(事務局)
交付数は令和元年度4,229、令和2年度2,556、令和3年度2,903、令和4年度3,899、令和5年度4,442と合計で18,029となっている。
予算は、ヘルプマークの作成費用となっている。
これまで2年に1度、予算計上しており、令和6年度は、77万6,000円計上している。しかし、近年、交付数が多くなってきているため、令和7年度も同額程度要求している。
(鈴木利定委員・群馬県介護福祉士養成校協議会会長)
障害者施策の展開ということで、多世代交流の意義は、先行研究では指摘されている。
このような取り組みは、今後も増えていく可能性がありつつも、その活動を仲介する役割を担う人の必要性も取りざたされているので、高等教育機関を多世代交流の場として開放し、利用する人も、本学(群馬医療福祉大学短期大学部)の学生にも、相互にとって相乗効果が起こると考えている。
その上で、行政と連携して行い、よりよいインクルーシブな、住みよい地域をつくっていく上で、どのような連携を模索しているか、ご意見を伺いたい。
(事務局)
インクルーシブという観点では、「群馬県障害者芸術文化活動支援センターこ・ふぁん」の活動の中で、ペイントワークショップ&ドラムサークルといったイベントがある。ペイントワークショップとは、木製のキャンパスボードに自由に絵や文字などを描いていただくイベントである。ドラムサークルは、世界中のタイコをみんなで叩くという遊びのようなもので、障害の有無、年齢も関係なく、参加者全員が楽しめるイベントを昨年度から取り組んでいる。
また、高等教育機関との連携としては、障害当事者の方がファシリテーターとなる障害平等研修を毎年5回開催している。
特に今年度は、県立女子大、群馬大学で開催しており、2月には、高崎健康福祉大で開催する予定である。
この中で、多くの学生に参加していただいており、障害当事者の方との交流を深めていく機会にもなっている。今後も同様の活動を行っていきたいと考えている。
(神澤愛香委員・(一社)群馬建築士会副会長)
グループホームの数は足りているということだが、保護者など思いのある方々が障害者グループホームを建てたいと思っているが、費用面で建てられないという声がある。
(事務局)
施設整備の補助金は別途あるが、対象は限られている。法人格が必要といった条件もある。現在、グループホームの整備が進んでいる中、設置費用の補助は少なくなり、適切な運営指導の取組が主となっている。
(服部真弓委員・(公社)日本精神科病院協会群馬県支部支部長)
グループホーム設置補助は一昨年、令和5年12月が最後。群馬の土地柄もあってグループホームが乱立し、民間運営による問題にもつながっていると聞いている。日精協でも問題になっている。
発達障害は今までは15歳から精神科で診ていたが、昨年6月から12歳から診察するようになっている。(小児専門は5歳から診るが)。診療体制も徐々に充実はしてきている。
県としても普及のチェックについてよろしくお願いしたい。
(吉邑玲子委員・群馬県精神障害者家族会連合会会長)
保護者の一番の心配は親亡き後のこと。在宅で40、50歳で生活している。グループホームに入れたいが、「信頼できるところに入れたい」という気持ちが強く、踏み切れない。
グループホームが乱立する中で無資格者が多く支援に回っているという話も聞いており、適切な運営指導をお願いしたい。
(事務局)
人材が確保しやすい地域など、グループホームの新設が増加している地域がある。新たな仕組みとして、地域連携推進会議として、各地域の住民なども入れてグループホームの運営をオープンにしていくための制度ができた。現場では一生懸命に利用者のために支援している人材もいるが、福祉経験の浅い人材が多くなってしまう実態もある。県としては指定時にしっかりと審査を行うとともに、指定後の適切な運営に向けた指導を行っていく。
(高森勉委員・群馬県自閉症協会会長)
グループホームは、かつては世話人しかいなかったが、障害の特性に合わせた支援の体制となってきた。一方、本当に必要な人のニーズに支援が届いていないという声もある。質の確保をお願いしたい。
発達障害支援の仕組みを作っていただきたい。発達障害の診断ができる医師を増やす。適切な支援があれば一般就労もできる人もいる。強度行動障害者の行き場がないが、支援者養成研修で受入先の増加を。
いずれグループホームの待機者は入所施設と同様になっていくと考えている。数年後は親が亡くなり、相続問題なども加わり、問題が多岐に渡ってしまう。先を見据えた支援が必要。
県として会議などは色々あるが、音頭を取っていく人が変わって、方向性も変わってしまう。一気通貫性の形がよいと思う。
(事務局)
発達障害者支援の方向性ということであるが、県では、発達障害者支援地域協議会という、地域の支援者、保健・医療・福祉の関係者が集まった協議会で、支援の方向性を議論している。発達障害の早期発見・早期療育についても議題となっており、直近3月の協議会においてもペアレントメンター事業の実施について協議し、今年度から実施しているところである。今後も引きつづき、こうした協議会の場で皆様の御意見を伺いながら、今回いただいた御意見なども踏まえて、各種施策を検討してまいりたい。
(岩佐純委員・(独法)高齢・障害・求職者雇用支援機構)
群馬県では、地域支援協議会の中ではいろいろ議論されていると思うが、繋がっていかないような印象を受けてしまうので、そこでいろいろ議論されたことを、どう具体的にしていくのか。また、年齢層ごとではなく、切れ目のない支援に向けた効果、検討も必要。そのためにはどのような仕組みをどう作っていくのか。
(事務局)
協議会では、研修体系などの見直しなどにより、支援機関の支援の質の向上を図り、当事者のライフステージが変わっても身近な地域で同様の支援を継続して受けることができるよう取り組んでいくといったことなどを議論してきたところである。
地域においては、子どもの領域の話でいうと、教育や保育、保健・医療・福祉の関係者などによる会議など、個別に集まって議論する場などもある。当事者の方が、幼稚園のようなところから学校に進学したり、学校から卒業して就労に移行したりといった場面において、どのような資源が使えて、どのような支援が必要なのかを関係機関が体系的に共有しながら、地域の障害福祉サービスを活用していくことも含めて、関係者でしっかりと連携して支援してまいりたい。
(吉田英子委員・群馬県重症心身障害児(者)を守る会会長)
重症心身障害児や医療的ケアが必要な人も、入所施設ではなく、グループホームを希望する人も多い。しかし、グループホームに入居できる人は非常に少ない。また、グループホーム立ち上げの希望を市に持っていっても「足りている」と言われる。想いが形になっていないのは残念。そういった現状もあるということを、群馬県に承知してもらい、お力添えをお願いしたい。
(事務局)
重心の方の受入れができるグループホームということになると、いわゆる日中サービス支援型グループホームということになると思うが、医療的ケアがしっかりできて受け入れられる体制というのは、やはりかなり少ない状況であると思う。立ち上げたいという法人があれば、金銭的な支援は難しいとしても、相談支援は行ってまいりたい。
制度の隙間に落ちてしまう方については、法定サービスのほかにも、地域生活支援事業として各市町村が実施している事業もあるので、さまざまな選択肢を用意できるように、市町村とも連携しながら支援してまいりたい。
(眞下宗司委員・群馬県身体障害者施設協議会会長)
今、重度身体障害のグループホームを作ろうと思っているが、スタッフを集めるのが厳しい。スタッフの育成も困難。建築費も1棟建てたが1億3千万円だった。補助金出ても僅かで、申請も採択は厳しい。医療的ケアのスタッフを育成できる体制もない。日中支援型を立ち上げようとする人もいない。報酬は4対1ではなく6対1に下がった。その中で建設費の捻出は無理。
(事務局)
人材集めがどこの分野でも課題となっている。人材の専門性も重要である一方で、賃金が他分野より低いという面も否めない。県でも処遇改善補助や職場環境改善でのサポートもしており、各施設にも情報発信して支援していく。建設費の補助は限られているが、ご意見いただきながら取り組んでいきたい。
(中島穣委員・(公社)群馬県知的障害者福祉協会会長)
国は福祉をどうしたいのかと思ってしまう。賃金格差50万円。若い人が来てくれない危惧がある。築40~50年の建物の立て替え時期が近い法人も多い。旧時代の設備でやりくりしている状況。建替が全額自己資金では、さらに古いままでの運用が続く。障害者プランではそういった面の計画はない。人材育成だけでなく、環境整備も必要であり、県単補助も検討できないか。
(事務局)
本日はさまざまな意見をいただいた。また、強度行動障害の関係では、今支援を必要としている御家族の取組として成果が出ているものもあるが、やはりグループホームなど、設置されていないものもある。先ほど吉田さんからもお話があった重心への対応とか、地域によっては十分に設置されていないものであったり、強行への支援であったりという課題がある。今必要だというご家族のニーズにすべて応えられてはおらず、人材育成や受入施設の体制整備という面でもう少し時間がかかってしまうのが実情である。
処遇改善のところは、国の方でも経済対策の関係で予算の話も出ており、国の制度を活用して福祉の現場を支援していく。施設整備の補助金も、県単というのはなかなか難しいので、国の予算を活用していけるように取り組みたい。
さまざまな貴重な意見をいただいたので、少しでもニーズに応えられるよう努めてまいりたい。
(4)閉会
・午後3時30分、閉会