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さまざまな事情により家庭で生活することができない子どもを、温かく見守って養育してくださる人のことです。
里親による養育の良いところとして、子どもが特定の大人と信頼関係を結べること、子どもが家庭生活を経験することで、将来家庭を築く上でのモデルになることなどがあります。
2人の女の子を育て、短期間の預かりもしている里親の本井さんにお話を伺いました。
「私たち夫婦は実子を授かりませんでしたが、子育てをしてみたいという思いから里親になりました。今まで乳児院から預かった2人の女の子を大人になるまで育て、今も一緒に暮らしています。
また里親として数日だけ子どもを預かることもあります。里親になることは特別なことだと思われがちですが、私のような普通の人がやっているんですよ。
育てた2人ともが本当に良い子で、反抗期など大変なこともありましたが、楽しい子育てをさせてもらいました。良いことも悪いことも全て、血のつながった親子と変わらない子育てだったと思います」
「里親には養子縁組を希望する人だけではなく、数日~2カ月程度の短期間だけ預かったり、乳児だけを預かったりする人もいます。共通するのは、子どものために家庭的な環境で養育してあげたいという気持ちです。子どもたちがそれぞれに合った家庭で暮らすためにも、いろいろな考え方を持つ里親がいた方が良いと思います。長期で子どもを預かるのが難しい人は、まずは短期間から、ボランティアのような気持ちで始めてみてもよいと思います。
事情があってわが子を育てられなくても、実親は子どもにとってかけがえのない存在だと思います。安心して里親へ託してほしいです」
本井さんの家庭で育ったAさんにお話を伺いました。
「2歳半からこの家で暮らしていますが、普通の家庭と変わらない生活をしていると思います。家族で旅行に出掛けたり、犬を飼ったり、時には母や姉とけんかしたりしました。里子同士の集まりに連れて行ってもらい、そこでしか話せない悩みや不安を話したり聞いたりできたことも良い経験になりました。
今年、子どもの頃からのアルバムを持って、初めて産みの母に会いに行き『産んでくれてありがとう』と伝えることができました。私は自分を産んでくれた母に感謝していますし、育ててくれた母がいなければここまで成長できなかったと思っています。この家で当たり前のように普通の生活ができていて、幸せです」