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利根上流地域森林計画書<計画の大綱1>

更新日:2021年1月12日 印刷ページ表示

1 森林計画区の概況

(1) 自然的背景

ア 地勢

 本森林計画区は、県の北東部、利根川の最上流部に位置し、北は新潟県・福島県、東は栃木県に接した山岳及び中山間地域で、沼田市と利根郡全域の1市1町3村からなっています。総面積は176,569ヘクタールで、県総面積の28パーセントを占めています。
 本森林計画区の北東部には、県内最高峰の日光白根山(2,578メートル)から鬼怒沼山(2,141メートル)・景鶴山(2,004メートル)などの尾瀬の山々、北部から北西部には平ガ岳(2,141メートル)・大水上山(1,831メートル)・巻機山(1,967メートル)・谷川岳(オキノ耳:1,977メートル)・仙ノ倉山(2,026メートル)などの2,000メートル級の山々が連なっています。また、南東部には、皇海山(2,144メートル)・袈裟丸山(奥袈裟丸山:1,961メートル)・黒檜山(1,828メートル)などの足尾山系から赤城山系の山々が連なり、森林計画区のほぼ中央部には武尊山(2,158メートル)が尾瀬の山々から派生する形でそびえています。
 本森林計画区の大部分は利根川流域となっていますが、北東部の一部(尾瀬沼及び尾瀬ヶ原周辺)が阿賀野川流域となっています。利根川流域は、本森林計画区を水源とする利根川本流と湯桧曽川・赤谷川・片品川等の大規模な集水区域を持つ支流からなっており、矢木沢ダム・藤原ダム・奈良俣ダム等の多くの多目的ダム群とあいまって、首都圏の水がめとして重要な役割を果たしています。

イ 地質及び土壌・植生

  • 地質:利根川源流部は、砂岩・頁岩互層からなる奥利根層からなり、その南端から須田貝ダムにかけては須田貝花崗岩が分布しています。藤原湖周辺には、礫岩や砂岩からなる粟沢層や軽石凝灰岩などからなる後閑層が見られます。また、武尊山周辺には火砕岩を含む武尊火山噴出物、尾瀬方面には荷鞍噴出物が分布しており、戸倉周辺には玄武岩やはんれい岩などが分布しています。
  • 土壌:褐色森林土壌が主となっていますが、みなかみ町の一部には、黒色性土壌が分布し、県境付近の標高の高いところでは、森林の生育に適さない土壌が見られます。
  • 植生:大峰山・武尊山・日光白根山を結ぶ線から北側は、多雪地帯の日本海型植生域、南側は太平洋型植生域となっています。日本海型植生域の谷川連峰・奥利根地域・尾瀬周辺・武尊山周辺にはブナ林が多く見られます。また、尾瀬周辺から日光白根山にかけての標高の高い地域にはシラビソ、トウヒなどからなる県内有数の天然針葉樹林が形成されています。なお、ブナが伐採された跡地の代償植生としてミズナラを多く含む林分も見られます。標高の低い地域には、スギ・ヒノキの造林が行われ、片品村ではカラマツの人工林も多く見られます。

(2) 社会経済的背景

ア 地域経済圏の概況

 経済活動に大きな役割を果たす交通は、首都圏と新潟県を結ぶJR上越新幹線・上越線の鉄道と、関越自動車道・国道17号線の道路に加え、栃木県に通ずる国道120号線が整備されています。また、これらの動脈に加え市町村間を結ぶ県道・広域農道等の整備も進められ、優れた自然景観や温泉、スキー場などの観光資源ともに、地域経済の発展に大きく貢献しています。

イ 産業

 第一次産業では、就業者数・生産額ともそのほとんどが農業で占められており、標高差と夏期冷涼な気候を利用した多彩な農業経営が行われています。赤城高原や片品高原では、レタス・ほうれんそう・トマトなどの夏秋野菜や酪農・肉用牛の飼育、コンニャク等の大規模経営が行われています。また、りんごを中心としてぶどう、おうとうなどの観光果樹園が多く営まれています。しかし、全産業から見れば第一次産業の就業者数は16パーセント程度、産業別生産額はわずか4パーセント余りとなっています。また、林業の産業別生産額は第一次産業の約6パーセントとなっています。
 本森林計画区には全国的に有名な水上温泉等の数多くの温泉地があり、県内のスキー場の大半も本森林計画区内に集中しています。また、尾瀬国立公園の尾瀬ヶ原や尾瀬沼、上信越高原国立公園の谷川連峰および日光国立公園の日光白根山と湖沼等の優れた自然景観を有しています。また、天然記念物の吹割の滝や玉原高原のラベンダーパーク等の多くの観光地も存在します。これらに加え首都圏からの日帰り圏でもあることから、観光関連のサービス業が盛んであり、全産業に対する第三次産業の占める割合は、就業者数では約6割、産業別生産額では約6割となっています。

ウ 人口の状況

 本森林計画区の人口は79,905人(令和2年9月末住民基本台帳)で、県人口の4.1パーセントとなっており、全市町村で減少傾向にあります。人口密度は45人/平方キロメートル県内では吾妻森林計画区に次いで低い値となっています。

エ 林業の概況

 本森林計画区の森林総面積は、152,000ヘクタールで、森林率は県内森林計画区では最も高い86パーセントとなっています。また森林総面積に占める国有林の割合も64パーセントと県内森林計画区で最も高くなっています。
 民有林面積は55,000ヘクタールで、県内民有林の24パーセントを占めていますが、気象条件や立地条件が厳しいことから、蓄積は12,878,000立方メートルと県内民有林の18パーセントであり、ヘクタール当たりの蓄積も234立方メートルと県内では低位となっています。
 民有林の人工林率は31パーセントと県内森林計画区で最も低く、人工林の樹種別面積では、スギが45パーセント、カラマツが30パーセントとなっており、県内他森林計画区と較べカラマツの多いことが特色となっています。また、天然林では高齢林が多いことも特色です。
 片品村やみなかみ町の奥地では大規模な会社有林が多くなっており、その大部分が保安林や国立公園の特別地域に指定されています。
 
 素材生産は、県内民有林における素材生産量のうち、本森林計画区の占める割合は21パーセントとなっています。他計画区と比べて広葉樹材の占める割合が高くなっているのが特色です。
 また、本森林計画区では、原木市場がないものの木材産業が盛んで、製材工場及びチップ生産工場が10社あり、比較的大きい規模で事業を行っている業者もあります。川場村では第三セクターが運営する木材コンビナートが平成28年度から稼働し、平成29年度には木質バイオマス発電所が完成しました。また、林業成長産業化地域創出モデル事業に選定されており、木材利用の拠点として機能しています。
 なお、既存の木工に加え、木工クラフト、遊具などの取り組みも見られ、また最近ではチップやオガの生産が増加し、木材利用の促進が期待されています。
 特用林産物では、生しいたけ、まいたけ、なめこ等のきのこ類の生産が行われています。また、タラノメ、フキノトウ等の山菜類の生産も盛んです。

オ 森林組合の現況

 利根沼田森林組合は、組合員数4,187名、組合員所有森林面積17,465ヘクタールであり、県内でも大規模な森林組合です。地域の木材を利用した加工品の販売や、森林資源の活用を図るため、利用間伐や皆伐による素材生産事業にも積極的に取り組んでいます。
 一方、片品村森林組合は、組合員数646名、組合員所有面積4,532ヘクタールであり、小規模な組合となっています。現在は保育を主体とした事業運営であるため、素材生産事業への取組が、これからの課題となっています。
 今後は、利用期を迎えた森林資源の有効活用を図り、森林の多面的機能の発揮を期待する上で、効率的で一体的な集約化施業へ取組んで行くことが期待されます。

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