5分で読む 世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」とは?
「富岡製糸場と絹産業遺産群」は、富岡製糸場、田島弥平旧宅、高山社跡、荒船風穴の4資産で構成されています。
4資産は、養蚕または製糸の技術革新を行うとともに、連携して繭の品種改良を行いました。その結果、群馬は養蚕・製糸の最新技術の発信地となり、その技術は日本全国に広まり、国内の生糸の大量生産技術が発展しました。そして、日本の技術は世界に広まり、絹織物が一般の人にも身近なものになりました。
富岡製糸場
フランスの技術を導入した日本初の官営製糸工場
- 明治政府が設立した、官営の器械製糸工場
- 製糸技術開発の最先端として国内の養蚕・製糸業を世界一の水準にけん引
- 田島家、高山社、荒船風穴などと連携して、蚕の優良品種の開発・普及を主導
最新情報:展示・体験施設がオープン
製糸場内にある社宅を保存修理し、座繰り器による糸取り体験、繭や生糸を使ったクラフト体験などができる施設として4月にオープンしました。
基本情報
- 所在地:富岡市富岡
- 費用:一般=1,000円、高校・大学生=250円、小・中学生=150円
田島弥平旧宅
近代養蚕農家建築の原型
- 風通しを重視した蚕の飼育法「清涼育」(せいりょういく)を大成した、田島弥平の住居兼蚕室
- 瓦屋根に換気用の越屋根が付けられた構造が、弥平の著書によって全国に広まり、近代養蚕農家建築の原型に
※個人宅で現在も居住しているため、見学時にはご配慮ください
最新情報:案内所を移転・リニューアル
昨年9月、田島弥平旧宅案内所を旧境島小学校内に移転しました。清涼育に関する著書「養蚕新論」や旧宅の解説パネル、映像資料などが見られます。
基本情報
高山社跡
日本の近代養蚕法の標準「清温育」(せいおんいく)を普及した教育機関
- 「清温育」を開発した高山長五郎が、その技術を広めるために設立した養蚕教育機関
- 「清温育」は、通風と温度管理を調和させた蚕の飼育法。後に全国標準の養蚕法に
- 学生は全国から集まり、中国や朝鮮半島からの実習生も受け入れ
最新情報:長屋門の修復が完了
長屋門の修復が完了し、4月に新たな展示室として公開しました。養蚕日誌などの絹産業に関する資料や瓦屋根の構造模型などを展示しています。
基本情報
荒船風穴
自然の冷風を利用した日本最大の蚕種貯蔵施設
- 岩の隙間から吹き出す冷風を利用した蚕種(蚕の卵)の貯蔵施設
- 冷蔵保管により卵がかえる時期を調整することで、年に複数回の養蚕が可能となり、繭の増産に大きく貢献
- 日本全国の他、朝鮮半島からの蚕種も保管・出荷
最新情報:「天然の冷蔵庫」を体感
昨年10月、風穴近くの見学者広場に完成した「風穴冷風体験館」では、自然の岩の隙間から吹き出す冷風が体験できます。
基本情報
- 所在地:下仁田町南野牧(12月~3月は冬季閉鎖)
- 費用:一般=500円
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