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本文

決算特別委員会議事録(その4) 平成29年10月24日(火曜日)

1.開催日時

平成29年10月24日(火曜日)午前10時00分開始 15時35分終了

2.開催場所

本会議場

3.出席委員

委員長:腰塚誠、副委員長:大手治之
委員:関根圀男、委員:中沢丈一、委員:南波和憲、委員:黒沢孝行、委員:久保田順一郎、委員:星野寛、委員:須藤昭男、委員:岩井均、委員:狩野浩志、委員:新井雅博、委員:福重隆浩、委員:岩上憲司、委員:伊藤祐司、委員:角倉邦良、委員:井田泉、委員:水野俊雄、委員:後藤克己、委員:中島篤、委員:岸善一郎、委員:臂泰雄、委員:井下泰伸、委員:酒井宏明、委員:金井康夫、委員:原和隆、委員:金子渡、委員:安孫子哲、委員:清水真人、委員:藥丸潔、委員:小川晶、委員:高橋正、委員:金井秀樹、委員:本間惠治、委員:伊藤清、委員:山崎俊之、委員:荒木恵司、委員:大和勲、委員:川野辺達也、委員:本郷高明、委員:穂積昌信、委員:井田泰彦、委員:加賀谷富士子、委員:泉澤信哉、委員:多田善洋

4.欠席委員

なし

5.議事(その4)

総括質疑

再開

(午後2時33分再開)
腰塚委員長
 休憩前に引き続き、決算特別委員会を再開し総括質疑を続行いたします。
 伊藤祐司委員、質問者席へ。

伊藤(祐)委員
 通告してあるとおり、渋川市金井の小林製工運送の産業廃棄物最終処分場の問題について、環境森林部長に伺います。
 この産業廃棄物最終処分場は、長年、大同製鋼排出のスラグなどが埋立にされてきたわけですが、六価クロムによる地下水汚染が明らかになりました。この処分場では昨年も、県の指導の下に、大規模な対策工事がされていますが、まず汚染水の処理について伺います。
 現在、同処分場からは日量タンクローリー20台以上もの汚染水がくみ上げられ、それを大同特殊鋼に運んで処理しています。しかし大同特殊鋼は廃棄物処理の認可を持っていないので、このような処理はできないはずですが、処理をしている根拠を伺います。

須藤環境森林部長
 「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」いわゆる基準省令では、「最終処分場には、保有水等集排水設備により集められた保有水等について、排水基準等に適合させることができる浸出液処理設備を設けること」とされています。
 また、ただし書きでは、「保有水等集排水設備により集められた保有水等を貯留するための十分な容量の耐水構造の貯留槽が設けられ、かつ、当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理設備で処理される最終処分場にあっては、この限りでない」とされているところです。

伊藤(祐)委員
 では伺いますが、小林製工運送株式会社は最終処分場、産廃ですよね。大同特殊鋼はそこから運び込まれたものを処理できる免許を持っていますか。

須藤環境森林部長
 小林製工運送株式会社の処分場から出た保有水等については、基準省令等に基づいて処理されています。

伊藤(祐)委員
 基準省令に合ってないでしょう。県の指導で、あの処分場は小林製工運送が設置していると、過日の一般質問で何度も部長が指摘していましたが、違う会社の処分場から出てきた産廃の汚染水や保有水を、産廃業者でもない大同特殊鋼が処理できるなんて、どこの法律にもないですよ。そういうことを指導するなんて、脱法行為どころか、法律違反を教唆しているようなものです。おかしいと思います。

須藤環境森林部長
 省令のただし書において、「保有水等を貯留するための十分な容量の耐水構造の貯留槽が設けられ、かつ当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理設備で処理される最終処分場にあっては、これを認めている」ということであります。

伊藤(祐)委員
 タンクローリーの中にあるのは、今までの調査での最高数値は2.3ミリグラム毎リットル、環境基準の50倍にもなるような六価クロムが含まれている汚染水ですよ。その汚染水を処理する免許を大同特殊鋼は持っていないではないですか。脱法行為どころか、犯罪を教唆していると言わざるを得ません。
 次に、汚染が確認されたのは、この処分場のはるか地下です。処分場の保有水ではありません。2005年にはこれが分かっています。地下水が汚染されたのなら、環境基準で定められている有害物質について全部測定しなければならない。特にこの産廃場にはスラグが埋められているのだからふっ素の測定は大変重要です。測定を行わないのはなぜですか。

須藤環境森林部長
 いわゆる基準省令における産業廃棄物最終処分場の維持管理の技術上の基準では、ふっ素については、地下水等検査項目に含まれていません。しかし、本処分場の設置者である小林製工運送株式会社及び排出事業者である大同特殊鋼株式会社は、県の指導により設置した観測井戸において独自にふっ素も検査しています。この一部では、地下水環境基準を超えるふっ素が検出されています。
 一方で事業者等は、県の指導に基づき、現在、基準を超過した地下水の流出を防止するための揚水井戸の増設、廃棄物と地下水を完全に遮断するための遮水シート敷設工事等の措置を講じているところです。これまで、法定の下流側観測井戸において、ふっ素による地下水環境基準の超過はないことから、基準を超過する地下水の流出拡散を防止するため県が設置指導した揚水井戸が効果を発揮しているものと考えています。
 今後とも、事業者等に対する指導を継続するとともに、県民生活の安全・安心の確保を第一に考え、法令に基づき厳正に対応したいと考えています。

伊藤(祐)委員
 ふっ素を測定しているとのことですが、公表しないのはなぜですか。

須藤環境森林部長
 環境基準省令では、ふっ素は地下水等検査項目とされていません。しかしながら事業者が独自に検査をしているものであります。

伊藤(祐)委員
 地下水が産業廃棄物の保有水ならば部長の言うことは成り立つが、不透水層のはるか下の地下水が汚染されているわけです。となると土壌汚染が進んでいると考えなければいけない。そうなると、これはもう25種類の特定有害物質について調べるというのは、地下水を、環境を守っていく上で当たり前でなありませんか。業者がやっているからという話ではなく、県がやらなくてはいけないのではないですか。

須藤環境森林部長
 県としては今般、事業者等が本処分場で実施する年2回の定期地下水検査に合わせて、県自ら、水質検査のための地下水を採水したところであります。これについては現在分析中です。

伊藤(祐)委員
 2005年からやるべきことをずっと引き延ばしてきて、昨年度も行っていないことは異常であると指摘しておきます。
 全国的に、産廃業者の許可申請に関する講習会で使われているテキストでは、地下水について何て書いてあるか。「地下水は一度汚染されると原状復帰が困難であるため、新たな地下水汚染を発生させないよう未然防止対策を徹底させる必要がある。廃棄物の最終処分場では埋め立てられた廃棄物による地下水汚染を防止するために平成10年6月から地下水の水質検査を定期的にすることが義務づけられた」と、平成10年の段階から、そのように書かれているわけです。にもかかわらず、ふっ素の検査を県独自に始めなかったことは、大変問題だと思います。
 3つ目。不透水層の確認について、管理型の処分場にとっては内部の水を漏らさないための不透水層が最も重要であり、地下水が環境基準値を大幅に超過している現状から考えると、同処分場には元々不透水層がなかったか、掘り抜いて埋立てを行っていたと思われますが、不透水層の存在を確認しましたか。

須藤環境森林部長
 本処分場は昭和56年2月、廃棄物処理法に基づき産業廃棄物処理施設設置届出書が提出されたもので、県では、その当時の基準省令に基づき、設置届出書の内容を審査し、届出を受理しています。その当時の基準省令に係る留意事項を定めた環境庁及び厚生省の通知によると、遮水工としては、粘土、ビニールシート、アスファルト等を埋立地の側面部、底面部へ敷設したり、あるいは不透水層まで止水矢板を打込む等の工法が取られることとされています。本処分場の設置届出書に添付された、第一期埋立計画地の底面9箇所の地質調査結果では、いずれも透水係数が10のマイナス7乗以上の不透水層が1m以上の厚さで確認されており、この粘土層をもって底部の遮水工とする計画とされています。
 一方、本処分場は、軽石、山砂の採掘跡地のため、側面部は軽石層・山砂層で、いずれも透水係数が大きく遮水能力がないため、亀甲金網入りの耐水モルタルを5センチ厚を吹きつけ、遮水工とする構造でありました。本処分場の遮水工は、当時の基準に則ったものであり、県の審査も適切なものであったと考えています。
 県では、定期的な監視を継続して実施しており、本処分場の埋め立て容量を拡大するため、遮水構造となる粘土層が掘り下げられていたことは、平成16年6月に実施した県の立入検査により確認しています。このため県は、平成17年2月に廃棄物処理法に基づき施設の改善命令及び施設使用停止命令を発出。県では、それに基づく改善工事に当たり、工事の節目ごとに実施状況を検査しており、同年6月、改善工事の完了を確認後、使用の再開を認めました。
 今後とも、事業者等に対する指導を継続するとともに、県民生活の安全・安心の確保を第一に考え、法令に基づき厳正に対応したいと考えています。

伊藤(祐)委員
 現地では昨年度の工事でも、不透水層よりはるかに深く掘り抜いているわけです。それを知っていながら、不透水層の存在、深掘りしていたのかどうかを確認しなければ、どうして六価クロムによる地下水汚染が進んだのか、メカニズムが分からないではありませんか。もちろんそれは、やってらっしゃるんでしょうね。

須藤環境森林部長
 この処分場における現在の工事については、先日立ち入り検査をしたところ、群馬県土砂等による埋め立て等の規制に関する条例、いわゆる土砂条例に基づき、許可を受けた施工計画通りの掘削深度で工事が行われていることを確認しております。地下水には達していないことを確認済みです。

伊藤(祐)委員
 産廃を取り除きながら掘り進め、下の土壌を変えていってるわけでしょ。掘り進める時に産廃が不透水層より上にあったか、あるいは不透水層自体がなかったか、掘り抜いていたのか、それを確認しなければ、管理型処分場を指導管理しているなんて言えないではありませんか。それについてはやっていないと言うことですね。これはもう行政の怠慢だと言わざるを得ません。
 次に、既に埋立処分された廃棄物について、汚染レベルから見て、埋立てられていた廃棄物自体、本来であれば同処分場において処分することができなかった可能性が極めて高いと思います。これを調査することはできると思います。今、上の方に移動して置いてあるわけですから。調査しますか。

須藤環境森林部長
 管理型最終処分場で埋立処分できる廃棄物は、埋立処分する時点において、「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令」いわゆる金属省令で定める埋立処分に関する基準に適合したものでなければならないとされています。これに違反して処分した場合には、5年以下の懲役又は一千万円以下の罰金が科されるところであります。
 本処分場は、大同特殊鋼株式会社渋川工場から排出された廃棄物の専用処分場であり、排出事業者である大同特殊鋼株式会社渋川工場は、金属省令に基づく基準よりも厳しい管理基準を定めて廃棄物を排出しており、提出された検査結果では、平成25年8月に、廃棄物の受け入れを停止するまでの間、これまでに基準を超える有害物質は確認されていません。

伊藤(祐)委員
 ではなぜ、2.3ミリグラム毎リットルなどという高濃度の六価クロムによる汚染が進んでいるのですか。汚染物質がなければ、このような地下水汚染は起こらないのではないですか。

須藤環境森林部長
 今回の環境基準値を超えた地下水汚染については様々な要因が推測できるが、あくまでも推測の域をでない状況です。いずれにしても、現在実施している土壌改良、遮水シートの敷設等の対策工事により、汚染源は除去されるものと考えています。

伊藤(祐)委員
 推測ではなく、はっきりさせればいいではありませんか。廃棄物が処分場の上位に移動され置いてあるわけです。遮水シートの上に。それをサンプリングし検査する、そうすれば高濃度汚染されたスラグを違反して埋め立てていたのかどうか、はっきりするではありませんか。調べてください。

須藤環境森林部長
 現在排出されている廃棄物であれば、検査は可能であると考えています。本処分場は平成25年8月以降、廃棄物の受け入れを停止しています。過去に埋め立て処分された廃棄物については、埋め立て処分から年数が経過し、最も直近のものでも4年以上が経過しているので、当該廃棄物が埋め立て処分に関する基準に適合していたかどうかを確認することは非常に難しいと考えています。

伊藤(祐)委員
 どんな理屈ですか。そこにあるのだから調べると、なぜ言えないのか。大体、群馬の環境を守る立場にいるわけでしょう。法違反をしたかもしれない業者を守るんですか。あるものを調べて、それで判断すればいいではないですか。県民はみんなそう思いますよ。そういう立場で環境行政をやられていたら、群馬の環境は守れないと思います。
 最後の質問です。地下水汚染が判明した以上、生活環境保全上の支障があると判断して、対応すべきであったと考えます。なぜ2005年の時点でそれを判断して対処しなかったのか、工事搬入などをストップさせなかったのか。それについては一般質問で、飲料に供する井戸のあるなし判断だと答弁されたが、法律のどこにそんなことが書いてありますか。地下水が汚染されたら、その段階で生活環境上の支障が生じたと判断するのが、この間の環境政策が進めてきた地下水汚染を重視する、そういう考え方ではないですか。どうしてその時点で、その判断ができなかったのか。今の時点でもできないのはなぜですか。

須藤環境森林部長
 現在、事業者等は県の指導に基づき、基準を超過する地下水の流出を防止するための揚水井戸の設置、廃棄物と地下水を完全に遮断するための遮水シート敷設工事の早期完成に向けた対策工事に取り組んでいるところです。これらの対策は、土壌汚染対策法及び同法に基づくガイドラインに準拠したものであり、地下水汚染の除去及び拡大防止に有効な対策であると考えています。
 現在、本処分場へ廃棄物は搬入されておらず、他の管理型産業廃棄物最終処分場で適切に処理されています。現状では、処分場外の観測井戸の地下水に基準超過はなく、ふっ素の到達範囲とされる下流250メートル以内、さらに、六価クロムの到達範囲とされる下流500メートル以内に飲用井戸もないことから、生活環境の保全上支障はなく、支障の除去等の措置を命ずる状況にはありません。県としては、事業者等に対する指導を継続するとともに、県民生活の安全・安心の確保を第一に考え、法令に基づき厳正に対処したいと考えています。

伊藤(祐)委員
 地下水汚染が分かった2005年の時点できちんと対処していれば、2011年まで延々と有害なスラグがこの廃棄物処分場に埋め立てられることはなかったと思うんです。その点では、県がボタンを掛け違えたということは否めないと思うが、この一連の対応についてひとかけらの反省もないのですか。

須藤環境森林部長
 県としては今後も事業者等に対する指導を継続するとともに、県民生活の安全安心の確保を第一に考え、法令に基づき厳正に対応したいと考えています。

伊藤(祐)委員
 ひと言の反省もありません。県は法の精神に立って環境汚染に対して敏感に厳正に対処してこなかったことが浮き彫りになりました。このような業者に対して操業停止の措置も、現状復帰の改善命令も、住民に対する情報の提供も怠ってきた。この責任は極めて重いと思います。このような環境行政では、一連の有害スラグ事件でも誤った方針しか出てこない。猛省を促して終わります。

腰塚委員長
 以上で、伊藤祐司委員の質問は終了いたしました。

腰塚委員長
 井田泰彦委員、質問者席へ。

井田(泰)委員
 そうぞうぐんまを代表して、平成28年度決算にかかわる質疑をしてまいります。
 知事には、臨時財政対策債について伺います。
 総務省の地方債についてのQ&Aを見ると、臨時財政対策債を増発していることにより各地方公共団体の財政運営に支障が生じるのではないかとの問いに対し、臨時財政対策債は地方財政収支の不足額を補填するために各地方公共団体が特例としておこしてきた地方債である。その元利償還金の相当額については全額を今年度、地方交付税の基準財政需要額に算入することとされているため、各地方公共団体の財政運営に支障が生ずることはないように措置されている、となっています。従って臨時財政対策債の増発によって各地方公共団体の財政の健全化が損なわれることはないとされています。理論的にはそうであるとしても、平成28年度の発行額を見ると384億円であり、その中で償還額は260億円ほどとのことです。差し引き123億円ほど増えている。それが合計すると、平成28年度決算の終了時では5,244億円と、どんどん増え続けることが止まらない状況であります。以前はこれは交付税特会で国債が発行され阻止されていたと思いますが、平成13年度から特例が始まり、群馬県では111億円から5,244億円と、増える一方です。制度上はしっかりと担保されているとのことですが、自分の借金が増え続けることに対し不安を覚えざるを得ません。地方交付税は地方の固有の財産であると国は言いますが、国が代理徴収しているという考えに基づけば、この制度は、財源不足は臨財債による補填ではなく、地方交付税の法定率の見直しや、地方への税源移譲による対応で解消すべきと思います。地方自治体が、ある意味赤字地方債を発行しているとされる臨時財政対策債は廃止すべきと私は考えますが、知事はどのように考えていますか。また、国にどのように働きかけていますか。

大澤知事
 臨時財政対策債は、地方交付税の原資の不足を補てんするための臨時的な措置として、平成13年度から始まった制度です。所得税等国税5税の一定割合として法定されている交付税の原資が恒常的に不足している状況にあり、この不足分を国と地方が折半して負担することとされており、国は赤字国債の発行により措置し、また、地方については、臨財債として各団体に割り当てられています。
 臨財債は、本来の交付税に代わるものとして、地方公共団体の標準的な行政サービスを提供していくために必要な財源であり、平成28年度は384億円を発行しました。臨財債の償還財源については、後年度に基準財政需要額に算入されることから、地方公共団体の財政運営に支障が生じない仕組みとなっていますが、本県における臨財債の残高は平成28年度末時点で5,244億円となり、県債残高総額1兆2,012億円の約4割を占めている状況です。
 臨財債以外の県債を縮減し、健全財政への努力をしていても、臨財債の増加により結果として、このように県債残高総額が積み上がってしまうことは、健全財政の維持に努力している事実を県民から見て分かりづらくさせています。また、本来、行政サービスに必要な経費は、国・地方の税収の範囲内でまかなわれるべきです。
 現在は、社会保障関係経費の増加もあり、国は赤字国債、地方は臨財債で対応せざるをえない状況となっていますが、そのような形で将来世代にまで負担を負わせることは、決して望ましいことではありません。平成31年10月から、地方消費税を含む消費税率が引き上げられますが、引き続き、国・地方を通じた税収の確保等、財政健全化の取組により、地方の財源不足を解消し、早期に臨財債は廃止されるべきとものと思っています。
 こうした考えは、これまでも知事会や国への政策要求を通じて、繰り返し国へ伝えてきました。国も巨額の財源不足を抱えている中で、制度の抜本的な見直しには至っていない現状にあるので、今後も様々な機会をとらえて、国へしっかりと働きかけていきたいと思っています。

井田(泰)委員
 引き続きそのように働きかけをしていただくとともに、議会においても意見書などで対応していければと思っています。地方創生というならば、しっかりと担保されるべきものと思っているので、ぜひお願いします。
 歳出削減の取組について伺います。
 平成28年度決算をみて、それにより取り組んだ平成29年度当初予算編成においても、大変な努力の形跡が見受けられます。税収減、交付税減につき、県債を発行せざるを得ない状況の中で、平成30年度に向けてさらに厳しい予算編成を強いられることになると思ってます。平成28年度決算において、積立基金残高が平成元年度以降で最小になること、また、臨時財政対策債を含めた県債残高が1兆2,000億円を超えるなどの厳しい財政状況に対して、より積極的に歳出削減に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。

大澤知事
 高齢社会の進展等による社会保障関係経費の自然増など、義務的な経費が年々増加する中で、基金残高が減少するなど、財政的な余裕は少なくなってきています。このような中、時代や県民ニーズの変化を踏まえた新しい政策課題に対応していくためには、厳しい財源状況に関する認識を全庁でしっかりと共有し、既存事業の見直しを徹底することで、新規施策のための財源を確保していく必要があると考えています。
 具体策として、まず、事業評価についてでありますが、総合計画に位置づけられたすべての事業について、必要性や有効性、効率性という観点から検証を行っています。事業担当部局の評価と併せて、予算編成部門でも評価を行い、情報を共有することで、次年度におけるより効果的、効率的な事業の実施につなげようとするものであります。
 さらに、予算編成過程では、すべての事業について、前例にとらわれることなく検証し、社会情勢の変化などを踏まえた事業の見直しや、内部管理経費のさらなる節減に取り組んでいるところです。加えて、予算・組織・定員を一体として見直すほか、地域機関の集約化による公共施設の総量の適正化や、長寿命化工事の取組などによる財政負担の軽減や平準化などによる歳出見直しを進めているところです。
 また、これらの歳出見直しのほか、歳入面においても利用予定のない県有地の売却や貸付けなど、県有財産の有効活用を図るほか、国の地方創生推進交付金やふるさと納税を積極的に活用するなど、新たな財源の確保にも努めていくこととしています。
 来年度の当初予算編成にあたっては、歳出見直しや歳入確保策に、さらに徹底して取り組むことで、総合計画に基づく施策を着実に推進するとともに、将来を見据えた持続可能な財政運営に努めたいと考えています。

井田(泰)委員
 今、手元に平成29年度と平成20年度の当初予算編成方針がありますが、文字面だけ見ると大きな変化はないように見えます。先ほどの知事の答弁から、この編成方針に沿ってしっかりと取り組んでいくと受け止めましたが、それで間違いないでしょうか。

大澤知事
 時代は年々変化しており、前例にとらわれることなく、しっかりと前を向いて進めたいと思います。

井田(泰)委員
 しっかりと編成していただきたいと思います。
 総務部長には、経常収支比率について伺います。
 平成28年度決算における経常収支比率は、前年度と比較し2.4%上昇しましたが、悪化した要因はなにか。また、財政の硬直化に対しどのように対応すべきと考えていますか。

津久井総務部長
 経常収支比率とは、財政構造の弾力性を示す財政指標であります。分子を、人件費、公債費、社会保障関係経費などの経常的な経費に活用した一般財源とし、分母を地方税や普通交付税など経常的な一般財源として計算されています。数値が高いほど、財政構造が硬直化して自由度がなくなり、新たな行政課題や、施設・機器の更新などに対応するための財源的な余裕が少なくなることを意味しています。平成28年度決算における経常収支比率は98.2パーセントであり、前年度に比べ2.4ポイント上昇しました。
 経常収支比率が悪化した要因は、人件費は減少したものの、社会保障関係経費及び公債費が増加したことなどにより、分子である経常的な経費に活用した一般財源が38億円増加したこと、また、臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税が減少したことなどにより、分母である経常的な一般財源がマイナス72億円と大きく減少したことによるものであります。
 分子である経常的な経費のうち、主なものの今後の見通しについては、人件費は、少子化に伴う教職員の減により減少、また、公債費についても、今後当面は横ばいが見込まれる一方、社会保障関係経費について、高齢化の進展に伴い増加が続く見通しであり、経常収支比率の高止まりが懸念されています。
 人口減少など社会構造が変化し、県民ニーズが多様化する中、新たな行政需要に適確に対応するためには、経常的な経費の抑制に努め、新たな施策のための一般財源を生み出す努力を継続することが必要です。そのため、社会情勢の変化などを踏まえ、前例にとらわれることなくすべての事業について徹底した見直しを行い、適正な職員定数の維持や経費の削減につなげていくとともに、税収確保のほか、利用予定のない県有地の売却など、歳入増加の取組をさらに強力に進めていかなければならないと考えています。
 今後も経常収支比率をはじめとした各財政指標の推移に留意しつつ、持続可能な財政運営に努めたいと考えています。

井田(泰)委員
 ぜひお願いします。
 県土整備部長には、群馬県と東武鉄道との関わりについて伺います。平成29年度当初においては、東武の特急りょうもう号のダイヤ改正があり、りょうもう号の赤城着が1時間繰り下げられて乗り継ぎが良くなりました。県の働きかけのおかげと思っています。平成28年度の県の取組について、伺います。

中島県土整備部長
 県では東武鉄道にかかわらず、県内の鉄道利用者を増やすため、市町村と連携して駅前広場の整備やエレベーター設置などの駅のバリアフリー化に取り組んでいるところです。東武鉄道に対する平成28年度の取組としては、新桐生駅前広場の整備に着手するとともに、館林駅東口駅前広場にスロープを設置するバリアフリー化工事に対して、館林市に補助を行いました。また昨年度は群馬県鉄道網活性化連絡協議会東武線分科会を開催し、東武鉄道関係者や沿線市町村と利用促進に向けた意見交換をしました。

井田(泰)委員
 駅前広場の整備については引き続きお願いします。
 東武線の赤城駅から太田駅の20.3キロメートルの桐生線という部分があります。特急のりょうもう号も通っているその区間に限り、乗車券のみで乗車できるよう働きかけていただけないでしょうか。現在、特急で東京スカイツリー駅から浅草駅までの上りは無料で乗れます。平成29年度からは、日光鬼怒川会津方面の下今市駅から東武日光駅の区間、下今市駅から会津田島駅の区間も乗車券のみで乗れるようになりました。このような前例があるので、ぜひ働きかけていただきたい。この区間、赤城から太田に向かうのに普通だと26分から29分、特急でも23分から28分と、特急でも普通でも乗車時間は殆ど変わりません。ソフト面の充実、利用促進という意味で、声を出していただけば通ると思っています。この働きかけを含め、今後の取組について伺います。

中島県土整備部長
 今年度の取組として、館林駅ホームの内方線付き点状ブロックの整備を予定、阿左美駅舎の改築や新桐生駅のエレベーター設置等を現在、東武鉄道や関係市町村とともに検討しているところです。
 お尋ねの件については、鉄道会社の経営上判断が必要と考えています。しかしながら運行本数が、一時間に特急1本、普通が1本と少ないことや、過日行ったパーソントリップ調査の結果からも、桐生市・みどり市方面から太田駅周辺への人の動きがかなりあることから、利用者増加に繋がることが考えられるので、東武鉄道に提案したいと考えています。

井田(泰)委員
 高校生や地域利用者も大変助かります。利用促進が加速度的に増えると思うので、ぜひともお願いします。以上で終わります。

腰塚委員長
 以上で、井田泰彦委員の質問は終了いたしました。
 これにて総括質疑を終了いたします。

討論

腰塚委員長
 採決の前に、討論のある委員はいらっしゃいますか。
 (「なし」の声あり)
 討論はありませんので採決に入ります。

採決

腰塚委員長
 はじめに、平成28年度群馬県一般会計歳入歳出決算、及び平成28年度群馬県県有模範林施設費、同用地先行取得、同収入証紙、同流域下水道事業費の各特別会計歳入歳出決算、平成28年度群馬県工業用水道事業、同水道事業、同団地造成事業の各公営企業会計決算、並びに第114号議案について採決いたします。
 これを原案のとおり認定及び可決することに賛成の委員の起立を求めます。
 (起立多数)
 起立多数であります。
 よって、本件は原案のとおり認定及び可決することに決定いたしました。
 次に、ただ今採決しました各会計決算を除く決算認定案件、及び第115号から第117号の各議案について、これを原案のとおり認定及び可決することに賛成の委員の起立を求めます。
 (起立全員)
 起立全員であります。
 よって本件は原案のとおり認定及び可決することに決定いたしました。

審査の終了

腰塚委員長
 以上で、本委員会に付託された案件の審査はすべて終了いたしました。

その他

腰塚委員長
 委員長報告につきましては、正副委員長にご一任願うことでよろしいでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
 それではさよう決定させていただきます。

あいさつ

腰塚委員長
 閉会に当たり一言ごあいさつを申し上げます。
 委員各位には、決算特別委員会が設置されてから本日に至るまで、各分科会において審査を熱心に行っていただきまして、厚く御礼を申し上げます。先の委員長就任あいさつの際にも申し上げましたが、決算特別委員会には、単に前年度における予算執行状況を審査することだけでなく、その結果を現年度の予算執行、また、来年度の予算編成にいかに活かしていくかを議論する場としての、大切な役割があります。こうした中で、本委員会に付託されました決算認定案件、及び各関係議案について、慎重な審査が行われ、本日の総括質疑、採決へと至ったところであります。
 群馬県においては、企業業績の改善などにより、県税収入も5年連続して増加するなど明るい兆しがある反面で、引き続き厳しい財政状況に置かれていることもまた事実であります。
 知事をはじめ執行部の皆さまには、こうした状況の中で、常に県民目線に立ち、効果的・効率的な予算の執行に努められ、県政のさらなる発展にご尽力をいただきますことをお願い申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。

知事あいさつ

腰塚委員長
 次に、執行部を代表いたしまして知事からごあいさつをいただきます。

大澤知事
 一言、御礼のあいさつをさせていただきます。
 腰塚委員長さん、大手副委員長さんをはじめ、特別委員の皆様方には、平成28年度の各会計の決算審査につきまして、慎重なご審議をいただき誠にありがとうございました。各会計決算について認定すべきものとご決定をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 本委員会の審査におけるご意見・ご要望を真剣に受け止めまして、今後の施策に反映させるとともに、より適正かつ効果的な予算執行に努めてまいります。
 今後とも、委員の皆様方のご指導・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、御礼のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

散会

腰塚委員長
 ありがとうございました。
 以上をもって散会いたします。大変ご苦労さまでした。
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