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令和6年度群馬県社会教育委員会議定例会 開催結果について
1 日時
令和6年8月20日(火曜日)14時00分~16時00分
2 場所
群馬県庁292会議室
3 出席者
社会教育委員 7名
県教育委員会 7名
4 議事及び意見
(1)令和6年度の協議テーマ及び協議の方向性について
【事務局による説明】
- 社会教育委員の職務と会議について
- 協議テーマの確認と昨年度協議の経緯について
【A委員】
令和4年度に議論のまとめを行ったということだが、その内容に対するフォロー、検証はどのようにすすめるものなのか。
【事務局】
今年度、群馬県教育基本振興計画が新しくなったが、本件に関する内容も入れてあり、点検評価委員会で評価をいただく流れである。令和5年度に関しての点検評価は先日評価をいただいた。
【B委員】
今年度末に、議論は終わる予定であるが、協議テーマが大変広範にわたる内容である。そこで、令和7年度も議論を継続し、総じて3年間で議論を進めたい。議長提案となるがよろしいか。
(異議なし)
【B委員】
本日の議事は、外国人等のニーズに応じた生活に必要な学びの支援ということで、群馬県では重要な課題である。県としての取組事例を紹介いただきたい。
【事務局による説明】
- 外国人児童生徒等教育の現状と課題(文部科学省ホームページより)
- 群馬県多文化共生・共創推進条例の概要説明
- 県立みらい共創中学校の概要説明
【A委員】
外国人というテーマでは、児童生徒を対象として議論するのか、一般の大人について議論するのか、そこはどう考えるか。児童生徒については、1割程度の子供が「日本語指導が必要」としてると聞いたがそれはなぜなのか、一方で、外国人の大人に対してとなれば、どのようなニーズがあるかなど、ほり起こしはされているのか。
【事務局】
来日した外国人の子供は、まず母語習得をできれば、論理的な思考ができるようになり、日本語習得もできる。しかし、外国人の子供は、まず母語習得ができないまま、他国に動いてしまうケースが多いと聞いている。そして、新たな外国人の方が来日する。そのため、常に1割程度の児童、生徒に対して日本語指導は不可欠である。一般の大人の外国人については、経済的支援等の内容もあるので、知事部局と連携して考える必要がある。
【A委員】
「外国人等のニーズ」ということで考えたとき、どこにフォーカスして、どこを底上げするのかを考える必要があるのではないか。
【事務局】
生涯学習なので、大人も含めて議論を進める必要はある。
【B委員】
社会教育委員会議なので、子どもだけではなく、本来は大人についても議論し、日本語支援にとどまらず、生活支援、暮らし、居場所についてなど、広範な意味合いで社会教育としては考えていかなければならない。E委員の話にあった第三の居場所なども含めて、社会教育として考えていただきたいと思う。
【C委員】
群馬県内で活躍するJSV(日本語指導スーパーバイザー)の取組と日本語指導について紹介する。5名のJSVは、総合教育センターで研修をすすめ情報共有しながら取り組んでいる。まず、外国人児童生徒が困っている事例としては、友だちと日本語でコミュニケーションがとれない、日本語が全く話せずに急に転校してくる、日常会話はできるが学習成果があがらないということがあげられる。そして、群馬県では、日本語指導の必要な児童生徒が1年間で10%以上増加していることもあり、日本語指導は常に継続が必要な支援である。群馬県には、外国人集住地域と散在地域があるが、散在地域では同郷の仲間が少なく、地域の理解が十分でない場合がある。そこで、JSVが散在地域で日本語指導の活動支援を行っている。教員向けにやさしい日本語のポイントを伝え、在籍学級でできる支援についても行っている。
【A委員】
吾妻だけで活躍されているのか、手の届かない自治体はどこなのか、人数は足りているのか、JSVの養成機関はあるのか伺いたい。
【C委員】
県内5名のJSVが散在地域を中心に支援している。吾妻地域では、支援は届いている。
【事務局】
外国籍児童生徒への指導は集住地域から中心に取組を始め、先生方の頑張りもあり、他県よりも進んでいる。特に集住地域である太田市、大泉町から取組を始めた。その後時代とともに利根、吾妻地域でも外国人が増えてきたことがありJSVの制度を始め、散在地域での取組が始まっている。伊勢崎の総合教育センターにJSVが集まり、お互い知見を深めている。
【C委員】
学校から保護者への通知などを英訳してもらうなどもしてもらっている。保護者の言語課題があり、言葉のヤングケアラーという問題も起きている。
【B委員】
誰1人取り残さないというテーマからは、散在地域という言葉は、児童生徒を対象とした議論ではあるが、新たな視点として目を向けていかなければならないと思う。
【D委員】
第12期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理にあるとおり、社会的包摂への対応が求められている。先ほど、学校での対応について議論されたが、近年、我が国に在留する外国人の数は急激に増加しており、令和5年6月末時点で約322万人となっている。群馬県では、2023年12月調査で74,154人となっている。また、議論の整理には、今期重点的に議論した事項に、外国人の日本語の学習が記載されている。地域社会の国際化が進む中で共生社会を構築し、地域社会のコミュニティをより緊密で強固なものとするため、日本語教育の環境整備に取り組む必要がある。文化庁では、「生活者としての外国人」のための特定のニーズに対応した日本語教育事業を行っている。どこかの自治体だけ、民間だけでの支援では限られてしまうので、官民、大学も含めた連携が必要であると思う。また、法務省では、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップを決め、そこには目指すべき外国人との共生社会のビジョンや重点事項に係る主な取組を具体的に示している。また、厚労省の地方自治体向け事例集では、外国人定着における課題として、地域との関わりをもてないことと、生活における利便性の課題があることを示している。群馬県からは、片品村と沼田市より事例が掲載されている。高崎市は、7,187人の外国人が居住しているが、外国人を対象にした公民館事業がない状況にあるので、これらの事例を参考に進めていけるとよい。また、先日、私の教室に外国人から問合せの質問があった際、質問の冒頭に外国人ですが大丈夫ですかという質問があった。日頃から外国人ということに引け目を感じているのではないかと思った。また、外国人が情報を得るためにホームページは検索できても、書かれている日本語の内容を理解できないために、目的に辿り着けないということも知った。つなぐ役割、コーディネーターの必要性を感じた。
【事務局】
A委員の発言にあった大人の外国人に向けた支援について、知事部局での取組事例を紹介する。日本語のボランティア養成講座がある。外国人県民の方が日本語を習得するという意味と、その日本語を通じて外国人県民と地域をつなぐという目的をもって行っている。また、外国人による外国人への日本語の学習支援、外国人同士でコミュニケーションをとりながら日本語を習得するという取組もある。議論に係る取組を行っている関係部局は、教育委員会に限らず、地域創生部、産業経済部、健康福祉部などが考えられる。
【B委員】
本来生涯学習は、部局横断的なものであり、横断的な議論をする必要もある。D委員の資料にある、地域との関わりがもてない、コミュニティとの接点をどのようにつくっていくのかという視点は、社会教育では大変重要な視点である。日本語を学ぶことも大事であるが、生活していく、ともに暮らしていく中で、コミュニティの一員になることも大切な視点である。言葉が通じなくても助け合える、支え合うことができるようになると思う。地域との関わりをもつような実践を調べていけるとよいと思う。
【A委員】
外国人県民を地域と結ぶうえで、社会教育主事、社会教育士がどのように介入するのか、コーディネートするのかが大事になってくると思う。
【B委員】
これまで、集住地域と散在地域の話、言葉のヤングケアラーの話、公民館の実情に関する情報などをいただき、いくつかの課題が見えてきた。今後、どのような努力が可能なのか、必要な環境は何なのか議論を深めたい。
【E委員】
フリースクールでの事例を紹介する。明和町で運営している拠点は、第3者の支援を必要としている児童を対象としている。東毛地域では、外国籍の子供は多く、保護者も外国籍の方が当然多い状況にある。子供に関して感じることは、日本語がしゃべれないので、学校の授業についていけない、言葉を話さない、緘黙になる傾向があるようだ。家庭があり、居場所がある子供は、子供同士のつながりや社会とのつながりがあり、学びがある。しかし、環境が整っていない子供には、コミュニケーションがとれて、言葉が学べる居場所の確保が必要である。そうすると、学校、行政、民間の連携が求められている。JSVの方が限られた時間の中で、どれほどまでのことを把握し、対応されているのか知りたい。
【事務局】
JSVは日本語指導となるので、学校と家庭、地域をつなぐという意味ではスクールソーシャルワーカーの役割も大事となっている。
【E委員】
外国籍の子供はとても前向きな性格だと感じている。
【事務局】
大泉町の学校では、日本人の子供が日本語を教える代わりに、外国籍の子供が英語やダンス、バスケット教えるなど交流している。外国籍の人は地域のコミュニティがあり、そこのつながりは大変強いと思う。しかし、そのコミュニティにも入れていなくて本当に孤立してしまっているケースもある。日本語の問題に限らず、居場所が必要な外国籍の子供の場合は、コミュニティを作る時間がない、多国籍化してるのでその意味では例えばブラジルの方とかポルトガルの方とかペルーの方とかベトナムの方とかいう風なコミュニティが作れていない場合もある。地域創生部だとか生活子ども部などからも情報を集めたいと思う。
【B委員】
スクールソーシャルワーカーについては、学校側からの視点だと思う。社会教育の視点からすると、キーワードは生活支援とか居場所とかそういう切り口になると思う。社会教育的なアプローチでは、そういう視点をもちたい。そこで接点が生まれて、コミュニティにつなぐなどの取り組みが生まれていくのだと思う。民間団体が公民館を使って、団体の事業として外国人の支援を行うなどの活動は県内でも行われているが。このような情報は公民館行政から調査してもなかなかキャッチできず、難しさはある。例えば、この昭和庁舎内にも中間支援施設があるが、様々な民間団体の情報をもっているので、そこから調べることは可能だと思う。
【F委員】
日本人の人口の統計から考えると、圧倒的に人手の足りない時代が来るので、外国人の力は必要になってくると考える。これと同時に必要になってくるのはAIの力でもあり、今回のこの課題はもっと大きな枠で、大きな力で臨むべきだと思う。熱い思い、何かしらのことは行っているが、小さな枠で行っていることが教育に限らず、社会、経済で起こっている。目指そうとしているところは一緒なのに、目指す山頂に向けて登り方はそれぞれでもよいはずなのに、意見がずれて大きな力になりきれずにいることを感じる。
【B委員】
これからの日本には多様な主体をつなぐ機能、媒介機能が求められるが、まだまだ弱い状況がある。群馬県内にも中間支援の機能はあるものの、さらに必要とされる状況がある。考えや取組が異なる団体や機関などをうまく繋いでいける機能、あるいはそうした人材がいてくれるとよい。こうした課題をどこで議論するのかといえば、それは社会教育、生涯学習の分野になってくる。とにかく、どこかがつなぐ機能を議論していかないといけない。
【G委員】
玉村町の住民活動サポートセンターぱるについて紹介する。ぱるには、100以上の団体が登録されている。玉村町国際交流協会では、金曜日の19時30分~21時00分、土曜日の13時30分~15時00分に外国人へ日本語を教えている。女子大生などの学生もボランティアとして関わっている。ガイドたまむらの会では、鎌倉や日光、先日は松本城に外国人の方を連れて行って文化交流を行った。参加者は日本の城や歴史に興味を示し、日本文化への理解を深めていたとのことである。玉村町には、830人ほどの外国人が居住しているということだが、以前は中国、ブラジルの方が多かったが、最近ではインドネシアなどの東南アジアの外国人の方も多く、いろいろな国の方が居住しているようになっている。色々なイベント、取組を住民サポートセンターぱるで行っているので、パンフレットも参考に見ていただきたい。
【B委員】
住民活動サポートセンターぱるは、まさにつなぐ機能であり、玉村町の人口規模では全国的にも珍しく、先駆的な取組とも言える。
【A委員】
議論の対象範囲を教育委員会の行政範囲にフォーカスするのか、横断的に広く議論するのか、考える必要はないだろうか。
【事務局】
横断的に議論するとしたら、事業に絞って横に広げるというのは可能かと思う。外国人というキーワード前提についての議論の難しさはあるが、例えば、子供中心にして少し幅広に議論するのか、横断的に広げて議論するのか、議長、副議長と相談し、方向性を次回までに決めたいと考える。
【B委員】
県内の公民館などの社会教育施設へは、ここでの提言が出されていくので、様々な情報が入っていることで現場としては参考になると思う。第3の居場所などは、まだあまり知られていない新しい情報でもあるので、様々な取組があることを伝えていくこともこの会議の大切な役割だと考える。そのような意味で、引き続き議論を進めていきたい。本日は、居場所や生活支援、つなぐ機能など今後の議論のヒントとなるキーワードがいくつか出された。これらを整理して今後の議論を進めていきたいと思う。議事は以上になるので進行を事務局にお返しする。