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令和6年度 第2回群馬県観光審議会結果概要

更新日:2025年9月19日 印刷ページ表示

1 開催日時

令和7年3月25日(火曜日) 13時30分~15時30分
ぐんま男女共同参画センター 4階 大研修室

2 概要

(1)開会

(2)戦略セールス局長挨拶

(3)会長挨拶

(4)議事

報告事項

  • 群馬県観光振興計画(2024~2027)の進捗状況について
  • 令和7年度組織改正及び当初予算について

​配布資料により、事務局より説明。略

【A委員】

  • 令和7年度の予算立てについて、来月に入ると万博が始まると思うが、万博の影響を加味して決めているのか、あまり気にせずに立てられているのかを教えていただきたい。

【観光政策係長】

  • 県の事業で何をやっていくべきか、協会との棲み分けも含め、全体を改めてゼロベースで見直して、高付加価値化、長期滞在化やリトリート推進を達成するために何が必要かという視点で取り組んでいる。例えば海外の紛争等によってインバウンドの影響を受けるということもあり、当然世界情勢や万博のような個々の事象を加味しながら、今後どういった事業を行うべきか考慮しているが、具体的にその万博に対して何か対策をとるということについては、観光政策として特に議論はしていない。

【B委員】

  • 国の方針に寄り添った施策の展開が重要であるとの指摘があり、特にSDGsやウェルビーイングを重視する国の動きと連動していく必要性が述べられた。その中で、群馬県が推進するリトリートに関しても、単なる観光コンテンツとしてではなく、「どの程度ウェルビーイング度を高める施策であるか」という観点を内包して検討していくことが重要ではないかとの意見が出された。
    また、万博の話題とも関連し、今後ウェルビーイングをキーワードとした動きがさらに広がる時期にあるとの認識が共有された。

【リトリート推進係長】

  • 事業の選定にあたっては、「ウェルビーイング」という用語自体を直接的に用いているわけではないが、概念的には、リトリート事業の方向性とも通底するものがあると認識している。今後の施策の検討にあたり、ウェルビーイングに関する議論等も踏まえつつ、引き続き検討を進めていきたい。

【B委員】

  • 現在、国においてもウェルビーイングに関して、かなりデータを重視する傾向が強まっており、「雰囲気」でリトリートという言葉を用いる段階から一歩進めて、実際に幸福度が向上するような施策であることを、データを踏まえて示していくことが求められていると感じる。

審議事項

リトリート推進について

配布資料により、事務局より説明。略

【C委員】

  • リトリートの推進においては、「言葉の普及」だけでなく、「体験の質」が非常に重要だと考えている。特にウェルビーイング分野では、体験の効果や成果の「定量化」が求められるようになっており、リトリートにおいても同様に質の担保が必要。
  • 宿泊プランの予約状況は、従来の温泉・食事付きプラン名にリトリートという名前につけただけなのか、または、ある一定の条件を踏まえて商品を提供しているということで、リトリートプランとして認めているのかどうか気になる。 

【リトリート推進室長】

  • 温泉がある施設においては、「温泉に入ること自体」を目的とするのではなく、「温泉に浸かって癒されること」を目的としたリトリートプランとして提案している。同じ宿泊内容でも説明文の工夫により、リトリート性を強調している。各プランでは「癒しのポイント」を明示し、よりリトリートらしい内容になるよう各施設に働きかけている。今回はウェルビーイングやファスティングといった深い意味でのリトリートではなく、「ライトな癒し」を軸に、各施設に癒しの視点からプランを立案してもらった。

【D委員】

  • 約20年前からヘルスツーリズムの推進に取り組んでおり、当時はメーカーが体重計などを活用して、取り組みの効果を調査していた。リトリートに関して、入り込み数だけでリトリートを目的に訪問したという判断をするのは難しいと考える。今後は、メンタル面・フィジカル面にどういう効果があるのか、調査していくべきかと思う。
  • リトリート推進は、インバウンドも含めた「長期滞在化」および「高付加価値化」につなげていくことを目的とした事業であるという理解で間違いないか。また、当該事業に対して予算を付けるにあたっては、ハード整備・ソフト施策など様々な観点があると思うが、インバウンド対応も含めて審査・判断しているのかについても確認したい。

【リトリート推進室長】

  • 現在出ているハードの整備計画としては、インバウンドを意識しているものはないが、インバウンドについてはどう考えるかということを審査会のときに、質問される可能性はあると認識している。

【D委員】

  • これは群馬県に限ったことではないと思うが、日本人のレジャー客を対象とした長期滞在の促進には、一定の限界があると感じている。一方で、外国人旅行者はワークライフバランスへの意識が高く、長期滞在との親和性がある。来年度に向けて事業を整理・推進していくのであれば、インバウンドも含めた計画の構築を期待したい。

【E委員】

  • リトリートには「食」も重要な要素として含まれていると思うが、現時点で「食」にフォーカスした施策が少ない印象を受けた。旅の楽しみの1つであり、かつ群馬県の強みでもあることから、もう少し「食」のイメージが施策に反映されると良いと感じた。
  • 長期滞在化や高付加価値化に何が含まれるのか分からないが、長期滞在してもらうにあたり、農作業をしてもらうというのも1つの体験になるかもしれない。例えば、レタスの朝採りに参加するには前日入りしないと、翌日の朝早くから作業ができない。そういった体験により、結果的に長期滞在化に繋がるような事業も良いと思う。
  • リトリートという考えの中にあるウェルビーイングという言葉は、自分たちにとって身近に感じる言葉でもあるし、そういった言葉とリトリートがうまく繋がる方が、リトリートの推進に繋がりやすいと思った。せっかくその波が来ているのであれば、群馬県もその波に乗っかるべきではと率直に感じた。ただ「ウェルビーイングリトリート」というのは、既に商標登録取られている方がいたので、その部分も含めて検証しなければいけないと思った。
  • インバウンドの中に、高付加価値型体験コンテンツとあったが、どういったコンテンツが高付加価値型の体験なのか興味があったので、教えてもらいたい。

【インバウンド推進係長】

  • 本事業で想定している高付加価値体験コンテンツは、「そのエリアに行かないと体験できない」唯一性・地域性のあるものである。例えば、春と秋といった季節をまたいだ体験の組み合わせによる商品造成も視野に入れている。また、先ほどお話があったように、朝のコンテンツと夜のコンテンツにも着目をして、今年度はこれらのコンテンツの調査を実施し、来年度から全部磨き上げをしていくような形になっている。

【会長】

  • 今後のインバウンド施策について、引き続き県が主体となって事業を実施していくのか、それとも物産が関与することにより、群馬県観光物産国際協会が担う事業となっていくのか、その役割分担について確認したい。

【インバウンド推進係長】

  • 現在進めているコンテンツ創出事業は、令和6年度から令和7年度の2カ年計画で実施しており、この期間で体験コンテンツの完成を目指している。令和8年度以降は、完成したコンテンツの販売フェーズへと移行する予定である。販売については、旅行業を担う群馬県観光物産国際協会が中心となる可能性が高く、海外に観光レップを設置しており、そこからの販路展開なども視野に入ってくると考えられる。今後の流れとしては、群馬県観光物産国際協会と連携し、販売面での役割を徐々に移していく方向で検討している。
  • 今のところこちらのコンテンツ創出事業については、令和6年度から令和7年度という2ヵ年の計画をしていて、そこで一旦コンテンツとしては完成をさせて、令和8年度以降は販売というところに移っていきたいと考えています。まだ具体的にどうするかというところまでは詳しく検討できていないが、販売という部分に関しては、観光物産国際協会のほうが旅行業を担っていたり、観光レップを海外に設置していただき、そこから取り出したりという部分も出てくると思う。先の流れとすると、観光物産国際協会とも一緒にやっていただきたいので、また別にコンテンツ創出の取り組みを進めていく必要もあると思うが、この部分についてはもともと観光物産国際協会の方で日頃からやっていただいている部分であるので、役割分担の中でも観光物産国際協会の方に移していくものかと考えている。

【F委員】

  • ウェルビーイングは現在の大きな社会的な流れの一つであり、しっかりと捉えておくべき重要な視点である。仮に群馬県が今後リトリートを推進していくのであれば、ウェルビーイングとの連動は欠かせない要素であり、戦略的に組み合わせていくことが重要だと考える。
  • ​自身もキャンプ場事業を運営しており、業界内では先進的な起業者の集まりなどを通じて、アウトドア業界としてウェルビーイングにどう取り組むかが、昨年以前から大きなテーマとなっている。ウェルビーイングという概念は、アウトドアでの滞在やレジャーの中で自然に受け入れられやすく、メンタル・フィジカルの両面を統合した状態として、キャンプ場のあり方とも非常に親和性が高い。現在、ウェルビーイングをテーマとしたプロモーションのあり方や、どのようなプログラムを設計していくかといった点は、既に課題となっている。
  • ウェルビーイングとリトリートをしっかりと結びつけていくことは非常に重要であると考える。「癒やし」という言葉にとどまらず、心と身体を統合する時間や空間を提供することが、ウェルビーイングの基本である。
  • ウェルビーイングとリトリートをしっかりとつないでいくことは、とても大切。「癒やし」という言葉があるが、心身をきちんと統合する時間や場所を設けることがウェルビーイングの基本だと思う。心が悩み、それに伴い体が返事をし、休むという流れをどのように統合していくかを考えることによって、リトリートの思想とも繋がると思うし、今後日本でテーマになるウェルビーイングの非常に大きなテーマになるのではないかと思う。

【G委員】

  • リトリートについては自身もまだ模索している段階である。香港の友人が「日本で一番好きな場所はみなかみ町」と語っており、東京とみなかみを行き来する中で、その魅力を実感している様子だった。リトリートには「リトリートリーダー」のような存在が必要であり、それは地域の観光協会の職員や、地元に根ざして環境を深く理解し、体験を紹介・創出できる人であるべきだと思う。そうした人が集まり、ネットワークを持って活動している場所にこそ、リトリートの核があると感じる。自身も旅館を経営しているが、多様な人とつながりながら、訪れた人を様々な体験にご案内し、楽しくハッピーな気持ちで帰ってもらうことが、旅の原点だと考えている。
  • リトリートリーダーになり得る人材を育成・展開し、その人たちが中心となって魅力的なプログラムを組み立て、参加者を招く形が望ましいと考える。極論ではあるが、ワークライフバランスの意識が高い欧米諸国の人々の方が、日本人よりもリトリートの趣旨と親和性が高い可能性がある。まずは海外(特に欧米)の方々を対象に、日本の「感謝」や「文化」、「歴史」などの体験を通じて分かりやすく伝えることが、リトリートの入り口として有効な一手になるのではないかと考えている。

【H委員】

  • リトリートという言葉には多様な意味が含まれており、ウェルビーイングのような要素もあれば、軽く捉える人もいるなど、意味が広いと感じている。そのため、実際に体験に参加した後にアンケートを取り、参加者自身が「リトリートに参加している」という実感を持てたかどうかを確認することが重要だと考える。その実感がブランディングや口コミに繋がり、リトリートの価値を高めることになるはずであり、どうすればそれを実現できるかを考える必要がある。特に宿泊事業者にとって、リトリートに参加してリフレッシュできたという声は非常に参考になるのではないかと感じている。
  • ​現状、リトリートのコンテンツは宿泊施設に集中しているが、宿泊にプラスアルファでどのような体験やサービスを提供できるかを考える必要がある。相乗効果を生み出すためには、宿泊事業者だけでなく、様々な事業者を巻き込み、連携してコンテンツを創出していくことが重要だと考える。群馬県には、資源や人材が十分に揃っていると感じており、それらを活かしながら高付加価値の体験など、リトリートの目玉となる商品を作り上げていければ良いと考える。
  • 外国人向けに創出したコンテンツについて、予約方法が大きな課題だと感じている。群馬県のウェブサイトには様々なアクティビティや宿泊施設の情報が掲載されているものの、それぞれを独自に予約しなければならず、手間がかかる状況である。もし一括で予約ができるプラットフォームを構築できれば、利用者自身が簡単にプランを立てられるようになり、結果としてセールス促進に大きく繋がるのではないかと考えている。

【会長】

  • 楽天トラベルに掲載しているリトリートページ等で予約の一元化の可能性はあるか。また、コンテンツ創出について考えはあるか。

【リトリート推進室長】

  • 現時点では、予約システムの導入には至っていないが、ホームページをより分かりやすく、検索しやすい形に改善しようと考えている。コンテンツ創出に力を入れるべきという指摘はその通りであり、今年度はまず事業者の方にリトリートの趣旨や必要性を理解してもらうことを優先して進めてきた。今後は、リトリートコンテンツと呼べるような体験やプログラムを見い出し、開発し、さらに磨き上げていくことに取り組んでいきたい。

【I委員】

  • 審議会では、シニア層ではなく働き盛りの世代にも長期滞在してほしいという意見が以前に出ていた。この世代は、単に温泉でゆっくり過ごすことよりも、体験やその場所ならではの目的を求めて滞在する傾向があると思う。リフレッシュや癒しの中にも、何かしら意味や目的を見出せる内容が求められていると感じた。
  • ​宿泊プランにおいて1泊2日での利用は、リトリートを県として推進する上でのゴールではない。リトリートという言葉が定着したと言えるのは、2泊3日、3泊4日以上の中長期滞在の利用が増えてきた段階である。3泊4日であれば沖縄や北海道などが選ばれやすく、温泉目的でも最大で2泊3日程度が一般的だが、その中で群馬ならではのコンテンツ作りに今後期待したい。
  • 群馬らしいリトリートとしては、都内で働く人がリアルな体験を通して「インプットの学び」ができるようなプランが有効だと思う。ウェルビーイングの観点からも、ものづくりの職人や林業の人と過ごし、群馬の精神性に触れるような体験が、心の充足を求める人に響くのではないかと感じた。

【C委員】

  • コンテンツ制作の観点から、リトリートは単に宿泊施設の商品ではなく、地元ならではのコンテンツが非常に重要だと考えている。中でも、一次産業との連携は今後必要になると思う。リトリートを推進していく中では、自然環境を維持していくというのも重要。林野庁が推進する「森林サービス産業」において、群馬県も環境森林部が積極的に取り組んでおり、連携の余地が大きい。
    群馬県内では、上野村、神流町、長野原町、みなかみ町が推進地域として登録されており、これらの地域と連携することで、リトリート向けの地域資源を活かしたコンテンツがつくりやすくなると考える。
  • インバウンドの観点から、私も現在、森林浴を海外向けコンテンツとして発信しており、日本の森林浴の窓口的な役割として打ち出している。同様に、群馬県として「リトリートの窓口」を海外向けに設けるのも良いのではないかと考える。海外の人にとってリトリートという言葉にはさまざまな解釈があり、必ずしも一義的ではない。むしろ言葉としては一般的で、新鮮さや特別感が薄いため、インバウンド向けには新たな打ち出し方が必要と感じている。リトリートを打ち出すにあたっては、群馬ならではの特徴が何かを明確に見せる工夫が必要。具体的には、温泉や自然食といった地域資源を強みとして、積極的に打ち出していくことが効果的と考える。
  • 群馬県は67%が森林という豊かな自然環境を有しており、それを活かしたPRが重要。特に海外向けには、「リトリートを通じて環境に配慮している」というストーリー性のある見せ方が効果的。滞在すればするほど環境保全に貢献できるという意識を持ってもらえるような視点が必要と感じる。

【会長】

  • リトリートは、観光だけでなく、さまざまな側面から考えるものだと改めて感じた。

【A委員】

  • 群馬県ではリトリートの推進と並行して、温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録を目指す動きも活発に行われている。温泉文化とリトリートの関係性については、今まさに「何をもって温泉文化とするか」が議論されている段階であり、今後の整理と方向づけが重要。例えば、湯治はもともと長期滞在を前提とした日本の伝統文化であり、ある意味で昔から「リトリート的なもの」が存在していたとも言える。そのような伝統文化と、現在進めているリトリート施策とを一体として捉えることで、より効果的な発信や施策展開が可能ではないか。現状ではリトリートと温泉文化がやや別々に進んでいる印象があり、今後一緒に取り組む方向性を検討してはどうか。こうした視点が、結果的に長期滞在の促進にもつながるのではないかと考える。県としての方針がどうなっているのかも気になるところ。

【リトリート推進室長】

  • 現時点では、温泉文化とリトリートを直接連携させた取組は行っていないが、双方で情報交換は継続している。将来的には、温泉文化とリトリートを組み合わせた形で何か一緒に展開できればと考えている。

【観光魅力創出課長】

  • 指摘にあったとおり、温泉文化や世界遺産登録に関してはテクニカルな側面が多く存在する。世界遺産の登録が観光客の増加につながった過去の事例もあるが、単なる観光資源としてではなく、唯一で普遍的な価値を守り、後世へ継承することが本来の目的である。観光客を呼ぶために温泉文化を登録するという見せ方ではなく、本質的な価値を重視する姿勢が求められていると認識している。ただ、温泉文化は「温泉につかって癒される」という根本的な要素を含んでおり、これはリトリートの概念とも親和性が高い。現在は、温泉文化とリトリート施策の担当間で情報交換を行いながら、歩みを進めている。

【会長】

  • ユネスコの文化遺産登録における「文化」とは、書道・華道・茶道・神楽など、伝統的で失われつつあるものを保護・継承するという視点が基本にある。一方で、温泉は日本人にとってあまりにも日常的で大衆文化として根付いており、「守るべき文化」としての認識が薄れがちである。だからこそ、温泉が日本人の心に深く根差した文化であることを、世界に正しく伝えていく必要があるという想いが、文化振興課の中にあると感じている。

【J委員】

  • 「リトリートぐんま」について、キャッチコピーの「おかえり 本当のわたし」は特に印象的で魅力的だと感じた。掲載されている写真の雰囲気もよく、実際に「泊まってみたい」と思わせるようなサイトに仕上がっていると思う。
  • 楽天トラベルのリトリートページでは、掲載されている宿泊プラン名に統一感がなく、通常の旅行プランとあまり差が感じられなかった。リトリートならではの特別感や目的性が伝わりにくく、ユーザーとして何がリトリートなのかが分かりづらい印象を受けた。可能であれば、参画施設にはプラン名の冒頭に「リトリートぐんま」「群馬いやしの旅」などの統一された枕詞を入れるルールを設けるとよいのではないか。そのような工夫により、利用者が「自分は今リトリートぐんまの旅を探している」という実感を持ちやすくなると考える。 
  • 実際に3泊〜6泊といった長期滞在が可能な人が、国内外にどの程度いるのかという点に疑問を感じている。自身の経験としても、お盆や年末年始を除けば長期休暇を取るのは難しく、そうした層は限られているのではないかと考える。もし長期滞在可能な層の比率が極めて低いのであれば、そこを主なターゲットにすること自体が現実的ではないのではないかと思う。むしろ、1泊・2泊でも癒しの旅として十分にリトリートと呼べる体験ができるという方向性に割り切った方が、より効果的なプロモーションが可能になるのではないかと思う。
  • 長期滞在を目指すのであれば、1ヶ所に連泊する形ではなく、県内を周遊しながらの滞在を提案する形が現実的だと思う。例えば「草津 → 伊香保 → みなかみ」といったように、群馬県内の複数の地域をめぐる形での3泊〜4泊のプランが有効ではないか。そのためには、楽天などのサイトで、県内周遊型の宿泊プランが簡単に検索・予約できる仕組みや、移動手段などの情報が表示されるような仕組みづくりが重要だと考える。このような仕組みが整えば、群馬県内での長期滞在リトリートを実現しやすくなると考える。

【リトリート推進室長】

  • 現状、様々なプランがあるものの、こちらから要件を提示しても必ずしもその通りにはならず、また一度プランが出てしまうと修正が難しかった。来年度はプランの統一性を高める方向で取り組んでいきたいと考えている。リトリートを理解している方が見たときに期待外れと感じさせてしまうことのないよう、内容をより充実させ、改善を図りたいと思っている。
  • 転泊については、統計上は1カ所で2~3泊する利用者は把握できるが、例えば草津で1泊、伊香保で1泊というケースは統計には出てこない。このような形での長期滞在化も、群馬県としては草津、みなかみ、四万など各地を回遊してもらえることが非常に望ましいと考えている。

【会長】

  • 転泊の長期滞在を進めるにあたっては、足が大きな課題となる。車で移動する方であれば自由が利くが、群馬県内の公共交通機関は縦(首都圏方面)には整備されている一方で、横の連携が弱く、地域間移動がしづらい状況にある。このため、転泊型滞在を推進するには、交通手段も含めて県としてしっかり検討・整備していただきたい。

【K委員】

  • 全国的に見ると、3泊以上の宿泊者の割合は平均で10~13%程度。それに対して群馬県は、土地柄もあり3泊以上の宿泊者は5~6%と少ない。また、群馬県では全宿泊者の約75%が1泊のみで、これは全国平均(約60%台)と比較しても高い水準である。
  • 観光施策は文化的な側面を持ちつつ、経済施策としての意味合いも大きい。2027年の延べ宿泊者数1,020万人というKPIに向けて、特に日本人宿泊者数の減少に危機感を抱いている。今後2ヵ年において、国内外の宿泊者(インバウンド含む)をどのように増やすかが重要な課題である。単に泊数を増やすだけではKPIは達成できず、消費単価の向上が不可欠と考える。現在、国内旅行者の旅行消費額は平均5万円前後から6万円という大台に近づきつつあり、この2年間で何をすれば単価が上がるのかを戦略的に検討する必要がある。単価を上げる要素としては、宿泊費、食事代、土産品、体験プログラムなどがあり、それぞれに対する施策を丁寧に検討することが求められ、宿泊単価については全国的に約110%増加しており、群馬県でも1,000円程度上昇している傾向がある。今後は、施策がKPIのどの項目に紐づいているのかを明確にしながら、効果的な取り組みを進めることが重要である。
  • リトリートについては、何のために取り組むのか、目指す姿は何かといった方向性を、関係者の間である程度共有できるようにしていくことが重要である。観光事業者や観光客にとって「群馬のリトリートといえばこういうものだ」と感じられるような認識が浸透できればよい。また、群馬県は“リトリートの聖地”を目指していることから、地域の住民にもその意義を理解してもらい、三位一体となって進めていくことが大切である。
  • 群馬県は1泊の旅行者が多い地域だからこそ、まずは1泊でもしっかりと満足してもらい、再訪につなげていくことが大切だと思う。再訪時に「今度は2泊してみよう」と思ってもらえるような体験を積み重ねることで、長期滞在に繋がっていくと考えている。昨年度は「質」を重視していたため参画数は少なかったが、今年度は「量」にも注力し、多くの宿泊施設が取り組んだことで、約9,700人泊を記録。リトリートの導入としては意義ある成果だった。
  • リトリートと書いてあっても、内容が分かりにくいという観光客も多いと想定されるため、リトリートプランで予約した方には、チェックイン時に「群馬のリトリートが目指しているもの」や「本プランの趣旨」などをまとめたチラシ等を渡すことで、認識を深めてもらえるような工夫があると良い。また、宿泊施設ごとのリトリートプランについて、最も評価の高かったものを「リトリートプラン大賞」などの形で表彰し、他施設にも共有・可視化することで、ノウハウの共有や施策のブラッシュアップに繋げられるのではないか。アンケート回収の仕組みについては、QRコードでスマホから回答できるようにし、回答者には抽選でプレゼントを渡すなどの仕組みを設けると回収率向上が期待できる。実際、事前に配布するだけでは回収率が低く(1,000枚配布しても回収50件程度)、現場で直接案内して記入してもらうなどの工夫をすれば、アクション率が高まる可能性がある。

【会長】

  • アンケートは、現場で直接手渡すことで回収率が高まるため、現場対応が非常に重要だと思う。県がリトリートプランを作成し、専用ページを設け、予算を確保してくれたことに対して感謝している。プランに参加すること自体は大事だが、現場としてはプラン作成などの作業が煩雑で、負担を感じることもある。理想を言えば、ボタン一つで「この場所に来たらこの体験ができる」というような旅行プランが自動でできあがると、一般の旅行者にとってはとても魅力的でうれしいことだと思う。しかしながら、実際の現場では天候に左右されるアクティビティも多く、固定したプランを組むのが難しい現状がある。キャンセル対応などの課題もある中で、段階を踏んで少しずつ改善していくことが必要であり、次年度のさらなる改善に期待している。

【B委員】

  • 大分県九重町の地域おこし協力隊の女性が、モルディブへ単身で渡航し、「九重町はとても良いところなので、ぜひ来てください」と繰り返し発信している。この事例から、「リトリート」を知っている人を呼び込むという方法も有効ではないかとの意見があった。
    例えば、群馬にリトリート経験のある海外の方を招き、実際に滞在してもらい、「これがリトリートだ」と実感してもらうことで、周知・認知を広げていく方法が考えられる。
    また、九重町の事例のように、海外の方を招き、アテンドしながら魅力を発信してもらうやり方も一案として挙げられると思う。
  • ニセコでは、2002年頃の厳しい状況下において、町の通り全てに名称を付し、地域の記憶として残す取組を実施した。このことが文化形成や商業施設の立地促進につながり、地域の変革の端緒となった事例がある。群馬県でも、3億円規模の予算でリトリート事業を推進する中、その一部をこうしたネーミング施策に活用することは、20~30年先のインバウンド拡大の端緒となり得ると思う。地域おこし協力隊等の協力を得て、住民参加型の「ストリート愛称募集キャンペーン」などを実施することにより、認知拡大が期待できると思う。

【L委員】

  • アンケートについては、一度実施したものの回収数が少なかったため終了するのではなく、継続して行うことが望ましい。実施にあたっては、協力いただける旅館業や観光施設において、回答者へのちょっとした特典を用意するのが効果的だと思う。例えば、群馬県の名産品や有名なお菓子など、高価でなくても喜ばれるものをその場でお渡しし、「このアンケートに答えていただくと差し上げます」という形がよい。また、アンケートは2~3分で記入できる簡単な内容とし、自由記述欄では「もしリトリートで3〜4泊するなら、どんな旅行がいいか」といった意見を集めると参考になるのではないかと思う。
    こうした取り組みを継続することで、リトリート推進による本県観光の長期滞在化や高付加価値化につなげていけると考える。
  • 観光庁が進めている「心のバリアフリー認定制度」について、群馬県内でも宿泊施設、美術館、博物館、飲食店などで取得事例が増加している。観光庁の補助金制度では、補助率1/2で3,000万円~5,000万円規模の支援が行われており、県内の観光事業者がこの制度を当たり前に取得することで、障害者や多様な旅行者が訪れやすくなり、長期滞在促進にもつながる。ただし、補助金を活用してバリアフリールームを整備する際、VIPルーム等の高価格帯の部屋だけに限定すると一般利用者が利用できず、結果的に長期滞在が難しくなる。松竹梅のように予算に応じて選べる部屋構成が望ましいと思う。単価向上は重要だが、インバウンド需要だけに依存するのはリスクがあるため、過去の為替変動や物価差の事例を踏まえ、国内観光客のリピーター獲得を観光施策の基盤とする必要がある。今後30%を超える超高齢化社会と、子育て世代支援の動きの両方を見据え、幅広い世代が群馬に何度も訪れる仕組みを作ることが重要である。長期滞在型リトリートプランを、インバウンド需要だけでなく国内需要も取り込む形で推進することで、為替変動に左右されにくい安定的な観光基盤が築けると考える。

【会長】

  • インバウンド施策に関して、県としては国内全体におけるインバウンド比率などのデータを踏まえて施策を検討しているのか。

【観光政策係長】

  • 観光振興計画においては、人口推計を踏まえた上でKPIを設定しており、日本国内の人口減少傾向を考慮している。今後の長期見通しでは、国内客は減少傾向にあるため、増加しているインバウンドへの対応を重視している。特に現在は円安の影響もあり、インバウンドはゴールデンルートに集中しているが、これを地方へ誘客することに注力する。全国平均のインバウンド比率が20%弱であるのに対し、群馬県は3~4%にとどまっているため、その向上を目標としている。一方で、国内客向けのサービスを縮小することはせず、高齢者や障害のある方からも選ばれるユニバーサルツーリズムの推進にも力を入れていきたい。足腰が不自由などの理由で旅行を諦めていた方や、その家族が群馬を選んでいただけるような取り組みも重要と考えており、これらを併せて進めていきたいと思う。

【観光魅力創出課長】

  • 群馬県では、最も大きな計画の中で「誰もが幸せを実感できるところ」を理念に掲げており、リトリートはその理念に基づく重要な柱の一つである。リトリートは旅の過ごし方の一形態として、多くの関係者や利用者の理解を得ながら推進しているが、将来的には長期滞在に繋げていきたいと考えている。
    特に、日本人の生活習慣や学校・職場の都合から、平日に旅行を楽しむことは現状では難しい面があるが、社会全体が平日に休みを取りやすい方向に進んだ際、「リトリートと言えば群馬県」という認知が確立できれば、平日にも観光客が訪れるようになる。その結果、観光業において土日と平日の人手の偏りが是正され、持続可能な観光によって県産業の一端を支えることが可能になる。
    また、群馬に暮らす人や訪れる人が元気になり、新たな活力を得て帰っていただくことが理想であり、県および新設されたリトリート推進課としても、引き続き積極的に取り組んでいく。

【会長】

・以上をもって審議事項の議論を終わる。

(5)閉会

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