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第2部第4章第3節 バイオマスの活用推進

更新日:2015年3月21日 印刷ページ表示

第1項 活用システムの構築

1 バイオマス活用推進

(1)バイオマスについて

 バイオマスとは生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、再生可能な生物由来の有機性資源(石油などの化石資源を除く)のことです。
 バイオマスの性質として、植物の成長過程で光合成により二酸化炭素を固定するため、燃焼しても実質的には大気中の二酸化炭素を増加させることにはなりません。このように二酸化炭素の増減に影響を与えない性質のことを「カーボンニュートラル」といいます。そのため、バイオマスは、化石燃料に代替する再生可能エネルギーとして注目されています。

(2)群馬県バイオマス活用推進計画

ア 策定の趣旨

 平成21年9月に「バイオマス活用推進基本法」が施行され、平成22年12月には、国の「バイオマス活用推進基本計画」が策定されました。
 これを受け、県では、県の取組方針、バイオマスの種類ごとの利用量及び利用率の目標を定めた「群馬県バイオマス活用推進計画」を平成24年3月に策定しました。

イ 基本目標、基本理念

 当計画では、2010年度のバイオマス全体の利用率71%(炭素換算)を2021年度(平成33年度)には、81%まで高めることを基本目標としています。
 また、豊富に存在するバイオマスを有効活用した地域循環型システムを構築し、新たな技術の開発と産業の育成により、環境負荷の少ない低炭素・循環型社会を実現する『バイオマス先進県ぐんま』を目指すことを基本理念としています。

ウ 重点事項

 本県は畜産業が盛んなため畜産バイオマスが豊富に存在しています。しかしながら、そのほとんどが肥料として利用されているため供給過剰となり地域内での消費が困難になっています。
 また、本県は県土面積の3分の2を森林が占める「関東一の森林県」であり、木質バイオマスが豊富に存在していますが、間伐材等の林地残材はほとんど利用されていません。
 以上のことから、本県の更なるバイオマスの活用推進を図るため、「畜産資源のエネルギー利用の推進」及び「林地残材利用の推進」について、重点的に取り組みます。

(3)バイオマス活用の推進

 本県では、バイオマス活用推進計画の基本理念・基本目標の達成を目指して、学識経験者・市民活動団体・NPO・事業者・行政から構成される「群馬県バイオマス活用推進委員会」を中心に、県庁各部局で構成される「群馬県バイオマス利活用推進連絡会議」と協力・連携し、持続可能な低炭素・循環型社会の実現に向けた取組を総合的・計画的に推進します。

2 木質バイオマスのエネルギー活用

 かつて木材は、木炭や薪として、日常的なエネルギー源として多用されていましたが、昭和30年代後半の「エネルギー革命」を経て、主要なエネルギー源ではなくなりました。木材の燃焼により排出される二酸化炭素は、樹木の成長過程で大気中の二酸化炭素を蓄積したもので、化石燃料の代わりに、持続的に管理されている森林から伐採した木材をエネルギー源として利用することは、化石燃料に由来する二酸化炭素の排出を抑制することになります。

(1)木質ペレットの利用

木質ペレットは、木材加工時に発生するおが粉等を圧縮形成した燃料で、形状が一定で取扱やすい、エネルギー密度が高い、含水率が低く燃焼しやすい、運搬・貯蔵が安易であるなどの利点があります。最近では、公共施設や一般家庭におけるペレットボイラーやペレットストーブの導入が進められ徐々に普及しています。

(2)林地残材利用の推進

 本県は、県土面積の3分の2に相当する425千haが森林である「関東一の森林県」で、木質バイオマスは豊富に存在していますが、間伐材の収集・運搬には費用がかかり、また、木材価格の低迷などから間伐実施面積の約7割は伐採した木が搬出されずに林内に放置されています。
 一方、東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、再生可能エネルギーに対する関心が高まっており、木質バイオマスもエネルギー供給源の一つとして期待されています。また、平成24年7月には「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が導入され、太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気を対象として、電気事業者が買取りに必要な接続や契約の締結に応じる義務を負うこととされました。木質バイオマスから発電された電気の買取価格(消費税相当額を除く)は、「間伐材等由来の木質バイオマス」を用いる場合は「32円/kWh」、「一般木質バイオマス」は「24円/kWh」、「建設資材廃棄物」は「13円/kWh」とされ、買取期間は20年間に設定されました。
 これらにより全国各地で木質バイオマスによる発電施設が建設・整備されています。木質バイオマス発電施設の導入による地域への経済波及効果としては、標準的な送電出力5,000kWの発電所の場合、年間約10万立方メートルの間伐材等の未利用材が燃料としての使用されるほか、約12~13億円の発電収入(うち燃料代は約7~9億円)、50人程度の雇用が見込まれると試算されています。
 また、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気発電の促進に関する法律(農産漁村再生可能エネルギー法)が平成26年5月から施行され、今後益々エネルギー供給源の多様化が予想されますが、木質バイオマス発電施設の建設・整備を推進するとともに、円滑な事業化に向けた相談窓口の設置等、サポート体制を構築します。
 なお、本県では平成26年4月から、あがつま森林育成事業協同組合バイオマスチップ工場と、群馬県素材生産流通協同組合バイオマス燃料供給センターが、年間約3.4万トンの燃料生産を目標に稼働しています。

3 畜産バイオマスのエネルギー利用

 県では、大学、企業、試験研究機関が結集して「環境に調和した地域産業創出プロジェクト」(平成18年1月から平成22年12月)に取り組み、家畜排せつ物をエネルギーに変換して有効利用するとともに、環境への負荷を低減する技術等の開発を行いました。
 また、平成23年12月には、環境調和型畜産振興特区として総合特別区域の指定を受け、家畜排せつ物を低温でガス化することにより効率良くエネルギーに変換する技術の研究開発に取り組んでいます。
 今後は、実証試験の規模を拡大し、技術の実用化・事業化を図ります。

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