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令和2年第1回定例県議会 知事提案説明

更新日:2020年2月17日 印刷ページ表示

 令和2年第1回定例県議会の開会に当たり、令和2年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げますとともに、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べます。

知事就任後初めての当初予算編成

 知事に就任して半年間、毎日が緊張の連続、決断の連続でした。就任後間もなく、CSF問題が深刻化し、国や市町村とも連携して、防護柵設置やワクチン接種など、様々な対策に取り組んできたところです。
 最近では、新型コロナウイルスが世界で猛威を振るっていることから、医療機関との連携体制を整えるとともに、感染症専門家による有識者会議を設置することとしました。
 また、10月には台風第19号により4名の方々が亡くなるなど、県内各地において大きな被害が発生しました。県外では台風第19号に加えて、九州北部を中心とした豪雨、台風第15号などにより、河川の氾濫や、大規模な停電など、近年まれに見る大災害に見舞われたところです。
 今後、このような自然災害は毎年のようにやってくると覚悟し、県民の安全・安心を確保することが県政の最重要課題であることを改めて認識させられました。
 これら相次ぐ気象災害を踏まえ、都道府県初の気象災害非常事態宣言や、「ぐんま5つのゼロ宣言(2050宣言)」、県土整備プランの見直し方針について、12月に発表させていただきました。現在、策定作業を進めている総合計画にもこのことを盛り込んでいく考えです。
 一方で、昨年10月に取りまとめた中期財政見通しでは、今後毎年200億円前後の財源不足が見込まれることを明らかにし、行財政改革を通じて財政調整基金の取崩しや過度な県債発行に頼らない財政運営を目指す方針を示しました。
 県民の幸福度向上に向けた必要な施策を進めるため、必要な予算はしっかりと確保する一方で、財政の健全性の確保にも留意しなければなりません。
 人口が減少する中で、社会保障や防災・減災対策に取り組んでいく財源を生み出すためには、本県に新たな富を生み出すための新たな取組も進めなければなりません。群馬県は今、こうした難しい舵取りを強いられている状況にあります。
 このような情勢の中で、知事就任後、初めてとなる本格的な予算編成に臨みました。

当初予算編成の基本方針

 当初予算の編成に当たっては、県民の幸福度向上のための施策は、スピード感をもって取り組むとともに、県民の安心を支えるために必要な施策は、工夫しながら継続するという方針で臨みました。
 思い切った事業の見直しにより財政の健全性の確保に向けた一歩を踏み出しつつ、県民の幸福度の向上に向けた新たな取組を推進するための予算であるとの思いを込めて、『改革+創造予算』、『新群馬創生始動予算』、『前例踏襲脱却予算』と命名させていただきました。

当初予算の規模

 令和2年度の一般会計当初予算の総額は、7,451億2,800万円です。
 防災・減災対策をはじめとした県民の安全・安心を支えるための取組や、本県に富を生み出すための新たな取組など、県民の幸福度の向上に向けた施策をしっかりと盛り込んだ予算ができたと考えています。

当初予算の財源

 当初予算の主な財源についてですが、令和2年度の県税収入は、消費税率の引上げにより地方消費税が増加する一方で、法人関係税の落ち込みなどの影響も勘案し、令和元年度当初予算に比べて15億円の増となる2,465億円と見込んだところです。
 また、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税については、地方財政対策における伸び率等から、令和元年度当初予算に比べ、26億円増の1,689億円となる見込みです。
 また、社会保障関係費の増加が今後も見込まれる一方で、県民の幸福度向上のために必要な施策に取り組むため、地方創生推進交付金などの国庫支出金、ふるさと納税をはじめとする民間資金の活用などにより、財源の確保に努め、予算を編成したところです。

重点施策

 それでは、令和2年度予算の重点施策について、4本の柱に沿って申し上げます。
 一つ目は、「災害に強く、安心な暮らしと安定した経済活動の実現」です。
 激甚化する気象災害に対応するため、ハードとソフトが一体となった防災・減災対策を加速させる必要があります。「災害レジリエンスNo.1」の実現に向け、令和2年度からの5か年で集中的、緊急的に防災・減災対策を推進して参ります。
 「ぐんま5つのゼロ宣言」を着実に推進するため、「ぐんま再生可能エネルギープロジェクト」の推進、水力発電所の整備のほか、プラスチックごみや食品ロス削減に向けた普及啓発などに取り組んで参ります。
 また、若手医師の確保や医師の偏在解消に取り組む「ドクターズカムホームプロジェクト」の推進や、健康寿命の延伸に向けた健康ポイント制度の導入検討に取り組むとともに、児童虐待への対応を強化するため、他県よりも一歩踏み込んだ形での児童虐待防止条例の制定を目指します。

 二つ目は、「群馬県の魅力とブランド、ライフスタイルの構築と発信」です。
 ぐんまちゃんを世界に売り込むプロモーションツールとして、アニメーション動画を製作・配信し、ぐんまちゃんのブランド力を強化します。
 トップ外交の展開では、覚書を締結しているベトナムにおいて、群馬交響楽団の公演等を行い、これまでの経済・人材交流のほか、文化交流にも取り組みます。
 また、中国への農畜産物輸出解禁も視野に入れながら、県産農畜産物の海外での販路開拓を進めるため、トップセールスを行います。
 観光誘客・インバウンド推進では、個人旅行客に対応するため、中国のSNSである微(ウェイ)博(ボー)などと連携し、デジタル媒体によるプロモーションやITを活用した受入環境整備を実施します。
 1月に取りまとめた「多文化共生・共創『群馬モデル』」を推進するための取組も行います。外国人材の円滑な受入のため、ベトナムでの合同企業説明会や外国人雇用全般に係る企業相談などを行います。新たな「多文化共生県ぐんま」を実現するため、外国人児童生徒への教育環境の整備などに取り組みます。また、ともにつくる「共創」により日本人・外国人住民がともに輝くため、外国人の県内定着や起業の支援を行います。

 三つ目は、「共創とデータ活用による新しいリソースの創出」です。
 これからの公共は、行政だけでなく、民間企業や教育機関、NPOなど、多様な主体とともに進めていかなければなりません。ICT等による地域課題解決に向け、民間の知恵や資金を活用して実証事業を実施し、県、市町村や民間企業等とともにイノベーションを創発します。
 加えて、いわゆる「エピソードベース」ではない、科学的なデータに基づく行政の推進を心がけていきたいと考えています。
動画・放送スタジオでは、県政情報や県の魅力を伝える動画を職員がローコストかつスピーディーに制作・配信し、インターネットを中心とした情報発信を大幅に強化します。
 4月に群馬コンベンションセンター「Gメッセ群馬」が開所します。オープニングイベントを開催し、県内外に周知するとともに、施設を核としてコンベンション産業の振興に取り組みます。
 「G-アナライズ&PR」では、健康をキーワードに県産農畜産物の成分分析を行い、その成果を消費者に発信することで販売促進につなげ、消費者の反応を生産現場に生かすサイクルを作ります。

 最後は、「財政の健全性の確保」です。
 県民の幸福度を向上させるために必要な取組を進めるとともに、災害時に万全の対応ができるようにしておくためには、財政の健全性の確保は極めて重要です。
 そのため、熟慮断行の方針に基づき、時代の変化や費用対効果、他県との比較や役割分担等の観点から242件の見直しを行い、約13億6千万円の歳出を削減しました。
 その結果、災害発生時等の緊急的な財政出動への備えとして重要な財政調整基金の残高については、令和元年度当初予算編成時点の残高を37億円上回る52億円を確保しました。
 また、投資的経費を抑制し、臨時財政対策債や減収補てん債を除く県債については、発行額は164億円、県債残高は4億円、それぞれ削減し、財政の健全性にも配慮した予算編成を行いました。
 知事就任後、最初の当初予算編成において、財政の健全性の確保に向けた一歩をなんとか踏み出すことができました。しかしながら、取組は始まったばかりです。事業の見直しや県有施設のあり方見直しについて、引き続き検討を進め、更なる財政の健全性の確保に努めて参ります。

組織の大幅再編

 以上、当初予算の重点施策について御説明申し上げましたが、こうした施策を強力に推進するため、組織を大幅再編いたします。
 まず、「新・群馬」の創造に向けた取組の司令塔として、政策立案や、情報発信、トップセールスなどを強力に推進するため、「知事戦略部」を新設します。
 次に、「ぐんま暮らし」のブランド化により移住促進を図るとともに、文化・スポーツにより活力ある地域づくりを推進するため、「地域創生部」を新設します。
 さらに、児童虐待対策とDV対策の連携を強化するなど、安全で質の高い県民生活と子育て環境を実現するため、「生活こども部」を新設します。
 このほか、経済活性化の起爆剤となる新たなコンテンツを発掘・育成し、国内外へ戦略的に売り込むため、産業経済部に「戦略セールス局」を設置します。
 また、「ぐんま5つのゼロ宣言」の実現に向け、地球温暖化対策、災害に備えたエネルギー政策、循環型社会の構築を強力に推進するため、環境部門の組織を強化します。
 新たな組織体制によって、新たなプライドを醸成し、そして県民の幸福度を向上させることで、更に輝く「新・群馬」をつくってまいります。

令和2年度関係その他の議案

 続いて、特別会計については、母子父子寡婦福祉資金貸付金会計など11件を、企業会計については、流域下水道事業会計など7件を提出しております。
 事件議案は、42件を提出しております。
 第16号議案は、公文書の適正な管理並びに特定歴史公文書等の適切な保存及び利用について、定めようとするものです。
 第17号議案は、令和10年度の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催に向けて、財政負担の平準化を図るための基金を設置しようとするものです。
 第19号議案は、流域下水道事業に地方公営企業法を適用するとともに、必要な事項を定めようとするものです。
 第21号議案は、知事部局に知事戦略部を設置するなどの組織改正を行おうとするものです。

令和元年度関係議案

 続いて、令和元年度関係について、予算関係では14件を提出しております。
 このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴い、防災・減災に係る公共事業の増額など、所要の補正を行うものです。また、地方創生拠点整備交付金事業を活用し、県庁舎32階を、多様な人々が常に集まり、交流することで、次々に新しいリソースが生まれ、発信される空間にしていくため、カフェやイノベーションエリアを備えた場所に整備します。
 事件議案としては、群馬コンベンションセンター太陽光発電所を設置しようとするものなど、23件を提出しております。

おわりに

 以上、重点的な施策について御説明申し上げました。
 今回の予算編成に当たりましては、各部局の意見を丁寧に聞き、若手職員の意見も吸い上げるなど、非常に多くの時間を費やし、濃密な議論を重ねて参りました。
 知事である私はもちろんのこと、両副知事を含む県庁幹部、一致協力してタイムリーな政策決定を心がけ、スピーディーな作業を積み重ねて参りました。県職員の皆さんにもこれまでの思考回路、いわゆるマインドセットを変えて、全面協力していただきました。
 今後も引き続き、新たな時代に対応した施策を検討し、一つ一つの事業を見直し、群馬県の未来に責任を持った、スピード感ある県政の展開を図って参りたいと思います。同時に、こうした新しい仕事の文化を県庁内に創り上げていきたいと考えております。

 今年は、群馬県が飛躍するきっかけとなる新たな舞台装置ができる一年だと捉えています。
 4月には、高崎にGメッセ群馬が開所し、県庁32階の動画・放送スタジオも稼働を始めます。また、永年の悲願である八ッ場ダムの運用や群馬デスティネーションキャンペーンも始まります。
 10月には、群馬県全体を動かす基本方針として、概ね20年後を見据えた長期の「ビジョン」と、今後重点的に取り組む具体的な政策を体系化した10年の「基本計画」からなる、新たな総合計画を策定します。
 令和2年も、全身全霊で知事の仕事に取り組んで参る覚悟ですが、行政の力だけでは県民の幸福度を向上させることはできません。
 新しい群馬県の創造のために、引き続き、県議会並びに県民の皆様方の御支援と御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。

 県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、議案の大要について御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。