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令和7年第1回定例県議会 知事提案説明

更新日:2025年2月17日 印刷ページ表示

 令和7年第1回定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち、一言申し上げます。

 去る1月23日、群馬県では10例目となる豚熱の患畜が確認されました。
 防疫措置については、近隣市町村、JAグループ、建設業協会など、関係の皆様の御協力をいただき、既に完了しております。この場をお借りして、関係の皆様には厚く感謝申し上げます。
 また、国と県の獣医師で構成される疫学調査チームにより、発生農場の飼養衛生管理の状況や感染経路の調査が行われました。今後示される調査結果を踏まえ、必要な対策を検討して参ります。
 群馬県としては、主要産業である畜産業を守り抜くため、国や市町村等とも連携しながら、今後も、発生予防に万全を期して参ります。
 全国的には、豚熱のほか、鳥インフルエンザの発生が相次いで確認されています。群馬県においても、いつ鳥インフルエンザが発生してもおかしくない状況だと思います。
 養豚農家、そして養鶏農家の皆様には、これまで以上に、飼養衛生管理基準の遵守徹底をお願い申し上げます。

 次に、第103回全国高等学校サッカー選手権大会についてです。
 前橋育英高等学校が持ち前の「人とボールが動くサッカー」で幾多の強豪との激戦を勝ち抜き、2度目の全国制覇を成し遂げました。
 私も、応援のため現地で観戦しました。決勝にふさわしい「緊迫感のある試合」で、延長戦に突入しても決着が付かず、最後はPK戦の末に前橋育英が競り勝ちました。
 サッカー選手権大会での2度目の全国制覇という快挙は、県民に夢と希望、そしてエネルギーを与えてくれました。
 去る2月11日には、新たに創設した「県民栄誉賞特別賞」を贈呈し、今回の功績を称えました。群馬県民を代表してお祝い申し上げます。

 それでは、令和7年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げます。加えて、県政推進に当たっての所信の一端を申
し述べたいと思います。

当初予算編成の基本方針

 群馬県では、こども・子育て施策を推進するため、昨年2月に「群馬県こどもまんなか推進本部」を立ち上げ、検討を重ねて参りました。そこでの議論も踏まえて、「子育て圧倒的No.1」に向けた施策に取り組みます。
 また、新産業の創出についても、令和7年度は大きな一歩を踏み出したいと考え、デジタル・クリエイティブ産業のエコシステム構築などの取組を加速させていきます。
 令和7年度当初予算は、こうした思いを込めて、『こどもまんなか推進&新産業創出加速予算』と命名させていただきました。
 さらに、財政状況が改善しつつある中、各所に目を配ることができ、非常にバランスの取れた予算案を編成することができたと考えています。

当初予算の規模

 令和7年度の一般会計当初予算の総額は、8,078億円です。
 令和6年度当初予算と比較して262億円の増加で、新型コロナ対策関係予算を除くと、制度融資を特別会計に移管した平成20年度以降、最高の予算額です。

重点施策

 それでは、令和7年度当初予算の主な取組について、5つの重点施策に沿って御説明申し上げます。
 まず、重点施策の一つ目は、「こどもまんなか推進」です。
 こどもたち一人ひとりが大切にされ、全ての人がこどもの育ちを支える社会の実現に向け、切れ目なく、こどもの成長を支援していく施策がまとまりました。
 まず、妊娠からこどもの誕生、幼児期における取組です。
 「新生児の先天性代謝異常等の検査助成」では、現在の22疾患に、新たに7疾患を加え、全国唯一となる29疾患の検査費用を助成し、新生児の命を守り、婦やその家族の安心に繋げます。
 また、保育の充実のため、1歳児4人に対して保育士を1人配置し、非認知能力育成やインクルーシブ保育などに取り組む保育所などに対して、新たに補助制度を創設します。
 そして、全国で最も手厚い制度である「子ども医療費無料化」についても引き続き実施するほか、小児医療センターの再整備や、北毛地域の周産期・小児医療体制の確保に取り組みます。
 続いて、小学校から中学校、高校までにおける取組です。
 いわゆる「小1の壁」の解消に向け、朝のこどもの居場所づくりに取り組みます。さらに県営住宅の活用やプロスポーツチーム等との連携による、こどもの居場所づくりにも取り組みます。
 また、「インクルーシブ教育」では、モデル校の環境整備やスウェーデン・マルメ市との学校間交流などを実施します。「非認知能力の評価・育成」では、引き続き、群馬県とスコットランドによる共同研究や指定校での実践研究を進めます。
 そして、私立高等学校の中間所得層への授業料支援を拡充するほか、SE L教育の推進や、tsukurun などとの連携を一層進めて参ります。

 各成長段階において多様なニーズを抱えるこどもへの支援にも取り組みます。
 悩みを抱える児童生徒や保護者を支援するため、引き続き全校にスクールカウンセラーを配置するとともに、スクールソーシャルワーカーの配置を拡充します。さらに、学校現場の課題に専門的な助言を行う弁護士「スクールロイヤー」を新たに配置します。加えて、アフターケア拠点の就労相談体制を強化しケアリーバーへの支援体制を充実させます。
 また、子どもの保育園留学を組み合わせた「親子でテレワーク移住体験」のほか、家事分担や育児に関するイベントを開催し、子育てに対する社会全体の意識改革につなげていきます。

 続いて、重点施策の二つ目は、「新たな富の創出に向けた未来への投資」です。
 まず、デジタル・クリエイティブ産業のエコシステム構築を進めます。
 デジタルクリエイティブ人材の育成のため、今年の夏にオープン予定のTUMO Gunma の運営や、tsukurun の県内各地への展開に取り組みま
す。また、企業からの寄附を活用し、TUMOBox を伊勢崎市に設置します。さらに、大学生世代以上を対象とした新たな人材育成機関「デジタルクリエイティブスクール(仮称)」の開設に向け、本格的な検討に着手します。
 次に、Gメッセ群馬をさらなるクリエイティブの拠点にすべく、各種調査等を実施します。また、県外のクリエイティブ関連企業の誘致を推進します。
 そして、大型映像作品のロケ誘致に取り組むなど、エンタメの力で、群馬県のさらなる魅力発信と新たな富の創出を目指します。
 次に、リトリートの聖地に向けた取組です。地域の基盤整備の取組を継続して支援するとともに、「リトリート=群馬県」のブランド価値向上のため、プロモーションを展開していきます。
 また、県立赤城公園の整備を進めるほか、フラワーパークについても、今年秋のリニューアルオープンに向け、改修工事や開園準備を進めます。
 続いて、クリエイティブシティ構想の実現に向け、県庁から前橋駅間の道路空間について、国際コンペ最優秀デザインに基づく基本設計を行います。また、「GunMaaS」を活用した交通事業者が連携して行う新たな交通サービスの構築など、意欲的な取組を支援します。
 そして、県内産業の稼ぐ力を向上させる取組として、ぐんまちゃんのブランド化を図るため、引き続き国内外でのプロモーションを行い、認知度向上を目指します。企業との連携に向けて、コンテンツビジネスの見本市へ出展するほか、新たに昭和庁舎にグリーティングスペースを設置します。
 次に、林業について、民間企業の参入を促すための取組や、県産木材の供給体制強化と需要拡大を後押しします。
 農業においても稼ぐ力の向上を目指します。新たな担い手として期待される「企業や農業法人」などの誘致や、県産農産物の用途拡大・高付加価値化を目指した取組を実施します。加えて「Gアナライズ&PR」によるプロモーションを展開します。
 このほか、トップ外交で築いたEIT(欧州イノベーション・技術機構)との関係を生かし、欧州スタートアップと県内企業のマッチングを支援します。

 重点施策の三つ目は、「持続可能な成長の促進」です。
 昨年12月、群馬県は都道府県として初めて「ネイチャーポジティブ宣言」を行いました。研修会や専門家の派遣により、県内企業のネイチャーポジティブの取組を支援します。
 サーキュラーエコノミーでは、資源循環型の農法である有機農業について、生産拡大や販売促進、そして消費拡大に取り組みます。また、「グリーンイノベーション加速化支援」により、相談窓口や補助金など様々な手法で、企業の脱炭素の取組を支援します。
 そしてカーボンニュートラルでは、脱炭素化とレジリエンス強化を図るため、中小事業者や個人が行う太陽光発電設備や蓄電池導入を引き続き支援します。
 また、未利用の温泉熱を活用した「バイナリー発電」の導入可能性の調査や、再エネ電力を活用する板倉ニュータウン「グリーンブロック」の分譲に取り組むほか、引き続き「ぐんまゼロ宣言住宅」の普及を推進します。

 重点施策の四つ目は、「県民の幸福度向上」です。
 まず、賃上げ支援として、全国トップクラスの賃上げ支援施策である「ぐんま賃上げプロジェクト」を進め、中小企業の賃上げや生産性向上の取組を支援します。
 また、製品開発等の支援により企業の生産性向上につなげるほか、介護・障害福祉の分野における賃上げの支援や職場環境の改善に取り組みます。
 続いて、医療・介護体制の充実に向け、医学部地域枠の増員・新設のほか、女性医師の就労支援など、医師の確保と働きやすい環境づくりを進めます。また、急な病気やケガをしたときに、専門家に相談できるコールセンター「救急安心センター(♯7119)」を新たに設置します。
 介護分野では、介護ロボットやICT機器等の導入経費の補助を行い、介護現場の生産性向上に取り組みます。
 交通安全対策では、信号器のLED化や概ね10年に1度の横断歩道の塗替えなどを計画的に進め、通学路などの安全を確保するほか、自動車ドライバー向けに自転車事故対策の普及啓発などに取り組みます。
 また、第四種踏切の置き換えを進めるため、遮断機のある第一種踏切に転換する鉄道事業者に対して、新たに補助制度を創設します。
 警察のDXでは、防犯カメラの映像から捜査対象を自動検出する「AI映像解析システム」や、犯罪情報と防犯情報をタイムリーに発信する「群馬県警公式防犯アプリ」を導入します。
 レジリエンスの強化では、激甚化する災害から県民の命と財産を守るため、引き続き水害対策や防災インフラの整備など、公共事業についてもしっかり取り組みます。
 文化・芸術推進では、「群馬パーセントフォーアート」について、民間企業などと連携した取組を進めるほか、創立80周年を迎える群馬交響楽団に対し、記念事業への支援を行います。
 また、群馬県人の重要なアイデンティティである上毛かるたについて、「やるぞ!バズるぞ!上毛かるたプロジェクト」を実施し、子ども達への普及拡大に取り組みます。
 そしてスポーツの推進についてです。
 まず、「湯けむり国スポ・全スポぐんま」開催に向けて、競技会場の施設整備や広報・機運醸成など、開催準備を加速して参ります。
 そして、競技力向上対策では、国スポ・全スポに向けて選手強化策を拡充するとともに、未来に繋がる選手強化の取組を拡充します。
 このほか、ALSOK ぐんま総合スポーツセンターの競技環境の整備を行うほか、パラスポーツ施設の整備を進めて参ります。

 重点施策の最後は、「財政の健全性の確保」です。
 令和7年度の予算案には、重点を置いてきた産業活性化に加え、こどもまんなか政策やスポーツ振興などにおいても、充実した内容を盛り込むことができたと思います。このような予算を編成する中でも、知事就任以来重視してきた「財政の健全化」に留意いたしました。
 令和7年度当初予算では、「基金残高の確保」、「県債発行額の抑制」、「県債残高の縮減」の3点について、前年度からさらに改善することができました。
 まず財政調整基金の残高については、前年度を上回る275億円を確保しました。これは、平成10年度以降で最高額となっています。かつては、緊急事態への備えが不十分だったと言わざるを得ない状況でしたが、令和7年度当初予算においては、さらに改善することができました。
 県債の新規発行額については、473億円に抑えました。令和4年度以降、4年連続での減少となります。
 これにより、県債残高は、令和6年度決算見込みと比べて、420億円減少させることができました。

 これまで山本県政では、県有施設のあり方や様々な事業についての見直し作業を積み重ねてきたほか、ワイズスペンディングを実践してきました。
そして知事によるトップセールスでも、県の取組を政府に後押ししてもらえるよう、働きかけて参りました。
 令和7年度当初予算編成においても、限られた人的資源と財源を有効に活用するため、引き続き、1.ワイズスペンディングの視点による費用対効果の高い事業への事業見直しや、2.民間リソース等の積極的活用、3.自ら「稼ぐ」施策、4.デジタル化による事務の効率化を強力に進めることにより、事業の見直しを進めました。
 こうした取組の結果、令和7年度当初予算では、県債残高も減少させながらも、前年度を上回る基金を確保することができたと考えています。
 また、老朽化が進む県有施設の整備についても、しっかりと時間をかけて見直しを進めて参ります。
専門的な施設であっても、部局を跨いで再構成していくことや、民間や国、市町村の施設との連携など、幅広い視点でスクラップ&ビルドを進めたいと考えています。
 今後も引き続き、財政の健全性確保に努めて参ります。

令和7年度関係その他の議案

 続いて、特別会計についてですが、母子父子寡婦福祉資金貸付金会計など11件を、企業会計については、流域下水道事業会計など7件を提出しております。
 事件議案は、45件を提出しております。
 第16号議案は、顧客等の豊かな生活、事業者の安定した事業活動及び誰もが安心して働くことができる就業環境の実現を目指し、群馬県カスタマーハラスメント防止条例を制定しようとするものです。
 第17号議案は、デジタルクリエイティブ人材の育成を図るため、ツーモグンマの設置及び管理に関する条例を制定しようとするものです。

令和6年度関係議案

 続いて、令和6年度関係について、予算関係で14件を提出しています。
 このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴い、保育士等の処遇改善に必要な経費を計上するほか、防災・減災をはじめとした公共事業の増額などを行うものです。
 事件議案としては、県有施設の長寿命化工事や建替、機能集約等を計画的に推進し、将来の財政負担の軽減や平準化を図るための「群馬県県有施設長寿命化等推進基金」の新設など25件を提出しております。

おわりに

 以上、重点的な施策について申し上げました。
 財政の対応力は着実に向上しており、今までの守りの姿勢から、より一歩踏み出せる環境が整いつつあります。
 これにより、「子育て圧倒的No.1」に向けた具体的な取組を進められるようになったほか、「デジタル・クリエイティブ産業」の構築に向け、本格的な一歩を踏み出すことができました。
 これからも、山本県政の最大の目標である「県民幸福度の向上」に繋がるよう、全力を尽くしてまいります。
 そのためには、引き続き、県議会をはじめ県民皆様方の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、議案の大要について御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。

 なお、第102号議案の監査委員の選任につきましては、事案の性質上、早急に御議決くださいますよう、お願い申し上げます。