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群馬県感染症流行予測調査について

 感染症流行予測調査事業では、定期予防接種の対象となっている疾患(ポリオ、インフルエンザ、日本脳炎、風しん、麻しん、ヒトパピローマウイルス感染症、水痘、B型肝炎、インフルエンザ菌感染症、肺炎球菌感染症、ロタウイルス感染症、新型コロナウイルス感染症)について、予防接種法に基づき、次のような調査を行っています。

  • 感受性調査(疾患に対する免疫を国民がどれくらい保有しているか:集団免疫の現状把握)
  • 感染源調査(どのような型の病原体が流行しているか、あるいは流行する可能性があるか:病原体の検索)

 これらの結果と他のいろいろな疫学的情報(地域、年齢、性別、予防接種歴など)を併せて検討し、予防接種が効果的に行われているかを確認すること、さらに長期的な視野で疾患の流行を予測することを目的としています。
 この調査では、厚生労働省、国立感染症研究所、都道府県および都道府県衛生研究所などが、それぞれの地域に住んでいる方に事業の目的を説明し、同意が得られた場合に調査に御協力いただいています。

令和3年度群馬県感染症流行予測調査結果

 群馬県では今年度、感受性調査として麻しん・風しん・インフルエンザについて調査しました。

感受性調査

 感受性調査では、さまざまな年代の方々の血液中に含まれる抗体の量を測定し、感染症に対抗できる免疫をどれくらい保有しているか調べます。
 今年度は、麻しん・風しん・インフルエンザの3疾患について、血液中に十分な抗体を持っている人の割合(抗体保有率)の調査を行いました。なお、本調査への同意の得られた0歳から68歳の計463名を調査対象者とし、調査にあたっては、健康診断あるいは医療機関受診時に採取した血液の残余を利用しました。
 本県で実施した調査の結果は以下のとおりです。

麻しん

  • 対象:0~68歳の463名の血清
  • 方法:ゼラチン粒子凝集法(PA法)
  • 判定:PA法では、PA抗体価が1:16以上で陽性と判定しますが、1:16~1:64では十分な発症予防ができない可能性があると考えられています。そこで、麻しんに対して十分な免疫があると考えられている1:128以上の場合を抗体保有としました。
  • 結果:PA抗体価1:128以上の抗体保有率は全体の85.7%で、昨年度(82.0%)よりやや高い保有率でした(図1)。年齢群別では、2-3歳、25-29歳で90%以上の抗体保有率を示しました。抗体価が1:16未満の抗体陰性者は全体の3.9%で、昨年度(7.3%)より低い結果でした。抗体陰性者の割合について年齢群別でみてみると、0-1歳が最も多く22.2%でした。また、4-9歳(2.1%)、15-19歳(2.7%)、30-39歳(3.9%)、40歳以上(6.9%)の4つの年齢群でも抗体陰性者が認められ、2-3歳、10-14歳、20-24歳、25-29歳では認められませんでした。
図1 麻しん結果グラフ画像

風しん

  • 対象:0~68歳の463名の血清
  • 方法:赤血球凝集抑制試験法(HI法)
  • 判定:HI法ではHI抗体価が1:8以上の場合に陽性と判定しますが、1:8及び1:16では十分な風しんの発症予防ができない可能性があると考えられています。そこで、抗体価が1:32以上の場合を抗体保有としました。
  • 結果:HI抗体価1:32以上の抗体保有率は全体の70.4%で、昨年度(76.1%)よりやや低い保有率でした。(図2)男女別では男性が72.2%、女性が68.6%であり、女性よりも男性の保有率が3.6%高い結果でした。年齢群別では、50-59歳(男性92.3%、女性:81.0%)で男女ともに80%以上の抗体保有率を示しました。また、男女で10%以上の差が見られる年齢群もあり、0-3歳(男性:68.0%、女性:81.0%)、40-49歳(男性:76.5%、女性:65.2%)、50-59歳(男性:92.3%、女性:81.0%)、60歳以上(男性:100%、女性57.1%)では、特に性差が見られました。
図2 風しん結果グラフ画像

インフルエンザ

  • 対象:0~68歳の462名の血清
  • 方法:赤血球凝集抑制試験法(HI法)
    インフルエンザの感受性調査では、今シーズン(2021/22シーズン)のインフルエンザ流行開始前であり、かつ当該シーズンのインフルエンザワクチン接種前に採取した血清について調査を実施しました。今年度は以下のインフルエンザウイルス4種類の抗原について調査しました。これら4抗原は、いずれも今シーズンのワクチン株として選定されている抗原です。
     A/ビクトリア/1/2020(H1N1)
     A/タスマニア/503/2020(H3N2)
     B/プーケット/3073/2013(山形系統)
     B/ビクトリア/705/2018(ビクトリア系統)
  • 判定:HI法の抗体価が1:10以上の場合に陽性と判定されますが、インフルエンザの感染リスクを50%に抑える目安と考えられている抗体価1:40以上の対象者の割合を抗体保有率としました。
  • 結果:A/ビクトリア/1/2020(H1N1)(図3)
    今シーズン(2021/22)からワクチン株に選定されたウイルスであり、本調査株に対する全体の抗体保有率は9.3%でした。年齢群別では、15-19歳(24.3%)で最も高い保有率を示し、次いで10-14歳(21.4%)、20-29歳(8.3%)でした。一方、30-39歳(5.2%)や40-49歳(5.0%)で低い保有率を示し、0-4歳では抗体保有者を認めませんでした。
図3 インフルエンザA/ビクトリア/1/2020(H1N1)結果グラフ画像
  • 結果:A/タスマニア/503/2020(H3N2)(図4)
    今シーズン(2021/22)からワクチン株に選定されたウイルスであり、本調査株に対する全体の抗体保有率は2.4%で、4抗原の中で最も低い保有率でした。年齢群別では、5-9歳(5.9%)で最も高い保有率を示し、次いで10-14歳(5.7%)、0-4歳(5.1%)でした。一方、15-19歳、30-39歳、50-59歳、60歳以上の4つの年齢群では抗体保有者を認めませんでした。
図4 インフルエンザA/タスマニア/503/2020(H3N2)結果グラフ画像
  • 結果:B/プーケット/3073/2013(山形系統)(図5)
    昨シーズン(2020/21)に引き続き、ワクチン株に選定されたウイルスであり、本調査株に対する全体の抗体保有率は50.4%で、4抗原の中で最も高い保有率でした。昨年度(41.8%)と比較すると抗体保有率はやや高くなりました。年齢群別では、30-39歳(76.6%)で最も高い保有率を示し、次いで20-29歳(76.2%)、15-19歳(56.8%)、60歳以上(44.4%)、40-49歳(42.5%)、10-14歳(41.4%)で比較的高い保有率を示しました。一方、最も低い保有率を示したのは0-4歳(13.6%)でした。
図5 インフルエンザB/プーケット/3073/2013(山形系統)結果グラフ画像
  • 結果:B/ビクトリア/705/2018(ビクトリア系統)(図6)
    昨シーズン(2020/21)に引き続き、ワクチン株に選定されたウイルスであり、本調査株に対する全体の抗体保有率は7.1%で、昨年度(2.5%)と比較すると抗体保有率はやや高くなりました。年齢群別では、40-49歳(22.5%)で最も高い保有率を示し、次いで50-59歳(17.6%)、15-19歳(13.5%)でした。一方、0-4歳、5-9歳の2つの年齢群では抗体保有者を認めませんでした。
図6 インフルエンザB/ビクトリア/705/2018(ビクトリア系統)結果グラフ画像

謝辞

 感受性調査の実施にあたり、調査へ同意し検体を御提供いただいた0~68歳の463名の対象者の皆様、及び検体収集に御尽力いただいた各学校の先生方、桐生厚生総合病院、公立藤岡総合病院、地域医療機能推進機構群馬中央病院、国立病院機構高崎総合医療センター、前橋赤十字病院、県立小児医療センター、公益財団法人群馬県健康づくり財団、一般財団法人全日本労働福祉協会、その他各関係機関の皆様に厚く御礼申し上げます。

過去の調査結果

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