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【平成23年度】農耕地の放射性物質にかかる土壌調査結果について

更新日:2012年1月31日 印刷ページ表示

 群馬県では、東京電力福島第一原子力発電所の事故による県内農耕地における放射性物質の汚染状況の実態を把握するため、県内各産地との連携協力のもとに、農耕地から土壌を採取し、放射性セシウムの詳細な分布を調査しました。今回の調査は、平成23年時の状況を見るために行ったもので、次年度以降も継続調査し、減衰等にともなう土壌中濃度の推移を見ていく予定です。
 なお、土壌採取方法、放射性セシウム分析方法及び分布図作成について(独)農業環境技術研究所から助言をいただきました。

調査方法(概略)

  • 県農耕地土壌図(図1)を2.5キロメートル四方の区画に分け、農耕地がある各区画から調査対象のほ場を選定。
  • 各ほ場の5箇所から、耕うんの深さまでの土壌(作土)を手動の土壌採取器により分析用試料として採取。
  • ゲルマニウム半導体検出器により土壌試料の放射性セシウム濃度(Cs-134と137の合量)を測定。測定値は農林水産省の既存調査(農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について(農林水産技術会議))<外部リンク>に準じ、平成23年6月14日現在に換算。
  • ほ場ごとの測定結果と面積あたりの作土重量から、面積あたりの放射性セシウム沈着量を算出。このデータを用いてGISソフト(クリギング法)により沈着量の分布図を作成。

図1:群馬県農耕地土壌図画像

図1 群馬県農耕地土壌図

土壌調査及び分析方法の詳細についてはこちらを御覧ください。(PDFファイル:373KB)

調査結果について

 平成23年6月14日現在の値に換算した放射性セシウムの土壌への沈着量(Bq/平方メートル)は0~300kBq/平方メートルであり(図2)、文部科学省及び群馬県による航空機モニタリングの結果とよく合致しました。
 今回、調査で得られた作土層の厚さと重量の情報から算出した、面積あたりの作土重量の土壌群別平均値を用いて、図2の沈着量分布図をもとに土壌中の放射性セシウム濃度の分布を推定しました(図3)。

図2:農地への放射性セシウム(Cs-134,Cs-137)の沈着量分布図画像

図2 農地への放射性セシウム(Cs-134,Cs-137)の沈着量分布図

図3:放射性セシウム(Cs-134,Cs-137)の沈着量分布図から推定した農地土壌中の濃度分布図画像

図3 放射性セシウム(Cs-134,Cs-137)の沈着量分布図から推定した農地土壌中の濃度分布図

各地点別結果一覧(平成24年2月2日更新)(PDFファイル:148KB)

 なお、これら調査結果については、今後、現時点で未分析の試料のデータも追加し、更新する予定です。

 土壌から農作物への放射性セシウムの移行は、土壌中の放射性セシウム濃度だけでなく作物の種類や土壌の性質、施肥管理等によって大きく異なります。農作物中の放射性セシウム濃度については、事故後現在まで継続して県産農産物の検査を実施し、安全性を確認しています。平成23年度の農産物検査では、土壌から農作物への移行が主な原因と考えられる暫定規制値の超過事例はありませんでした。今後は新しい基準値案を考慮し、放射性セシウムが検出された事例の原因を解明し、十分な技術対策を講じていくことで、県産農産物の安全性に万全を期すことが可能であると考えています。

技術対策と今後の予定

 県では、今回の調査で放射性セシウムの土壌への沈着量が多くなっていると見られた地域を中心に、地域と協議しながら、安全な農作物生産をより確かなものにするための詳細な調査・技術対策を進めていきたいと考えています。

​ また、低減対策に資するため、今後土壌試料の物理性・化学性に関する項目について分析を行い、詳細な解析を行う予定です。

調査についてのQ&A

質問1 調査の規模を2.5キロメートル四方に1~数点としたのはなぜですか。

回答1 まずは、初期の放射性物質の沈着量を把握するため、事故発生後~1年の間に全県の状態をひととおり把握したいと考えました。濃度が局所的に高くなっていることも想像されたことからできる限り詳しくかつ群馬県で1年間に実行可能な程度として、この規模で行いました。

質問2 地図の作成はなぜなじみのあるBq/kgではなく、Bq/平方メートルを基本としているのですか。

回答2 土壌の特性や管理方法によって土壌の比重がちがうこと、また深く耕せば放射性物質はそれだけ希釈され濃度が変わってくることから、地図上のつながりが良いと期待できるほ場単位面積あたりの放射性物質量、Bq/平方メートルを基本としました。なじみのあるBq/kgについてもBq/平方メートルの地図をもとに土壌群ごとの面積あたり作土量の平均値を用いて地図を作成していますが、土壌群が同じでもほ場による面積あたり作土量の差は大きいのでご注意ください。

質問3 調査結果を受けての今後の取組は。

回答3 土壌調査については、これで終わりということではなく、今回調査で濃度が高くなっていると考えられた地域を中心に、今後濃度の経時変化やより詳細な調査を継続していく、また、採取した土壌試料の物理性・化学性に関する項目について分析を行い、詳細な解析をおこなう予定です。