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本文

決算特別委員会議事録(その1) 平成29年10月24日(火曜日)

1.開催日時

平成29年10月24日(火曜日)午前10時00分開始 15時35分終了

2.開催場所

本会議場

3.出席委員

委員長:腰塚誠、副委員長:大手治之
委員:関根圀男、委員:中沢丈一、委員:南波和憲、委員:黒沢孝行、委員:久保田順一郎、委員:星野寛、委員:須藤昭男、委員:岩井均、委員:狩野浩志、委員:新井雅博、委員:福重隆浩、委員:岩上憲司、委員:伊藤祐司、委員:角倉邦良、委員:井田泉、委員:水野俊雄、委員:後藤克己、委員:中島篤、委員:岸善一郎、委員:臂泰雄、委員:井下泰伸、委員:酒井宏明、委員:金井康夫、委員:原和隆、委員:金子渡、委員:安孫子哲、委員:清水真人、委員:藥丸潔、委員:小川晶、委員:高橋正、委員:金井秀樹、委員:本間惠治、委員:伊藤清、委員:山崎俊之、委員:荒木恵司、委員:大和勲、委員:川野辺達也、委員:本郷高明、委員:穂積昌信、委員:井田泰彦、委員:加賀谷富士子、委員:泉澤信哉、委員:多田善洋

4.欠席委員

なし

5.議事(その1)

開議

腰塚委員長
 ただ今から、決算特別委員会を開きます。本日の委員会は、10月16日及び17日に開催された各分科会における審査結果の報告を受けた後、平成28年度群馬県一般会計決算及び同特別会計決算、同公営企業会計決算、並びに第114号から第117号までの各議案についての総括質疑及び採決を行います。

分科会報告

腰塚委員長
 それでは各分科会からの報告を求めます。厚生文化分科会主査、金井康夫主査、ご登壇願います。

金井主査
 厚生文化分科会における審査の経過をご報告申し上げます。
 まず、委員会室における審査の概要でありますが、はじめに、生活文化スポーツ部、こども未来部、健康福祉部、病院局に共通して、各部の歳入について、収入未済及び不納欠損に至った理由や徴収状況が質されました。また、平成28年度の事業評価について、各部局における評価の方針と評価の結果を次年度予算にどのように反映するのか質されました。
 次に、生活文化スポーツ部関係については、県民防犯対策について、刑法犯認知件数が減少している中で、振り込め詐欺の現状や県の取組について質されました。
 次に、本県の競技力向上対策について、昨年度の取組状況が質されると共に、本県としての今後の国体での成績の目標設定や認知度が低い競技種目の育成をどのように行うのか、さらに、「ザスパクサツ群馬」等のプロスポーツに対する支援に対して当局の見解が求められました。
 続いて、こども未来部・健康福祉部・病院局関係でありますが、まず、看護職員確保対策について、修学資金の返還免除対象施設に特別養護老人ホームを追加することや本県の看護職員不足と離職の状況に関して質疑されました。また、看護職員の現場復帰に向けた取組についても質されました。
 次に、不妊専門相談センター運営について相談者数等が質されると共に、相談時間の変更や出張相談ができないか当局の見解が求められました。また、特定不妊治療助成費について、年代別の利用状況や男性不妊治療の取組についても質されました。
 次に、周産期母子医療センターの運営費について、県内における危険度の高い出産の件数について質疑されました。
 続いて、特別養護老人ホームの整備状況についても質され、特別養護老人ホームの待機者の状況や整備の目標値について質疑されました。
 次に、病院事業決算について、平成28年度の県立病院事業会計の純損益の状況や過去の純損益の推移が質されました。
 また、社会保険診療が非課税のため県立4病院への消費税負担の影響等について質され、県立病院は、民間病院と異なり、不採算部門を担っているが、今後も健全な経営を行うように要望がありました。
 最後に、こども未来部及び健康福祉部の不用額及び翌年度への繰越事業における繰越理由についても質されました。
 なお、委員会室における審査後に、当分科会では、現地調査として移転新築中の前橋赤十字病院を訪れ、施設建設の進捗状況について、調査を行いました。
 以上、申し上げまして分科会報告といたします。

腰塚委員長
 環境農林分科会、清水真人主査、ご登壇願います。

清水主査
 環境農林分科会における審査の経過をご報告申し上げます。
 まず、委員会室における審査に先立ち、伊勢崎市内において、JA佐波伊勢崎のなす・きゅうり選果場について調査を行いました。また、利根郡みなかみ町において、ぐんま緑の県民基金事業を活用した竹林の整備状況を調査しました。
 続いて、委員会室における審査の概要でありますが、初めに、環境森林部関係では、まず、産業廃棄物の不法投棄に係る行政代執行に関して、収入未済への当局の対応が質されました。
 次に、地球温暖化対策推進、及び自然環境対策に関して、課題、並びに具体的な取組が質されました。
 次に、県有施設の省エネ・節電対策に関して、現状、及び今後の取組が質されました。
 次に、「緑のインタープリター」に関して、制度の概要や、活動の状況が質されました。
 次に、「ぐんま緑の県民基金」市町村提案型事業に関して、事業実績、及び実施市町村数が質されました。
 次に、森林・林業基本計画に関して、素材生産量の目標達成への取組が質されるとともに、目標達成について当局の見解が質されました。
 このほか、ぐんまの木で家づくり支援事業、新幹線沿線地域の騒音振動に対する県の対応について、質疑が行われました。
 続いて、農政部関係では、まず、JA佐波伊勢崎のなす・きゅうり選果場に関して、選果場を利用する生産者の割合が質されるとともに、県内の選果場の整備状況が質されました。
 次に、病害虫防除に関して、クビアカツヤカミキリの発生状況と防除対策が質されました。
 次に、鳥獣被害対策に関して、捕獲の状況や、目標の設定、及び捕獲した有害鳥獣の処理状況が質されるとともに、「鳥獣被害対策支援センター」の体制強化について、当局の見解が求められました。
 次に、農村整備事業に関して、地域からの要望に対する国費の配分状況が質されました。
 次に、園芸作物研究に関して、環境制御技術を活用した研究内容や成果、及び目標の達成時期について、質疑が行われました。
 次に、学校給食地場産農産物等利用促進に関して、地場産農産物の利用状況や、目標、及び利用促進のための課題が質されました。
 次に、農業農村振興計画に関して、農業者の所得向上に資する施策が質されました。
 次に、家畜伝染病予防に関して、豚のオーエスキー病清浄化に向けた取組と進捗状況が質されました。
 このほかにも、強い農業づくり交付金、農山漁村地域整備交付金、「ぐんまちゃんと学ぶぐんまの農業」、農畜産物等の輸出促進方策などについて、質疑が行われ、平成28年度決算について、各般にわたり活発な議論が交わされました。
 以上、申し上げまして、分科会報告といたします。

腰塚委員長
 産経土木分科会、高橋正主査、ご登壇願います。

高橋主査
 産経土木分科会における審査の経過をご報告申し上げます。
 審査の概要でありますが、はじめに、産業経済部関係については、予算額と決算額との差額が大きい事業の理由が質されるとともに、今年度の実施状況や来年度に向けての対応について質疑されました。
 また、企業誘致推進補助金の内容や立地件数、海外セールスプロモーションの実績や評価、今年度の取組状況、スポーツ面での交流について質疑されました。
 続いて、若者就職支援の取組について、昨年度の実績、正規雇用就職者の人数や、県全体での正規・非正規雇用者の比率の推移について質されるとともに、就業構造など現状把握のための調査について、県独自で実施できないかとの要望がありました。さらに、障害者雇用の状況や、課題についての質疑があり、障害者雇用への理解が深まる取組について更に進めるよう要望がありました。また、勤労者教育資金貸付や失業者緊急教育資金貸付の利用状況や広報について質疑されるとともに、これまで以上に広報に力を入れるように要望がありました。
 続いて、県土整備部関係についてでありますが、歳入決算に関して収入未済額の内容や不納欠損処理の状況などが質され、県営住宅家賃の徴収率を上げるための対策などについて質疑がありました。
 さらに、県管理河川における伐木等の維持管理について、民間公募による伐木や自治会への委託に関して、国や他県の先行事例や検討状況について質疑されるとともに、前向きに検討するよう要望がありました。
 次に、県公共土木工事について、維持修繕のための工事予算額の推移が質されるとともに、今後の地域ニーズに応じた予算確保の取組について質疑されました。
 続いて、通学路等の歩道整備について、昨年度の整備箇所数や、歩道の幅員が狭く車道との段差がある歩道の対策について質疑されるとともに、車椅子の方や視覚に障害がある方等が使いやすいよう引き続き意見を聴くよう要望がありました。
 以上、申し上げて分科会報告といたします。

腰塚委員長
 文教警察分科会、原和隆主査、ご登壇願います。

原主査
 文教警察分科会における審査の経過をご報告申し上げます。
 まず、委員会室における審査に先立ち、警察本部通信指令課の状況について、現地調査を実施いたしました。
 次に、委員会室における審査の概要でありますが、はじめに、警察本部関係については、まず、道路の停止禁止標示に関して、県民から設置要望があった場合の設置基準などについて質疑されました。
 次に、警察における労務管理に関して、労務管理の方法について質され、適正な労働時間の管理が要望されました。また、女性が働きやすい職場環境づくりに関して、女性警察官比率の状況や、女性専用ロッカーや更衣室の確保について質疑され、女性警察官のより働きやすい職場環境づくりの推進について要望されました。
 最後に、警察車両におけるドライブレコーダーの設置状況について質されました。
 次に、教育委員会関係でありますが、まず、地方公務員法に基づく臨時的任用職員、地公臨などに関し、小中学校の正規職員との違いや人数について質されるとともに、正規の教諭と地公臨とのバランスについて、見解が求められ、また、産休や病休の補助教員について、質疑されました。
 次に、遠足・修学旅行の下見に係る高速料金に関し、その支給基準について質されました。
 また、普通高校におけるインターンシップに関して、実施率の推移や、今後の拡充について質疑されました。
 さらに、群馬テレビ「みんなの時間」に関して、視聴率の推移や、視聴率が低下傾向にあることについて質されるとともに、番組の成果や見直しについて見解が求められました。
 次に、特別支援学級への支援員配置に関して、特別支援学校の状況とのギャップについて質疑されるとともに、地方交付税の基準について質されました。
 最後に、財産収入の生産物売払収入に関して、その内訳や、農業高校はもとより、特別支援学校についても広く取組を進めることについて質疑されるとともに、適正な値段を設定することについては、社会の評価を意識しながら取り組めるよう、要望されました。
 以上、各般にわたり活発な議論が行われましたことを申し上げ、分科会報告といたします。

腰塚委員長
 総務企画分科会、安孫子哲主査、ご登壇願います。

安孫子主査
 総務企画分科会における審査の経過をご報告申し上げます。
 はじめに、企画部関係については、まず、絹文化継承プロジェクトに関連して、「校旗をつくろうプロジェクト」と養蚕農家の連携について、質疑されました。
 次に、富岡製糸場及び世界遺産センターへの誘客の取組について、質疑されました。
 また、コンベンション施設整備に関連して、コンベンションビューローの活動状況等について、質疑されました。
 続いて、企業局関係でありますが、まず、企業局からの繰出が財源となっている「ぐんま未来創生基金」の使途について質疑され、継続した県民への利益の還元について、要望がありました。
 また、群馬県公社総合ビルの賃貸状況について問われ、入居者を確保する取組について、質疑されました。
 最後に、総務部関係でありますが、まず、社会参加費に関連して、予算に対する執行率、創設された経緯について問われ、執行に対する当局の考え方が質されました。
 次に、県立女子大学の「四季の庭」の管理状況について、質疑されました。
 次に、県証紙による収納方法に関連して、その見直し状況について質疑され、利便性を向上するよう要望がありました。
 また、本県の実質公債費比率及び将来負担比率について、当局の見解が質されました。
 このほか、建築物の耐震化の現状、「ふるさと納税」の状況など、各般にわたり活発な議論が交わされました。
 以上、申し上げて分科会報告といたします。

腰塚委員長
 以上で分科会報告は終了いたしました。

総括質疑

腰塚委員長
 これより総括質疑に入ります。
 発言順序及び発言時間は、お手元に配付の次第のとおりであります。
 質疑は一問一答方式により、通告のある項目について行います。
 また、あらかじめ申し上げますが、本日は、平成28年度決算の審査ですので、これに関わる質疑をお願いいたします。
 なお、質問及び答弁におかれましては、簡潔明瞭にお願いいたします。
 はじめに井田泉委員、質問者席へ。

井田(泉)委員
 おはようございます。自由民主党の井田泉です。
 まず知事に、平成28年度決算についてのご感想をお尋ねします。
 平成28年度群馬県歳入歳出決算の状況についてですが、監査委員からの審査意見によると、県税収入64億1,454万円の増加、5年連続の増加ということです。国庫支出金や消費税清算金の減額により、一般会計の歳入は197億円減少。一方、歳出については、一般会計全体で204億円ほど減少し、結果的に実質収支は33億円の黒字になったということであります。しかしながら県債残高は前年に比べると71億円余り増加しているということで、本県財政は依然として厳しい状況が続いているのではないかと意見が述べられております。平成28年度は新たな総合計画、群馬版総合戦略のスタートの年でもあり、様々行われた事業に対して知事の思いもまた感慨深いものがあるのではと推察しております。平成28年度の事業を振り返り、決算の評価と成果についてお考えをお聞かせください。

大澤知事
 平成28年度は、新たな県政の羅針盤である総合計画、群馬県版総合戦略のスタートの年であり、3つの基本目標の実現に向け、13の政策を着実に推進するため、「ぐんま創生予算」として当初予算編成を行いました。回復基調にある県内経済を支えつつ、人口減少社会にあっても、すべての県民が豊かに暮らせる社会づくりに向け、各種施策に取り組みました。
 こうした状況の中で、平成28年度一般会計決算は、歳入総額7,248億円、歳出総額7,164億円となりました。大雪による農業被害への対策が平成27年度で完了したことなどにより、歳入・歳出とも前年度を下回りましたが、平成20年度以降では2番目の決算規模となりました。各種施策を推進した上で、その主な施策について、総合計画の3つの基本目標に沿って申し上げます。
 まず、1つ目の柱の「人づくり」。子ども施策の司令塔的役割を担う「こども未来部」を新設し、結婚から出産、子育て、青少年施策をさらに強力に推進しました。また、富岡高校と富岡東高校、中之条高校と吾妻高校のそれぞれの統合に向けた施設整備に着手し、地域の将来を担う人材を育成するための新高校の設置を進めました。さらに、児童生徒や保護者の負担軽減を図るため、引き続き、特別支援学校の整備を進め、沼田特別支援学校の新校舎の設計を実施しました。
 2つ目の柱、「安全・安心な暮らしづくり」。県内全域の高度急性期医療を担う、前橋赤十字病院の新築移転を引き続き支援しました。また、障害者リハビリテーションセンターの新棟を整備し、医療的ケアが必要な重度者の受け入れや専門的な機能訓練・生活訓練への対応を可能としました。さらに、局地化・激甚化する降雨による災害などを未然防止するとともに、被害の軽減を図るため、治水・土砂災害対策や道路防災に取り組みました。
 3つ目の柱、「産業活力の向上・社会基盤づくり」。県内産業のさらなる発展や若者・女性の雇用創出を図るため、コンベンション施設整備を進め、また、「群馬県コンベンションビューロー」を設置し、全県的なコンベンション誘致の体制を整備しました。高速交通網の効果を、県内すべての地域や産業の発展に活かすために進めてきた、7つの交通軸の整備については、東毛広域幹線道路の4車線化や、西毛広域幹線道路の全区間の事業着手、上武国道の全線開通などにより、県民生活の利便性向上と経済・産業活動の基盤強化を図りました。
 以上は、平成28年度に実施した事業の一例でありますが、このほかにも幅広い政策課題に取り組んでおり、総合計画・総合戦略のスタートの年として、新たな目標達成に向け、施策を着実に推進することができたと考えています。引き続き、県民の視点に立って、総合計画や群馬県版総合戦略に基づく様々な取組をしっかりと行いたいと考えています。

井田(泉)委員
 引き続き、財政状況などをしっかりとかざしていただき、取り組んでいただければと思います。
 続いて総務部長には、県債残高の推移について伺います。
 本県の県債残高については平成21年度に1兆円の大台に乗ってから、これは順調という表現はあまりよろしくないのですが、毎年増加しているとのことであります。しかしながら平成28年度決算においても、国が担保している実質的な地方交付税ともいえる臨時財政対策債、これが5,200億円余含まれているために純粋な県債残高は7,034億円。平成21年度にこれが一時上昇に転じたが、その後は減少傾向にあるのではないかと我々も考えております。プライマリーバランスについても臨財債を含む数字と含まない数字とがあるようですが、これも両方とも黒字を堅持しているということです。実質公債費率が0.4パーセント低下したものの11.7パーセントを維持していると、過日の総務企画常任委員会で提示されました。財政課が言うには、群馬県の財政状況は心配するほどのことはないという認識で、それはおそらく総務部長の頭の中にもあるのではないかと思います。しかしながら今後大きな公債費負担が県財政を硬直化させる心配があるので、既存事業の徹底した見直し等、歳出削減に取り組む必要が大いにあると思いますが、それについてお聞かせください。

津久井総務部長
 一般会計における平成28年度末の県債残高は、1兆2,012億円で、前年度末と比べて43億円の増加となっています。その内訳は、臨時財政対策債が123億円の増加、それ以外の県債が80億円の減少となっており、臨時財政対策債の増加が、県債全体の残高を増加させています。臨時財政対策債は、地方交付税の原資の不足を補てんするために、地方交付税の代替として発行可能額が割り当てられ、その償還財源は、後年度に基準財政需要額に算入されるものであります。
 平成13年度の制度開始以降、本県における臨時財政対策債の残高は一貫して増加を続けており、平成28年度末では、県債残高全体の4割を超える5,244億円まで積み上がっています。一方、臨時財政対策債以外の県債については、平成14年度末の8,574億円をピークに減少しており、平成28年度末では6,768億円となっています。これらは、世代間の負担の公平性を図る観点から発行された、建設事業の財源となる県債が主なものでありますが、これまで、後年度に過度の公債費負担を負わせることのないよう、投資と負担のバランスのとれた発行に努めてきました。また、公債費、県債残高に関連した財政指標を見ると、まず県債の元利償還金等の大きさに関する指標である「実質公債費比率」は11.7パーセントで、前年度と比べて0.4ポイント改善しており、財政健全化計画の策定を余儀なくされる早期健全化比率である25パーセントを大きく下回り、全国順位は良い方から17位となっています。
 次に、県債や将来支払う可能性のある債務等の残高に関する指標である「将来負担比率」は160.2パーセントで、積立基金残高の減少等により前年度と比べて5.0ポイント悪化しましたが、早期健全化比率である400パーセントを大きく下回り、全国順位は良い方から13位。いずれの指標も、全国比較で相対的に良好な水準を維持しています。今後も、県債残高の推移、将来の公債費負担に留意しながら、バランスのとれた財政運営・県債発行に努めていきたいと考えています。

井田(泉)委員
 県内の景気浮揚もしっかり考えていかなければならないわけで、それにはある程度の公債を発行して、浮揚を図る、景気にてこ入れすることも重要だと思うので、ぜひともバランスの取れた施策を講じていただければと思います。
 続いて、収入未済額の状況について伺います。収入未済額とは、先ほどの主査報告の中でも様々な委員会でこれについて質問があったということであります。この金額を放置しておけば不納欠損ということになるわけで、県財政に与える影響は、非常に少ないかもしれないが、大きな影響があると私は考えております。税の公平性の維持ということもしっかりと考え、収入未済額については今後も削減する努力をしていただきたいが、それらの取組について伺います。

津久井総務部長
 県税の収入未済額は平成28年度決算で約42億3千万円であり、前年度から約5億円縮減しています。収入未済額の縮減は7年連続となっており、これは収入未済額の縮減のため、明確な目標の設定と進捗管理の徹底を図り、滞納者の実情に応じた滞納整理や、市町村と県の連携した取組等を実施してきた結果であると認識しています。特に、個人の県民税の徴収対策として、県税務職員の市町村派遣による困難事案の処理促進や合同滞納整理、不動産合同公売などを実施するとともに、市町村の税務担当課長を構成員とした地方税徴収対策推進会議により、徴収対策や組織マネジメントについて情報共有や意見交換を行っています。今後もこれらの対策を継続し、収入未済額の縮減に努めたいと考えています。

井田(泉)委員
 目標を定めそれが達成できるよう、市町村と協力して取り組むことを要望します。
 4番目、県内の景気状況等を踏まえた、今後の県税収入の見込みについて伺います。今、いざなぎ景気を超えるという状況もあると聞いております。株価で判断すると、昨日まで日経平均15連騰、新記録であります。その中においてアベノミクス効果も顕著に表れているのではないかと、我々も感じております。有効求人倍率も140パーセント近くになっているとのことで、県内の状況もある程度は改善しています。しかしながら、なかなか一般の方々には実感がわかない様子です。今後の県内景気を踏まえた29年度の県税収入見込についてはどのようにお考えでしょうか。

津久井総務部長
 平成29年度の県税収入予算額については、税制改正の影響や、前年度前半の円高・株安の影響による企業業績の落ち込みが見込まれたことなどから、前年度当初予算2,490億円に対し、140億円減の2,350億円を計上しました。今後の税収見込でありますが、年明け以降の円安・株高への推移から、企業業績の改善が見込まれる一方で、海外経済の不確実性などのリスクもあるため、現段階での見込みを申し上げるのは難しいと考えています。しかしながら、今後の税収見込の如何にかかわらず、本県では適正・公平な賦課徴収を強く意識し、課税調査の強化、滞納整理の強化、市町村連携の強化の3つを柱に、親切・丁寧な納税者対応に加え、例えば多額の課税が見込まれる納税者に対しては、納税通知書の発送前に課税のお知らせをするなど、納税者の状況に応じて課税段階から早期歳入と増収を意識した取組に努めてきました。今後とも税務職員一丸となって、県税収入の確保に努めたいと考えています。

井田(泉)委員
 29年度も期待しているので、よろしくお願いします。
 続いて健康福祉部長には、群馬大学医学部附属病院の改革に向けた取組について伺います。
 平成26年11月、執刀医による腹腔鏡手術後に患者8名が亡くなる医療事故が原因で、翌年6月に厚生労働大臣から特定機能病院指定が取り消された経緯があります。また同時に都道府県がん診療連携拠点病院指定の不更新も決定され、現在、再承認と信頼回復に向けた取組が行われています。県としても一日も早い信頼回復に向けて、救急救命センター及び県がん診療連携中核病院に指定するなど、大学との連携を密にして支援を行っているようです。この事件は全国的にマスコミ報道が大きくされたことで、群大病院に対する信頼が大きく揺らぎ、発生から早3年が経過するも、なかなか信頼回復ができない現状ではないかと思います。重粒子線施設をつくるであるとか、群馬県も20億円近い金額を群大病院に投入しているので、信頼回復は今後も大変重要になってくると思います。以前の新聞報道でも、2年間で来院患者が2万5,000人減少、10億円の減収などの報道もあったが、今現在の状況と再発防止策について、また重粒子線治療の現状も含めて伺います。

川原健康福祉部長
 群大病院における延べ外来患者数の推移ですが、特定機能病院の承認が取り消された平成27年前後で比較すると、26年度が51万6,524人、27年度は49万1,107人、28年度は48万214人と減少しています。群大病院は高度専門医療を提供する群馬県の中核施設であり、着実に改革を進め、療養連携や病身連携などを一層推進し、本県医療における役割をしっかりと果たしていただきたいと考えています。
 重粒子線治療の患者数については、平成22年3月の治療開始後、増加を続け26年には496人でありましたが、27年度が367人、28年度が338人と、これも減少している状況であります。特に県外からの治療患者が減少していることから、群大病院では近県のがん診療連携拠点病院に出向いて重粒子線治療の説明を行うなど、積極的に集患活動を行っているところです。

井田(泉)委員
 特定機能病院の再承認に向けた取組と、県の支援についてです。調べたところ、取り消されると、3から4年で再承認されるようですが、現状と再承認に向けた県の取組について伺います。

川原健康福祉部長
 特定機能病院の再承認に向けた取組ですが、昨年11月に群大病院は改革委員会の提言等を踏まえ、今後どのように改革を進めていくかなどを取りまとめた、改革への取組と改革工程表を公表しました。この中で新たな取組として、国際標準の医療安全計画や研修等を行う医療の質・安全学講座の設置、高難度医療などの実施を集中管理する先端医療開発センターの設置、医師の適正配置や県内医療のネットワークの充実を図る県内医療研究教育センターの設置の3つの事業を公表し、改革を進めてきたところです。群大病院が本年9月に行った医療事故調査委員会委員に対する報告会においては、数多くの提言のうち8割が90パーセント達成できているなど、改革が進んでいるとの評価を受けました。また県としても、群大病院は失われた信頼の回復に向け、改革の実績を積み重ねている状況にあると認識しています。
 県の支援についてですが、平成28年4月に、群大病院を新たに、救命救急センターや県がん診療連携中核病院に指定するなどの支援を行いました。また群馬大学医学部附属病院の再生を促進する協議会を設置し、群馬大学と県、県内医療関係者が連携して病院の再生や信頼回復に向けた協議を重ね、医療安全体制の再構築や、地域医療に貢献するための取組を側面的に支援してきました。県としては引き続き、医師会をはじめ関係団体と協力して群大病院の改革を支援し、特定機能病院の早期の再承認等に向けて努力したいと考えています。

井田(泉)委員
 いずれにしても一日も早い再指定が望まれます。しかしながら、根本的には信頼回復がなければ再承認にも、来院患者さんの安心にも繋がらないと思いますので、徹底した対策をとっていただきたいと思います。また、一連の事件の影響により、臨床研修医の減少ということが過日の新聞報道にもありました。医学生の研修先を決めるマッチングの結果が新聞で公表されましたが、残念ながら以前よりも少なくなっている状況です。それが続くと、当然、医師不足や病院経営にも影響があるかと思います。その中で研修医の現状と確保に向けた取組について伺います。

川原健康福祉部長
 群大病院における臨床研修医の採用数は、平成27年度は30人であったが、28年度は14人、29年度は15人と、減少している状況です。研修医の群大病院離れが続くことは、将来の本県医療提供体制の維持にも影響する重要な課題であると認識しています。群大病院の臨床研修医を増やすためには、群大病院に対する学生の信頼を回復するとともに、がん診療連携拠点病院の再指定と特定機能病院の再承認を早期に実現し、群大病院のブランド力を高めることが重要であると考えています。また県全体の臨床研修医を確保することも重要であることから、県では現在、群大病院、県内医療関係者と連携し、全県体制で医師の育成を支援する「地域医療研究・教育センター」の設置を進めているところです。さらに臨床研修医が県内で地域医療に従事しながら、新たに導入される新専門医を取得できるよう、「ぐんま地域医療リーダー養成キャリアパス」の改訂を進めているところです。
 今後はこれらの事業を確実に推進し、臨床研修医が群馬県で学びたいと思うような、より魅力ある研修体制を構築したいと考えています。なお、来年度の臨床検査医の採用を決める医師臨床検査医マッチング結果が先週19日に公表され、県全体では前年と比べ増加しているが、依然として厳しい状況にあると認識しています。今後も県内医療関係者と連携ながら、総合的な医師確保対策を推進し、群馬大学病院はもとより、県全体の臨床検査医確保と、県内定着を図りたいと考えています。

井田(泉)委員
 ただでさえ医師不足という問題は群馬県でも深刻な状況にあるので、ぜひとも一日も早い群大病院の信頼回復、そして研修医が群大病院に来てくれるような努力を続けていただきたいと思います。
 続いて企業管理者には、平成28年度企業局の決算状況について伺います。
 本県予算の歳入状況は、来年度は厳しいのかなという気がするのですが、企業局においては電気事業、団地事業と順調に推移していますので、平成29年度一般会計から3年計画で、「ぐんま未来創生基金」という名の下に、20億円を繰り出すことが決まっており、29年度予算にはすでに10億円が組み入れられたということであります。また水道事業も県央第二水道で料金5円引き下げという英断を下していただき、利用市町村も大変喜んでおります。28年度決算については、私は非常に良好だと思います。しかしながら課題はまだあるわけで、板倉ニュータウン事業では売れ残りの区画もあると聞いております。今後、販売状況を好転させていく努力も必要だと監査委員から意見が出ております。決算の状況についてどう考えているか、伺います。

関企業管理者
 企業局の6事業の平成28年度決算の状況については、先の本会議の提案説明で概要を説明したましたが、「電気事業」では、山間部の積雪量が少なかったことなどにより、水力発電所の発電量が減り、12億円余の純利益を計上しているものの、前年度に比べれば減益となり、「工業用水道事業」では、給水実績、給水収益とも前年度並みとなりましたが、「東毛工業用水道第二浄水場計画」の廃止に伴う会計処理による一時的な損失を計上したことなどにより、16億円余の純損失となりました。
 一方、「団地造成事業」では、伊勢崎宮郷工業団地の第1期造成分などの産業団地の分譲が好調で約37ヘクタールを分譲できたことにより、大幅な増益となる13億円余の純利益となったほか、「水道事業」、「施設管理事業」についても、おおむね前年度並みの収益を確保できました。このように各事業によって状況は異なりますが、「6事業全体」では、経常利益は53億円余となり、「工業用水道事業」の特別損失を加味しても、34億円余の純利益を確保することができました。
 また、公営企業の健全性を判断する基準である「資金不足比率」という指標についても、企業局の6事業とも資金の不足はないことから、事業の健全性も確保されており、平成28年度は、各事業とも「おおむね順調に運営できた」もの、と考えています。
 なお、このような各事業の決算状況を踏まえて、純利益については、各事業ごとに「企業債等償還積立金」や「建設改良積立金」など、将来の事業経営を見据え必要な積立てを行うほか、企業局の事業全体で県民への利益還元を行い、人口減少社会における地方創生に係る事業を知事部局と一体となって進めていくため、一般会計に設置された「ぐんま未来創生基金」への繰出に備えて「別途積立金」に、電気事業から5億円、団地造成事業から5億円、合計10億円を積み立てたいと考え、議決を必要とする利益剰余金処分案を提案しているところです。

井田(泉)委員
 委員会でも同様な説明でした。管理者自身も、大変良い決算である、財務内容もそこそこ良いのではないかという話でありました。一般企業とは違い公営企業なので、利益に税金は掛からないわけですが、儲けて何にするのかと言ったら、やはり県民に還元することが一番ではないかと思います。今回、5億円を前倒しして来年度の予算の中に入れることになったので、1年計画が早まったと考えて、今後、さらなる利益の還元を、管理者にも知事にも考えていただきたいが、いかがでしょうか。

関企業管理者
 企業局からの県民への利益還元については、これまでも群馬交響楽団への助成や美術品の購入、自然環境の保全に資する事業への助成などを行ってきただけでなく、平成27年度からは電気事業における固定価格買取制度による売電収益の一部を還元することを目的として、各年度2億円ずつ、一般会計への繰出も実施してきました。このような中で、平成28年度に企業局の経営基本計画を改定するにあたり、議会での議論等も踏まえ、人口減少社会における新たな地方創生に知事部局と一体となって取り組むべく、計画期間内の3年間に総額20億円を目標に「ぐんま未来創生基金」へ繰出すこととしたところであり、計画に沿って本年4月に10億円を繰出したところであります。
 現在、平成28年度決算の利益剰余金処分案として、電気事業会計、団地造成事業会計からそれぞれ5億円、合計10億円を「別途積立金」に積立てたいという議案を提出しており、計画期間内に総額20億円を繰出すという目標を達成するために必要な原資は確保できることになります。なお、来年度以降の一般会計への繰出額については、今後の当初予算編成の中で検討していきたいと考えています。
 議員ご質問の、「さらなる利益の還元」についてでありますが、企業局は地方公営企業として「経済性を発揮しつつ事業を経営し」、その本来の目的である「県民福祉の増進」に寄与するよう地方公営企業法に規定されていることに加え、県政の一翼を担うべく、人口減少社会における「群馬の未来創生」に積極的に貢献していくことも求められており、利益を県民に還元することは企業局にとって重要なことでありますので、各事業を合理的・効率的に経営することにより得られた利益については、今後も、県民への還元を図りたいと考えています。

井田(泉)委員
 一年前倒しでお金が使えるようになるので、間を開けないように考えていただければと思います。
 続いて病院局長。
 県立病院の慢性的な赤字体質というのは、ここ数年一定の改善は見られるものの、まだまだ改善の余地は大いにあろうかと思います。病院の目的や設立の趣旨を考えれば、高度で専門的な医療を行っているわけで、県民の信頼も厚く、そしてまた技術的な面での評価も高い。ひとえに、赤字を補填するのは良くない、という気持ちがないわけではなりません。その辺りのバランスをどうとっていくのかが大変重要ではないかと思います。しかしながら民間病院にしてみれば、税金が投入されているわけで、考え方がどうなのかなという意見も多くあると聞いております。今回も残念ながら赤字決算でしたが、28年度決算の状況についてどのようにお考えか、伺います。

青木病院局長
 心臓血管センターは、手術件数の増等により入院収益が増加したこと、病床数変更や入院支援センター開設等の経営改善により外来収益が増加したことから、前年度に比べ純損益は改善したものの、結果的には3,300万円の赤字となりました。
 がんセンターは、平均在院日数の短期化により延べ入院患者数は減少しましたが、病棟再編による通院治療センターの拡充等により外来収益が増加したことから、2,200万円の黒字となりました。
 精神医療センターは、重症患者の入院長期化により入院収益が減少したこと、退職給付引当金繰入額が増加したこと等により費用が増加したため、黒字ではありますが黒字幅は縮小、1億6,100万円の黒字となりました。
 小児医療センターは、産科の入院患者の減、心臓血管外科手術件数の減等により入院収益が減少したことに加え、退職給付引当金繰入額の増等により費用が増加したことから、2億6,400万円の赤字となりました。
 この結果、総務課分を含めた病院事業全体では2億8,100万円の赤字となり、前年度に比べ1億1,500万円の悪化となりました。収支均衡を目指していたところでありますが、このような結果となり残念であります。

井田(泉)委員
 3億円弱の赤字を計上したということです。会計決算の帳簿を見ますと、県から交付金、負担金という名目で36億5,500万余の貴重な県税が病院局に投入されています。この金額については、以前は50億円くらいあったわけですが、段々段々少なくなってきている。これは病院局の努力によって、多少は経費の節減などもあって、少なくなったのだとは思いますが、なかなか民間病院とやってることが違うと言えばそれまでだが、ちょっと心配なところもあろうかと思うわけです。一般会計に繰り入れられている繰入金についての局長のお考えをお聞かせください。

青木病院局長
 県立病院では、医療の性質上効率的な経営を行っても、なお不採算な経費や、病院経営による収入をもって充てることが適当でない経費について、国が定める基準に従って一般会計からの繰入金をいただいています。繰入金の対象となる経費は、「高度医療に要する経費」、「精神医療に要する経費」、「小児医療に要する経費」、「周産期医療に要する経費」、「救急医療の確保に要する経費」等であります。
 県立病院の役割である、地域において必要とされる医療のうち、高度な専門性や採算性等の面から、他の医療機関による提供が困難な医療を提供していくためには、現状の診療報酬体系の中では、一般会計からの繰入金は必要なものと考えています。平成28年度は、収益的収支で36億5,500万円余の繰入金をいただいています。平成15年度病院局発足前の50億円を超える水準から段階的に縮減してきたところでありますが、第三次県立病院改革プランに基づき、引き続き繰入金を抑制しながら、黒字化を目指して努力したいと考えています。

井田(泉)委員
 大変貴重な税金を使わせてもらっているとのご答弁。ですから余計に、今後、経費節減であるとか合理化を進めていく必要があります。その中で、第三次県立病院改革プランの2年目の評価についてはいかがですか。

青木病院局長
 県立病院では、第三次プランの目標を達成するため、平成27年度から病院長をトップとする経営戦略会議を各病院で設置し、病院長のマネジメントのもと、収支改善に取り組んでいます。具体的には、収益向上策として、地域の診療所や病院との連携を強化して新規患者の確保に努めているほか、診療報酬の最適化により患者一人一日当たりの収入増を図っています。一方、費用削減・抑制策としては、診療材料費の削減や委託業務の見直しを行うなど、医師やコメディカルを含め、病院職員が一丸となってコスト削減に取り組んでいます。さらに、4病院全体のスケールメリットを活かし、医薬品や診療材料等の一括購入を推進し、病院局全体での費用削減にも取り組んでいます。
 その結果、平成28年度の収益面では、入院・外来収益とも前年度を上回り、医業収益全体で6億7,000万円増加しました。一方、費用面では、手術件数の増加や高額医薬品の使用等による材料費の増加、退職給付引当金繰入額の増加などが削減効果を上回り収支改善には至らず、第三次プランの目標額を1億9,000万円下回りました。最終年度である平成29年度目標は1,300万円の黒字です。上期は入院患者の減少等により大変厳しい状況でありましたが、目標達成に向けてなお一層努力したいと考えています。

井田(泉)委員
 利益の出ている企業局と比べると、病院局長も答弁するのが厳しいかなとは思いますが、しかしながらやはり赤字の縮減は大事なことではないかと思います。この質問をつくっているときに、職員の皆さんとヒヤリングをするわけですが、そのときに様々な提案をしてみました。清掃業務や調理業務などの外部委託、病院の法人化、指定管理制度の導入など様々なことを話しましたが、やっても上手くいかないのではないか、他の県立病院もやっているが上手くいっていない、そのような話になるわけです。最初からそういう考え方では、なかなか病院改革、赤字の縮減には繋がらないのではないかと心配です。今後の県立病院の改革をしていく上で、そろそろ重要な時期にさしかかっていると思いますが、今後どうしていくお考えなのでしょうか。

青木病院局長
 今後、診療報酬の抑制や消費税増税の影響が想定されることから、県立病院においても大幅な収支改善は難しくなるものと考えており、経営改善に向けて一つずつできることから着実に取り組みたいと思っています。具体的には、収益向上策として今年度、心臓血管センターにおいて県内で初めて実施したリードレスペースメーカ-治療など、県内では心臓血管センターでなければできないことにチャレンジすることにより、新たな患者増につながる取組が重要であると考えています。また診療報酬加算の新規取得も必要と考えており、新たな取組を行うことにより、さらなる医療収益増を目指したいと考えています。
 一方、費用削減については、診療材料一括購入、また全国的な共同購入組織を活用した費用削減を図るなど、一歩踏み出した取組も今後は行いたいと考えています。加えて、平成28年度に心臓血管センターやがんセンターでは病床数を削減し病棟再編をしたことで収支が改善していることから、患者や他病院の動向を踏まえつつ、病床の規模や機能を柔軟に見直し、経営体質のさらなる強化を図ることが重要だと考えています。
 独立行政法人化については、他県の状況を見ると、運営費負担金を減らしながら黒字を達成している病院は少なく、病院の自由度は上がるが、必ずしも黒字化の決め手となっていないので慎重に検討したいと思います。

井田(泉)委員
 あまり経費節減しすぎて群大病院のような医療事故につながるようでは困りますので、今後も引き続き努力をしていただき、血税は大事に使うようお願いします。
 続いて健康福祉部長。
 食中毒と言いましても細菌やウイルス、化学物質など様々な原因があり、最近ではカンピロバクターやノロウイルスなどが主流になっているようです。先般、前橋市でO157による食中毒が発生し、残念ながら死者が出ました。前橋市や高崎市は中核市なので独自の保健所がありますが、中核市以外の市町村においては県の保健福祉事務所が様々な食品衛生指導などを行っています。これから年末年始にかけて、O157よりもノロウイルス発生が懸念されており、先日も県外でのことですがノロウイルスに58人も感染した事例もあります。食中毒の発生状況について伺います。

川原健康福祉部長
 平成28年度における県内での食中毒発生件数は15件、患者数298人、死亡者はおりませんでした。また全国では、平成28年の一年間で1,139件発生し、患者数20,252人、うち死亡者は14人。県内で発生した15件の食中毒の原因は、ノロウイルス9件、黄色ぶどう球菌2件、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌O157、サルモネラ属菌及び毒きのこが各1件でした。全国ではノロウイルスによる食中毒が本県と同様に最も多く、次いでカンピロバクター。また、死亡者14人の内訳は、腸管出血性大腸菌10人、植物性自然毒が4人となっています。こうした発生傾向から、ノロウイルス、カンピロバクター及び腸管出血性大腸菌は食中毒の原因として特に注意を要するものと考えています。

井田(泉)委員
 今年度は残念ながら死者が出ましたが、28年度は亡くなられた方はいなかったとのことです。今後どのような形で食中毒防止対策をしていくのか。先日、3年に一度行われる食品衛生責任者の実務者講習というのがあり、私も講習を受けてきました。2時間余りの講習で、県職員OBの方が非常に分かりやすく食中毒の危険性、またどうすれば防止できるのかについて教えてくださいました。これは事業者でないとなかなか受けられなくて、一般の方は難しいかなと思いますが、しかしながら今後県が食品衛生業務店に対し指導徹底していくことが大変重要になります。先日の新聞紙上に、私が質問する前に、県民会議に全県共通の衛生管理新案を提案し承認されたということもありました。それらも含めて今後どのような対策をとっていくのか、具体的にお聞かせください。

川原健康福祉部長
 食中毒防止対策として、食中毒予防の三原則である、「菌を付けない、増やさない、やっつける」ことが最も重要であり、特に感染力の強いノロウイルスや腸管出血性大腸菌は少量でも発症するため、対策の徹底が必要であると考えています。県ではホームページやリーフレットを用いて県民に広く食中毒予防の周知や啓発を行うとともに、食品事業者に対しては従事者の健康管理、適切な手洗い、食品の温度管理及び十分な加熱調理など、衛生管理の指導徹底を図ってきました。こうした中、本年8月に前橋市で発生した腸管出血性大腸菌O157の事案に対しては、3歳の女児が9月上旬に亡くなられ、県としてもこのような事案は二度と起こってはならないものと大変重く受け止めています。そのため緊急会議を開催し、中核市を含む県内全ての保健所との情報共有を図り、衛生対策について協議連携を図ってきました。さらに同様の食中毒が発生しないよう、露出陳列して販売される総菜の具体的な衛生対策として、食品事業者が守るべき指針を専門家や業者、消費者などから幅広く意見をいただき策定しました。今後とも中核市とも連携を図りながら、食中毒予防対策にしっかり取り組み、県民の食の安全安心に努めたいと考えています。

井田(泉)委員
 飲食店だけでなく、病院や高齢者福祉施設など、様々なところで発生する可能性はありますので、慎重な対応をお願いしたいと思います。以上です。

腰塚委員長
 以上で、井田泉委員の質問は終了いたしました。

休憩

腰塚委員長
 暫時休憩いたします。5分後に再開いたします。
(午前11時19分休憩)
決算特別委員会議事録(その2)へ続く


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