本文
嬬恋村における野生動物への対策について、お話を伺いました。
嬬恋村農林振興課鳥獣害対策係係長 土屋和彦(つちやかずひこ)さん
「嬬恋村はキャベツの一大産地で、作付面積は約3千ヘクタールです。大規模な農家も多く、1軒当たりの作付面積は10ヘクタールほどになります。
19年ごろから野生動物の被害が増え、23年には3億6千万円にも上る被害が出ました。村としても何とかしなければと思い、県などに相談し、国の交付金や県の補助金を活用して、山際に総延長100kmにも及ぶ金網柵を設置しました。
また柵を設置できない道路には、シカやイノシシが嫌がるように足が取られやすい形状にしたグレーチングを設置しています。それでも動物が侵入することもあるため、それぞれの畑を電気柵で囲うなどの対策をしています。
山際に設置した金網柵(嬬恋村)
道路に設置した網目の形状が工夫されているグレーチング。幅約8cmの六角形の網目をシカが警戒(嬬恋村)
県と協力してセンサーカメラを設置し野生動物の生息状況を調査したところ、カモシカによる被害も確認されましたが、それ以上にニホンジカによる被害が増加しているということが分かってきました。
ニホンジカは嬬恋村と長野県の県境を含む国指定の鳥獣保護区内を行き来していることなども分かってきたため、国・県・長野県と連携した対策が必要だと考えています。
今後はシカの効率的な捕獲につなげるため、衛星利用測位システム(GPS)を付けた首輪を取り付けるなど、行動パターンを調査し、群れで行動するニホンジカの移動経路を特定して、今後の対策につなげたいですね
キャベツ農家 橋詰瞬(はしづめしゅん)さん
「嬬恋村で代々キャベツ農家をやっています。シカはキャベツの表面だけを次々と食べていくため、かなりの数が出荷できなくなり悔しい思いをしたこともありました。
畑が広範囲にわたるため隣同士の農家と協力しながら、数年前から効果的な金網柵を設置しました。
また電気柵で畑を囲むことで、二重の対策もしています。設置に当たっては村に相談し、費用を助成してもらい大変助かりました。現在は被害も減り安心しておいしいキャベツを作ることができています」
県立農林大学校森林コース1年 田村千夏(たむらちなつ)さん
「今年の春から農林大学校で森林コースを専攻しています。農業を学ぶコースの学生と一緒に鳥獣被害対策を学び、授業の一環で電気柵設置の実習や、校外学習では、嬬恋村の侵入防止柵を見学しました。被害の様子や地域全体で対策に取り組んでいることが分かり、農林業全てに関わる大きな問題であることを実感しました。
私たちも学校の授業の中で森林の草刈りなどを行っていますが、これも動物が身を隠せるようなやぶを作らない鳥獣被害対策の一つだと知りました。また畑に動物の餌になる作物を放置しないなど、一人一人ができる対策の積み重ねが重要だと思います」
県立藤岡工業高等学校3年 小暮啓介(こぐれけいすけ)さん
「学校の授業で鳥獣被害対策について勉強し、わな猟のことを知りました。
祖父の畑がシカやイノシシに荒らされることがあり心配していたので、自分が力になりたいという思いでわな猟の免許を取得しました。今年度からは18・19歳の受験手数料が免除されたことも、受験のきっかけになりました。
わな猟には危険が伴うこともあります。事故が起きないよう十分注意し、責任を持ってやっていかなければなりません。
地元にはわな猟のベテランがいるので、ノウハウを教えてもらいながら経験を積み、地域の役に立ちたいです」
狩猟者人口は減少傾向にあり、今後の捕獲の担い手不足が懸念されています。
狩猟に興味のある人や、野生動物による被害を減らしたいと思う人は、チャレンジしてみませんか。
31年1月20日(日曜日)
午前9時30分
県庁(前橋市大手町)
20歳以上の人
5200円(別の狩猟免許を所持している人は3900円)
1月10日(木曜日)
31年2月13日(水曜日)
午後0時50分
県立農林大学校(高崎市箕郷町)
18歳以上の人
5200円(別の狩猟免許を所持している人は3900円)
※18・19歳の人は免除されます(試験日に18歳に到達している人)
2月1日(金曜日)
所定の申請用紙
県環境森林事務所、県森林事務所、県庁自然環境課
※県ホームページ「申請・届出一覧」からも入手できます
県庁自然環境課(電話・ファクス下記)、県環境森林事務所、県森林事務所
県鳥獣被害対策支援センター 電話027-371-0003 ファクス027-371-0090
県庁自然環境課 電話027-226-2874 ファクス027-243-7702