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利根下流地域森林計画書<計画事項3>

更新日:2022年1月6日 印刷ページ表示

第3 森林の整備に関する事項

1 森林の立木竹の伐採に関する事項(間伐に関する事項除く)

 市町村森林整備計画の策定に当たっては、次の事項を指針として、市町村の気候、地形、土壌等の自然条件、森林資源の構成、森林に対する社会的要請、施業制限の有無、木材需要、森林の保全等を勘案して計画事項を定めるものとします。

(1) 立木の伐採(主伐)の標準的な方法に関する指針

 立木竹の伐採のうち主伐については、更新(伐採跡地(伐採により生じた無立木地)が、再び立木地となること)を伴う伐採であり、その方法については、皆伐又は択伐によるものとします。
 主伐に当たっては、森林の有する公益的機能の発揮と森林生産力の維持増進に配慮して行うこととし、伐採跡地が連続することがないよう、伐採跡地間には、少なくとも周辺森林の成木の樹高程度の幅を確保することとします。また、伐採作業に伴う林業機械の走行等に必要な集材路の作設等に当たっては、伐採する区域の地形や地質等を十分に確認した上で配置の計画や施工を行い、森林の更新及び森林の土地の保全への影響を極力抑えることとします。
 伐採の対象とする立木については、標準伐期齢以上を目安として選定することとします。
 なお、生物多様性の保全の観点から、必要に応じて渓流周辺や尾根筋等に所用の保護樹帯を設けるなどの方法を考慮するものとします。
 立木の伐採(主伐)の標準的な方法は以下に示すとおりです。また、特定の森林においてどのような伐採方法を妥当とするかは市町村森林整備計画において定められ、森林所有者等が立木の伐採(主伐)を行う際の規範となります。

ア 伐採方法について
(ア) 皆伐

 皆伐については、主伐のうち択伐以外のものとします。
 皆伐に当たっては、気候、地形、土壌等の自然条件及び公益的機能の確保の必要性を踏まえ、適切な伐採区域の形状、一か所当たりの伐採面積の規模及び伐採区域のモザイク的配置に配慮し、適確な更新を図ることとします。

(イ) 択伐

 択伐については、主伐のうち、伐採区域の森林を構成する立木の一部を伐採する方法であって、単木・帯状又は樹群を単位として、伐採区域全体ではおおむね均等な割合で行うものとします。
 択伐に当たっては、森林の有する多面的機能の維持増進が図られる適正な林分構造となるよう、一定の立木材積を維持するものとし、材積に係る伐採率を30%以下(伐採後の造林が人工造林による場合にあっては40%以下)とします。

イ 森林の区分別の施業の指針
(ア) 育成単層林

 気候、地形、土壌等自然条件、林業技術体系等から見て、人工造林又は萌芽更新により高い林地生産力が期待される森林及び森林の有する公益的機能の発揮の必要性から植栽を行うことが適当である森林について、以下の事項に留意の上実施することとします。

  • a 主伐に当たっては、自然条件及び公益的機能の確保についての必要性を踏まえ、一箇所当たりの伐採面積の規模及び伐採箇所の分散に配慮します。また、林地の保全、なだれ、落石等の防止、寒風害等の各種被害の防止及び風致の維持等のため必要がある場合には、所要の保護樹帯を設置します。
  • b 主伐の時期については、地域の森林構成等を踏まえ、公益的機能の発揮との調和に配慮し、木材等資源の効率的な循環・利用を考慮して、多様化及び長期化を図ることとし、多様な木材需要に対応した林齢で伐採します。
(イ) 育成複層林

 気候、地形、土壌等の自然条件、林業技術体系等から見て、人為と天然力の適切な組合せにより複数の樹冠層を構成する森林として成立し、森林の諸機能の維持増進が図られる森林について、以下の事項に留意の上実施することとします。
 主伐に当たっては、複層状態の森林に確実に誘導する観点から、自然条件を踏まえ、森林を構成している樹種、林分構造等を勘案して実施することとします。

  • a 択伐による場合は、森林生産力の増進が図られる適正な林分構造に誘導するよう適切な伐採率、繰り返し期間によるものとします。
  • b 皆伐による場合は、適切な伐採区域の形状、伐採面積の規模、伐採箇所の分散等に配慮します。
  • c 天然更新を前提とする場合には、種子の結実状況、天然稚樹の生育状況、母樹の保存等に配慮します。
(ウ) 天然生林

 天然生林の皆伐は、施業地周辺の人工林の生育状況、自然条件及び技術体系から見て人工植栽又は天然更新による成林が確実であると見込まれる林分で行うこととします。
 伐区の設定に当たっては、公益的機能の発揮を確保する観点から、育成単層林に準じて伐採面積の規模、伐採箇所の分散、保護樹帯の設置等に配慮するものとします。

(2) 立木の標準伐期齢に関する指針

 標準伐期齢は、地域の標準的な主伐の時期として、森林施業の指標、制限林の伐採規制等に用いられるものです。市町村内の主要樹種ごとに下表に示す林齢を基礎として、平均成長量が最大となる林齢を基準に、森林の有する公益的機能、既往の平均伐採齢及び森林の構成を勘案して定めることとします。また、特定苗木などが調達可能な地域では、その特性に対応した標準伐期齢の設定を検討するよう努めることとします。
 なお、標準伐期齢は、地域を通じた標準的な立木の伐採(主伐)の時期に関する指標として市町村森林整備計画で定められるものですが、標準伐期齢に達した森林の伐採を義務づけるためのものではありません。

樹種別の標準伐期齢
樹種 スギ ヒノキ アカマツ・クロマツ カラマツ その他針葉樹 広葉樹(用材) 広葉樹(その他)
林齢 35年 40年 35年 40年 60年 70年 15年

注意 広葉樹のその他には、薪炭材、パルプ用チップ原木、食用きのこ原木等に供されるものを含む。

(3) その他必要な事項

 特になし

2 造林に関する事項

 市町村森林整備計画の策定に当たっては、次の事項を指針として、市町村内の気候、地形、土壌等の自然条件、森林資源の構成、森林に対する社会的要請、施業制限の有無、木材の利用状況、森林の保全等を勘案して計画事項を定めるものとします。

(1) 人工造林に関する指針

 人工造林については、植栽によらなければ適確な更新が困難な森林や公益的機能の発揮の必要性から植栽を行うことが適当である森林のほか、木材等生産機能の発揮が期待され、将来にわたり育成単層林として維持する森林において行うものとします。
 人工造林の対象樹種、標準的な方法及び人工造林を実施すべき期間については、以下を参考に市町村森林整備計画において定められ、森林所有者等が人工造林を行う際の規範となります。

ア 人工造林の対象樹種に関する指針

 人工造林をすべき樹種は適地適木を旨として、郷土樹種も考慮に入れて、市町村内の自然条件、地域における造林種苗の需給動向及び木材の利用状況等を勘案して、スギ、ヒノキ、アカマツ、カラマツ、クヌギ、コナラ、ケヤキ等を主体に定めるものとするほか、地域に応じた有用広葉樹とします。また、特定苗木などの成長に優れた苗木や少花粉スギなどの花粉症対策に資する苗木の確保を図るため、その増加に努めることとします。

イ 人工造林の標準的な方法に関する指針
(ア) 人工造林の植栽本数

 植栽本数は、主要の造林樹種について、下表の植栽本数を基礎とし、既往の植栽本数を勘案し、仕立ての方法別に定めるものとします。
 なお、画一的な植栽本数の適用につながらないよう、生産目標や森林の諸機能の発揮に対する社会的要請等に応じて幅広く定めるものとします。

樹種別の植栽本数
樹種 仕立て方法 植栽本数
スギ 密仕立て 3,500本/ヘクタール
中仕立て 3,000本/ヘクタール
疎仕立て 2,500本/ヘクタール
ヒノキ 密仕立て 3,500本/ヘクタール
中仕立て 3,000本/ヘクタール
疎仕立て 2,500本/ヘクタール
アカマツ 中仕立て 4,000本/ヘクタール
カラマツ 中仕立て 2,500本/ヘクタール
(イ) 人工造林の標準的な方法の指針
  • a 地拵えの方法

 伐採木の枝条等が植栽や保育作業の支障とならないように整理するとともに、林地の保全に配慮します。

  • b 植付け方法

 気候その他の自然条件及び既往の植付け方法を勘案して植付け方法を定めるとともに、適期に植え付けるものとします。
 なお、植栽に当たっては、コンテナ苗の活用や伐採と造林の一貫作業システム、低密度植栽、保育作業用機械による下刈を想定した植付間隔の導入も考慮するものとします。

樹種別の作業方法
樹種 地拵えの方法 植栽の時期 植付けの方法
スギ・ヒノキ 全刈 4月~6月 普通穴植え
アカマツ・カラマツ 全刈 3月~5月 普通穴植え
ウ 伐採跡地の人工造林をすべき期間に関する指針

 (3)に定める「植栽によらなければ適確な更新が困難な森林」に指定されている森林の更新など人工造林による更新は、地域の実情や市町村森林整備計画の定めにより確実に行います。
 なお、市町村森林整備計画で定める「伐採跡地の人工造林をすべき期間」についての指針は、森林の有する公益的機能の維持及び早期回復並びに森林資源の造成を図ることを旨として次のとおりとします。

人工造林をすべき期間
伐採の方法 期間
皆伐 主伐としてその立木の伐採が終了した日を含む伐採年度の翌伐採年度の初日から起算して2年以内
択伐 主伐としてその立木の伐採が終了した日を含む伐採年度の翌伐採年度の初日から起算して5年以内

(2) 天然更新に関する指針

 天然更新については、前生稚樹の生育状況、母樹の存在など森林の現況、気候、地形、土壌等の自然条件、林業技術体系等からみて、主として天然力の活用により適確な更新が図られる森林において行うこととします。
 天然更新の対象樹種、標準的な方法及び天然更新を実施すべき期間については、以下を参考に市町村森林整備計画において定められ、森林所有者等が天然更新を行う際の規範となります。

ア 天然更新の対象樹種に関する指針

 天然更新をすべき樹種は適地適木を旨として、地域内の自然条件、周辺環境等を勘案して、次のとおり定めます。

天然更新の対象樹種
区分 対象樹種
天然更新の対象樹種 コナラ、ミズナラ、ブナ、クリ、ケヤキ、ミズキ、サクラ類、シデ類、カンバ類、カエデ類、トチノキ、ホオノキ、ほか地域に応じ、将来確実に成林する高木性の樹種
上記のうちぼう芽による更新が可能な樹種 コナラ、ミズナラ、クリ、サクラ類、シデ類、カエデ類、ホオノキ等
イ 天然更新の標準的な方法に関する指針

 ぼう芽、天然下種及びこれらの組み合わせにより適確な更新を図ることとします。
 なお、天然更新の対象樹種について、期待成立本数及び天然更新すべき立木の本数を次のとおり定めます。

天然更新の基準
区分 本数
期待成立本数 10,000本/ヘクタール
天然更新すべき立木の本数 期待成立本数に10分の3を乗じて得た本数

 天然更新補助作業の標準的な方法として、ぼう芽更新箇所では、ぼう芽を促進するため、上木の伐採等により十分な照度を確保するほか、ぼう芽の発生状況に応じ、芽かき、植込み等を行うこととします。
 天然下種更新では、ササや粗腐植の堆積等により更新が阻害されている箇所について、枝条類の除去、かき起こし等を行います。さらに、発生した稚樹の生育を促進するため、生育の阻害となるササなどの刈り出しを行うほか、幼樹の発生が不十分な箇所には新たに植込みを行い森林の回復を図ることとします。
 また、伐採跡地の天然更新の完了を確認する方法は現地確認とし、対象樹種の稚樹が概ね均等に生育するとともに、草本等によって被圧されず、順調に成長できると見なされる状態を持って更新完了とします。

ウ 伐採跡地の天然更新をすべき期間に関する指針

 森林の有する公益的機能の維持及び早期回復を図るため、地域の実情や市町村森林整備計画の定めにより確実な更新を行います。
 なお、伐採跡地の天然更新をすべき期間については、伐採が終了した日を含む年度の翌年度の初日から起算して5年を経過する日までとします。

(3) 植栽によらなければ適確な更新が困難な森林に関する指針

 気候・地形・土壌等の自然条件、次に例示する森林の状況並びに当該森林及び近隣の森林における主伐箇所の天然更新の状況等から判断して、主伐後の天然更新が期待できない森林については、植栽による主伐後の適確な更新を図ります。

  • a ぼう芽更新に適した立木や天然下種更新に必要な母樹の賦存状況
  • b 天然更新に必要な稚幼樹の生育状況
  • c 林床や地表の状況
  • d 病虫獣害の発生状況

 また、当該森林での植栽にあたっては、樹種特性を把握し、その気候に適した樹種を選定し、造林適期に植栽することとします。
 なお、「植栽によらなければ適確な更新が困難な森林」の基準は、市町村森林整備計画において定められます。

(4) その他必要な事項

 特になし

3 間伐及び保育に関する事項

 市町村森林整備計画の策定に当たっては、次の事項を指針として、森林資源の構成、森林に対する社会的要請、間伐保育の実施状況、森林の保全等を勘案して計画事項を定めるものとします。

(1) 間伐を実施すべき標準的な林齢及び間伐の標準的な方法に関する指針

 森林の立木の成育の促進並びに林分の健全化及び利用価値の向上を図るため、下表に示す内容を基礎とし、既往の間伐の方法を勘案して、林木の競合状態等に応じた間伐の開始時期、繰り返し期間、間伐率、間伐木の選定方法その他必要な事項を定めるものとします。
 間伐率については、材積に係る伐採率が35%以下であり、かつ、伐採が終了した日を含む年度の翌年度の初日から起算しておおむね5年後において、その森林の樹冠疎密度が10分の8以上に回復することが確実であると認められる範囲内とすることとします。特に、高齢級の森林における間伐については、立木の成長力に留意することとします。また、施業の省力化・効率化の観点から、列状間伐の導入に努めることとします。
 なお、間伐を実施すべき標準的な林齢及び間伐の標準的な方法は、市町村森林整備計画において定められ、森林所有者等が間伐を行う際の規範となります。

樹種別・施業体系別の標準的な間伐林齢
樹種 施業体系
(植栽本数/地位級)
初回 2回目 3回目 4回目 5回目
スギ 3,000本/地位級2 15年 20年 27年    
3,000本/地位級3 17年 23年 31年    
3,000本/地位級3(伐期80年) 17年 23年 31年 44年 69年
ヒノキ 3,000本/地位級2 18年 23年 30年    
3,000本/地位級3 21年 27年 36年    
3,000本/地位級3(伐期80年) 21年 27年 36年 53年  
アカマツ 4,000本/地位級2 16年 21年 28年    
4,000本/地位級2(伐期80年) 16年 21年 28年 40年  
カラマツ 2,500本/地位級3 18年 23年 29年    
2,500本/地位級3(伐期80年) 18年 23年 29年 40年  

(2) 保育の標準的な方法に関する指針

 保育の種類は、原則として下刈り、つる切り及び除伐とし、森林の立木の生育の促進及び林分の健全化を図るため、下表に示す内容を基礎とし、既往の保育の方法を勘案し、時期、回数、作業方法その他必要な事項を定めるものとします。
 なお、保育の標準的な方法は、市町村森林整備計画において定められ、森林所有者等が森林の保育を行う際の規範となります。

樹種別の標準的な施業実施林齢と回数
保育の種類 樹種 1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年
下刈 スギ 1回 1回 1回 1回 1回 1回        
ヒノキ 1回 1回 1回 1回 1回 1回 1回      
アカマツ 1回 1回 1回 1回 1回 1回        
カラマツ 1回 1回 1回 1回 1回 1回        
コナラ 1回 1回 1回 1回 1回          
つる切 スギ                   1回
ヒノキ                   1回
アカマツ                   1回
カラマツ                   1回
コナラ             1回      
除伐 スギ                   1回
ヒノキ                   1回
アカマツ                   1回
カラマツ                   1回
コナラ             1回      

 市町村内の間伐又は保育が適正に実施されていない森林であって、早急に実施する必要のあるものは、積極的に間伐・保育を推進することとします。

(3) その他必要な事項

 特になし

4 公益的機能別施業森林等の整備に関する事項

 公益的機能別施業森林の区域は、次の事項を基準とし、重視すべき機能に応じた整備を行う観点から、森林を、地域の特性に応じて、森林資源の状況、森林に対する自然条件及び社会的要請、森林の保全を総合的に勘案の上、市町村森林整備計画の計画事項として定めるものとします。

(1) 公益的機能別施業森林の区域の基準及び当該区域における森林施業の方法に関する指針

ア 区域の設定の基準

 公益的機能別施業森林は、特に高度に発揮することが期待される森林の機能に応じて、「水源涵(かん)養機能維持増進森林」、「山地災害防止機能/土壌保全機能維持増進森林」、「快適環境形成機能維持増進森林」、「保健文化機能維持増進森林」に区分します。(それぞれの機能については本計画第2 表1参照)

 なお、区域内において、機能が重複する場合には、それぞれの機能の発揮に支障がないように定めます。

(区域設定の考え方)

(ア) 水源の涵(かん)養の機能の維持増進を図るための森林施業を推進すべき森林

 ダムの集水区域や主要な河川の上流に位置する森林及び地域の用水源として重要なため池、湧水地、渓流等の周辺に存する森林を、水源涵(かん)養機能維持増進森林の区域として設定します。

(イ) 土地に関する災害の防止及び土壌の保全の機能の維持増進を図るための森林施業を推進すべき森林

 山腹崩壊等により人命・人家等施設に被害を及ぼすおそれがある森林など、土砂の流出、土砂の崩壊の防備その他山地災害の防備を図る必要のある森林を、山地災害防止機能/土壌保全機能維持増進森林の区域として設定します。

(ウ) 快適な環境の形成の機能の維持増進を図るための森林施業を推進すべき森林

 県民の日常生活に密接な関わりを持つ里山林等であって、騒音や粉塵等の影響を緩和する森林及び森林の所在する位置、気象条件等から見て風害、霧害等の気象災害を防止する効果が高い森林を、快適環境形成機能維持増進森林の区域として設定します。

(エ) 保健文化機能(保健・レクリエーション機能/文化機能/生物多様性保全機能)の維持増進を図るための森林施業を推進すべき森林

 下記の森林については、保健文化機能維持増進森林の区域として設定します。

  • 観光的に魅力ある高原、渓谷等の自然景観や植物群落を有する森林、キャンプ場や森林公園等の施設を伴う森林など、県民の保健・教育的利用等に適した森林(保健・レクリエーション機能)
  • 史跡、名勝等の所在する森林や、これらと一体となり優れた自然景観等を形成する森林(文化機能)
  • 原生的な森林生態系、希少な生物が生育・生息する森林、陸域・水域にまたがり特有の生物が生育・生息する渓畔林などの属地的に機能の発揮が求められる森林(生物多様性保全機能)
イ 森林の施業の方法に関する指針

 公益的機能別施業森林における区域別の森林の施業の方法は次のとおりとします。なお、区域内において機能が重複する場合には、それぞれの機能の発揮に支障がないように定めます。

区域ごとの施業指針
区域 施業方法
水源涵養(かんよう)機能維持増進森林 伐期の間隔の拡大
皆伐については次の条件のいずれかに該当する森林は伐採面積の規模を縮小する。
(地形)
  • 標高の高い地域
  • 傾斜が急峻な地域
  • 谷密度の大きい地域
  • 起伏量の大きい地域
  • 渓床又は河床勾配の急な地域
  • 掌状型集水区域
(気象について)
  • 年平均又は季節的降水量の多い地域
  • 短時間に強い雨の降る頻度が高い地域
山地災害防止機能/土壌保全機能維持増進森林…1
快適環境形成機能維持増進森林…2
保健文化機能維持増進機能森林(保健・レクリエーション機能/文化機能/生物多様性保全機能)…3
次の1~3の森林のうち、公益的機能の維持増進を特に図るべき森林は択伐による複層林施業を実施
  1. 地形が傾斜が急な箇所、傾斜の著しい変移点を持っている箇所又は山腹の凹曲部等地表流下水、地中水の集中流下する部分を持っている箇所、地質が基岩の風化が異常に進んだ箇所、基岩の節理又は片理が著しく進んだ箇所、破砕帯又は断層線上にある箇所、流れ盤となっている箇所、土壌等が火山灰地帯等で表土が粗しょうで凝集力の極めて弱い土壌から成っている箇所、土層内に異常な滞水層がある箇所、石礫地から成っている箇所、表土が薄く乾性な土壌から成っている箇所等の森林
  2. 都市近郊林等に所在する森林であって郷土樹種を中心とした安定した林相を成している森林、市街地道路等と一体となって優れた景観美を構成する森林、気象緩和、騒音防止等の機能を発揮している森林等
  3. 湖沼、瀑布、渓谷等の景観と一体となって優れた自然美を構成する森林、紅葉等の優れた森林美を有する森林であって主要な眺望点から望見されるもの、ハイキング、キャンプ等の保健・文化・教育的利用の場として特に利用されている森林のうち、保健・レクリエーション機能及び文化機能の発揮が特に求められる森林、希少な生物の保護のため必要な森林(択伐に限る)等
  • 上記以外の森林は複層林施業を実施
  • 適切な伐区の形状・配置等により、伐採後の林分においても機能の確保ができる場合には、長伐期施業(標準伐期齢のおおむね2倍に相当する林齢を超える林齢において主伐を行う森林施業)を行うことも可能
  • 長伐期施業における皆伐については伐採に伴って発生する裸地の縮小及び分散を図る
  • 保健文化機能維持増進森林のうち、特に、地域独自の景観等が求められる森林においては、風致の優れた森林の維持又は造成のために特定の樹種の広葉樹を育成する森林施業を実施

(2) 木材の生産機能の維持増進を図るための森林施業を推進すべき森林の区域の基準及び当該区域内における施業の方法に関する指針

ア 区域の設定の基準

 対象森林に関する自然条件及び社会条件、森林の機能の評価区分等を参考に、森林の一体性も踏まえつつ、木材等生産機能の維持増進を図る森林の区域を次のとおり設定することとします。
 この区域のうち特に効率的な施業が可能な森林の区域を次のとおり設定することとします。
 この際、区域内において(1)の機能と重複する場合には、それぞれの機能の発揮に支障がないように定めることとします。

(区域設定の考え方)

  • 木材の生産機能の維持増進を図るための森林施業を推進すべき森林

 林木の育成に適した森林で、効率的な森林施業が可能な森林を、木材等生産機能維持増進森林の区域として設定します。

  • 特に効率的な施業が可能な森林

 木材等生産機能維持増進森林のうち、自然的・社会的条件等を勘案し、森林の一体性を踏まえつつ、特に効率的な森林施業が可能な森林を、特に効率的な施業が可能な森林の区域として設定します。

イ 施業の方法に関する指針

 森林施業の方法として、生産目標に応じた伐採の方法等を定めるとともに、植栽による確実な更新、保育及び間伐等の実施、森林施業の集約化等を通じた効率的な森林整備を推進するとともに、特に効率的な施業が可能な森林における人工林の伐採後は、原則、植栽による更新を行うこととします。

(3) その他必要な事項

 特になし

5 林道等の開設その他林産物の搬出に関する事項

(1) 林道等の開設及び改良に関する基本的な考え方

 林道等路網の開設については、森林の整備及び保全、木材の生産及び流通を効果的かつ効率的に実施するため、傾斜等の自然条件、事業量のまとまり等地域の特性に応じて、環境負荷の低減に配慮しつつ、整備を進めていきます。
 また、林道等の整備に当たっては、自然条件や社会的条件が良く、将来にわたり育成単層林として維持する森林などを主体に、効率的な森林施業や木材の大量輸送などへの対応の視点を踏まえて推進します。
 また、様々な目的で利用される林道の維持管理として、法面の保全や舗装等、通行の安全を確保するための必要な改良を行っていきます。

基幹路網の現状
区分 路線数 延長
基幹路網 192路線 447キロメートル
うち林業専用道 7路線 9キロメートル

注意 令和2年度までの累計の実績である。

(2) 効率的な森林施業を推進するための路網整備の水準及び作業システムの基本的な考え方

 下表を目安として、一般車両の走行を想定する「林道」、主として森林施業用の車両の走行を想定する「林業専用道」、集材や造材等の作業を行う林業機械の走行を想定する「森林作業道」からなる路網と高性能林業機械を組み合わせた低コストで効率的な作業システムに対応した路網整備を推進します。

路網密度の目安
区分 作業システム 路網密度 うち基幹路網
緩傾斜地
(0度~15度)
車両系作業システム 110メートル/ヘクタール以上 30メートル/ヘクタール~
40メートル/ヘクタール
中傾斜地
(15度~30度)
車両系作業システム 85メートル/ヘクタール以上 23メートル/ヘクタール~
34メートル/ヘクタール
架線系作業システム 25メートル/ヘクタール以上 23メートル/ヘクタール~
34メートル/ヘクタール
急傾斜地
(30度~35度)
車両系作業システム 60メートル/ヘクタール以上
(50メートル/ヘクタール以上)
16メートル/ヘクタール~
26メートル/ヘクタール
架線系作業システム 20メートル/ヘクタール以上
(15メートル/ヘクタール以上)
16メートル/ヘクタール~
26メートル/ヘクタール
急峻地
(35度~)
架線系作業システム 5メートル/ヘクタール以上 5メートル/ヘクタール~
15メートル/ヘクタール

注意

  1. 「車両系作業システム」とは、車両系の林業機械により林内の路網を移動しながら木材を集積、運搬するシステム。フォワーダ等を活用する。
  2. 「架線系作業システム」とは、林内に架設したワイヤーロープに取り付けた搬器等を移動させて木材を吊り上げて集積するシステム。タワーヤーダ等を活用する。
  3. 「急傾斜地」の()書きは、広葉樹の導入による針広混交林化など育成複層林へ誘導する森林における路網密度である。
  4. 基幹路網は、林道と林業専用道をいう。

(3) 路網整備と併せて効率的な森林施業を推進する区域(路網整備等推進区域)の基本的な考え方

 本県の人工林は、10齢級以上の森林が面積で5分の4を占め、木材資源は量的・質的にも充実しつつあり、造成した森林資源を有効活用すると同時に、計画的に再造成すべき時期を迎えています。
 このため、地域の森林資源の状況や地形、既存の路網の状況等を勘案し、路網の整備と森林施業の集約化により低コストの森林施業を推進する区域を路網整備等推進区域として設定し、利用間伐や択伐、皆伐による木材生産を促していきます。

(4) 路網の規格・構造についての基本的な考え方

 林道の開設にあたっては、林道規程を遵守することとし、林道専用道及び森林作業道においては、「群馬県林業専用道作設指針」及び「群馬県森林作業道作設指針」等に則り開設するものとし、間伐をはじめとする森林整備や木材搬出のため、作業の効率化と経済性を確保した規格・構造とし、高性能林業機械の使用に適合するきめ細やかな路網を整備します。

(5) 林産物の搬出方法等

ア 林産物の搬出方法

 伐採・搬出に当たっては、地形等の条件に応じて路網と架線を適切に組み合わせる。特に、急傾斜地その他の地形、地質、土質等の条件が悪く土砂の流出又は林地の崩壊を引き起こすおそれがあり、林地の更新又は土地の保全に支障を生じる場所において伐採・搬出する場合には、地表を極力損傷しないよう、集材路の作設を避け、架線集材によることとする。

イ 更新を確保するため林産物の搬出方法を特定する森林の所在及びその搬出方法

 該当林分なし

(6) その他必要な事項

 特になし

6 委託を受けて行う森林の施業又は経営の実施、森林施業の共同化その他森林施業の合理化に関する事項

 森林・林業・木材産業関係者の合意形成と民有林と国有林の連携を図りつつ、森林の経営の受委託等による森林の経営規模の拡大、森林施業の共同化、林業担い手育成、林業機械化の推進、地域材の流通・加工体制の整備等の生産、流通及び加工における条件整備及び地域資源を活かした産業の活性化を以下のとおり計画的かつ総合的に推進します。

(1) 森林の経営の受委託等による森林の経営規模の拡大及び森林施業の共同化に関する方針

ア 委託を受けて行う森林の施業又は経営の実施等

 委託を受けて行う森林の施業又は経営の実施等については、施業集約化と長期施業受委託等に必要な森林情報の提供及び助言・あっせんなどを推進し、長期にわたり持続的な経営を実現できる林業経営体への委託を進めます。
 その際、長期の施業等の委託が円滑に進むよう、森林の土地の所有者届出制度の運用や固定資産課税台帳情報の適切な利用を通じて、得られた情報を林地台帳に反映するなどして、森林所有者情報の精度向上を図るとともに、その情報提供を促進します。このほか、施業集約化等を担う森林施業プランナーの育成を進めます。
 これらの取組に加え、森林経営管理制度の活用により経営管理の集積・集約化を進めます。

イ 森林所有者が共同して行う森林施業の促進方針

 森林施業の共同実施、作業路網の維持運営等を内容とする施業実施協定の締結等により、森林所有者等の共同による施業の確実な実施を促進するものとします。
 あわせて、森林の適切な整備及び保全を推進するための条件整備として、境界の整備など森林管理の適正化を図るものとします。

(2) 森林経営管理制度の活用の促進に関する方針

森林の経営管理(自然的経済的社会的諸条件に応じた適切な経営又は管理を持続的に行うことをいう。以下に同じ。)を森林所有者が自らが実行できない場合には、市町村が経営管理の委託を受け、林業経営に適した森林については意欲と能力のある林業経営者に再委託するとともに、再委託できない森林及び再委託に至るまでの間の森林については市町村自らが経営管理を実施する森林経営管理制度の活用を促進します。

(3) 林業に従事する者の養成及び確保に関する方針

ア 林業事業体の体質強化

 地域林業の振興の核となりうる森林組合をはじめとした林業事業体を育成するため、地域が一体となって安定的な事業量が確保できるよう努めるものとします。また、森林組合においては、これまでの利用事業主体の経営から林産事業主体の経営に転換できるよう施業集約化や低コスト林業の確立に取組むほか、素材生産事業体等との連携を通じて、組織・経営基盤の強化に努めます。
 また、長期にわたり持続的な経営を実現できる林業経営体の育成に向けて、ICTを活用した生産管理手法の導入や事業量の安定的確保、生産性の向上など事業の合理化などによる経営基盤や経営力の強化に努めます。

イ 林業従事者の養成・確保

 林業は、技術と体力を要する職業です。林業従事者の確保・養成を図るためには、職場環境や労働条件の改善が必要です。
 林業事業体の事業量の安定的な確保や就労環境改善への取組により一定の林業従事者が就業していますが、離職する者も多い状況にあります。
 林業従事者の定着を図るには、高性能林業機械の導入による労働条件の軽減のほか、労働災害防止の取組み、通年雇用化や社会保険の加入促進などによる雇用関係の明確化と雇用の安定化、技能などの客観的評価の促進などによる処遇の改善などが必要で、これらの取組を支援します。

ウ 林業後継者の養成

 家業の林業を継ぐ子弟等がほとんどいない状況で、その後継者を養成することは大変困難な状況です。
 一方、「団塊の世代」と言われる人々の定年退職した人々が、徐々に出生地へ戻って農林業に取り組む動きや若者の農山村回帰も彼方此方にみられるようになりました。こうした人々が都市とは異なる地域の良さを認識して、その地で暮らせるような環境づくりを推進します。

(4) 作業システムの高度化に資する林業機械の導入の促進に関する方針

 労働生産性の向上、生産コストの削減、労働強度の軽減を図るため、以下のような機械化を促進し、作業体系の合理化を図ります。

ア 高性能機械の導入の促進

 高性能林業機械を用いた作業システムの導入を促進するものとし、高性能林業機械作業システムの普及、オペレーター養成、機械の稼働率の向上など、高性能林業機械作業システムを推進する体制を整備するとともに、機械作業に必要な路網等の基盤整備に努めるものとします。

イ 機械作業システムの目標

 地形、経営形態等地域の特性に応じた作業システムの目標は次のとおりです。

地域の特性に応じた機械作業システムの目標
経営形態 傾斜地 高性能機械 改良在来型
皆伐作業型 緩傾斜 「ハーベスタ」・「フォワーダ」 「チェーンソー」・「トラクター」・「チェーンソー」・「林内作業車」
傾斜地 「チェーンソー」・「タワーヤーダ」・「プロセッサ」 「チェーンソー」・「集材機」・「チェーンソー」
非皆伐作業型 緩傾斜 「ハーベスタ」・「フォワーダ」 「チェーンソー」・「林内作業車」
傾斜地 「チェーンソー」・「スイングヤーダ」・「プロセッサ」・「フォワーダ」 「チェーンソー」・「小型集材機」・「チェーンソー」・「林内作業車」
「チェーンソー」・「自走式搬機」・「プロセッサ」・「フォワーダ」 「チェーンソー」・「小型集材機」・「チェーンソー」・「林内作業車」

(5) 林産物の利用の促進のための施設の整備に関する方針

ア 木材生産流通の合理化

 木材価格が一段と低迷する中で、伐採が手控えられ非皆伐型の木材生産が中心になっています。
 非皆伐型の施業で、素材の安定的な供給を確保するためには、小面積の施業地を集約化して、間伐作業に適した高密な路網を整備することと地域の実情に応じた高性能林業機械を利用した効率的な素材生産システムを構築することが必要です。
 先進的な地域では、既に効率的な素材生産システムが確立されています。森林組合等林業事業体がこうした素材生産システムの導入が図れるよう、現地検討会及び講演会等の開催を通じて、普及を図ります。

イ 木材加工体制の強化

 建築基準法の一部改正、住宅の品質確保の促進等に関する法律の制定等に伴い、住宅資材である木材に対しても、乾燥・強度などの性能を表示し、寸法精度や品質が一定な木材を安定的に供給することが求められています。これらの要請に対応し、また、外材や国内他産地材に対抗可能な製品を供給するため、JAS認証の取得を促進します。
 中小工場については、細かなニーズに対応した少量多品目や得意分野に特化した製品供給を推進します。

ウ 生産・流通・加工を通じた関係者の合意形成

 民有林及び国有林を通じて、また、森林組合と素材生産事業体との連携を促進し、素材から製材品さらには林地残材、製材端材等、木質バイオマス全体を利用する取組を支援します。

(6) その他必要な事項

ア 特用林産物生産の振興

 本計画区は、「しいたけ」・「まいたけ」・「ぶなしめじ」等の生産が行われており、これらのきのこ類の生産は、農山村の重要な産業となっています。しかし、大手企業の参入、産地間競争などの影響で価格が安値安定傾向となっています。
 今後、きのこ産業の一層の振興を図るため、生産施設を整備し生産量の増大を図るとともに、健康食品としてのきのこの普及宣伝を行い消費拡大に努めます。また、多様なきのこ栽培の展開を支援し、新たな品種の栽培技術の普及定着を促進します。

イ 多様な実施主体による森林整備の推進

 企業や各種団体による森林の整備活動を社会貢献活動として位置づけ、この活動を支援、推進し、森林の有する公益的機能の一層の発揮を促すとともに、この活動を端緒に県民の森林保全、環境保全意識の高揚を図り、森林管理の担い手の再構築を目指します。

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