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平成27年第1回定例県議会 知事提案説明

更新日:2015年2月17日 印刷ページ表示

 平成27年第1回定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち一言申し上げます。
 今議会は、議員の皆様にとって、任期最後の定例会となります。

 前回の県議選は、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故の直後であり、その後も、局地的な豪雨や土砂災害、大雪など、日本各地が多くの自然災害に見舞われる多難な時期でありました。
 一方、平成24年12月には、安倍政権が誕生し、長いデフレからの脱却に明るい兆しが見えてきました。県内では、幹線道路などの社会基盤整備が進むとともに、[富岡製糸場と絹産業遺産群]が世界文化遺産に登録されるなど、この4年間は、本県のさらなる飛躍、発展に向けた土台が築かれた期間でもありました。
 この間、県民福祉の向上のため、多大なる御尽力をいただき、深く感謝を申し上げる次第であります。
 また、本任期をもって引退をされる議員各位におかれては、長年にわたり、県勢発展に貢献されました。これまでの御功績に対し、改めて敬意を表しますとともに、今後も、御支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 そして、4月の次期県議選に臨まれる各位には、再びこの議会でお会いできることを切に期待し、御健闘をお祈り申し上げます。

 去る2月7日、八ッ場ダム本体建設工事の起工式が行われました。
 起工式は大きな節目であり、60年余りの長きにわたり、国の政策に翻弄され続けた地元の皆様のことを思うと、感無量であります。
 国は工事を着実に進め、一日も早くダムを完成していただきたいと切に願っております。
 しかしながら、地元の皆様の生活再建なくしてダム事業の完成はあり得ません。これまで、道の駅などの地域振興施設をはじめ、鉄道や道路等のインフラ整備が大きく進捗するなど、生活再建に向けた環境は整いつつあります。
 県といたしましては、ダム湖を中心として地域が一層発展していけるよう、地元の町や国と連携しながら、しっかりと取り組んで参ります。

 ここ数年、スポーツにおける群馬県勢、とりわけ、中学生、高校生の活躍には、目を見張るものがあります。今年も、全国高校サッカー選手権で、前橋育英高校が準優勝に輝き、全国都道府県対抗駅伝や冬季国体でも若い力が躍動しました。
 群馬の未来を切り拓くには、若いエネルギーが必要です。本県は、子ども医療費無料化など将来への投資ともいえる独自の施策に積極的に取り組んできました。今後、さらに、優れた拠点性や魅力ある資源を活かした取組を進め、新しい人の流れを作り、若い世代の理想を実現する施策を実行して参ります。

 それでは、平成27年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げますとともに、併せて、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べます。

当初予算編成の基本方針

 平成27年度は、第14次総合計画の最終年度となります。今回の当初予算編成に当たっては、計画の3つの基本目標である、
 [地域を支え、経済、社会活動を支える人づくり]
 [誰もが安全で安心できる暮らしづくり]
 [恵まれた立地条件を活かした産業活力の向上、社会基盤づくり]
の実現に向け、15の重点プロジェクトを着実に推進することを基本方針といたしました。
 その上で、喫緊の課題である人口減少対策については、[群馬の未来創生本部]のもと全庁を挙げて取り組む体制を整備するため、[未来創生室]を設置するとともに、少子化対策や子育て支援、定住促進など、地方版[まち、ひと、しごと]総合戦略の策定に先立ち、必要性の高い事業を先行して実施して参ります。
 昨年は、[富岡製糸場と絹産業遺産群]の世界遺産登録、ぐんまちゃんの全国1位、東毛広域幹線道路の全線開通など、本県が大きく飛躍した1年でありました。
 この勢いを加速させるとともに、本県がさらに大きくはばたけるよう、『元気飛躍予算』といたしました。

当初予算の規模

 平成27年度の一般会計当初予算の総額は、7,159億6,600万円であります。
 平成26年度当初予算に比べて5.0%の増で、制度融資を特別会計に移管した平成20年度以降では、最大の予算規模となっております。

当初予算の財源

 当初予算の主な財源についてでありますが、平成26年度の県税収入は、好調な企業業績を反映し、当初予算額の2,126億円を上回る、2,185億円程度を確保できる見通しです。
 こうした流れが今後も続くと期待されることや、地方消費税の税率引き上げの影響が平準化することなどから、平成27年度の県税収入は、26年度当初予算に比べ234億円多い、2,360億円を見込んでおります。
 一方、地方交付税及び臨時財政対策債が、国の地方財政対策によって大幅に減額となることが見込まれる中、財政調整基金及び減債基金については、可能な限り取り崩すこととしました。
 また、これまでのように大規模な国の補正予算の活用が見込めない中、公共事業の事業量を確保して県内景気を下支えするとともに、必要な社会資本整備を着実に進めるため、通常債の発行額を増やすことにより、財源を確保したところであります。
 一方で、通常債の残高は着実に減らしてきており、プライマリーバランスについても、15年連続で黒字を維持するなど、財政の健全性を確保した上で、予算を編成したものであります。

3つの基本目標

 それでは、総合計画の3つの基本目標に沿って、平成27年度に実施する重点施策について申し上げます。

地域を支え、経済、社会活動を支える人づくり

 基本目標の一点目は、[地域を支え、経済、社会活動を支える人づくり]であります。
 次代を担う人材づくりでは、平成27年度から開始される[子ども、子育て支援新制度]に移行する私立幼稚園に対し、これまでの私学助成と同水準の支援が受けられるよう、県単独の補助制度を創設します。
 健康福祉部に「こども未来局」を設置し、若い世代の結婚、子育ての希望を実現するとともに、次代を担う子どもたちをしっかりと支援していけるよう、少子化対策と子育て支援策を一体的に推進して参ります。
 子育て世帯の経済的負担を軽減するため、市町村と連携し、新たに、第3子以降の3歳未満児に対する保育料を免除するとともに、求職活動中のひとり親家庭を支援するため、放課後児童クラブの利用料を補助します。
 また、保育所における食物アレルギー事故を防止するため、調理員の配置や組織体制の強化に係る経費に対し、新たに補助を行います。
 スポーツの分野では、今年から[ぐんま県民マラソン]でフルマラソンを実施し、県外からの参加者に本県の魅力をアピールするほか、東京オリンピック、パラリンピックを見据え、世界に通用する選手の発掘、育成に取り組みます。
 いじめや不登校などの未然防止、早期発見・早期対応のため、引き続き、全ての公立小中学校と県立高校にスクールカウンセラーを配置します。
 高齢者が活躍できる社会づくりでは、シニア就業支援センターにおいて、職業紹介や地域活動などに関する情報提供を行います。
 群馬の飛躍を支える産業人材の育成では、本県農業の競争力を高めるため、農地中間管理機構を中心に、担い手への農地の集積・集約化を進めるとともに、規模拡大を図る認定農業者や新規就農者などに対する支援を継続します。
 産業技術専門校において、女性や正規雇用を目指す若者向けの訓練コースを新設するほか、建設・介護など人手不足が深刻な分野の人材確保を進めるため、訓練内容を充実させます。
 地域の安心を支える医療・福祉人材の育成、確保では、特定診療科における医師不足と地域間での医師の偏在を解消するため、修学資金貸与などの対策を継続するとともに、保育サポーターバンクを拡充するなど、女性医師の就労支援を強化します。
 介護人材を安定的に確保するため、介護の仕事を幅広い人々に知ってもらう取組を通じて、新規参入を促すとともに、質の高い人材を養成するため、県独自の[ぐんま認定介護福祉士]養成などの専門的・体系的な研修を実施します。
 人づくりのための仕組みづくりでは、新たな公共サービスの担い手となり得るNPOやボランティア活動を支援します。

安全安心な暮らしづくり

 基本目標の二点目は、[誰もが安全で安心できる暮らしづくり]であります。
 [医療先進県ぐんま]の推進では、超高齢化社会の到来を見据え、医療と介護の連携体制を強化するため、健康福祉部に[医療介護局]を設置します。その上で、在宅医療を推進するとともに、地域包括ケアシステムの構築や介護施設の整備などに取り組みます。
 また、県内全域の高度急性期医療を担う前橋赤十字病院の新築移転整備に対し、平成29年度までの3年間、補助を行います。
 小児医療センターにおける障害児歯科の機能を強化するため、外来棟を拡張するほか、心臓血管センター、がんセンターの高度医療機器を更新し、検査・治療精度の向上と患者負担の軽減を図るなど、県立病院における医療提供体制を充実して参ります。
 誰もが安心して生活できる福祉の充実では、障害者が地域社会で自立した生活を送れるよう、グループホーム等の施設整備を計画的に進め、地域生活を支える受け皿の充実や就労移行支援の強化を図ります。
 児童虐待への対応では、関係機関の連携体制の強化を図った上で、職員の資質向上や虐待を受けた児童に対するケアの充実を図ります。
 安全な暮らしの実現では、地震や台風などによる被災者の生活再建を支援するため、国の支援制度の対象とならないケースでも国と同様の支援が受けられるよう、県と市町村が協力し、新たな支援金制度を創設します。
 性犯罪、性暴力の被害者が、相談支援と医療を一か所で受けられるよう、民間支援団体と連携し、常設の相談窓口を開設します。他の支援機関とのコーディネートや医療費の公費負担などを通じて、きめ細かな支援を行います。
 危険ドラッグ等の薬物の乱用を防止するため、県独自の規制を導入するとともに、県民への意識啓発を図ります。
 警察体制を強化するため、警察官を20人増員するとともに、振り込め詐欺等の特殊詐欺の防止対策を推進します。
 災害に強い県土を築くでは、平成27年末までの耐震診断が義務づけられた大規模小売店舗のうち、中小企業が所有するものに対し、新たに耐震診断費を補助するほか、災害発生時において避難、救援活動の拠点となる県立学校の耐震改修工事を引き続き実施します。これにより、県立学校の耐震化率は100%となります。
 大型化する台風被害やゲリラ豪雨による災害の未然防止と被害軽減を図るため、河川改修や砂防施設整備などのハード対策と監視体制の強化などのソフト対策を合わせて実施します。
 誰もが安心して働ける労働・雇用環境づくりでは、女性、若者の就職支援と働きやすい職場環境づくりを進めるため、[女性、若者就職支援室]を設置します。首都圏の大学等との連携を図る人材を配置するなど、県内へのUIターン就職を促すための取組を強化します。
 障害者雇用では、法定雇用率2%の早期達成を目標に掲げ、労働局などの関係機関とも連携し、企業経営者への意識啓発や就労に対する保護者の不安解消を図ります。
 また、本年4月には、吾妻地域に特別支援学校が開校し、未設置地域が解消されます。これを新たなスタートとして、特別支援学校生徒の一般就労率のさらなる向上を目指し、就労支援員の配置を知的全9校へ拡充するなど、取組を一層強化して参ります。
 優れた群馬の環境を守り、未来へ継承するでは、「ぐんま緑の県民基金」を活用して、条件不利地の森林整備やボランティア活動を推進するとともに、市町村が提案する里山、平地林等の整備を支援します。
 有害鳥獣による農林業被害を軽減するため、鳥獣被害対策支援センターが中心となり、捕獲対策を一層強化するとともに、人材育成や市町村への支援を継続し、農林業者や地域が効果を実感できる対策の実現を目指します。
 汚水処理人口普及率の向上を図るため、市町村が実施する施設整備事業に対し補助を行うとともに、新たに、個人が行う流域関連公共下水道への排水設備工事に対する補助を実施します。
 地域住民の生活を支える[地域力]の強化では、若年層を中心とした大都市圏からの移住を促進するため、「ぐんまちゃん家」における情報発信を強化するとともに、移住に関する情報を一元的に提供するための相談窓口を都内に新設します。

産業活力の向上、社会基盤づくり

 基本目標の三点目は、[恵まれた立地条件を活かした産業活力の向上、社会基盤づくり]であります。
 はばたけ群馬の経済戦略では、北陸新幹線の金沢延伸によって益々高まる本県の優れた拠点性を活かして、県内産業のさらなる発展や新たな産業の創出、若者や女性の雇用創出を図るため、コンベンション施設の整備を進めます。県議会における議論を踏まえ、基本計画を改訂するほか、文化財調査等の用地の整理を行います。また、全県的な気運醸成を図るとともに、施設のPRや誘致活動を実施します。
 本県の蚕糸業を産業として継承していくため、将来にわたり一定の繭生産量を維持しようとする養蚕農家を組織化し、高品質繭の増産やオリジナル生糸のシェア拡大等の取組に対し、新たな補助を行います。また、多様な養蚕担い手を確保、育成するため、初期投資の軽減やコーディネーターによる相談対応、新規参入者と遊休施設とのマッチング等の支援を行います。
 [林業県ぐんま]への飛躍をめざし、県産木材の供給、流通体制を強化するため、森林組合等が行う、地域における木材加工、流通の拠点となる施設の整備に対し補助を行います。
 円安による原材料高などにより引き続き厳しい経営環境にある中小企業に対し、制度融資による金融支援のほか、商工会、商工会議所及び産業支援機構を通じた経営支援を行います。
 ぐんまのイメージアップでは、関係市町と連携し、世界遺産の構成資産の保存整備を進めるとともに、世界遺産と県内の絹文化、絹遺産の価値を県民に再認識してもらい、将来世代に引き継いでいくための取組を実施します。また、国の交付金を活用したプレミアム付宿泊券制度や、大手旅行会社と連携した旅行商品造成などを通じて、世界遺産を核とした県内全体への周遊観光を促進して参ります。
 日本最古の石碑群である[上野三碑]について、平成29年の世界記憶遺産登録を目指し、高崎市と連携し、推薦書の作成や普及啓発を行います。
 はばたけ群馬の社会基盤づくりでは、県内高速交通網の効果を最大限に活かすため、高速道路へのアクセス道路となる[7つの交通軸]について、引き続き、重点的、計画的に整備を推進します。
 本体工事に着工した八ッ場ダムについては、生活再建に向けた事業を着実に推進して参ります。
 鉄道利用の促進と駅を中心とした地域の活性化を図るため、沿線市町や鉄道事業者と連携して、駅周辺の整備を進めます。

平成27年度関係その他の議案

 このほか、特別会計については、母子父子寡婦福祉資金貸付金会計など11件を、企業会計については電気事業会計など7件を提出しております。
 事件議案は、52件を提出しております。
 第13号議案は、いじめ防止に向けた実効的な対策を協議するとともに、重大事態発生時における適切な対応を確保するための組織を設置しようとするものです。
 第48号議案は、特別支援学校に通う生徒の就労支援を強化するとともに、地域に根ざした学校運営を進めるため、分校の単独校化及び校名変更を行おうとするものです。
 第52号議案から第58号議案、第71号議案は、[群馬県行政に係る基本計画の議決等に関する条例]に基づき、各行政分野における基本計画等の策定に当たり、議会の議決を得ようとするものです。

平成26年度関係議案

 続いて、平成26年度関係についてでありますが、予算関係では14件を提出しております。
 このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴う、消費喚起、地方創生関連の交付金事業や公共事業費の増額など、所要の補正を行うものであります。
 事件議案としては、危険ドラッグ等の薬物乱用を防止するための条例制定や、知事及び副知事等の退職金を支給しないための条例改正、回収の見込みのない債権放棄など、25件を提出しております。

おわりに

 平成27年度は、総合計画『はばたけ群馬プラン』の最終年度であり、[元気飛躍予算]を効果的に執行し、計画の総仕上げを図って参ります。
 群馬県は、さらに大きく飛躍する可能性を秘めています。人口減少社会を克服し、県民に夢と希望を持っていただけるよう、引き続き、全力で取り組む所存であります。
 県議会、県民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。

 以上、県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、提出議案の大要について御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますよう、お願い申し上げます。